2011年 11月 03日
Nat King Cole の音 |
「どの人の心であろうとも、すぐに琴線がかき鳴らされるようなサウンドに出会うこともあります。私の場合は、Nat King Cole の2トラックテープの音ですね。私の家で聴かれた方は、皆さん大きくうなずいてくれると思います。それぐらいインパクトのある声がするのです。音が綺麗に聞こえるのではなく、音楽がダイレクトで心に鳴り響くとでもいうのでしょうか?まったく音の深さが違います。」
Nat King Coleのアルバムで一番よく聴くのは、やはり、"Love is the Thing"です。Nat King Cole についてはもう何度も書きましたが、ステレオが家に来て最初に購入したのが、ナットキングコールのベストアルバムだったのです。戸を開けて聴いていると、生け垣越しに表まで音は届き、道行く人に「お宅は何時も言い音楽が鳴っているわね」といわれて、自慢げだったことも思い出しました。
そのベストアルバムに入っていたのが、Gordon Jenkinsのアレンジの曲が多かったのです。アルバムの曲調は、ストリングスが主体でした。そのアルバムを何回か聴く内に、ナットキングコールの、心にしみ込むような独特の歌声も身体に染み付いていったのでしょう。その綺麗な発音は、今でも英語を話すときに役立っているぐらいです。
そのオムニバスのベストアルバムの元になっているのが、1950年の大ヒット曲、"Mona Lisa" と "Too Young"でした。両方ともLes Baxterの演奏ですが、編曲はNelson Riddleでした。Les Baxter自身の編曲では、"Nature Boy"が有ります。それらの曲は、みなこのベストアルバムに入っていたのです。
4トラックテープを5.6MHzのワンビットファイルに変換している内に、同じ曲を、メディア別に収録して順番にききくらべをしてみようとの不埒な考えが浮かびました。早速、"Love is the thing"のアルバムを使って聞きくらべです。このアルバムは、2トラックミュージックテープ、4トラックミュージックテープ、オリジナルレコード、CD、オリジナルテープからリマスターしたSACDと、ある人の秘蔵のマスターテープからコピーした38/2トラテープがあります。
このマスターテープは、全てをコピーすると商品になるので、曲の一部しか入っていませんが、聞きくらべするには充分です。我が家で、このテープを聴かれた方は、どのくらいのインパクトがあるかご存じです。装置の違いなど、軽く吹き飛ばすほどの差があります。言い換えれば、不完全なソーズを元に、あれこれ右往左往しているのが、オーディオ遊びだともいえるのですが、、、。
聞き比べました。大別すると二種類ですね。オーケストラの低弦を聞き比べると、すぐ分かるのですが、新しい盤は、すっきりとしていて、音が整理されている感じです。それは、はやくも4トラックテープから、その傾向が見られます。音の定位自身は、CDとSACD、そして当たり前ですが、マスターテープが揃っています。2トラミュージックテープは、イコライザーの所為なのか、幾分高域がきつい音で、ヴォーカルが右に寄っています。
今回、マスターテープから起こしたといわれる、SACDから2.8MHzでファイルを起こして聞きくらべをしてみました。このSACDは、従来のどのソースより、しっかりした音が入っていますね。特に中央定位の素晴らしさには感心しました。音の深さ、色気で、そして低域の厚さは、マスターテープのダブにはかないませんが、それを知らなければ、いう事はありません。2.8MHzでリッピングしたファイルを、5.6MHzに変換すると微妙に音が変わります。2.8と5.6の構造上の問題かも知れません。
追伸
このSACDには、ステレオとモノラルの両方の音源が入っています。同じテークだと思うのですが、バックの演奏がまったく違って聞こえます。例えば、冒頭の"When I Falling in Love"の前奏部分をモノラルで聞くと、チェロの旋律が聞こえます。ステレオではオーケストラの中に埋没している旋律です。その旋律がとても魅力的に聞こえるのです。モノでは解りやすくミキシングしているのですね。この録音は1957年です。ステレオの実験期だと言えましょう。AM放送の全盛期です。各旋律を解りやすく収録するのは、当たり前だったのですね。その頃出ていた、25センチのLPはこのトラックを収録しています。音が違うのは当たり前だと今更のように感心しました。
Nat King Coleのアルバムで一番よく聴くのは、やはり、"Love is the Thing"です。Nat King Cole についてはもう何度も書きましたが、ステレオが家に来て最初に購入したのが、ナットキングコールのベストアルバムだったのです。戸を開けて聴いていると、生け垣越しに表まで音は届き、道行く人に「お宅は何時も言い音楽が鳴っているわね」といわれて、自慢げだったことも思い出しました。
そのオムニバスのベストアルバムの元になっているのが、1950年の大ヒット曲、"Mona Lisa" と "Too Young"でした。両方ともLes Baxterの演奏ですが、編曲はNelson Riddleでした。Les Baxter自身の編曲では、"Nature Boy"が有ります。それらの曲は、みなこのベストアルバムに入っていたのです。
4トラックテープを5.6MHzのワンビットファイルに変換している内に、同じ曲を、メディア別に収録して順番にききくらべをしてみようとの不埒な考えが浮かびました。早速、"Love is the thing"のアルバムを使って聞きくらべです。このアルバムは、2トラックミュージックテープ、4トラックミュージックテープ、オリジナルレコード、CD、オリジナルテープからリマスターしたSACDと、ある人の秘蔵のマスターテープからコピーした38/2トラテープがあります。
