2011年 01月 15日
アナログレコード |
中学生の頃から聴いていますから、もう、アナログレコードとつきあって50年近く経ちます。その頃はベームやクレンペラーが毎月のように新譜を出す時代でしたので、買いたいレコードはいくらでもあったのですが、レコードはとても高かったので、学生ではなかなか買えませんでした。本格的にレコードを集め出したのは、やはり仕事をしてからになります。
30代でクレンペラーに目覚めてから、その頃出始めた、ドイツ盤のエレクトローラを一生懸命集めました。クレンペラーの音は国産の赤い盤で聴いていましたが、余りの音の違いに驚き、ドイツ盤に廉価版が出てきたので、それを買い進めていたのです。
秋葉原、お茶の水、銀座、代々木にたくさんあったレコード屋さんに通ったのもその頃です。週末が来るのが楽しかったですね。レコードの価格自体は60年代と余り変わらなかったのですが、物価が変わって相対的には何分の一にも下がっていたからです。また、大手の電気屋さんがレコードを販売するようになって、価格も下がりはじめました。毎週のように秋葉原通いをしていました。少し厚手のビニールに入ったレコードを10枚単位で買ったりしたのを思い出します。
ひと月に10枚レコードを買ったとします。一年間で120枚ですね。30年間レコードを集めていたとすると、3600枚にもなるわけです。仮に一枚2,000円だとすると720万円にもなります。購入したときにはそれだけ支払った国産レコードは、CDの時代になると二束三文になりました。中古レコード屋さんでは一枚100円〜200円で買えるのです。売ると10円〜30円でした。Book Off 現象です。30円だったら、720万円が10万円の価値しか無くなるわけです。なんだか、切なくなりませんか?学生の時代に一生懸命読んだ名書が店頭で50円で山の中に埋もれて売られているのと同じです。インターネットでも中古屋さんの店頭でも、国産盤のクラシックは100円均一ですね。送料の方が高く付きます。
(年末にお話した、ヨッフムのブルックナー全集の初期盤が来ました。写真ではきれいだったのですが、箱はボロボロで、木工用ボンドで周辺を補強しました。塗ったときは白い色ですが、乾くと透明で補強されます。下の二版との厚さの差を見てください。実際にはこれほどの差はありませんが、見ているだけで気持ちが良いですね。でもケースに入りきらず、レコードの上に寝ています。)
クレンペラーのレコードがドイツ盤で揃った頃、西新宿の地下に初期盤の専門店ができました。地下室だったと思いますが、行ってみて驚きました。ボロボロの中古(太古というべきか)のレコードが、普通のレコードの三倍から十倍ぐらいの価格で売られていたからです。いわく、現在売られているレコードは、みな再発物で音が余りにも違うと言うことでした。俄には信じられないことでした。同じ型からプレスして作っているのに、音が違うとはどういうことでしょう。最初は、信じられなくてしばらく静観していました。そのうち代々木にも初期盤の専門店が出来、そこの店長さんは話し好きで初期盤の話を聞くと、カッティングそのものが違うと言うことでした。、
オリジナル盤の凄さを知ったのは、偶然、安売りの箱の中に入っていた、ぼろぼろのセルとフルニエのドヴォルザークのチェロ協奏曲でした。余りの音の違いに愕然とした私たちは、いままで買い進んできたドイツ盤を止めて、原産国の初期盤に変えたのです。すなわち、ドイツグラモフォンはドイツ盤、オランダフィッリプスは、オランダ盤、英国の録音はイギリス盤という風にです。ただし、アメリカ盤は、Columbia以外はヨーロッパ盤(イギリスプレス)の方が良いと言うことで、レコード会社の集中する、イギリス盤が収集の中心になっていきました。
80年代の後半になると、仕事の関係でイギリスに頻繁に出かけるようになり、最終日の夜の便の出発まではロンドンの中古レコード屋さん巡りをよくしました。店頭の箱には、見向きもしなくなったDECCAのモノラル盤、LXTやAce of Club盤などが、50円で並んでいました。1980年代のはじめにはサッチャーの時代でポンドは500円以上していましたが、80年代後半になると300円を切り始めたのです。店頭で30〜50ペンスで売られていたそれらのレコードは100円〜150円ぐらいの感じでしょうか?あるときは50枚以上も買って、持ち帰るのに重い思いをしたことを覚えています。
