2008年 05月 06日
アナログ三昧の連休-1 iさん邸 |
連休の後半の初日は、Iさんのお宅に招かれて、アナログレコードを聴いてきました。いつもながら外れる天気予報に翻弄されながら訪れたIさんの美しいお宅の庭は、午後から差してきた五月の日差しに新緑も輝いていました。緩やかな傾斜地に立てられたお宅のお庭は緑に囲まれた研究施設に繋がり静かな環境を保っています。
この部屋を訪れるたびに感じるのは、氏の専門分野でもあります絵画への深い造詣と、それにもまして長年に渡り愛されてきた音楽への愛情です。数十年もの間収集されてきたレコードの数にも圧倒されますが、それにもまして常に注ぎ込まれてきた音楽への思いが氏のお宅の装置からは奏でられてきます。日頃は寡黙な氏が一旦好きな音楽の事を語りはじめたとき、その広い音楽的教養と西洋美術も含めた膨大な知識に皆さん圧倒されることでしょう。
氏の愛用のスピーカーは、昔親交の有った瀬川冬樹さんが愛用されていたタンノイレッドモニターが入ったレキュタンギュラーGRFです。日本にきて四十数年経っています。先日すり切れていたクロスをオリジナルのものに張り替えて綺麗になりました。英国で家具の修行をされてきた方に現在レコード棚を制作して貰っているそうです。その折りにオリジナルのニスでGRFも塗装されると嬉しそうに語っていただきました。
氏のお宅は、長年収集されてきたレコードで占領されていると言っても過言ではありません。ご専門の絵画関係の書や貴重な展示会の解説書は、近くのマンションに専門の書庫を兼ねた別宅に収納されているそうですが、本宅の収納棚はどこもレコードが溢れています。ご結婚されてお家をでられたお子さんたちの部屋も、その例外ではありません。想い出やその頃の時代が詰まった数十年前の国産のレコードも沢山収納されています。
今と違ってその頃はレコードが本当に効果でした。お蕎麦が35円の時代の1800円から2000円です。銀座や神田の輸入レコードは3000円以上していました。物価の差は15倍以上有ります現在の価格に換算すると、一枚三万円から四万円もしていたことになります。それらのレコードは後年全て輸入盤で買い直していても、大変な時代に少しづつ溜めていった想い出のレコードは大変貴重です。成長されたお子さんのお部屋に置かれていたのが印象的でした。iさんのお好きな音楽の分野は古典派とそれ以前ですが、今日は私の好きなロマン派のオーケストラ曲を二階のレコード棚から下ろして用意していただいていました。
実は、新装修理されているのはスピーカーばかりではなく、今日の訪問理由のレコードプレーヤーを見に来たのです。氏は長年トーレンスの125をご愛用されていました。その機械が限界に来たとき、たまたま私の家に遊びに来られたときトーレンスが二台有ったのです。その頃は、一台をステレオ、一台をモノラル専門で使っていました。ただ、回転がなかなか安定しなくて、はたまたモーターのうなりもハムやゴロとなり楽音を損ねていました。友人に紹介されたWEB上にメンテナンスの方法を公開されている方にも来てみていただいたり、部品を持っておられるお店にも出してはみたのですが、余り芳しい結果が得られず、現在のアルミ製のプレーヤーの導入に踏み切りました。そこへiさんがお見えになり、愛用のプレーヤーの替わりにと一台持っていかれたのです。それを前述のお店に再度修理依頼をされて、キャビネットも普通の形状のものに交換して使用されていました。それなりに回転は安定していたのですが、どうしてもモーターのハムが消えません。時々回転もおかしくなったりしていました。しかし、その時代を反映している素晴らしいフォルムと音は捨てがたいものが有ります。
先日、iさんから、嬉しい電話が入りました。何やらTD-124を専門に修理されているところがあるとのこと。費用は掛かるが、おかしい部品は全て交換して、モーターは解体して掃除の後組み立ててランニングする、軸受けのオーバーホール等、全てをやって貰ったとのこと。修理を担当した方からの文字通り歯に衣を着せぬ報告書が来たそうです。ひどい機械でしたので報告書もひどかったのでしょう。後で見せていただき氏の懐の深さに感心いたしました。そして、私にすぐにオーバーホールするように薦めていただきました。
私自身、ハムで悩まされてきましたし、何よりも現役で使えないのを悲しんでいましたので、それほどまで変わるのならとすぐに送ってみました。ドイツに行っている間に修理から戻ってきました。すぐに繋いでみたのですが、確かに機械は見違えるように綺麗になっていましたが、肝心のハムはそれほど直ってはいなかったのです。私自身は矢張りそんなものだろうと思いました。時代を超越して現代のプレーヤー並みのS/N比が得られないなのだろうと、、、。
連休前半の29日の深夜携帯が鳴っていました。その時はもう寝ていましたから、失礼して、翌朝早速iさんにご連絡すると、昨日は、SさんとAさんがおそろいで別件でiさんの家に行って居られたようです。案件が済んで、最後に当日くだんのオーバーホールしたお店から届いたばかりの124用の専用キャビネットを交換したところ、とんでもなく音質がよくなったとのこと。Sさんにお訊きすると、大変な変わり様だと!Aさんからはメールが入り、「劇的でした。専用キャビネットで解き離れたように活き活きと音楽を奏ではじめました。参りました!」と有ります。
SEIBOさんからもメールが入りました。「先ほどiさんから電話がありまして、例の124のリペアーのところからオリジナルのケースを購入したそうです。最近は次から次へと精力的に活動なさっているのには頭が下がります!ところがケースをこれにしてみたら、これがびっくり、iさんの言葉ではにわかに信じがたいほど、まさに目からうろこほど、音が激変したそうです!プレヤーケースでこれほど音が変わるとは想像もしていなかったそうです。もちろん良いほうへの激変です。でもたかがケースですからね!アナログは本当に奥が深いですね。」
