2012年 04月 01日
Avalon Eidolon のある部屋 |
横浜のMさんから、私の記事や皆さん絶賛の記事を見て、是非、Dolonさんのお宅へ連れて行って欲しいと連絡があったのは、二月の半ばでしたが、Dolonさんのお宅も千客万来で、ご指定された日は、ちょうどMさんとゴローさんのお宅へ伺う日だったりして、三月末日の昨日まで、延びていました。
もう、お彼岸を過ぎていますので、春一番とは呼べませんが、電車が止まるほどの強風の中、Mさんのマゼラッティは、静かに首都高速を走っていました。聞こえるのは、時折高まるフェラーリー特有のエンジン音だけです。首都高から京葉道路では、この車の真価を発揮できるようなところはありません。花輪インターから成田街道を少し入ったところに、Dolonさんの新居があります。風の影響もほとんど無く、時間通りに着くことが出来ました。
二階のLiving Roomに上がると、前回よりも幾分前に出されたAvalon Eidolonが、私たちを迎えてくれました。前回と違うのは、レコードプレーヤーのラックとCDプレーヤーのラックの位置が入れ替わった事でしょうか。静かな、大変居心地の良い空間で、Mさんの通りの良い声がとても良く響きます。鉄筋コンクリート造り特有の静けさで、表の暗騒音をシャットして、さしもの外の強風の音もまったく気になりません。
早速、Dolonさんお薦めの曲から聴かせていただくことにしました。最初は小編成で、モーツァルトのクラリネット協奏曲です。 若手の名手で、Martin Fröst の演奏です。オーケストラの楽器の中では幾分暗いイメージのクラリネットに、華やかにスポットライトが当たっているような若々しい、聴いている方の気持ちもウキウキさせてくれる演奏です。
続いて掛かったのは、ヨーヨーマが、エンニオ・モリコーネの曲を演奏したアルバムから、映画「ミッション」のなかから「ガブリエルのオーボエ」をチェロで演奏した曲です。Dolonさんの選曲がいいですね。明るく、柔らかな音が部屋を満たしていきます。選曲をDolonさんにお任せしたMさんも満足げなお顔をしていました。
いろいろなお宅を訪問させていただいていますが、なかなか、オーディオ装置の音では無く、音楽が流れるお宅は少ないのです。Mさんが、事前に想像してきた音と同じだと言われました。そして、そのしっかりとした音を支えているのが、このコンクリートの躯体に直接張られた木の床だと言われました。同感ですね。
オーディオは装置以前にどのような部屋で鳴らすかが、一番肝心だと思います。Mさんのお宅は、ワンルームに改装されていて、部屋のボリュームは大きいのですが、SPが置かれている空間は、Dolonさんと同じぐらいです。私の部屋もほぼ同じですね。やはり、部屋のボリュームは大事で、SPが動かす空気の量により、再生される音楽のスケールが変わります。ストレスの無い音を出すには、やはり、ある程度以上の空間ボリュームが必要なのでしょう。
ここで、最近の音の基準にしている、ハイティンク・ショスタコビッチの15番を掛けて貰いました。大変見通しの良い音で、SACD特有の高域が良く伸びた、ダイナミックレンジが広い音がします。これに、コンセルトヘボー特有のしっかりとした低弦群が出てくればいう事はありません。聞き慣れたCDで、全体のバランスが解ってきたので、Dolonさんの許可を貰って少しだけSPの位置を調整してみることにしました。
現状の音は、左側のSPが、幾分外向きなのと、右側のSPは少し控えめで、それが、全体の一体感を少し薄めているのだと思います。具体的には、左側のSPの外向きを真っ直ぐに戻します。右側との音のバランスを取るために、2センチほど後ろへ下げました。右側のSPを反対に2センチほど前にする方法もあるのですが、より流し台に近づきますので、右側SPの前方の空間を保つために、左側を下げてみました。また、右側SPの後方にラック類がありますので、後ろに下げるのも、後方のバランスが合わなくなります。
調整には、モノラルのCDを使います。今回は、TESTAMENTのエルナ・ベルガーで、合わせてみました。最初に現状の音を聴いただきました。中央に定位するべき音像が、左側にだいぶ寄っています。Mさんが10時半ぐらいにいると言われました。そこで、左側のSPを調整すると、左側後方に像を結んでいた音が、だいぶ中心に寄り、前にも来ました。それでも、まだ、板目にして一つ分ぐらい左に寄っています。そこで右側のSPの内側後方を1mmぐらい叩いて内振りにします。ほぼ中心に来ましたが、今ひとつ、外側から、今度は前方を内側に叩いてみました。これで、ほぼ、中央に来たようです。