そのあと、90年代の初めには、ポンドが150円近くにも暴落しました。レコードの価格は上がったのですが、それでも初期盤を相当数、その時期に集中して買い求めたのを思い出します。インターネットの前で、毎月送られてくるリストを見て、ヨーロッパにも普及しはじめたFAXでリストを送っていました。郵便の時代からファックスに変わる頃で、いち早く手に入れられたことも思い出します。毎月世界中から送られてきたレコードリストのファイルを今見ると、昔日の感を強くします。
その頃、毎週のように神田やお茶の水のレコード屋通いをしていた友人に外国との通信販売の仕方を教えて直接取るようになりました。同じ仕入れルートから取るのですから、マージン分は安く買えていたことになります。友人はその後も、海外からとり続け、今では日本でも有数なコレクターの一人になっています。
アナログレコードの収集は、キリがありません。何万枚も集めて、家中がレコードであふれかえった例も知っています。隣の家を購入して、すべてレコード棚になっているお宅もあります。どこかで、自分に制限をもうけなくては、ミッキーマウスの出てくる、魔法使いの弟子のポンプの水のように、そこら中に溢れ出します。私は、クレンペラー、クリュイタンス、セル、モントーに絞りました。
今週も、ヨーロッパからセルのレコードが一緒に来ました。ハイドンとモーツアルトのSAX盤です。セルのSAX盤収集も残り少なくなってくると、上がれるかどうかが、微妙になってきます。リーチ掛けても、王牌の中に埋もれたままということもあり得ます。ますます難しくなってくるのも、楽しみの一つですね。
30代でクレンペラーに目覚めてから、その頃出始めた、ドイツ盤のエレクトローラを一生懸命集めました。クレンペラーの音は国産の赤い盤で聴いていましたが、余りの音の違いに驚き、ドイツ盤に廉価版が出てきたので、それを買い進めていたのです。
秋葉原、お茶の水、銀座、代々木にたくさんあったレコード屋さんに通ったのもその頃です。週末が来るのが楽しかったですね。レコードの価格自体は60年代と余り変わらなかったのですが、物価が変わって相対的には何分の一にも下がっていたからです。また、大手の電気屋さんがレコードを販売するようになって、価格も下がりはじめました。毎週のように秋葉原通いをしていました。少し厚手のビニールに入ったレコードを10枚単位で買ったりしたのを思い出します。
ひと月に10枚レコードを買ったとします。一年間で120枚ですね。30年間レコードを集めていたとすると、3600枚にもなるわけです。仮に一枚2,000円だとすると720万円にもなります。購入したときにはそれだけ支払った国産レコードは、CDの時代になると二束三文になりました。中古レコード屋さんでは一枚100円〜200円で買えるのです。売ると10円〜30円でした。Book Off 現象です。30円だったら、720万円が10万円の価値しか無くなるわけです。なんだか、切なくなりませんか?学生の時代に一生懸命読んだ名書が店頭で50円で山の中に埋もれて売られているのと同じです。インターネットでも中古屋さんの店頭でも、国産盤のクラシックは100円均一ですね。送料の方が高く付きます。
クレンペラーのレコードがドイツ盤で揃った頃、西新宿の地下に初期盤の専門店ができました。地下室だったと思いますが、行ってみて驚きました。ボロボロの中古(太古というべきか)のレコードが、普通のレコードの三倍から十倍ぐらいの価格で売られていたからです。いわく、現在売られているレコードは、みな再発物で音が余りにも違うと言うことでした。俄には信じられないことでした。同じ型からプレスして作っているのに、音が違うとはどういうことでしょう。最初は、信じられなくてしばらく静観していました。そのうち代々木にも初期盤の専門店が出来、そこの店長さんは話し好きで初期盤の話を聞くと、カッティングそのものが違うと言うことでした。、
オリジナル盤の凄さを知ったのは、偶然、安売りの箱の中に入っていた、ぼろぼろのセルとフルニエのドヴォルザークのチェロ協奏曲でした。余りの音の違いに愕然とした私たちは、いままで買い進んできたドイツ盤を止めて、原産国の初期盤に変えたのです。すなわち、ドイツグラモフォンはドイツ盤、オランダフィッリプスは、オランダ盤、英国の録音はイギリス盤という風にです。ただし、アメリカ盤は、Columbia以外はヨーロッパ盤(イギリスプレス)の方が良いと言うことで、レコード会社の集中する、イギリス盤が収集の中心になっていきました。
