2014年 06月 09日
青畳の部屋のユニコーン |
GRFさん
昨日は大変ご多忙にもかかわらず長い間お時間を頂きまして本当に有難うございました。
およそ1週間前にSD05ファンクラブ例会で「達人の技」を衝撃を持って拝見し、その余韻もまだ覚めやらぬところで、今度はGRFさんのご尊宅で常用されている装置をお聴かせ頂けるとのご意向を賜り、少し緊張しながらも我がオーディオ人生で最も大きな期待を抱きつつお言葉に甘えました。
以下は、ご教授頂きましたセミナーの感想文ですが、文才に著しく欠ける私がどこまで「衝撃を超え驚愕した様」をご説明できるか甚だ不安ではありましたが、懇切丁寧にご指導いただいたことへのお礼の意味からも精一杯がんばって書いてみました。
この度お聴きかせ頂いたユニコーンは、コーン型ドライバー1本で全帯域をカバー。分割振動とピストン運動の帯域を最大限生かす工夫がなされている・・・。低音はバックロードホーン方式でスピーカーの前後に開口している、といったご説明を頂きましたが、なまじ長年オーディオをやっておりますと、真上に向いている高音の指向性や如何に?後ろの壁に反射した低音と前から出てくる低音の位相のずれは?とかシングルコーンの周波数レンジは十分か、はたまたパワーハンドリングはどうなのだろう、等々、シングルコーン故ネットワークに起因するさまざまな不都合を排除できる点以外は、周波数帯域や耐入力・そして高音域の指向性などでは不利な形態のスピーカーから、どういう音が聴こえてくるのか、まさに興味津々でした。
このスピーカーの実物を目の当たりにした時、その形状からはデフォルメされた一角獣を連想して名称の由来を思い巡らせていましたが、その構造もまたユニ・コーン(コーン1つ)と称することができることから、この2つの意味を引っ掛けたのか、との勝手な推測をめぐらせていました。
音出しをして頂いた初期の段階では、非常に滑らかではあるが「凄みを内に秘めた音」とは対極にあるような、あまり存在を主張しない音と感じました。少し鳴らし始めたところで、「ちょっと調整します」と言われて右側のスピーカーの壁からの位置をほんのわずかにずらしたとたん、那須の例会で「トントン」と合わせたときに起きた現象がここでも起こりました。
これによって音の響きが非常に豊かになり、音楽が生き生きとしてきました。クラッシックの場合、まさに目を閉じれば自分はコンサートホールにいる感覚です。そして、ジャズの場合はクラブの一等席・・・という感じです。
確かに目を開いた状態では、視覚的な情報(一般的な6畳の和室)と聴覚からの情報(コンサートホールの真っ只中)のミスマッチがあまりにも大きすぎて戸惑いますが、目を閉じれば一瞬で解決です。(只このたびは青畳の心地よい香りがあり、目を閉じてもまだ「ホールの中でなぜ畳の香が?」という戸惑いは少し残りましたが)
後半に入ってお見せ頂いた次なる技では、その効果の大きさにまたしても驚かされました。DAコンバーターの設置位置はそのままで、リラクサに乗せた状態、その次はリラクサに乗せたままラックの外に置いた状態(ここが本来の位置とご説明い頂きました)と、段階的に音の変化を体験させて頂ました。リラクサに乗せただけの状態では、音の彫が少し深くなる方向に変化したように感じましたが、若干空気感が薄れる感じがしました。
ところがその状態で外に出したとたん空気感が戻り、リラクサを使用する前でもすでに十二分にすばらしかった音がさらにもう一段かそれ以上空間描写がリアルになり、オーケストラの曲ではコンサートホールの最良の席で聴いているかのような音で音楽が奏でられます。
勿論どのようなジャンルの曲でも「理想的」といえる鳴りっぷりで、私が求めてきたオーディオの究極の姿がそこにありました。音楽の素養に欠ける私が音楽そのものを云々するのはまことに口はばったい事ですが、生演奏を聴きに足を運んでも感動で涙する演奏に出会えることはそう頻繁にはありません。オーディオの醍醐味は(そのような鈍感な私でも)歴史的な名演奏を、拙宅のような、GRFさんの音には遥かに及ばないながらも、そこそこいい音で鳴ってくれる音で聴いたときは感動で涙することはよくあります。
そして、このセミナーで体験させて頂いたことは、過去のある時に演奏された名演奏が、正に目の前で再現されていると言っても決してオーバーではないほどの臨場感です。幸運に恵まれて、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを聴いた経験がありますが、そこで鳴っていた音は正にウィーンの楽友協会大ホールの席で聞いた音そのものです。つたない表現でお恥ずかしい限りですが、6畳の和室に4次元トンネルが繋がり、視覚にとらわれず耳を澄ませば、かつての名演奏が時空を超えて聴こえてくる、と表現するしかないような錯覚に陥りました。
別の幸運で1975年に2度目の来日を果たしたムラヴィンスキーをNHKホールで聴くことができました。精緻極まりない演奏と、かすかに聞こえる弱音から巨大なNHKホール一杯に炸裂した最強音のダイナミックレンジの広さ(それだけでは語りつくせないですが)は、オーディオでは再現は絶対無理だと思ってきましたが、口径わずか十数センチ(おそらく16cm前後)のシングルコーンのスピーカーが、あのダイナミックレンジに匹敵する音を全く破綻することなく再現しました。