その状態で、今一度、ショスタコビッチを掛けて貰いました。最初のチーンと言う音の位置が、全く違ってきます。そして、低弦の厚みがでて、中央部分の楽器の動きが見えてきました。ピラミッド型にオーケストラが拡がります。左右のピントが合うと、今まで、自分で打ち消していた微少なエネルギーが相殺されず、出てくるのです。この最後のコツコツが大切ですね。
最初のクラリネットを今一度掛けていただきました。先程のクラリネットだけに、強いスポットライトが当たっていたような感じが無くなり、オーケストラとのバランスが良くなりました。木管の柔らかな響きも出てきて、よりリアルな感じがします。オーケストラの抜けが良くなり、空間が大きくなるのです。ヨーヨーマはもっと、大きな差が出ました。
Mさんが、これではGRFさんの家で鳴っている音と同じだと笑われました。私も装置がこれだけ違うのに、同じような音が出てくるのには、驚きました。ショスタコビッチはもっと違ってきました。音の厚みがでて、ティンパニーの深み、トライアングルの拡がり、ホルンやトランペットの厚みが変わっています。しかし、良い音です。いろいろと苦労してきましたが、このように時間軸の合っている装置が適正な空間で鳴らされると、ここまでオーケストラが鳴るという事に満足しました。
Mさんは、Dolonさんの音は、GRFさんの様にクラシックに合わせているのではなく、POPSも鳴る楽しい音なので、Dolonさんの音が楽しいと言われました。でも、当然、その様に持ち主の好みの音には、変化してきますね。そこが面白いのです。
普遍的な音により近づくため、今一度調整させていただく事にしました。先程、Mさんが10時半と言われた音は、現在は11時55分ぐらいだったので、ぴったりと12時にしてみました。ほんの少しの差ですが、ステレオの拡がりがどうなるか、聴いていただきました。今度は、Mさんも納得の深みが出てきたようです。木管が自然に鳴り、ステージが大きくなり、音は深まった様です。MさんはさらにGRFさんの音に近づいたと、これなら、GRFさんのお宅に行く必要がないと(笑)。反面、Dolonさんの聴かれる音楽の種類から推察されると、少し、物足りないのではないかと言われました。音がすこしクールになったのでは?熱い音が好きなMさんならではのコメントです。
でも、Dolonさんも、この雄大な低音は気に入っていただいたようです。今までよりも、ダイナミックレンジが拡がったので、少しだけボリュームを上げて聴かれると、POPS系も元気になると思います。ふたたび掛けていただいたヨーヨーマは、雄大になりました。
ここで、奥様が来られて、美味しいコーヒーを頂きました。Dolonさんご夫妻は、コーラスを通じて知り合いになられたぐらい音楽好きです。コーヒーを頂きながら、Mさんの声楽デビューの話で大変盛り上がりました。
ブレーク後は、エヴァ・キャシディーの明日にかける橋を聴かせていただきました。しみじみとした良い音ですね。CD再生系のクロックの正確さがでていると、Mさんが言われました。
最後に、先日UNICORNさんにご指摘された、アナログレコードでの左側の問題点を聴かせていただきました。UNICORNさんは、左側のSPからの音離れが悪く、SPに纏わり付くというご指摘でした。CDでもその傾向があったのですが、SPの位置調整で直りましたので、アナログレコードでの問題は、やはりアームの微調整になります。
Dolonさんに、調整方法をご説明して、インサイドフォースキャンセラーをより効かせる方向で、調整していただきました。二回ほど修正したら、左側の問題ばかりではなく、右側の音の厚みも出てきて、しっかりと針が溝の中に入った音がしてきました。左右に分かれていた典型的な初期のステレオスタジオ録音特有の音も、中央部の音も埋まりました。これで、問題となったソニー・ロリンズのレコードばかりではなく、何を掛けても大丈夫でしょう。
あっと言うも間に、三時間半もたってしまいました。Mさんも大満足。帰り道の渋滞も、気にならないほど、Dolon邸の音の素晴らしさで盛り上がりました。Dolonさん、楽しかったです。今度は、Mさんの素晴らしいお宅と音を横浜に聴きに行ってください。
私の家の音は、Mさんのご指摘のように同じような音ですから、来なくてもいいですよ (爆)!?