これでは、聴きに来ない訳にはいきません。
続きます、、、。
この部屋を訪れるたびに感じるのは、氏の専門分野でもあります絵画への深い造詣と、それにもまして長年に渡り愛されてきた音楽への愛情です。数十年もの間収集されてきたレコードの数にも圧倒されますが、それにもまして常に注ぎ込まれてきた音楽への思いが氏のお宅の装置からは奏でられてきます。日頃は寡黙な氏が一旦好きな音楽の事を語りはじめたとき、その広い音楽的教養と西洋美術も含めた膨大な知識に皆さん圧倒されることでしょう。
氏のお宅は、長年収集されてきたレコードで占領されていると言っても過言ではありません。ご専門の絵画関係の書や貴重な展示会の解説書は、近くのマンションに専門の書庫を兼ねた別宅に収納されているそうですが、本宅の収納棚はどこもレコードが溢れています。ご結婚されてお家をでられたお子さんたちの部屋も、その例外ではありません。想い出やその頃の時代が詰まった数十年前の国産のレコードも沢山収納されています。
今と違ってその頃はレコードが本当に効果でした。お蕎麦が35円の時代の1800円から2000円です。銀座や神田の輸入レコードは3000円以上していました。物価の差は15倍以上有ります現在の価格に換算すると、一枚三万円から四万円もしていたことになります。それらのレコードは後年全て輸入盤で買い直していても、大変な時代に少しづつ溜めていった想い出のレコードは大変貴重です。成長されたお子さんのお部屋に置かれていたのが印象的でした。iさんのお好きな音楽の分野は古典派とそれ以前ですが、今日は私の好きなロマン派のオーケストラ曲を二階のレコード棚から下ろして用意していただいていました。
実は、新装修理されているのはスピーカーばかりではなく、今日の訪問理由のレコードプレーヤーを見に来たのです。氏は長年トーレンスの125をご愛用されていました。その機械が限界に来たとき、たまたま私の家に遊びに来られたときトーレンスが二台有ったのです。その頃は、一台をステレオ、一台をモノラル専門で使っていました。ただ、回転がなかなか安定しなくて、はたまたモーターのうなりもハムやゴロとなり楽音を損ねていました。友人に紹介されたWEB上にメンテナンスの方法を公開されている方にも来てみていただいたり、部品を持っておられるお店にも出してはみたのですが、余り芳しい結果が得られず、現在のアルミ製のプレーヤーの導入に踏み切りました。そこへiさんがお見えになり、愛用のプレーヤーの替わりにと一台持っていかれたのです。それを前述のお店に再度修理依頼をされて、キャビネットも普通の形状のものに交換して使用されていました。それなりに回転は安定していたのですが、どうしてもモーターのハムが消えません。時々回転もおかしくなったりしていました。しかし、その時代を反映している素晴らしいフォルムと音は捨てがたいものが有ります。
私自身、ハムで悩まされてきましたし、何よりも現役で使えないのを悲しんでいましたので、それほどまで変わるのならとすぐに送ってみました。ドイツに行っている間に修理から戻ってきました。すぐに繋いでみたのですが、確かに機械は見違えるように綺麗になっていましたが、肝心のハムはそれほど直ってはいなかったのです。私自身は矢張りそんなものだろうと思いました。時代を超越して現代のプレーヤー並みのS/N比が得られないなのだろうと、、、。
連休前半の29日の深夜携帯が鳴っていました。その時はもう寝ていましたから、失礼して、翌朝早速iさんにご連絡すると、昨日は、SさんとAさんがおそろいで別件でiさんの家に行って居られたようです。案件が済んで、最後に当日くだんのオーバーホールしたお店から届いたばかりの124用の専用キャビネットを交換したところ、とんでもなく音質がよくなったとのこと。Sさんにお訊きすると、大変な変わり様だと!Aさんからはメールが入り、「劇的でした。専用キャビネットで解き離れたように活き活きと音楽を奏ではじめました。参りました!」と有ります。
SEIBOさんからもメールが入りました。「先ほどiさんから電話がありまして、例の124のリペアーのところからオリジナルのケースを購入したそうです。最近は次から次へと精力的に活動なさっているのには頭が下がります!ところがケースをこれにしてみたら、これがびっくり、iさんの言葉ではにわかに信じがたいほど、まさに目からうろこほど、音が激変したそうです!プレヤーケースでこれほど音が変わるとは想像もしていなかったそうです。もちろん良いほうへの激変です。でもたかがケースですからね!アナログは本当に奥が深いですね。」
これでは、聴きに来ない訳にはいきません。
続きます、、、。
by TANNOY-GRF
| 2008-05-06 17:07
| 行ったり来たり
|
Comments(3)
Commented
by
GRF-124使用者
at 2008-05-06 22:01
x
アームコードに長短2本のアースが付いている場合、短いほうは124に直接つなぐのですが、これを外すとハムが消えるかもしれません。こちらのアースは音質にも影響しています。試してみてください。
Commented
by
tannoy-grf at 2008-05-06 22:07
ありがとうございます。SMEなどは二本ついていますね。アースがループになっている場合が有るのでしょう。私はもとから繋いでいませんでした。まだ最終的な結論が出ていませんが、原因はどうやら根源的なところに有ったようです。
ご無沙汰しておりまして、ITSUNIREです。アナログ三昧の記、楽しく拝読させて頂きました。オーディオをこよなく愛する”年季”を感じます、、、
何かに打ち込む”熱”というものは、人に伝播していくような感もしました。
何かに打ち込む”熱”というものは、人に伝播していくような感もしました。