2013年 10月 11日
久しぶりのアムステルダム |
前回、アムステルダムに来たのは、去年の5月でしたから、ほぼ一年半前になります。その時は、キャンセルででた最後の一枚の切符を手に、ヤンソンス・ロイヤルコンセルトヘボウを聴くことが出来ました。とても良い演奏で、強く心に残りました。被り付きの席でしたが、弦楽器の柔らかな音は今でも耳に残っています。
今回もオランダに一週間居ますので、その間に何とか演奏会にいきたいと願い、日程に合う演奏会を探しました。お目当てのRCOの演奏会も、Jan Willem de Vriend指揮で、Rosetti - Symfonie in g、J.S. バッハ - Concerto in d, BWV 1052 、メンデルスゾーンの第一交響曲- in c, op. 11という、渋い選択のプログラムが、水・木・金でありました。金曜日の晩だったら、無理すれば行けたのですが、翌日の、Netherlands Philharmonyのチャイコフスキーのピアノ協奏曲一番と交響曲の一番というプログラムを選びました。オランダフィルとも呼ばれている楽団です。
土曜日の三時過ぎに、1時間程離れた街のホテルを出て、車でアムステルダムに向かいました。ユトレヒトからアムステルダムまで高速道路が、拡張されて5車線になっています。オランダは速度の取り締まりが厳しく、1キロでも速度超過していると、すぐ切符が送られてきます。初めて運転した頃、51キロだったから罰金払えと帰国して二ヶ月ほどしてから、国際郵便が送られてきました。最初はオランダ語だけだったので、何のことだか解らず、放って置いたら一月後に延滞金がついて、また督促が来たのです。オランダの友人に事情を話したら、1キロオーバーでも違反は違反という、姿勢には驚きましたが、いっぽうで感心したのです。
この拡張された5車線を皆、粛々と走っています。追い越し側の二車線は誰も走っていません。これはスピードカメラがどこかにあるのだろうと、その車群の中に入りました。すると制限速度の100キロピッタリなのです。さすがはオランダと感心しました。しかし、翌日同じ道を戻る私に、地元の人が、あの区間は気をつけろと言います。それはあの区間を走る車は、すべてカメラに撮られ、その区間を走った平均速度を割り出され、それが100キロをオーバーしていると、切符が来るそうです。一網打尽ですね。カメラの前だけではなく、ある区間の平均速度なのです。
むかし、豊橋に東名にキセル防止の検札所がありました。東京からノンストップで走ってきたとき、そこの係員が、平均速度で、100キロを少しオーバーしているから、気をつけて下さいと、言われたことがあります。なるほど、高速に入ったときと出たときで計られたら、言い逃れが出来ないと、感心したことを思い出しました。カメラと認識ソフトの発展が、このようなスピード取り締まりに使われていると管理社会の恐怖を実感しました。
オランダは、ルールに厳しい国です。アムステルダムでの、ドラッグや同性愛が強調されていますが、市内を少し離れると、そこは田園地帯で、保守的な国なのです。とても、きれいで、清潔な国です。その為のルールは厳しく、お隣のベルギーとは全く印象が違います。
コンセルトヘボウの前の公園の下の駐車場に入れると土曜日なのでほぼ満車の状態でした。上に上がってくると美しい芝生の向こうに、改装がおわった国立美術館が見えました。2003年から改装工事に掛かっていました。途中工事の中断もあり、長い間その勇姿を見せてくれなかったのです。早速、見に行きました。
外装もきれいで徹底した改装が行われた様です。エントランスは、全く前とは違っています。中庭を使って大きな入り口になっていますが、その中庭に入るのが、わざと狭くしてありました。
チケットを買うとき、閉館まで一時間切っていますが、それでも良いですかと聞かれました。中の展示物は、改装中も何回か訪れていますから、今日は美術館そのものを見に来たようなものです。係員のお兄ちゃんは、最初に二階の方から見ると良いですよ、といってくれました。早速、にかいまで上がりましたが、階高が高いので、一回分上がるには、四回折り返さなければ上がれません。工場みたいですね。窓のガラスも昔ながらの製法で作られた板ガラスで、外の景色が少し歪んで見えます。