もう、お彼岸を過ぎていますので、春一番とは呼べませんが、電車が止まるほどの強風の中、Mさんのマゼラッティは、静かに首都高速を走っていました。聞こえるのは、時折高まるフェラーリー特有のエンジン音だけです。首都高から京葉道路では、この車の真価を発揮できるようなところはありません。花輪インターから成田街道を少し入ったところに、Dolonさんの新居があります。風の影響もほとんど無く、時間通りに着くことが出来ました。
早速、Dolonさんお薦めの曲から聴かせていただくことにしました。最初は小編成で、モーツァルトのクラリネット協奏曲です。 若手の名手で、Martin Fröst の演奏です。オーケストラの楽器の中では幾分暗いイメージのクラリネットに、華やかにスポットライトが当たっているような若々しい、聴いている方の気持ちもウキウキさせてくれる演奏です。
続いて掛かったのは、ヨーヨーマが、エンニオ・モリコーネの曲を演奏したアルバムから、映画「ミッション」のなかから「ガブリエルのオーボエ」をチェロで演奏した曲です。Dolonさんの選曲がいいですね。明るく、柔らかな音が部屋を満たしていきます。選曲をDolonさんにお任せしたMさんも満足げなお顔をしていました。
いろいろなお宅を訪問させていただいていますが、なかなか、オーディオ装置の音では無く、音楽が流れるお宅は少ないのです。Mさんが、事前に想像してきた音と同じだと言われました。そして、そのしっかりとした音を支えているのが、このコンクリートの躯体に直接張られた木の床だと言われました。同感ですね。
オーディオは装置以前にどのような部屋で鳴らすかが、一番肝心だと思います。Mさんのお宅は、ワンルームに改装されていて、部屋のボリュームは大きいのですが、SPが置かれている空間は、Dolonさんと同じぐらいです。私の部屋もほぼ同じですね。やはり、部屋のボリュームは大事で、SPが動かす空気の量により、再生される音楽のスケールが変わります。ストレスの無い音を出すには、やはり、ある程度以上の空間ボリュームが必要なのでしょう。
ここで、最近の音の基準にしている、ハイティンク・ショスタコビッチの15番を掛けて貰いました。大変見通しの良い音で、SACD特有の高域が良く伸びた、ダイナミックレンジが広い音がします。これに、コンセルトヘボー特有のしっかりとした低弦群が出てくればいう事はありません。聞き慣れたCDで、全体のバランスが解ってきたので、Dolonさんの許可を貰って少しだけSPの位置を調整してみることにしました。
現状の音は、左側のSPが、幾分外向きなのと、右側のSPは少し控えめで、それが、全体の一体感を少し薄めているのだと思います。具体的には、左側のSPの外向きを真っ直ぐに戻します。右側との音のバランスを取るために、2センチほど後ろへ下げました。右側のSPを反対に2センチほど前にする方法もあるのですが、より流し台に近づきますので、右側SPの前方の空間を保つために、左側を下げてみました。また、右側SPの後方にラック類がありますので、後ろに下げるのも、後方のバランスが合わなくなります。
調整には、モノラルのCDを使います。今回は、TESTAMENTのエルナ・ベルガーで、合わせてみました。最初に現状の音を聴いただきました。中央に定位するべき音像が、左側にだいぶ寄っています。Mさんが10時半ぐらいにいると言われました。そこで、左側のSPを調整すると、左側後方に像を結んでいた音が、だいぶ中心に寄り、前にも来ました。それでも、まだ、板目にして一つ分ぐらい左に寄っています。そこで右側のSPの内側後方を1mmぐらい叩いて内振りにします。ほぼ中心に来ましたが、今ひとつ、外側から、今度は前方を内側に叩いてみました。これで、ほぼ、中央に来たようです。
その状態で、今一度、ショスタコビッチを掛けて貰いました。最初のチーンと言う音の位置が、全く違ってきます。そして、低弦の厚みがでて、中央部分の楽器の動きが見えてきました。ピラミッド型にオーケストラが拡がります。左右のピントが合うと、今まで、自分で打ち消していた微少なエネルギーが相殺されず、出てくるのです。この最後のコツコツが大切ですね。
最初のクラリネットを今一度掛けていただきました。先程のクラリネットだけに、強いスポットライトが当たっていたような感じが無くなり、オーケストラとのバランスが良くなりました。木管の柔らかな響きも出てきて、よりリアルな感じがします。オーケストラの抜けが良くなり、空間が大きくなるのです。ヨーヨーマはもっと、大きな差が出ました。
Mさんが、これではGRFさんの家で鳴っている音と同じだと笑われました。私も装置がこれだけ違うのに、同じような音が出てくるのには、驚きました。ショスタコビッチはもっと違ってきました。音の厚みがでて、ティンパニーの深み、トライアングルの拡がり、ホルンやトランペットの厚みが変わっています。しかし、良い音です。いろいろと苦労してきましたが、このように時間軸の合っている装置が適正な空間で鳴らされると、ここまでオーケストラが鳴るという事に満足しました。
Mさんは、Dolonさんの音は、GRFさんの様にクラシックに合わせているのではなく、POPSも鳴る楽しい音なので、Dolonさんの音が楽しいと言われました。でも、当然、その様に持ち主の好みの音には、変化してきますね。そこが面白いのです。
