2012年 04月 27日
デュプレのチェロ・コンチェルト |
先日イギリスから購入したSACDシリーズの中に、ジャクリーヌ・デュプレのエルガーとデリウスのチェロ協奏曲がありました。エルガーがジョン・バルビローニ指揮のロンドン交響楽団、デリウスはマルコム・サージェント指揮のロンドンフィルの演奏です。いずれも、1965年デュプレ20歳の時のの録音で、エルガーがキングスウェイホール、デリウスがアービーロードスタジオです。このSACDには、元々の二枚のレコードがそのまま二枚組として収録されています。
この組み合わせのレコードは、英国EMIのASD655とASD644のレコードがオリジナルです。モノラル盤はALP2106とALP2097です。この時代は、セミサークル盤ですね。そのアルバムから、チェロ協奏曲同士を抜き出し、組み合わせたのが、ASD2764で、出たときはスタンプレーベル盤でした。これらのレコードは大ヒットアルバムで、版も多く重ねられました。
マルコム・サージェントはこの時70歳でした。デュプレとは、何回かプロムスでエルガーの協奏曲を競演しておりました。では何故、バルビローニとロンドン交響楽団になったのでしょう?一つにはオーケストラの響きです。ロンドンフィルとロンドン交響楽団ではだいぶ趣が異なりますね。そして、デュプレの成長を見守ってきたエルガーの専門家のバルビローリとの出会いが、デュプレの個性を一層引き立てたのでしょうか?
このアルバムは、レコードの初版、二版、三版、4トラックテープ、80年代の最初のCD、90年代のART盤、そして今回のリマスター盤があります。それらを、同一条件で比較するために、DSDファイルに変換してみました。各々のメディアの音の差やイコライジングの差が、はっきりと見えてきます。
この盤は、アナログレコードの時代だけでも、十数回もマスターリングが作られています。チェロ・コンチェルトのマスターの写真は載っていませんが、同じカップリングのSea Pictureのテープだけでも、この様に行われています。デリウスとのカップリングも含めると、この倍近い回数作られていたと思われます。そして、いまだに、今回のように発売され続けているわけです。
DSDの5.6MHzに収録したこれらのアルバムを、五月の最終週に那須で開かれるSD05の例会で、聴いていただこうかと思っています。参加される方は、楽しみにされていてください。マニア的には、同じマスターから作られた、 SACD盤の国内盤と英国盤の違いも聴いていただこうかと思ってもいます(笑)。
デジタルの時代になっても、マスターつくりや製盤の検証はすべてアナログで行われていますから、音の違いは当然出てきます。それらを、特性だけを頼りに作るのか、元の音源の音を知って作るのかでは、決定的な違いが出てきます。オーディオ装置の違いより、遥かに大きな問題だと思うのです。
そして、同じ音源を使っても、再生する装置の違いや、部屋の条件の違い、調整の違いでまったく違う演奏を聞いている事もあります。でもそれは、同じ演奏会場で聞いていても、その人の経験、知識、感性によっても違っているわけですから、当たり前だとも言えます。アマチュアである私達は、限りある条件内で、最大限の努力をすればいいのです。高価な装置で無ければ、良い音が聴けないのではなく、今の現状の中で、最良の選択をしていけばいいのですね。
この組み合わせのレコードは、英国EMIのASD655とASD644のレコードがオリジナルです。モノラル盤はALP2106とALP2097です。この時代は、セミサークル盤ですね。そのアルバムから、チェロ協奏曲同士を抜き出し、組み合わせたのが、ASD2764で、出たときはスタンプレーベル盤でした。これらのレコードは大ヒットアルバムで、版も多く重ねられました。
マルコム・サージェントはこの時70歳でした。デュプレとは、何回かプロムスでエルガーの協奏曲を競演しておりました。では何故、バルビローニとロンドン交響楽団になったのでしょう?一つにはオーケストラの響きです。ロンドンフィルとロンドン交響楽団ではだいぶ趣が異なりますね。そして、デュプレの成長を見守ってきたエルガーの専門家のバルビローリとの出会いが、デュプレの個性を一層引き立てたのでしょうか?