これは手品か?!一瞬動揺しましたが、オーディオは(おそらく)説明がつく物理現象のはずです。再度気を落ち着けて音楽に集中することに努めました。全体を通して振り返りますと、すでに1週間前の那須から始まっていたと感じますが、これはオーディオの比類ない達人による私に向けていただいた大変貴重なセミナーと受け止めています。何をどうすれば音がどのような方向にどれくらいの量で変わるか。一つ一つを丁寧に解説を加えながら実践して見せて頂きました。
さらに、それだけで終わらず数々のすばらしい演奏も堪能させていただきました。
リヒテルの伴奏で歌うシュライヤーの「冬の旅」は心に染み入りました。本当に有難うございました。頂いたレッスンを元に、拙宅で今一度イッセルシュテットの田園をかけてみたとき、サブウーハーのステラノブスが(今の設定では)余計なお世話にをしていることが分かりました。
貴重なセミナーの成果を出せるよう、オーディオに励みたいと思っております。
今後ともご指導を宜しくお願い申し上げます。
R.S 拝
Sさん 昨日は、雨の中をお越しいただきありがとうございました。忙しさにかまけて何の準備も出来ず、調整をしながら聴いていただくような状況でした。お手紙を拝見すると、それが奇しくも音調整のセミナーのように聴いていただき、恐縮しております。音を悪くする要素は沢山あるのですが、よくするには、何百回何千回の聞き比べから学び取った経験値しか無いのが、この趣味の面白いところかもしれません。しかし、結論は大変シンプルで誰にでも実践出来ることのようです。
畳換えで、一旦部屋の外に出した機器を再調整する過程の音の差を聴くのもなかなか無い機会なので、ご説明をしながら調整を進めていきました。特別な事は何も無いのですが、してはいけない事を止める、それだけであれだけ音が変わるのはむしろ面白いですね。
あの後は、横浜まで出かけて全く新しい次元のドアを開けてきました。でも、昨日、お聴き頂いたユニコーンの延長上の音です。いかにあの感じを崩さずスケールアップしていくかだと感じました。この和室の音が基本ですね。また、夏にでも今度はGRFの部屋の方にお越し下さい。部屋の機器も少しは片付けて、本来のGRFの部屋になっていると思いますので。
昨日は大変ご多忙にもかかわらず長い間お時間を頂きまして本当に有難うございました。
およそ1週間前にSD05ファンクラブ例会で「達人の技」を衝撃を持って拝見し、その余韻もまだ覚めやらぬところで、今度はGRFさんのご尊宅で常用されている装置をお聴かせ頂けるとのご意向を賜り、少し緊張しながらも我がオーディオ人生で最も大きな期待を抱きつつお言葉に甘えました。
以下は、ご教授頂きましたセミナーの感想文ですが、文才に著しく欠ける私がどこまで「衝撃を超え驚愕した様」をご説明できるか甚だ不安ではありましたが、懇切丁寧にご指導いただいたことへのお礼の意味からも精一杯がんばって書いてみました。
この度お聴きかせ頂いたユニコーンは、コーン型ドライバー1本で全帯域をカバー。分割振動とピストン運動の帯域を最大限生かす工夫がなされている・・・。低音はバックロードホーン方式でスピーカーの前後に開口している、といったご説明を頂きましたが、なまじ長年オーディオをやっておりますと、真上に向いている高音の指向性や如何に?後ろの壁に反射した低音と前から出てくる低音の位相のずれは?とかシングルコーンの周波数レンジは十分か、はたまたパワーハンドリングはどうなのだろう、等々、シングルコーン故ネットワークに起因するさまざまな不都合を排除できる点以外は、周波数帯域や耐入力・そして高音域の指向性などでは不利な形態のスピーカーから、どういう音が聴こえてくるのか、まさに興味津々でした。
このスピーカーの実物を目の当たりにした時、その形状からはデフォルメされた一角獣を連想して名称の由来を思い巡らせていましたが、その構造もまたユニ・コーン(コーン1つ)と称することができることから、この2つの意味を引っ掛けたのか、との勝手な推測をめぐらせていました。
音出しをして頂いた初期の段階では、非常に滑らかではあるが「凄みを内に秘めた音」とは対極にあるような、あまり存在を主張しない音と感じました。少し鳴らし始めたところで、「ちょっと調整します」と言われて右側のスピーカーの壁からの位置をほんのわずかにずらしたとたん、那須の例会で「トントン」と合わせたときに起きた現象がここでも起こりました。
これによって音の響きが非常に豊かになり、音楽が生き生きとしてきました。クラッシックの場合、まさに目を閉じれば自分はコンサートホールにいる感覚です。そして、ジャズの場合はクラブの一等席・・・という感じです。
確かに目を開いた状態では、視覚的な情報(一般的な6畳の和室)と聴覚からの情報(コンサートホールの真っ只中)のミスマッチがあまりにも大きすぎて戸惑いますが、目を閉じれば一瞬で解決です。(只このたびは青畳の心地よい香りがあり、目を閉じてもまだ「ホールの中でなぜ畳の香が?」という戸惑いは少し残りましたが)
