2011年 12月 07日
コンサートホールの大きさ |
コンサートホールには、縦長のシューボックス型と、葡萄の段々畑の様に拡がっていく、ヴィンヤード型があります。多目的ホールではなく、コンサート用として建築されたホールの大部分は、長方形のシューボックス型が多いようです。ヴィンヤード型の典型は、ベルリンフィルハーモニーの会場ですね。私はまだ行ったことはありませんが、ライプチッヒ・ゲバントハウスのホールもヴィンヤード型の典型です。日本では、おなじみのサントリーホール、地震で改装中のミューザ川崎などがそうです。
私自身は、ヴィンヤード型がどこで聴いても音の差が少ないと言われますが、どこで聴いてもそれほどいい音がしないのではと、少し懐疑的です。特に、ベルリンフィルハーモニーとサントリーホールの音は、どうしても音が拡散して、薄くなる感じが否めません。長く聴いてきた所為もありますが、私はシューボックス型の大ホールの方が響きに厚みがあるように思います。
ただし、地方自治体が作るコンサートホールは多目的にするためか、大きさが中途半端で、フルオーケストラでは、音が飽和したり、地元の杉並のように、元々小さすぎてステージにフルオーケストラが乗らないような中途半端なホールが多いように思えます。ちなみに、杉並はフランチャイズとしてホールを作るための理由になった日本フィルも練習会場としては使っていますが、実際の演奏は、定員が少ないため採算が合わず、ほとんど演奏会場としては使っていません。
東京のホールを全部行ったわけではないので、断定は出来ないのですが、比較的容積の小さめなホールが多いように思います。容積が20,000立方メートルを超えるのは、日本中探しても、サントリーホール(21,000m3)、札幌コンサートホール(28,800m3)、ミューザ川崎シンフォニーホール(27,300m3)、みなとみらいホール(21,000m3)他数えるほどしかありません。その他にも東京芸術劇場もそうなのですが、あまりにも音がひどいので、数に入れませんでした。また、オーチャードホールでのクラシックなど、私には考えられません。
東京文化会館大ホールは17,300m3です。このホールは奥行きが大変深く、オペラの公演に適しています。昔何回も聴いたムラヴィンスキー・レニングラードの天地が割れるような大音量は、私の音楽歴の中でも空前絶後でした。あの絶対的な音量は、とうていオーディオ装置ではあり得ないとあきらめたのを今でも思い出します。それ以降もショルティ・シカゴやスヴェトラノフのソビエト国立とか、大音量のオーケストラも聴きましたが、あの時のムラヴィンスキーを凌駕する体験は味わえません。単に音量ではなく、ピアニッシモとフォルテッシモの間の音の変化、ダイナミックレンジの差が印象を際出せるのでしょう。
逆に、カラヤン、アバドの時代のベルリンフィルも、音量的には静かさを聴かせる演奏スタイルだと思います。ラトルは反対にダイナミクスを目指しているのでしょうが、ベルリンの会場では音がやはり拡散する傾向にあるようです。特に正面の席ではその印象をぬぐえません。ちなみにベルリンフィルハーモニーは26,000m3もあり、多目的ホールのNHKホールの25,200m3よりも大きいのです。そのNHKホールも、オーケストラを聴いて音量的に満足したことはありません。日本最大級の大きさを誇る札幌のきららホール(28,800m3)にはまだ行ったことがありませんが、ラトルが絶賛したそうです。
ラトルと言えば、ミューザ川崎(27,300m3)も、ドイツに持って帰りたいとも言われたそうです。そのとき、ミューザの設計者にベルリンフィルハーモニーの音響改善を依託されたそうです。私自身は、出来た頃、N響のコンサートしか聴いていませんが、この器だと、オーケストラの実力が試させられると思いました。ここで、ムラヴィンスキーが鳴ったらどの様な音だったのだろうとも思いました。
これらのヴィンヤード型の大ホールでは、トランペットやトロンボーンの指向性のある楽器を除いて、音は四方に拡散していくわけですから、どこでも聴きやすい音には鳴ります。サントリーホールでは、右側後方の席がバランスが良いと言われるのも、四方に拡散された音のバランスが合うところなのでしょう。しかし、問題は声楽の様に、指向性がある場合です。女性の声楽が弱くなるのは否めません。その点はシューボックス型に一日の長があります。歌い手がどちらを向いているかが解るほど、指向性があるのも声楽の難しさです。もっとも、コレルリやステファーノのように圧倒的な声量を持っている場合は、同じかも知れませんが。
ウィーンフィルのあの幽玄な響きは、やはりシューボックス型のホール特有の音だと思います。残響に残響が重なるような独特の響きですね。私の好きなコンセルトヘボーも、残響のきれいな、音が飽和しないホールです。特に低弦の響きがとても好きです。音が楽々と出ている感じがします。再生する側も大事なのは、音が楽々と出ている感じではないでしょうか?私が、旧いSPばかり聴いているのは、その音のすがすがしさを求めているからかも知れません。
昨年の末、「神様が舞い降りたかも」と騒いだ、"Consequence"も以前と比べて、楽々と音が出ていたのです。しかし、今のHartleyに比べると、饒舌な感じは否めません。寡黙で必要なときだけ、圧倒的な迫力で鳴る、61センチウーハーの所為なのでしょうか?SPの大きさも、鳴らし方も、そういえばホールの特徴と似ているのかも知れませんね。