正面にある有名なレンブラントの夜警の前は人混みでで見られません。しかし、急ぎ足で回っていると、あちらこちらに有名な絵がちりばめられて飾られています。私の好きな預言師エレミアの絵が、何気なく展示されていました。周りには誰もいなく、絵の前40センチまで近寄れます。
上の二枚の写真は、そうして近寄って実際に撮った写真です。額縁も入れておきました。下はマクロが効いている範囲ですから、30センチ以内に近寄っています。以前来たときも、間近で見られて感動しましたが、今回は、しばしの間、独占して見ていました。もの凄い細部のディテール表現です。
小一時間でしたが、一応館内はすべて回ってみました。仮設の時から比べたら、比べものにならない広さの館内に、本物の絵がちりばめられているのです。レンブラントでもフェルメールでも、ごく間近に見れるのが、素晴らしいですね。出来れば、観光客の少ない冬の平日に来て、名画を独占したいですね。
入館するときは、燦々と輝いていた太陽が、ビルの影に隠れると、一気に寒くなりました。時間がまだあるので、ゆっくりと、コンセルヘボウに向かって戻りました。ゴッホ美術館の前も、閉館で出て来た人々で、溢れていました。コンセルトヘボウ横のレコード屋さんは、今日は閉まっていました。最新のRCOライブを買おうかと思っていたので、少しガッカリです。コンセルトヘボウの前まで戻ると、明日のダニール・トリフォノフ君の可愛い写真が飾られていました。
まだ、開演まで二時間以上あります。少し歩けば、まあまあのレストランもあるのですが、今日は、コンセルトヘボウの中に有る、簡易食堂で、少し腹ごしらえをしました。といっても、暖かいものは、今日の定食しかありませんでした。チキンとチャーハンみたいなライスです。味は学食並みです。最初から、あきらめていますから、腹も立ちません。だんだん人は増えてきましたが、ガラスの中は風邪引いている人が多く、表で待っていました。日が落ちると急激に温度が下がってきます。開演は八時ですが、実際の開演は15分頃です。会場も七時半過ぎで、日が落ちると急激に寒くなる表で待っていたので、始まる頃には身体が冷え切っていました。
ようやく入れた会場の中は温かく、また狭い廊下は、人で溢れかえります。その人たちを見ていると、RCOの演奏会の時と、聴衆の感じが随分異なります。一言で言うと若くて、女性が多いのです。ロイヤルコンセルトヘボウの場合は、あたかもN響の定期会員見たく、平均年齢が高く、男性会員が多いのです。今回のネーデルランドフィルは、あたかも池袋の芸術劇場での労音や民音主催の演奏会見たくて、おばさんたちや若いカップルが多く見受けられます。
何回かこの会場に来ているのですが、いつもは一階席後方が多いのです。例外が、前回の最前列と、その前の、ステージ後方のP席で聴いた、ベルギー国立の演奏会でした。ステージ後方から横の席でしたが、音は立体的に展開して低域が非常に豊かに聴けました。今回は二階席を取ってみました。
二階席からは、ホール全体が見渡せます。二階の横は三列、正面も4列しかありません。全体の響きを考慮しているのでしょう。
開演間近になると一気に人が増え、それと同時にオーケストラの面々も少しずつ入場してきます。前の列に人が並ぶと、ステージは、その人の間から覗くような感じになります。ピアニストと指揮者が例の階段を下りてきて、演奏が始まりました。ピアノ協奏曲冒頭のファンファーレが、少し腰砕けだったのに、ビックリ。ピアノもただがんがん弾いているだけ。おやおや、このオーケストラは、大分レベルが低いです。音は流石にコンセルトヘボウのホールでの音ですが、演奏が行けません。RCOは、世界一ですが、このオーケストラは、大分落ちます。在京のオーケストラより、低いレヴェルですね。それでも、演奏がようやく終わると、聴衆は全員スタンディングオーベーションで、RCOとの観客のレベルのさも感じました。
寒くなったし、まだ時差ボケもあるし、つまらない演奏を聴いていて、寝てしまうと、周りが迷惑すると思い、前半だけで、外に出ました。一気に車の流れが少なくなった、土曜日の夜の道を、またゆっくりと、もどってきました。今回は久しぶりに不発でした。あの会場では、RCOの他にも、バーミンガム、フィルハーモニア、ボーンマス、ベルギー国立と聞いてきましたが、今回が一番レベルが低かったです。なかなか、すべては上手く行かないものです。音が良いだけでは、聴けないとオーディオにも通じる教訓を一つ学びました。