このアルバムは、レコードの初版、二版、三版、4トラックテープ、80年代の最初のCD、90年代のART盤、そして今回のリマスター盤があります。それらを、同一条件で比較するために、DSDファイルに変換してみました。各々のメディアの音の差やイコライジングの差が、はっきりと見えてきます。
この盤は、アナログレコードの時代だけでも、十数回もマスターリングが作られています。チェロ・コンチェルトのマスターの写真は載っていませんが、同じカップリングのSea Pictureのテープだけでも、この様に行われています。デリウスとのカップリングも含めると、この倍近い回数作られていたと思われます。そして、いまだに、今回のように発売され続けているわけです。
DSDの5.6MHzに収録したこれらのアルバムを、五月の最終週に那須で開かれるSD05の例会で、聴いていただこうかと思っています。参加される方は、楽しみにされていてください。マニア的には、同じマスターから作られた、 SACD盤の国内盤と英国盤の違いも聴いていただこうかと思ってもいます(笑)。
デジタルの時代になっても、マスターつくりや製盤の検証はすべてアナログで行われていますから、音の違いは当然出てきます。それらを、特性だけを頼りに作るのか、元の音源の音を知って作るのかでは、決定的な違いが出てきます。オーディオ装置の違いより、遥かに大きな問題だと思うのです。
そして、同じ音源を使っても、再生する装置の違いや、部屋の条件の違い、調整の違いでまったく違う演奏を聞いている事もあります。でもそれは、同じ演奏会場で聞いていても、その人の経験、知識、感性によっても違っているわけですから、当たり前だとも言えます。アマチュアである私達は、限りある条件内で、最大限の努力をすればいいのです。高価な装置で無ければ、良い音が聴けないのではなく、今の現状の中で、最良の選択をしていけばいいのですね。
by TANNOY-GRF
| 2012-04-27 01:47
| 好きなレコード
|
Comments(4)
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チューバホーン
at 2012-04-26 22:46
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私もこの盤は、レコードで2種類、cdはヂュ・プレのコンプリートボックスの物を持っています。
今年発売されたSACDも、輸入版が登場したので早速注文したのですが、全然届きません。品薄なのでしょうか?
オリジナル盤、テープと豪華なラインアップですね。ただ、この曲、出だしから協力な鳴き、いや泣き全開なので、冷静に聴き比べが出切る自信がありません・・・・
今年発売されたSACDも、輸入版が登場したので早速注文したのですが、全然届きません。品薄なのでしょうか?
オリジナル盤、テープと豪華なラインアップですね。ただ、この曲、出だしから協力な鳴き、いや泣き全開なので、冷静に聴き比べが出切る自信がありません・・・・
>ただ、この曲、出だしから協力な鳴き、いや泣き全開なので、冷静に聴き比べが出切る自信がありません・・・・
そうですね。そうかもしれません。やはり音質の比較は、ジャネットベーカーの方かな(笑)?
そうですね。そうかもしれません。やはり音質の比較は、ジャネットベーカーの方かな(笑)?
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by
プー博士(Dr.Pooh)
at 2012-04-27 06:59
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>高価な装置で無ければ、良い音が聴けないのではなく、
>今の現状の中で、最良の選択をしていけばいいのですね。
とても癒されるお言葉で、ほっとしました。頭に血が昇った状態を冷ましてくださり感謝いたします。毎日、友人からもらったテープを聴いております (^_^)
>今の現状の中で、最良の選択をしていけばいいのですね。
とても癒されるお言葉で、ほっとしました。頭に血が昇った状態を冷ましてくださり感謝いたします。毎日、友人からもらったテープを聴いております (^_^)
オーディオは、金庫のダイアル合わせに似ています。最初は、右でも左でも4回以上回して、4段階のダイアルをフリーの状態にします。その中から、一つの数字を合わせます。ここが一番難しいですね。ほぼ無限大の組み合わせから選ぶわけですから。
カチカチとかすかな、歯車のすりあわせに耳を澄まして集中すれば、歯車の合う感触で分かります。そして今度は反対方向に三回、また反対方向に二回、と合わせていくのです。最後の歯車が合うときには、三つの数字が合った歯車をそのままの状態で、ゆっくりと慎重に動かしていくのです。SPの微調整が、その段階ですね。それを合わせないと、鍵は開かないわけです。
入力装置を選び、アンプを選び、SPを選び、そしてその位置を選ぶ、この一連の行為が、ぴったり合うと、重いドアが開き、中の宝物に巡り会えるわけです(笑)。
カチカチとかすかな、歯車のすりあわせに耳を澄まして集中すれば、歯車の合う感触で分かります。そして今度は反対方向に三回、また反対方向に二回、と合わせていくのです。最後の歯車が合うときには、三つの数字が合った歯車をそのままの状態で、ゆっくりと慎重に動かしていくのです。SPの微調整が、その段階ですね。それを合わせないと、鍵は開かないわけです。
入力装置を選び、アンプを選び、SPを選び、そしてその位置を選ぶ、この一連の行為が、ぴったり合うと、重いドアが開き、中の宝物に巡り会えるわけです(笑)。