2011年 01月 07日
このお正月休みは |
三日の日にYさんのお宅にお邪魔した晩は、近所にお住まいのOさんと、真空管アンプを肴に赤ワインを頂きました。楽しい話題だとお酒も進み、二本目のボトルが空いてからは、とっておきのウイスキーに移りました。ウイスキーを美味しくする方法だとか、美味しい飲み方とかで、酒飲み同士の話題は尽きません。現在、アンプ作りをされているOさんお話は、回路からカップリングコンデンサーの音色、超低域の始末、真空管の話題等、どんどんお酒が進んでしまいます。おかげで、翌日の午前中は、幾分か二日酔いでした(笑)。
今年のお正月の休みは、4日まででした。その最終日の夜には、私の家から300mしか離れていない、一番近いオーディオ仲間のAZさんが、新年会の帰りに寄られました。しばらく、彼の家の音を聴いていなかったので、お邪魔して聴かせていただきました。この半年ほどは、機器の入れ替えや改造もなく、もっぱら、熟成に時間を掛けてきたとのこと。さっそく、聴かせていただき、文字通り熟成されて芳醇なヴィンテージワインのようになった音に驚きました。
SPの調整で一番大切な微調整の仕方を、いろいろな機会に実際にやりながらお伝えしているのですが、実際に会得できているのは、彼を含めて二、三人だけのようです。音のイメージが大事ですね。左右の音の軸が揃っていないと、お互いに音を打ち消し合って、かすかな音が消えてしまいます。ピントが合ってくると、音が中央にピンポイントで合うのではなく、音が立体的に聞こえてくるのです。双眼鏡の中で物体が立体的に見えるのと同じです。ステレオはいかに正確に再現するかで、音の質が劇的に変わるのです。大体、合っているのでは、合っていないのと同意語です。
タンノイのような古いSPの調整など、適当でも良いと思われている方もおられるようですが、タンノイのようなSPだからこそ、音の軸を合わせないといけないのです。ESLでも同じですね。すこしオーバーに表現すれば、左右の位置が、あの薄い膜、0.03mm分違っていても音の差は聞こえます。SPの前、30センチぐらいのところでどちらかのSPに触るだけでも音が変わるのには、愕然としますね。実際には、離れて聴きますから、そこまで合わせなくとも良いのですが、クローズアップしても合っている、ピントと大体合っているピントでは、出来上がりが全く違うのは写真と同じです。
AZさんのGRFは、モニターシルバーのオリジナルです。イギリス駐在の時に知り合った、マニアから譲ってもらった幸運の持ち主ですね。AZさんのお宅は、めずらしく右側のほうが密度が高い音がします。シルバーの時代は、ステレオ出現前のものですから、基本的にモノラル用の一品生産です。一台一台、微妙に材質や大きさも異なります。このレベルになるとその差も、厳密に調整をしなければなりません。音の軸だけではなく、低い弦のピアニシモの表現等も変わってくるからです。そこで、酔っ払う前に、もう少し左右の音を合わせてみようと言うことになり、今回は左側のSPを調整してみました。調整と行ってもほとんど合っているので、ほんのすこし、1mmほど軸を内側にしただけです。すると幾分音は左に広がります。開口をすこし左に向けて開けた感じです。二人で聴いてみると、すこし、開きすぎたと同じ見解なので、0.5mmほど戻してみました。今度は良いようです。ボーカルだけではなく、オーケストラや、チェンバロの響きも低い方の実在感が増しました。AZさんは、バッハ以前の音楽の有数なレコードコレクターでもあります。
お使いのCDPはLinnのCD-12です。それに、ウェスタンのリピーティングコイルを入れて、音を調整しています。彼のところでは、このコイルは効きます。プリアンプはウェスタンアンプの修復の第一人者Yさんの手が入っている、ほとんど中身はウェスターンの部品を使っているマランツ7です。普通のマランツ7の持つ、S/Nやクロストークの問題が有りません。入力のクリッピングもリピーティングコイルで吸収しているので、とても端正で濃密な音がします。
アナログプレーヤーは、ROKSANのXERXESで、アームは私と同じSMEのシリーズVを使っています。カートリッジは外国での評価の高いZYX (ジクス)のトップモデル R-1000 Airy 3-X 。AZさんはCDもアナログ系も入力も最高ですね。このXERXESもCD-12も特注の磁気フローティングの台に乗っています。レコードのほうもインサイドフォースキャンセラーを少しだけ増して、針圧は反対に少しだけ軽くしました。最初はレオンハルトのバッハを聴いていたのですが、音の調整も終わり、二本目のワインを開ける頃には、Scott Rossのスカルラッティに没頭し始めました。
調整方法にはウサギの毛だとか、羊のフェルトだとかいろいろあるのですが、どのように音楽を聴きたいのか、鳴らしたいのかの目標がないと調整できませんね。AZさんの装置では、アナログもCDも同じように音楽がなっています。この一年は、音の熟成に力を入れてこられました。以前とは、音楽の密度が違います。オートグラフの音作りの目標だったコヴェントガーデンのオペラハウスに顔パスで入っていたAZさんだからこそ出来る、ご自分の音作りがようやく完成しつつあります。気持ちよく酔ってきた我々の会話は、究極、装置に依存するだけの音でなく、どのように鳴らすかだと言うことで意見が一致しました。
明日からは、また、仕事に戻らなくてはなりません。深夜、新月で真っ暗で寒々とした道を戻ってくるときも、心はだいぶ暖かくなっていました。
今年のお正月の休みは、4日まででした。その最終日の夜には、私の家から300mしか離れていない、一番近いオーディオ仲間のAZさんが、新年会の帰りに寄られました。しばらく、彼の家の音を聴いていなかったので、お邪魔して聴かせていただきました。この半年ほどは、機器の入れ替えや改造もなく、もっぱら、熟成に時間を掛けてきたとのこと。さっそく、聴かせていただき、文字通り熟成されて芳醇なヴィンテージワインのようになった音に驚きました。