私自身は、ヴィンヤード型がどこで聴いても音の差が少ないと言われますが、どこで聴いてもそれほどいい音がしないのではと、少し懐疑的です。特に、ベルリンフィルハーモニーとサントリーホールの音は、どうしても音が拡散して、薄くなる感じが否めません。長く聴いてきた所為もありますが、私はシューボックス型の大ホールの方が響きに厚みがあるように思います。
ただし、地方自治体が作るコンサートホールは多目的にするためか、大きさが中途半端で、フルオーケストラでは、音が飽和したり、地元の杉並のように、元々小さすぎてステージにフルオーケストラが乗らないような中途半端なホールが多いように思えます。ちなみに、杉並はフランチャイズとしてホールを作るための理由になった日本フィルも練習会場としては使っていますが、実際の演奏は、定員が少ないため採算が合わず、ほとんど演奏会場としては使っていません。
東京のホールを全部行ったわけではないので、断定は出来ないのですが、比較的容積の小さめなホールが多いように思います。容積が20,000立方メートルを超えるのは、日本中探しても、サントリーホール(21,000m3)、札幌コンサートホール(28,800m3)、ミューザ川崎シンフォニーホール(27,300m3)、みなとみらいホール(21,000m3)他数えるほどしかありません。その他にも東京芸術劇場もそうなのですが、あまりにも音がひどいので、数に入れませんでした。また、オーチャードホールでのクラシックなど、私には考えられません。
東京文化会館大ホールは17,300m3です。このホールは奥行きが大変深く、オペラの公演に適しています。昔何回も聴いたムラヴィンスキー・レニングラードの天地が割れるような大音量は、私の音楽歴の中でも空前絶後でした。あの絶対的な音量は、とうていオーディオ装置ではあり得ないとあきらめたのを今でも思い出します。それ以降もショルティ・シカゴやスヴェトラノフのソビエト国立とか、大音量のオーケストラも聴きましたが、あの時のムラヴィンスキーを凌駕する体験は味わえません。単に音量ではなく、ピアニッシモとフォルテッシモの間の音の変化、ダイナミックレンジの差が印象を際出せるのでしょう。
逆に、カラヤン、アバドの時代のベルリンフィルも、音量的には静かさを聴かせる演奏スタイルだと思います。ラトルは反対にダイナミクスを目指しているのでしょうが、ベルリンの会場では音がやはり拡散する傾向にあるようです。特に正面の席ではその印象をぬぐえません。ちなみにベルリンフィルハーモニーは26,000m3もあり、多目的ホールのNHKホールの25,200m3よりも大きいのです。そのNHKホールも、オーケストラを聴いて音量的に満足したことはありません。日本最大級の大きさを誇る札幌のきららホール(28,800m3)にはまだ行ったことがありませんが、ラトルが絶賛したそうです。
ラトルと言えば、ミューザ川崎(27,300m3)も、ドイツに持って帰りたいとも言われたそうです。そのとき、ミューザの設計者にベルリンフィルハーモニーの音響改善を依託されたそうです。私自身は、出来た頃、N響のコンサートしか聴いていませんが、この器だと、オーケストラの実力が試させられると思いました。ここで、ムラヴィンスキーが鳴ったらどの様な音だったのだろうとも思いました。
これらのヴィンヤード型の大ホールでは、トランペットやトロンボーンの指向性のある楽器を除いて、音は四方に拡散していくわけですから、どこでも聴きやすい音には鳴ります。サントリーホールでは、右側後方の席がバランスが良いと言われるのも、四方に拡散された音のバランスが合うところなのでしょう。しかし、問題は声楽の様に、指向性がある場合です。女性の声楽が弱くなるのは否めません。その点はシューボックス型に一日の長があります。歌い手がどちらを向いているかが解るほど、指向性があるのも声楽の難しさです。もっとも、コレルリやステファーノのように圧倒的な声量を持っている場合は、同じかも知れませんが。
ウィーンフィルのあの幽玄な響きは、やはりシューボックス型のホール特有の音だと思います。残響に残響が重なるような独特の響きですね。私の好きなコンセルトヘボーも、残響のきれいな、音が飽和しないホールです。特に低弦の響きがとても好きです。音が楽々と出ている感じがします。再生する側も大事なのは、音が楽々と出ている感じではないでしょうか?私が、旧いSPばかり聴いているのは、その音のすがすがしさを求めているからかも知れません。
昨年の末、「神様が舞い降りたかも」と騒いだ、"Consequence"も以前と比べて、楽々と音が出ていたのです。しかし、今のHartleyに比べると、饒舌な感じは否めません。寡黙で必要なときだけ、圧倒的な迫力で鳴る、61センチウーハーの所為なのでしょうか?SPの大きさも、鳴らし方も、そういえばホールの特徴と似ているのかも知れませんね。
by TANNOY-GRF
| 2011-12-07 02:26
| オーディオ雑感
|
Comments(1)
Commented
by
リウー
at 2011-12-07 21:15
x
やはり、ホールは音楽への影響が大きいのですね。
私は、サントリーホールが最初の場所なのですが、交響曲を聴く機会が減ったので、少し、響き過ぎなのかなと感じるようになりました。
直接音だけでなく、響きも聴くということを、今更ながら実感しました。
私は、サントリーホールが最初の場所なのですが、交響曲を聴く機会が減ったので、少し、響き過ぎなのかなと感じるようになりました。
直接音だけでなく、響きも聴くということを、今更ながら実感しました。