今回もオランダに一週間居ますので、その間に何とか演奏会にいきたいと願い、日程に合う演奏会を探しました。お目当てのRCOの演奏会も、Jan Willem de Vriend指揮で、Rosetti - Symfonie in g、J.S. バッハ - Concerto in d, BWV 1052 、メンデルスゾーンの第一交響曲- in c, op. 11という、渋い選択のプログラムが、水・木・金でありました。金曜日の晩だったら、無理すれば行けたのですが、翌日の、Netherlands Philharmonyのチャイコフスキーのピアノ協奏曲一番と交響曲の一番というプログラムを選びました。オランダフィルとも呼ばれている楽団です。
土曜日の三時過ぎに、1時間程離れた街のホテルを出て、車でアムステルダムに向かいました。ユトレヒトからアムステルダムまで高速道路が、拡張されて5車線になっています。オランダは速度の取り締まりが厳しく、1キロでも速度超過していると、すぐ切符が送られてきます。初めて運転した頃、51キロだったから罰金払えと帰国して二ヶ月ほどしてから、国際郵便が送られてきました。最初はオランダ語だけだったので、何のことだか解らず、放って置いたら一月後に延滞金がついて、また督促が来たのです。オランダの友人に事情を話したら、1キロオーバーでも違反は違反という、姿勢には驚きましたが、いっぽうで感心したのです。
この拡張された5車線を皆、粛々と走っています。追い越し側の二車線は誰も走っていません。これはスピードカメラがどこかにあるのだろうと、その車群の中に入りました。すると制限速度の100キロピッタリなのです。さすがはオランダと感心しました。しかし、翌日同じ道を戻る私に、地元の人が、あの区間は気をつけろと言います。それはあの区間を走る車は、すべてカメラに撮られ、その区間を走った平均速度を割り出され、それが100キロをオーバーしていると、切符が来るそうです。一網打尽ですね。カメラの前だけではなく、ある区間の平均速度なのです。
むかし、豊橋に東名にキセル防止の検札所がありました。東京からノンストップで走ってきたとき、そこの係員が、平均速度で、100キロを少しオーバーしているから、気をつけて下さいと、言われたことがあります。なるほど、高速に入ったときと出たときで計られたら、言い逃れが出来ないと、感心したことを思い出しました。カメラと認識ソフトの発展が、このようなスピード取り締まりに使われていると管理社会の恐怖を実感しました。
オランダは、ルールに厳しい国です。アムステルダムでの、ドラッグや同性愛が強調されていますが、市内を少し離れると、そこは田園地帯で、保守的な国なのです。とても、きれいで、清潔な国です。その為のルールは厳しく、お隣のベルギーとは全く印象が違います。
コンセルトヘボウの前の公園の下の駐車場に入れると土曜日なのでほぼ満車の状態でした。上に上がってくると美しい芝生の向こうに、改装がおわった国立美術館が見えました。2003年から改装工事に掛かっていました。途中工事の中断もあり、長い間その勇姿を見せてくれなかったのです。早速、見に行きました。
外装もきれいで徹底した改装が行われた様です。エントランスは、全く前とは違っています。中庭を使って大きな入り口になっていますが、その中庭に入るのが、わざと狭くしてありました。
チケットを買うとき、閉館まで一時間切っていますが、それでも良いですかと聞かれました。中の展示物は、改装中も何回か訪れていますから、今日は美術館そのものを見に来たようなものです。係員のお兄ちゃんは、最初に二階の方から見ると良いですよ、といってくれました。早速、にかいまで上がりましたが、階高が高いので、一回分上がるには、四回折り返さなければ上がれません。工場みたいですね。窓のガラスも昔ながらの製法で作られた板ガラスで、外の景色が少し歪んで見えます。
正面にある有名なレンブラントの夜警の前は人混みでで見られません。しかし、急ぎ足で回っていると、あちらこちらに有名な絵がちりばめられて飾られています。私の好きな預言師エレミアの絵が、何気なく展示されていました。周りには誰もいなく、絵の前40センチまで近寄れます。