後半に入ってお見せ頂いた次なる技では、その効果の大きさにまたしても驚かされました。DAコンバーターの設置位置はそのままで、リラクサに乗せた状態、その次はリラクサに乗せたままラックの外に置いた状態(ここが本来の位置とご説明い頂きました)と、段階的に音の変化を体験させて頂ました。リラクサに乗せただけの状態では、音の彫が少し深くなる方向に変化したように感じましたが、若干空気感が薄れる感じがしました。
ところがその状態で外に出したとたん空気感が戻り、リラクサを使用する前でもすでに十二分にすばらしかった音がさらにもう一段かそれ以上空間描写がリアルになり、オーケストラの曲ではコンサートホールの最良の席で聴いているかのような音で音楽が奏でられます。
勿論どのようなジャンルの曲でも「理想的」といえる鳴りっぷりで、私が求めてきたオーディオの究極の姿がそこにありました。音楽の素養に欠ける私が音楽そのものを云々するのはまことに口はばったい事ですが、生演奏を聴きに足を運んでも感動で涙する演奏に出会えることはそう頻繁にはありません。オーディオの醍醐味は(そのような鈍感な私でも)歴史的な名演奏を、拙宅のような、GRFさんの音には遥かに及ばないながらも、そこそこいい音で鳴ってくれる音で聴いたときは感動で涙することはよくあります。
そして、このセミナーで体験させて頂いたことは、過去のある時に演奏された名演奏が、正に目の前で再現されていると言っても決してオーバーではないほどの臨場感です。幸運に恵まれて、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを聴いた経験がありますが、そこで鳴っていた音は正にウィーンの楽友協会大ホールの席で聞いた音そのものです。つたない表現でお恥ずかしい限りですが、6畳の和室に4次元トンネルが繋がり、視覚にとらわれず耳を澄ませば、かつての名演奏が時空を超えて聴こえてくる、と表現するしかないような錯覚に陥りました。
別の幸運で1975年に2度目の来日を果たしたムラヴィンスキーをNHKホールで聴くことができました。精緻極まりない演奏と、かすかに聞こえる弱音から巨大なNHKホール一杯に炸裂した最強音のダイナミックレンジの広さ(それだけでは語りつくせないですが)は、オーディオでは再現は絶対無理だと思ってきましたが、口径わずか十数センチ(おそらく16cm前後)のシングルコーンのスピーカーが、あのダイナミックレンジに匹敵する音を全く破綻することなく再現しました。
これは手品か?!一瞬動揺しましたが、オーディオは(おそらく)説明がつく物理現象のはずです。再度気を落ち着けて音楽に集中することに努めました。全体を通して振り返りますと、すでに1週間前の那須から始まっていたと感じますが、これはオーディオの比類ない達人による私に向けていただいた大変貴重なセミナーと受け止めています。何をどうすれば音がどのような方向にどれくらいの量で変わるか。一つ一つを丁寧に解説を加えながら実践して見せて頂きました。
さらに、それだけで終わらず数々のすばらしい演奏も堪能させていただきました。
リヒテルの伴奏で歌うシュライヤーの「冬の旅」は心に染み入りました。本当に有難うございました。頂いたレッスンを元に、拙宅で今一度イッセルシュテットの田園をかけてみたとき、サブウーハーのステラノブスが(今の設定では)余計なお世話にをしていることが分かりました。
貴重なセミナーの成果を出せるよう、オーディオに励みたいと思っております。
今後ともご指導を宜しくお願い申し上げます。
R.S 拝
Sさん 昨日は、雨の中をお越しいただきありがとうございました。忙しさにかまけて何の準備も出来ず、調整をしながら聴いていただくような状況でした。お手紙を拝見すると、それが奇しくも音調整のセミナーのように聴いていただき、恐縮しております。音を悪くする要素は沢山あるのですが、よくするには、何百回何千回の聞き比べから学び取った経験値しか無いのが、この趣味の面白いところかもしれません。しかし、結論は大変シンプルで誰にでも実践出来ることのようです。
畳換えで、一旦部屋の外に出した機器を再調整する過程の音の差を聴くのもなかなか無い機会なので、ご説明をしながら調整を進めていきました。特別な事は何も無いのですが、してはいけない事を止める、それだけであれだけ音が変わるのはむしろ面白いですね。
あの後は、横浜まで出かけて全く新しい次元のドアを開けてきました。でも、昨日、お聴き頂いたユニコーンの延長上の音です。いかにあの感じを崩さずスケールアップしていくかだと感じました。この和室の音が基本ですね。また、夏にでも今度はGRFの部屋の方にお越し下さい。部屋の機器も少しは片付けて、本来のGRFの部屋になっていると思いますので。
by TANNOY-GRF
| 2014-06-09 17:23
| 行ったり来たり
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