SPの調整で一番大切な微調整の仕方を、いろいろな機会に実際にやりながらお伝えしているのですが、実際に会得できているのは、彼を含めて二、三人だけのようです。音のイメージが大事ですね。左右の音の軸が揃っていないと、お互いに音を打ち消し合って、かすかな音が消えてしまいます。ピントが合ってくると、音が中央にピンポイントで合うのではなく、音が立体的に聞こえてくるのです。双眼鏡の中で物体が立体的に見えるのと同じです。ステレオはいかに正確に再現するかで、音の質が劇的に変わるのです。大体、合っているのでは、合っていないのと同意語です。
タンノイのような古いSPの調整など、適当でも良いと思われている方もおられるようですが、タンノイのようなSPだからこそ、音の軸を合わせないといけないのです。ESLでも同じですね。すこしオーバーに表現すれば、左右の位置が、あの薄い膜、0.03mm分違っていても音の差は聞こえます。SPの前、30センチぐらいのところでどちらかのSPに触るだけでも音が変わるのには、愕然としますね。実際には、離れて聴きますから、そこまで合わせなくとも良いのですが、クローズアップしても合っている、ピントと大体合っているピントでは、出来上がりが全く違うのは写真と同じです。
AZさんのGRFは、モニターシルバーのオリジナルです。イギリス駐在の時に知り合った、マニアから譲ってもらった幸運の持ち主ですね。AZさんのお宅は、めずらしく右側のほうが密度が高い音がします。シルバーの時代は、ステレオ出現前のものですから、基本的にモノラル用の一品生産です。一台一台、微妙に材質や大きさも異なります。このレベルになるとその差も、厳密に調整をしなければなりません。音の軸だけではなく、低い弦のピアニシモの表現等も変わってくるからです。そこで、酔っ払う前に、もう少し左右の音を合わせてみようと言うことになり、今回は左側のSPを調整してみました。調整と行ってもほとんど合っているので、ほんのすこし、1mmほど軸を内側にしただけです。すると幾分音は左に広がります。開口をすこし左に向けて開けた感じです。二人で聴いてみると、すこし、開きすぎたと同じ見解なので、0.5mmほど戻してみました。今度は良いようです。ボーカルだけではなく、オーケストラや、チェンバロの響きも低い方の実在感が増しました。AZさんは、バッハ以前の音楽の有数なレコードコレクターでもあります。
お使いのCDPはLinnのCD-12です。それに、ウェスタンのリピーティングコイルを入れて、音を調整しています。彼のところでは、このコイルは効きます。プリアンプはウェスタンアンプの修復の第一人者Yさんの手が入っている、ほとんど中身はウェスターンの部品を使っているマランツ7です。普通のマランツ7の持つ、S/Nやクロストークの問題が有りません。入力のクリッピングもリピーティングコイルで吸収しているので、とても端正で濃密な音がします。
アナログプレーヤーは、ROKSANのXERXESで、アームは私と同じSMEのシリーズVを使っています。カートリッジは外国での評価の高いZYX (ジクス)のトップモデル R-1000 Airy 3-X 。AZさんはCDもアナログ系も入力も最高ですね。このXERXESもCD-12も特注の磁気フローティングの台に乗っています。レコードのほうもインサイドフォースキャンセラーを少しだけ増して、針圧は反対に少しだけ軽くしました。最初はレオンハルトのバッハを聴いていたのですが、音の調整も終わり、二本目のワインを開ける頃には、Scott Rossのスカルラッティに没頭し始めました。
調整方法にはウサギの毛だとか、羊のフェルトだとかいろいろあるのですが、どのように音楽を聴きたいのか、鳴らしたいのかの目標がないと調整できませんね。AZさんの装置では、アナログもCDも同じように音楽がなっています。この一年は、音の熟成に力を入れてこられました。以前とは、音楽の密度が違います。オートグラフの音作りの目標だったコヴェントガーデンのオペラハウスに顔パスで入っていたAZさんだからこそ出来る、ご自分の音作りがようやく完成しつつあります。気持ちよく酔ってきた我々の会話は、究極、装置に依存するだけの音でなく、どのように鳴らすかだと言うことで意見が一致しました。
明日からは、また、仕事に戻らなくてはなりません。深夜、新月で真っ暗で寒々とした道を戻ってくるときも、心はだいぶ暖かくなっていました。
by TANNOY-GRF
| 2011-01-07 21:59
| オーディオ雑感
|
Comments(3)
Commented
by
リウー
at 2011-01-09 15:22
x
0.03mmですか。
厳しいですね。やはり、日々の積み重ねでしょうか。
耳の精度も影響しそうですね。うーん、難しい。
厳しいですね。やはり、日々の積み重ねでしょうか。
耳の精度も影響しそうですね。うーん、難しい。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2011-01-09 16:22
0.03mmを調整しなければいけないのではなく、膜一枚分違っても音は分かると言うことですね。現実的は、0.3mmぐらいの調整が限度でしょう(笑)。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2011-01-09 18:17
ツィーターの締め付け調節をするとき、1mmピッチのネジを締めていくと、角度が10度も違うと音ははっきりとズレてきます。位置調整をしっかりと詰めていくと、音はどんどん一体化します。