2010年 06月 17日
充実した土曜日 2 |
お蕎麦屋さんから戻ってきた後は、T4でNagra-IVの4トラックテープを聴いていただきました。38/2トラとは違った意味で、Nagraは端正で正確な音を出しています。入力の質が変わる度に音が変る高忠実なT4を気に入っていただきました。HDDに一旦収録されて、CDの回転サーボ系の影響を無くした44.1KHz/16Bitの音は、いわゆるCDの音はしません。器としては充分な大きさです。それをいくらアップサンプリングしても、音色の変化はありますが、音の質が高くなったわけではないのです。CDに入っている音を正確に出す事が大事ですね。
いよいよGRFの番です。自分でGRFを聴く時はほとんどアナログレコード用で使っていますが、今回はT4で使用した入力系、HD-1改からSD05(50W+クロックアップ)とSD05の100Wタイプの両方を聴いていただきました。ハードディスクに入れたCDでは、100Wタイプでは、表情が荒くなるとのご指摘がありました。マッキンのMC-275で聴いている様な感じで、MC-240みたいな密度のある柔らかさが無くなるとのご感想でした。その通りですね。
しかし、アナログレコードを聴く場合はその印象は逆転します。レコードの密度には100w版の方が合っているからです。またその音に面白さが加わるのです。聞いていて楽しい音になります。常用のプレーヤーは、SMEのシリーズVにBenzMicroのEBONYが標準です。Thorens124でOrtofonのSPU-AEも聴いていただきましたが、ベンツマイクロの方が合っていますね。
(O)さんのGRFはオリジナルでレッドとシルバーでお持ちですのです。ショパンのピアノ協奏曲が流れている間、GRFのキャビネットを近くでつぶさにご覧になりました。怖い時間でした(汗;;)。TEAC時代の前でオリジナルネットも使用されているので、どうやら合格点をいただきました。GRFは構造が複雑で、強度は強くなるのですが、オートグラフは難しい様です。
いずれにしても、SD05で鳴らされるGRFは、一般のタンノイの音とは違い正確に鳴っているそうです。UNICORNもT4もGRFでさえ、鳴らしている人のイメージで鳴らされている限り、同じ傾向の音がして当然です。クロストークの起こらないステレオのイメージは、SD05特有の音ですが、アナログアンプでも再現は勿論可能なわけですから。今までと違うのは、より高い次元で結果的には低コストで再現できたと言う事です。
最後に、(O)さんのリクエストで先ほど部屋の外に出したQUAD ESL57を繋いで聴いてみました。一旦電源を切ると30分位調子が上がるのにかかるのですが、(O)さんは承知されていますので、立ち上がりの音の変化も含めて聴いていただきました。GRFの後ですから、低域や音の迫力には負けるのですが、だんだん音に深みが出てきて、ESL57の際立った特徴である弦楽器群の香りが浮き上がる様な音が出てきてきました。(O)さんは、このQUADにしても、GRFにしても、世間に知られている音、良き時代のヴィンテージサウンドではなく、まるで昨日生まれた様な新しい音がしていて、そこが面白いと言われました。
その理由の一つは、NFBの無いアンプにあると思っています。その他のアンプと繋ぐとまるで違う音になるからです。モニターゴールドもESLも40年以上前のSPです。それが、古い革袋に新しい酒を注いでいるのかもしれません。聖書のいう様な「新しい酒を新しい袋に入れるものだ」はT4やUNICORNでのサウンドですが、シェリー酒で使った樽に新しいウイスキーを入れて熟成する様な喜びも、GRFやQuadにはあります。もっとも同じ酒を入れているのですから、味が似通ってくるのは仕方がないようですが。
話も大変盛り上がってきたところへ、(O)さんも旧知なテープレコーダー修理の名人Kさんが、修理を依頼していたNAGRAのT-Audioを持ってきてくれました。T-Audioはこの頃世界的に品薄になってきたのと、番号によっては20年以上経っているものもあり、本格的な修理をしなければなりません。定期的なベアリングの交換や走行系のメインテナンス、ヘッドの磨きやアジマス調整を正しく行なわないと真価が発揮できません。今回の機械は初期の製品で相当の部品交換が必要でした。しかし、出来上がってきた機械はとても調子がよく、走行音も今までの中では一番小さく感じられるほどに仕上がってきました。
早速、QUADでマスターテープを聴いてみました。その音を聴きながら、(O)さんがぽつりとおっしゃられました。GRFさんの音には際立って特徴があるのだけど、それが何なのか今朝から考えていましたが、いまNagraを聴いて思い当たりました。このNagraの様な音なのですと。StuderでもTelefunkennでもない、もっと新しい精緻な音がしているとご指摘いただきました。いわれてみて自分でも納得しました。CDプレーヤーもアナログプレーヤーも同じ傾向を目指していたのですね。その意味で、ANALOGサウンドの終着点であるNagra のT-Audioが導入されて、同時にデジタルのワンビットを実験しているのも、自らうなずける事です。両方とも従来からのデジタル/アナログの枠を超えているからです。
