2014年 01月 12日
クリスチャン・ツィメルマン |
怒濤の11月の連続演奏会の勢いを駆って、12月の2日には、クリスチャン・ツィメルマンを聴きに行くはずでした。ところが腰痛のため順延になり、10月のアバド・ルツェルンに引き続いて、来日中止かと思われましたが、日程を変更して公演を続行したので、ようやく聴きに行くことが出来ました。
本来のスケジュールは、11月16日のサントリーホールから始まって、12月12日のみなとみらいまでのほぼ一ヶ月間で終わるはずでした。ツィメルマンは最近は、ヨーロッパ人にはとてもいい気候の11月に日本にきて演奏活動をするパターンが続いています。その滞在が、今回はスケジュール変更で、二ヶ月間日本に滞在することになります。こうなると、日本に住んでいるようなものですね。
12月10日(火) 福岡シンフォニーホール 1867席 S9000円
12月12日(木) 横浜みなとみらいホール 2020席 S15000円
12月19日(木) 兵庫県立芸術文化センター 11月30日(土) 2000席 S8000円
12月21日(土) 所沢市民文化センター 11月24日(日) 2002席 7000円
12月27日(金) 三原市芸術文化センター 12月6日(金) 1209席 S8000円
2014年
1月8日(水) すみだトリフォニーホール 12月4日(水) 1801席 S15000円
1月10日(金) 武蔵野市民文化会館 12月2日(月) 1354席 7000円
1月16日(木) 札幌コンサートホール Kitara 11月20日(水) 2008席 S8500円
1月20日(月) サントリーホール 11月26日(火) 2006席 S16000円
1月23日(木) フィリアホール 11月22日(金) 500席 S16000円
ツィメルマンは自分の音に大変なこだわりを持っていて、公演には、自らも調律したピアノを持ち込みます。ピアノの移動も大変ですが、ホールに持ち込んで、そのホールの音に合わせて、また調整するのだそうです。その大事なピアノを、9.11の直後NYに持ち込むとき、塗料から爆薬の匂いがすると言われて、なんと爆破処理をされたそうです。ご本人のショックと落胆はどれ程の事だったのでしょうか?加えて2005年には、またもや、税関で5日間も留め置かれ、コンサートを中止にしたそうです。それ以降、米国の公演は行わないそうです。その代わりに、日本各地を巡って貰えるのは、漁夫の利みたいですが、日本では、どこでも満員ですから、ご本人も大切にしているのだと思います。
しかし、何時も思うのですが、武蔵野と所沢での公演が、全国的に見ても一番お得です。サントリーホールですと、S席は16000円です!武蔵野は7000円ですから、如何に違うか!ちなみに、サントリーホールは2000席です。一公演で、A席の価格で計算しても2600万円です。武蔵野は950万ですね。フィリアは500席ですから、16000円しても800万の計算になります。同じ演奏を聴くのに、これだけコストパフォーマンスが違うのも、おかしなものですが・・・。
ツィメルマンのCDを聴くと何時も感じるのですが、他の人のピアノ録音と全く違う音がします。スタインウェイのピアノのイメージ通りと言うべきか、大変切れ味の鋭い音がするのです。他の演奏家では、決して聴けない音です。ミケランジェリをいっそう繊細にしたような、高域の繊細さが誰にもない音なのです。研ぎ澄まされています。この様な音を他には聴いたことはありません。ポリーニは、音が柔らかく立ち上ります。アルゲリッチはなんと言ってもその左手の豪腕ですね。ピルスもグールド並みの左手のアルペジオが特徴です。手の早い演奏家はいくらでもいます。しかし、早く、強靱で、切れ味が鋭いとなると、なかなか出て来ません。女性のピアニストとは、フィギアの例で言うと、三回転半と四回転ジャンプの差があるのです。CDでのあの音がするのかと期待しました。
さて、演奏会の印象ですが、他のピアニストとはやはり決定的に違います。コストパフォーマンスなんて考えている暇があったら、黙って聴きに行け!といいたいです(笑)。やはり持ち込んだ自分のピアノの音はまったく違いますし、曲によってその印象もまったく違う音がします。普通の会場にあるピアノの重たい感じが全くありません。隅々まで作り直されて、徹底的に研磨され、バランスが取られた、レーシングエンジンの様だと思いました。切れ味、深み、和音の響き、何一つ取ってもツィメルマンだけの音なのです。いつも聴いている、ショパンのバラードのCDと同じ音がします。ショパンのようなベートーヴェンといえば、誤解されるでしょうか?反対にショパンの曲のすべては、ベートーヴェンの中にある感じがしました。シューベルトの響きもベートーヴェンの曲の中にいることがわかります。