80年代の後半になると、仕事の関係でイギリスに頻繁に出かけるようになり、最終日の夜の便の出発まではロンドンの中古レコード屋さん巡りをよくしました。店頭の箱には、見向きもしなくなったDECCAのモノラル盤、LXTやAce of Club盤などが、50円で並んでいました。1980年代のはじめにはサッチャーの時代でポンドは500円以上していましたが、80年代後半になると300円を切り始めたのです。店頭で30〜50ペンスで売られていたそれらのレコードは100円〜150円ぐらいの感じでしょうか?あるときは50枚以上も買って、持ち帰るのに重い思いをしたことを覚えています。
そのあと、90年代の初めには、ポンドが150円近くにも暴落しました。レコードの価格は上がったのですが、それでも初期盤を相当数、その時期に集中して買い求めたのを思い出します。インターネットの前で、毎月送られてくるリストを見て、ヨーロッパにも普及しはじめたFAXでリストを送っていました。郵便の時代からファックスに変わる頃で、いち早く手に入れられたことも思い出します。毎月世界中から送られてきたレコードリストのファイルを今見ると、昔日の感を強くします。
その頃、毎週のように神田やお茶の水のレコード屋通いをしていた友人に外国との通信販売の仕方を教えて直接取るようになりました。同じ仕入れルートから取るのですから、マージン分は安く買えていたことになります。友人はその後も、海外からとり続け、今では日本でも有数なコレクターの一人になっています。
アナログレコードの収集は、キリがありません。何万枚も集めて、家中がレコードであふれかえった例も知っています。隣の家を購入して、すべてレコード棚になっているお宅もあります。どこかで、自分に制限をもうけなくては、ミッキーマウスの出てくる、魔法使いの弟子のポンプの水のように、そこら中に溢れ出します。私は、クレンペラー、クリュイタンス、セル、モントーに絞りました。
今週も、ヨーロッパからセルのレコードが一緒に来ました。ハイドンとモーツアルトのSAX盤です。セルのSAX盤収集も残り少なくなってくると、上がれるかどうかが、微妙になってきます。リーチ掛けても、王牌の中に埋もれたままということもあり得ます。ますます難しくなってくるのも、楽しみの一つですね。
by TANNOY-GRF
| 2011-01-15 23:35
| 好きなレコード
|
Comments(5)
ジョージ・セルの英SAX盤は何枚か持っています。ブラームス/交響曲第3番とマーラー/交響曲第4番は良く聴きます。
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TANNOY-GRF at 2011-01-16 20:29
ishiiさんも、セルのSAXを集めておられるのですか。私は、30年掛かって、ようやく、今少しのところまで来ました。でも、これからがますます大変です。
セルのSAXは欲しいのですが、高すぎて。カラヤンのSAXを何枚か、といっても5、6枚ですが、集めました。
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chocotarou
at 2011-01-19 01:54
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GRFさんはたぶん私よりすこし年長だと思いますがあまりにレコード収集の履歴が似ているので(私は少しの期間お休みがありスケールも大きくありませんが)共感してしまいました。いつも楽しく読ませていただいています。
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TANNOY-GRF at 2011-01-20 01:59
chocotarouさん、コメントありがとうございます。皆さん同じようなところを集めておられますから、値段も上がるのですね(苦笑)あとは、音の良さで、ASDのプレヴィンとPHILIPSのハイティンクを集めています。こちらは比較的安価ですね(笑)。