名残惜しいのですが、楽しい一日の終わりが迫ってきました。最後は、(O)さんご愛用のTelefunken M-15Aを運び込んで聴いてみました。Nagraでは大きい方のT-Audioより倍以上大きく、重さも二人でなければとても動かせません。しばらくお借りして音の差を楽しんでみたいと思っています。そのセッティングを終えて、(O)さんは颯爽とTelefunken を運ばれてきた軽自動車のワゴンで静岡に戻られました。公園の向こう側を去って行く後ろ姿を見送ると、午前中(O)さんが座られていたベンチには、夕方の涼しい風が吹いていました。今日は空気も乾き本当に良いオーディオ日和だったと、忘られない日を振り返りました。音楽人(O)さんありがとうございました。
いよいよGRFの番です。自分でGRFを聴く時はほとんどアナログレコード用で使っていますが、今回はT4で使用した入力系、HD-1改からSD05(50W+クロックアップ)とSD05の100Wタイプの両方を聴いていただきました。ハードディスクに入れたCDでは、100Wタイプでは、表情が荒くなるとのご指摘がありました。マッキンのMC-275で聴いている様な感じで、MC-240みたいな密度のある柔らかさが無くなるとのご感想でした。その通りですね。
しかし、アナログレコードを聴く場合はその印象は逆転します。レコードの密度には100w版の方が合っているからです。またその音に面白さが加わるのです。聞いていて楽しい音になります。常用のプレーヤーは、SMEのシリーズVにBenzMicroのEBONYが標準です。Thorens124でOrtofonのSPU-AEも聴いていただきましたが、ベンツマイクロの方が合っていますね。
(O)さんのGRFはオリジナルでレッドとシルバーでお持ちですのです。ショパンのピアノ協奏曲が流れている間、GRFのキャビネットを近くでつぶさにご覧になりました。怖い時間でした(汗;;)。TEAC時代の前でオリジナルネットも使用されているので、どうやら合格点をいただきました。GRFは構造が複雑で、強度は強くなるのですが、オートグラフは難しい様です。
いずれにしても、SD05で鳴らされるGRFは、一般のタンノイの音とは違い正確に鳴っているそうです。UNICORNもT4もGRFでさえ、鳴らしている人のイメージで鳴らされている限り、同じ傾向の音がして当然です。クロストークの起こらないステレオのイメージは、SD05特有の音ですが、アナログアンプでも再現は勿論可能なわけですから。今までと違うのは、より高い次元で結果的には低コストで再現できたと言う事です。
最後に、(O)さんのリクエストで先ほど部屋の外に出したQUAD ESL57を繋いで聴いてみました。一旦電源を切ると30分位調子が上がるのにかかるのですが、(O)さんは承知されていますので、立ち上がりの音の変化も含めて聴いていただきました。GRFの後ですから、低域や音の迫力には負けるのですが、だんだん音に深みが出てきて、ESL57の際立った特徴である弦楽器群の香りが浮き上がる様な音が出てきてきました。(O)さんは、このQUADにしても、GRFにしても、世間に知られている音、良き時代のヴィンテージサウンドではなく、まるで昨日生まれた様な新しい音がしていて、そこが面白いと言われました。
その理由の一つは、NFBの無いアンプにあると思っています。その他のアンプと繋ぐとまるで違う音になるからです。モニターゴールドもESLも40年以上前のSPです。それが、古い革袋に新しい酒を注いでいるのかもしれません。聖書のいう様な「新しい酒を新しい袋に入れるものだ」はT4やUNICORNでのサウンドですが、シェリー酒で使った樽に新しいウイスキーを入れて熟成する様な喜びも、GRFやQuadにはあります。もっとも同じ酒を入れているのですから、味が似通ってくるのは仕方がないようですが。
話も大変盛り上がってきたところへ、(O)さんも旧知なテープレコーダー修理の名人Kさんが、修理を依頼していたNAGRAのT-Audioを持ってきてくれました。T-Audioはこの頃世界的に品薄になってきたのと、番号によっては20年以上経っているものもあり、本格的な修理をしなければなりません。定期的なベアリングの交換や走行系のメインテナンス、ヘッドの磨きやアジマス調整を正しく行なわないと真価が発揮できません。今回の機械は初期の製品で相当の部品交換が必要でした。しかし、出来上がってきた機械はとても調子がよく、走行音も今までの中では一番小さく感じられるほどに仕上がってきました。
早速、QUADでマスターテープを聴いてみました。その音を聴きながら、(O)さんがぽつりとおっしゃられました。GRFさんの音には際立って特徴があるのだけど、それが何なのか今朝から考えていましたが、いまNagraを聴いて思い当たりました。このNagraの様な音なのですと。StuderでもTelefunkennでもない、もっと新しい精緻な音がしているとご指摘いただきました。いわれてみて自分でも納得しました。CDプレーヤーもアナログプレーヤーも同じ傾向を目指していたのですね。その意味で、ANALOGサウンドの終着点であるNagra のT-Audioが導入されて、同時にデジタルのワンビットを実験しているのも、自らうなずける事です。両方とも従来からのデジタル/アナログの枠を超えているからです。