最初の30番、31番は、音が研ぎ澄まされていました。武蔵野市民文化会館の残響が少ない音にも影響されているのでしょう。残響が少ない分、ディテールが良くわかります。曲によっては、低域の響きが淋しく聞こえるかもしれませんね。サントリーでは、逆に残響が多くピアノは難しいですから、近くでは所沢の方がいいかもしれません。休憩を挟んだ、32番は、ピアノタッチが替わり、深くスケールが大きい音がしました。キータッチを変え、ペダルのふみ方も変化させる演奏の仕方で、これほどピアノ自身の音色が変わるのです。ピアノに対する集中度が違います。ツィメルマンに観念性を求める聴衆は、彼の音の暗さ、真剣さが行き詰まる様に聞こえるかもしれませんが、ある意味オーディオ的に虚心に音を聴いていると、見えてくる世界があります。言葉では表せない、音楽だけが表現できる世界が聞こえるのです。その意味で極めて現代的な演奏家だとも言えましょう。
武蔵野の聴衆は大変レベルが高いです。演奏が終わっても、しっかりと余韻を聴いています。聴衆にうるさいツィメルマンも満足でしょう。一回だけ、後方席で携帯の音楽がなりました。あれだけ、電話を切ってくれと言っても、切らない人がいるのは不思議です。武蔵野は、会場内でも電波を遮音していないから、電波が到達してしまうのです。それが公共の汎用ホールの問題ですね。
四月に、同じ会場でキーシンが演奏します。どう違うか、今から楽しみですね。
本来のスケジュールは、11月16日のサントリーホールから始まって、12月12日のみなとみらいまでのほぼ一ヶ月間で終わるはずでした。ツィメルマンは最近は、ヨーロッパ人にはとてもいい気候の11月に日本にきて演奏活動をするパターンが続いています。その滞在が、今回はスケジュール変更で、二ヶ月間日本に滞在することになります。こうなると、日本に住んでいるようなものですね。
12月10日(火) 福岡シンフォニーホール 1867席 S9000円
12月12日(木) 横浜みなとみらいホール 2020席 S15000円
12月19日(木) 兵庫県立芸術文化センター 11月30日(土) 2000席 S8000円
12月21日(土) 所沢市民文化センター 11月24日(日) 2002席 7000円
12月27日(金) 三原市芸術文化センター 12月6日(金) 1209席 S8000円
2014年
1月8日(水) すみだトリフォニーホール 12月4日(水) 1801席 S15000円
1月10日(金) 武蔵野市民文化会館 12月2日(月) 1354席 7000円
1月16日(木) 札幌コンサートホール Kitara 11月20日(水) 2008席 S8500円
1月20日(月) サントリーホール 11月26日(火) 2006席 S16000円
1月23日(木) フィリアホール 11月22日(金) 500席 S16000円
ツィメルマンは自分の音に大変なこだわりを持っていて、公演には、自らも調律したピアノを持ち込みます。ピアノの移動も大変ですが、ホールに持ち込んで、そのホールの音に合わせて、また調整するのだそうです。その大事なピアノを、9.11の直後NYに持ち込むとき、塗料から爆薬の匂いがすると言われて、なんと爆破処理をされたそうです。ご本人のショックと落胆はどれ程の事だったのでしょうか?加えて2005年には、またもや、税関で5日間も留め置かれ、コンサートを中止にしたそうです。それ以降、米国の公演は行わないそうです。その代わりに、日本各地を巡って貰えるのは、漁夫の利みたいですが、日本では、どこでも満員ですから、ご本人も大切にしているのだと思います。
しかし、何時も思うのですが、武蔵野と所沢での公演が、全国的に見ても一番お得です。サントリーホールですと、S席は16000円です!武蔵野は7000円ですから、如何に違うか!ちなみに、サントリーホールは2000席です。一公演で、A席の価格で計算しても2600万円です。武蔵野は950万ですね。フィリアは500席ですから、16000円しても800万の計算になります。同じ演奏を聴くのに、これだけコストパフォーマンスが違うのも、おかしなものですが・・・。