このマスターテープは、全てをコピーすると商品になるので、曲の一部しか入っていませんが、聞きくらべするには充分です。我が家で、このテープを聴かれた方は、どのくらいのインパクトがあるかご存じです。装置の違いなど、軽く吹き飛ばすほどの差があります。言い換えれば、不完全なソーズを元に、あれこれ右往左往しているのが、オーディオ遊びだともいえるのですが、、、。
聞き比べました。大別すると二種類ですね。オーケストラの低弦を聞き比べると、すぐ分かるのですが、新しい盤は、すっきりとしていて、音が整理されている感じです。それは、はやくも4トラックテープから、その傾向が見られます。音の定位自身は、CDとSACD、そして当たり前ですが、マスターテープが揃っています。2トラミュージックテープは、イコライザーの所為なのか、幾分高域がきつい音で、ヴォーカルが右に寄っています。
今回、マスターテープから起こしたといわれる、SACDから2.8MHzでファイルを起こして聞きくらべをしてみました。このSACDは、従来のどのソースより、しっかりした音が入っていますね。特に中央定位の素晴らしさには感心しました。音の深さ、色気で、そして低域の厚さは、マスターテープのダブにはかないませんが、それを知らなければ、いう事はありません。2.8MHzでリッピングしたファイルを、5.6MHzに変換すると微妙に音が変わります。2.8と5.6の構造上の問題かも知れません。
追伸
このSACDには、ステレオとモノラルの両方の音源が入っています。同じテークだと思うのですが、バックの演奏がまったく違って聞こえます。例えば、冒頭の"When I Falling in Love"の前奏部分をモノラルで聞くと、チェロの旋律が聞こえます。ステレオではオーケストラの中に埋没している旋律です。その旋律がとても魅力的に聞こえるのです。モノでは解りやすくミキシングしているのですね。この録音は1957年です。ステレオの実験期だと言えましょう。AM放送の全盛期です。各旋律を解りやすく収録するのは、当たり前だったのですね。その頃出ていた、25センチのLPはこのトラックを収録しています。音が違うのは当たり前だと今更のように感心しました。
by TANNOY-GRF
| 2011-11-03 20:44
| オーディオ雑感
|
Comments(14)
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O
at 2011-11-03 23:18
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お疲れ様でした。
やはりあのSACD音源はかなり良好な様ですね。
やはりあのSACD音源はかなり良好な様ですね。
Oさん、ありがとうございました。2.8MHzを、5.6MHzに変換すると微妙に音が変わります。実験してみてください。
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O
at 2011-11-04 00:03
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やってみます。感想はまたここに書き込みますね。
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(Y)
at 2011-11-04 02:17
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Love is the thing には、まだ他にEP盤が有りますよ(笑)。パート1〜3の3枚に分けられています。確かに2tr38には及びませんが、オリジナルLPよりはずっといいです。こういうのを聴くと、アナログ・ビニール盤のフォーマットによる差も大き事が分かりますね。一口にアナログと言っても、色々ある事が分かります。しかしこれはまた別のテーマにして、これからの楽しみにしたいですね。
(Y)さん、分かっていますが、、(笑)。でも、どうして3部にわかれているのでしょう。3まいでLPが完結するのでしょうね?
EP盤はいい音しそうだな〜
EP盤はいい音しそうだな〜
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(Y)
at 2011-11-04 11:56
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ハイ、EP盤3枚でちょうどLP1枚分の分量です。オートチェンジャーで連続して掛けると、LPみたいに聴けます。もちろんご存知でしょうが、当時はLPとEPのフォーマット競争があって、JazzやPopsには結構たくさんの組物のEP盤が有りますね。オリジナルLP盤よりかなり安価で、ものによっては音がイイのが多いです。
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seibo
at 2011-11-04 15:04
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なるほどネルソンリドルはここでも活躍していたのですね!まったく凄いおじさんですね!エラWITHリドルもぜひ聞いてみてください。
sacdがよい音だとのコメントですが、僕の記憶する限りGRFさんはSACDを再生できる装置をおもちでなかった?とするとSACD盤を通常のCDとして聞いての感想でしょうか?それとも新兵器でSACDを再生できる装置を導入したのでしょうか?
sacdがよい音だとのコメントですが、僕の記憶する限りGRFさんはSACDを再生できる装置をおもちでなかった?とするとSACD盤を通常のCDとして聞いての感想でしょうか?それとも新兵器でSACDを再生できる装置を導入したのでしょうか?