上の二枚の写真は、そうして近寄って実際に撮った写真です。額縁も入れておきました。下はマクロが効いている範囲ですから、30センチ以内に近寄っています。以前来たときも、間近で見られて感動しましたが、今回は、しばしの間、独占して見ていました。もの凄い細部のディテール表現です。
小一時間でしたが、一応館内はすべて回ってみました。仮設の時から比べたら、比べものにならない広さの館内に、本物の絵がちりばめられているのです。レンブラントでもフェルメールでも、ごく間近に見れるのが、素晴らしいですね。出来れば、観光客の少ない冬の平日に来て、名画を独占したいですね。
入館するときは、燦々と輝いていた太陽が、ビルの影に隠れると、一気に寒くなりました。時間がまだあるので、ゆっくりと、コンセルヘボウに向かって戻りました。ゴッホ美術館の前も、閉館で出て来た人々で、溢れていました。コンセルトヘボウ横のレコード屋さんは、今日は閉まっていました。最新のRCOライブを買おうかと思っていたので、少しガッカリです。コンセルトヘボウの前まで戻ると、明日のダニール・トリフォノフ君の可愛い写真が飾られていました。
まだ、開演まで二時間以上あります。少し歩けば、まあまあのレストランもあるのですが、今日は、コンセルトヘボウの中に有る、簡易食堂で、少し腹ごしらえをしました。といっても、暖かいものは、今日の定食しかありませんでした。チキンとチャーハンみたいなライスです。味は学食並みです。最初から、あきらめていますから、腹も立ちません。だんだん人は増えてきましたが、ガラスの中は風邪引いている人が多く、表で待っていました。日が落ちると急激に温度が下がってきます。開演は八時ですが、実際の開演は15分頃です。会場も七時半過ぎで、日が落ちると急激に寒くなる表で待っていたので、始まる頃には身体が冷え切っていました。
ようやく入れた会場の中は温かく、また狭い廊下は、人で溢れかえります。その人たちを見ていると、RCOの演奏会の時と、聴衆の感じが随分異なります。一言で言うと若くて、女性が多いのです。ロイヤルコンセルトヘボウの場合は、あたかもN響の定期会員見たく、平均年齢が高く、男性会員が多いのです。今回のネーデルランドフィルは、あたかも池袋の芸術劇場での労音や民音主催の演奏会見たくて、おばさんたちや若いカップルが多く見受けられます。
何回かこの会場に来ているのですが、いつもは一階席後方が多いのです。例外が、前回の最前列と、その前の、ステージ後方のP席で聴いた、ベルギー国立の演奏会でした。ステージ後方から横の席でしたが、音は立体的に展開して低域が非常に豊かに聴けました。今回は二階席を取ってみました。
二階席からは、ホール全体が見渡せます。二階の横は三列、正面も4列しかありません。全体の響きを考慮しているのでしょう。
開演間近になると一気に人が増え、それと同時にオーケストラの面々も少しずつ入場してきます。前の列に人が並ぶと、ステージは、その人の間から覗くような感じになります。ピアニストと指揮者が例の階段を下りてきて、演奏が始まりました。ピアノ協奏曲冒頭のファンファーレが、少し腰砕けだったのに、ビックリ。ピアノもただがんがん弾いているだけ。おやおや、このオーケストラは、大分レベルが低いです。音は流石にコンセルトヘボウのホールでの音ですが、演奏が行けません。RCOは、世界一ですが、このオーケストラは、大分落ちます。在京のオーケストラより、低いレヴェルですね。それでも、演奏がようやく終わると、聴衆は全員スタンディングオーベーションで、RCOとの観客のレベルのさも感じました。
寒くなったし、まだ時差ボケもあるし、つまらない演奏を聴いていて、寝てしまうと、周りが迷惑すると思い、前半だけで、外に出ました。一気に車の流れが少なくなった、土曜日の夜の道を、またゆっくりと、もどってきました。今回は久しぶりに不発でした。あの会場では、RCOの他にも、バーミンガム、フィルハーモニア、ボーンマス、ベルギー国立と聞いてきましたが、今回が一番レベルが低かったです。なかなか、すべては上手く行かないものです。音が良いだけでは、聴けないとオーディオにも通じる教訓を一つ学びました。
by TANNOY-GRF
| 2013-10-11 14:29
| 旅の空
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