ツィメルマンのCDを聴くと何時も感じるのですが、他の人のピアノ録音と全く違う音がします。スタインウェイのピアノのイメージ通りと言うべきか、大変切れ味の鋭い音がするのです。他の演奏家では、決して聴けない音です。ミケランジェリをいっそう繊細にしたような、高域の繊細さが誰にもない音なのです。研ぎ澄まされています。この様な音を他には聴いたことはありません。ポリーニは、音が柔らかく立ち上ります。アルゲリッチはなんと言ってもその左手の豪腕ですね。ピルスもグールド並みの左手のアルペジオが特徴です。手の早い演奏家はいくらでもいます。しかし、早く、強靱で、切れ味が鋭いとなると、なかなか出て来ません。女性のピアニストとは、フィギアの例で言うと、三回転半と四回転ジャンプの差があるのです。CDでのあの音がするのかと期待しました。
さて、演奏会の印象ですが、他のピアニストとはやはり決定的に違います。コストパフォーマンスなんて考えている暇があったら、黙って聴きに行け!といいたいです(笑)。やはり持ち込んだ自分のピアノの音はまったく違いますし、曲によってその印象もまったく違う音がします。普通の会場にあるピアノの重たい感じが全くありません。隅々まで作り直されて、徹底的に研磨され、バランスが取られた、レーシングエンジンの様だと思いました。切れ味、深み、和音の響き、何一つ取ってもツィメルマンだけの音なのです。いつも聴いている、ショパンのバラードのCDと同じ音がします。ショパンのようなベートーヴェンといえば、誤解されるでしょうか?反対にショパンの曲のすべては、ベートーヴェンの中にある感じがしました。シューベルトの響きもベートーヴェンの曲の中にいることがわかります。
最初の30番、31番は、音が研ぎ澄まされていました。武蔵野市民文化会館の残響が少ない音にも影響されているのでしょう。残響が少ない分、ディテールが良くわかります。曲によっては、低域の響きが淋しく聞こえるかもしれませんね。サントリーでは、逆に残響が多くピアノは難しいですから、近くでは所沢の方がいいかもしれません。休憩を挟んだ、32番は、ピアノタッチが替わり、深くスケールが大きい音がしました。キータッチを変え、ペダルのふみ方も変化させる演奏の仕方で、これほどピアノ自身の音色が変わるのです。ピアノに対する集中度が違います。ツィメルマンに観念性を求める聴衆は、彼の音の暗さ、真剣さが行き詰まる様に聞こえるかもしれませんが、ある意味オーディオ的に虚心に音を聴いていると、見えてくる世界があります。言葉では表せない、音楽だけが表現できる世界が聞こえるのです。その意味で極めて現代的な演奏家だとも言えましょう。
武蔵野の聴衆は大変レベルが高いです。演奏が終わっても、しっかりと余韻を聴いています。聴衆にうるさいツィメルマンも満足でしょう。一回だけ、後方席で携帯の音楽がなりました。あれだけ、電話を切ってくれと言っても、切らない人がいるのは不思議です。武蔵野は、会場内でも電波を遮音していないから、電波が到達してしまうのです。それが公共の汎用ホールの問題ですね。
四月に、同じ会場でキーシンが演奏します。どう違うか、今から楽しみですね。
by TANNOY-GRF
| 2014-01-12 10:00
| 演奏会場にて
|
Comments(3)
Commented
by
横浜のvafan
at 2014-01-12 13:43
x
GRFさん、遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。
フィリアホールの公演が近くなってきました。記事を読んで
期待が膨らんでいます。フィリアホールはダントツで席が
少ないですね。仰せのとおり、余計なことは考えずに臨みたい
と思います。
フィリアホールの公演が近くなってきました。記事を読んで
期待が膨らんでいます。フィリアホールはダントツで席が
少ないですね。仰せのとおり、余計なことは考えずに臨みたい
と思います。
Commented
by
GRF
at 2014-01-14 10:19
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演奏会に行かれる前に、予習が大事です。曲に慣れることと、ツィメルマンの録音も聞き込んでいって下さい。どれほど、同じ音がするかが、装置の試金石になります。
Commented
by
GRF
at 2014-01-24 16:06
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今朝、何回目かに気がつくと、テレビからピアノの良いとが聞こえます。眠い目を開けると、それはペライアでした。シューベルトを弾いています。安いテレビのSPでもまったく違う音がするから不思議です。再放送で録画しなければ!