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(Y)
at 2011-11-04 20:02
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そう言えば、"Mona Lisa(1950)" も "Too Young(1951)"も、SP盤がオリジナルでしたね。もうどちらも60年以上前の盤なので、なかなか程度の良いのがありませんが、たまにターンテーブルに載せると秀逸なアレンジが心に沁みます。特に秋の夕暮れに"Too Young"は。
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リウー
at 2011-11-04 23:47
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うちにも、Love is the thingのCDがありました。いやー、もう恥ずかしながら、アルバムタイトルも憶えておらず、ただ、Stardustが入っているというだけで、買ったと思います。
もう、10年以上前にCMで聴いて探したものです。
久しぶりに聴きましたが、ただのCDでも凄く良い音ですね。
でも、それ以上に良い声ですね。
もう、10年以上前にCMで聴いて探したものです。
久しぶりに聴きましたが、ただのCDでも凄く良い音ですね。
でも、それ以上に良い声ですね。
CDで充分いい音がして、SACD の必要性を感じなかったので、普段は使っていません。茅野においてあるくらいですから。
>それとも新兵器でSACDを再生できる装置を導入したのでしょうか?
そうなんです、SACDをリッピングして、2.8MHzのワンビットにしていただきそれを聞いています。SACDの音と言うより、製造段階のマスターリングの差をきいているようなものですね。
>それとも新兵器でSACDを再生できる装置を導入したのでしょうか?
そうなんです、SACDをリッピングして、2.8MHzのワンビットにしていただきそれを聞いています。SACDの音と言うより、製造段階のマスターリングの差をきいているようなものですね。
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Sugar
at 2011-11-05 22:03
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PS3でのリッピングでしょうかね。
さて、久々にオーディオ・ショウを見に行きました。
凄いアンプ見つけました。BMC AudioのC1。トロイダル見て、絶句。コンデンサーの数見て絶句。音は聴いてないですが、間違いなく過ごそう。
さて、久々にオーディオ・ショウを見に行きました。
凄いアンプ見つけました。BMC AudioのC1。トロイダル見て、絶句。コンデンサーの数見て絶句。音は聴いてないですが、間違いなく過ごそう。
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seibo
at 2011-11-05 22:48
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なるほど難しくて良くわかりませんが、SACDをリッピングしているのですね!なんだか凄そう!
GRFさんはどんどん先に進んでいくのでなかなかついていけません!
ところでネルソンリドルですが大事なアルバムを忘れていました。同じくエラフィッツジェラルドでジェロームカーン集です。この中に入っているALL THE THINGS YOU AREは僕の大好きな曲です。この曲は様々な人が歌っていますがナットはどうなのでしょう?シナトラ、バーバラストライザンド、そしてウィリーネルソンまで歌っています。ロジャース&ハートといいガーシュインン兄弟といい、そしてこのジェロームカーンといい、まさに名曲の宝庫ですね。この頃のアメリカはけして良い時代ではなかったはずですが、暗い時代ほど良い曲が生まれるのだとしたら、今は良い曲がどこかで生まれているのでしょうかね?
GRFさんはどんどん先に進んでいくのでなかなかついていけません!
ところでネルソンリドルですが大事なアルバムを忘れていました。同じくエラフィッツジェラルドでジェロームカーン集です。この中に入っているALL THE THINGS YOU AREは僕の大好きな曲です。この曲は様々な人が歌っていますがナットはどうなのでしょう?シナトラ、バーバラストライザンド、そしてウィリーネルソンまで歌っています。ロジャース&ハートといいガーシュインン兄弟といい、そしてこのジェロームカーンといい、まさに名曲の宝庫ですね。この頃のアメリカはけして良い時代ではなかったはずですが、暗い時代ほど良い曲が生まれるのだとしたら、今は良い曲がどこかで生まれているのでしょうかね?
>GRFさんはどんどん先に進んでいくのでなかなかついていけません!
そんなに先には行っていませんよ(笑)SACDにはほとんど興味がなかったのですが、DSD ファイルで聴けるのなら、今回のようなマスターテープ起こしがうまくいっているアルバムを聴いていきたいですね。しかし、2.8MHzのママだと、音が幾分硬くなるようです。5.6に上げると、高域の堅さが取れますね。
そんなに先には行っていませんよ(笑)SACDにはほとんど興味がなかったのですが、DSD ファイルで聴けるのなら、今回のようなマスターテープ起こしがうまくいっているアルバムを聴いていきたいですね。しかし、2.8MHzのママだと、音が幾分硬くなるようです。5.6に上げると、高域の堅さが取れますね。
そんなわけで、他の Nat KIng Cole のアルバムも頼んでみました。また、テープやレコードと聞き比べが出来て楽しめそうです。でも、これって、いかにもお宅っぽい遊びですね(笑)。
次には、AMPEX系のテープを使い、NABのイコライザーカーブで、この5.6MHzにアップしたファイルを録再して聴いてみようと思っています。テープのヒステリシスカーブが付き、テープ特有の音に変わります。これもますます、お宅の遊びです(爆)
次には、AMPEX系のテープを使い、NABのイコライザーカーブで、この5.6MHzにアップしたファイルを録再して聴いてみようと思っています。テープのヒステリシスカーブが付き、テープ特有の音に変わります。これもますます、お宅の遊びです(爆)