名残惜しいのですが、楽しい一日の終わりが迫ってきました。最後は、(O)さんご愛用のTelefunken M-15Aを運び込んで聴いてみました。Nagraでは大きい方のT-Audioより倍以上大きく、重さも二人でなければとても動かせません。しばらくお借りして音の差を楽しんでみたいと思っています。そのセッティングを終えて、(O)さんは颯爽とTelefunken を運ばれてきた軽自動車のワゴンで静岡に戻られました。公園の向こう側を去って行く後ろ姿を見送ると、午前中(O)さんが座られていたベンチには、夕方の涼しい風が吹いていました。今日は空気も乾き本当に良いオーディオ日和だったと、忘られない日を振り返りました。音楽人(O)さんありがとうございました。
by TANNOY-GRF
| 2010-06-17 07:52
| 行ったり来たり
|
Comments(5)
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(Y)
at 2010-06-21 11:03
x
もう最近は惜しげも無くお部屋の様子を公開されていますね(笑)。
そしてGRFの部屋ウオッチャーとしても、
ここ一年の機器の充実ぶりには目を見張ります。
T-Audioもフルセットで組まれたものがメンテから戻り
とうとう運び込まれたご様子で、神々しくさえ見えます。
それにしてもOさんからのTelefunken M-15Aは大きそうですね。
10号リールをセットしても、まだ周囲に余裕のあるサイズは圧巻です。また機会を設けて伺いたいと思います。
そしてGRFの部屋ウオッチャーとしても、
ここ一年の機器の充実ぶりには目を見張ります。
T-Audioもフルセットで組まれたものがメンテから戻り
とうとう運び込まれたご様子で、神々しくさえ見えます。
それにしてもOさんからのTelefunken M-15Aは大きそうですね。
10号リールをセットしても、まだ周囲に余裕のあるサイズは圧巻です。また機会を設けて伺いたいと思います。
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TANNOY-GRF at 2010-06-21 13:29
(Y)さん、成り行き上仕方が無いですね(笑)でも少し自制します。
Telefunken M-15Aは本当に大きいです。重さも半端ではありません。だんだん、Vintageに囲まれて行きます。
ところで、(Y)さんは元々時差があるご生活をされている様ですが、深夜活動は後から来ますので、ご自愛くださいね(爆)
Telefunken M-15Aは本当に大きいです。重さも半端ではありません。だんだん、Vintageに囲まれて行きます。
ところで、(Y)さんは元々時差があるご生活をされている様ですが、深夜活動は後から来ますので、ご自愛くださいね(爆)
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(Y)
at 2010-06-22 00:43
x
GRF様、ご忠告有り難うございます(笑)。世の中行きがかりというものがありまして、なかなか思うようにはなりません(笑)。
さて、けっきょくテープもvintageですね。とても分る気がします。
トコトンまでいくと、原点を知りたくなりますし、中途半端な所で妥協もしたくありません。そしておつきあいも凄く広がりましたね。素晴らしいことです。過去を経緯として実践を積み重ねられた方々のご苦労を思うと、素晴らしい時代になったと思う反面、何とつまらない時代になったものかと思わずにいられません。
録音媒体としてはテープの前にSPですから、GRFさんがSPに腰を据えられたらどうなるか、ちょっと怖い気もしますが、必然のような気もします。唐突な話ですが(笑)。
さて、けっきょくテープもvintageですね。とても分る気がします。
トコトンまでいくと、原点を知りたくなりますし、中途半端な所で妥協もしたくありません。そしておつきあいも凄く広がりましたね。素晴らしいことです。過去を経緯として実践を積み重ねられた方々のご苦労を思うと、素晴らしい時代になったと思う反面、何とつまらない時代になったものかと思わずにいられません。
録音媒体としてはテープの前にSPですから、GRFさんがSPに腰を据えられたらどうなるか、ちょっと怖い気もしますが、必然のような気もします。唐突な話ですが(笑)。
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TANNOY-GRF at 2010-06-22 13:56
>録音媒体としてはテープの前にSPですから、
これは、テープ録音が普及する前ですから、戦前の演奏になります。
私がSPに腰を据える事は無い様に思えます、、、。ご安心ください。
これは、テープ録音が普及する前ですから、戦前の演奏になります。
私がSPに腰を据える事は無い様に思えます、、、。ご安心ください。
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(Y)
at 2010-06-22 22:25
x
>これは、テープ録音が普及する前ですから、戦前の演奏になります。
>私がSPに腰を据える事は無い様に思えます、、、。ご安心ください。
それは良かった(笑)。でももしかして、いつの日にかGRFの間にクレデンザが…などと妄想してしまいました(爆)。
>私がSPに腰を据える事は無い様に思えます、、、。ご安心ください。
それは良かった(笑)。でももしかして、いつの日にかGRFの間にクレデンザが…などと妄想してしまいました(爆)。