普遍的な音により近づくため、今一度調整させていただく事にしました。先程、Mさんが10時半と言われた音は、現在は11時55分ぐらいだったので、ぴったりと12時にしてみました。ほんの少しの差ですが、ステレオの拡がりがどうなるか、聴いていただきました。今度は、Mさんも納得の深みが出てきたようです。木管が自然に鳴り、ステージが大きくなり、音は深まった様です。MさんはさらにGRFさんの音に近づいたと、これなら、GRFさんのお宅に行く必要がないと(笑)。反面、Dolonさんの聴かれる音楽の種類から推察されると、少し、物足りないのではないかと言われました。音がすこしクールになったのでは?熱い音が好きなMさんならではのコメントです。
でも、Dolonさんも、この雄大な低音は気に入っていただいたようです。今までよりも、ダイナミックレンジが拡がったので、少しだけボリュームを上げて聴かれると、POPS系も元気になると思います。ふたたび掛けていただいたヨーヨーマは、雄大になりました。
ここで、奥様が来られて、美味しいコーヒーを頂きました。Dolonさんご夫妻は、コーラスを通じて知り合いになられたぐらい音楽好きです。コーヒーを頂きながら、Mさんの声楽デビューの話で大変盛り上がりました。
ブレーク後は、エヴァ・キャシディーの明日にかける橋を聴かせていただきました。しみじみとした良い音ですね。CD再生系のクロックの正確さがでていると、Mさんが言われました。
最後に、先日UNICORNさんにご指摘された、アナログレコードでの左側の問題点を聴かせていただきました。UNICORNさんは、左側のSPからの音離れが悪く、SPに纏わり付くというご指摘でした。CDでもその傾向があったのですが、SPの位置調整で直りましたので、アナログレコードでの問題は、やはりアームの微調整になります。
Dolonさんに、調整方法をご説明して、インサイドフォースキャンセラーをより効かせる方向で、調整していただきました。二回ほど修正したら、左側の問題ばかりではなく、右側の音の厚みも出てきて、しっかりと針が溝の中に入った音がしてきました。左右に分かれていた典型的な初期のステレオスタジオ録音特有の音も、中央部の音も埋まりました。これで、問題となったソニー・ロリンズのレコードばかりではなく、何を掛けても大丈夫でしょう。
あっと言うも間に、三時間半もたってしまいました。Mさんも大満足。帰り道の渋滞も、気にならないほど、Dolon邸の音の素晴らしさで盛り上がりました。Dolonさん、楽しかったです。今度は、Mさんの素晴らしいお宅と音を横浜に聴きに行ってください。
私の家の音は、Mさんのご指摘のように同じような音ですから、来なくてもいいですよ (爆)!?
by TANNOY-GRF
| 2012-04-01 12:50
| 行ったり来たり
|
Comments(4)
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横浜 M
at 2012-04-01 21:34
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Dolonさん、GRFさん有り難うございました。Dolonさんのお人柄を感じさせる屈託のないフレッシュな音です。オーディオの一つの理想とも言える陽性で楽しい音。堪能できました。これならいつまでもストレスなく音楽を楽しめそうです。またGRFさんの微調整で刻一刻と色々な表情をみせてくれた素晴らしい音楽たちも印象的でした。今度は是非横浜においでください。
Mさん お疲れ様でした。言われるようにDolonさんの素直なお人柄が、そのまま音に表れていますね。調整によって、何時も聴いているような同じ音が再現できるのが、今回の一番の収穫でした。また、その調整の方法を具体的に説明できるようになってきたのも、よかったです。
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Dolon
at 2012-04-01 22:47
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GRFさん、Mさん、昨日はご訪問ありがとうございました。引っ越して部屋が整って以来、Avalonの空間、ステージ感をより表現できるようになってきたと思うのですが、同様に感じて頂いたようで光栄でした。GRFさんの調整でさらにステージが見えてきましたので、いろいろなソフトで確認し、楽しみたいと思います。自分での調整はなかなか。。。またよろしくお願いいたします。
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TANNOY-GRF at 2012-04-01 23:04
Dolonさん Mさんと、帰りの車の中でも話してきましたが、何しろ音が明るく素直です。フレッシュな音が、とても心地よかったです。入力系もデジタル・アナログの両方が同じように掛かるのはめずらしいし、両方ともとても良かったです。
強いて言えば、あの音に、深々として柔らかな、最低音が加われば、申し分ありません。後は、ラックの置き方や材質を選べば、出てくると思われます。まだ、新築の部屋ですから、部屋の熟成が進めば、音は良くなっていると思います。
強いて言えば、あの音に、深々として柔らかな、最低音が加われば、申し分ありません。後は、ラックの置き方や材質を選べば、出てくると思われます。まだ、新築の部屋ですから、部屋の熟成が進めば、音は良くなっていると思います。