2014年 12月 30日
Aionさんのご感想 |
昨日、GRFさんのお宅にお招きいただきました。昨年10月に拙宅にお越しいただき、1年以上ぶりの再会です。 同席は、夜香さん、横浜のMさん。
GRFさんのお部屋は、Blogを拝見していたので、はじめてという気がしませんでした。 24畳、天井高は3m以上とのこと。 床のがっしりした剛性感が非常に印象的でした。部屋の響きも素直で、癖を感じません。大きさはエム5さんのお宅とほぼ同様ですが、あちらの方が、若干ライブな印象です。 SPはディナウディオ/Consequence。PowerAmpはSpectral/DMA80。Preはワンオフの真空管プリとのこと。 送り出しは、EMMのセットとCD34(改)でした。
お聞かせいただいた曲は以下に。覚えている限りで、
●サンサーンス/交響曲第3番から第2楽章 マータ&ダラス交響楽団
●ショスタコーヴィチ/交響曲第15番から第1楽章 ハイティンク&RCO
●マーラー/交響曲第10番から第5楽章 ハーディング&VPO
●ブラームス/21の歌曲集から 白井光子&ハルトムート・ヘル
●シューベルト/「冬の旅」から'Gute Nacht' ペーター・シュライアー&リヒテル
●J.シュトラウスⅡ世/「春の声」 キャスリーン・バトル カラヤン&VPO
●プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第1番 クレーメル&アルゲリッチ
● Inessa Galanteによるオペラ・アリア カッチー二のアヴェマリア
●マーラー/交響曲第7番第3楽章 クレンペラー&PO
●マーラー/交響曲「大地の歌」から'Der Abschied' クリスタ・ルードヴィッヒ クレンペラー&PO
●Nightclub - Patricia Barber から
●Partners - Barbra Streisand から
●プライド - 今井美樹
などなど。 上記はCDもしくはSACDですが、それ以外にもデコラからアナログディスクを数枚、オープンテープによるたくさんの秘蔵音源。
さて、GRFさんのシステムで聴かせていただいた感想ですが、まったくもって見事というばかりでした。 私から何かということはありません。 あるべきように、あるべきままに聴こえる、といったところでしょうか。
クラシックの再生ですが、意外なことに 音量は決して大きくありません。 ピアニッシモでは、もう少しボリュームを上げたいかと思いつつ、やはり身を正すほどエスプレッシーヴォであり、フォルテッシモでは予想以上にがっしりとした力感があり、音量はこれで必要十分ということが分かります。 音楽にいま何が起きているか、はっきりと理解できます。
響きの展開は、SPの外側、上方にも大きく広がり、手前に弦、その奥に木管、下手後方に大太鼓など奥行表現は特筆すべきで、さらに、それぞれの音像は書割のような薄っぺらく奇妙にはっきりした輪郭線を持つものではなく(多くのハイファイ志向の再生において、私にはこのように聞こえます)、柔らかい輪郭とともに実体感をもって聴こえてくるとき、GRFさんがそのBlogで<オーディオでもホールで聞こえるようにオーケストラを聴きたい>とお書きになったその気持ちが、その通りになっていると納得いたします。
冒頭聞かせていただいたサンサーンスの交響曲では、オルガンの低音が部屋の隅々まで静かに浸透し、一方でその音像が、SPの間に柔らく定位している様は大変不思議で、格別に美しいものでした。 ホールで音楽を聴いているようでした。
GRF邸では、これ見よがしの大げさなオーディオ表現は注意深く排除され、オーディオは音楽に奉仕するものとされているように思われましたが、こういった特徴は、白井光子&ハルトムート・ヘルによるブラームス歌曲の再生において、より詳細に示されていたような気がします。 白井の歌唱は、その明瞭なドイツ語のディクションによって、音楽をただ美麗に表現するのではなく、音楽によって詩が深められ、詩により音楽が広がるというドイツ・リートの最大の美点をとても高い水準で達成したものと思いますが、GRF邸では、その音楽が、というよりも、言葉と音楽の宥和が、私には欠けたるもののない'円’のように聞こえました。
現実にコンサートでは、このようには聞こえません。実際にそこで歌われた歌は、やはり音響現象という側面を意識させます。 さらに、ハイファイ志向の強い再生では、音楽をただ音響の連鎖と感じさせ、そこに何か冷たい空虚が広がっていることに気づかされることがあります。 私たちオーディオ・マニア(笑)は、いつも必要以上に、もっともっとと、音へと募り、音楽を台無しにする。
GRF邸において、白井の歌が、たぶん実際に聴くよりも、温かく、簡素で、幸福に響いたことは、GRFさんの音楽への愛とオーディオ的欲望をコントロールする知性を、端的に示していることのように思われました。 GRF邸では、実はオーディオ的にどうということを感じることはなく、心から音楽を堪能しました。 機材やセッティングがどうのというお話は、あまり必要ないですね。
感想にもならない感想はこのあたりで。
GRFさん、昨日は大変ありがとうございました。 非常に楽しく過ごしました。 これからも仲良くしてください。 どうぞよろしくお願いいたします。
Aionさん
大変丁寧で詳細な日記をありがとうございました。一年以上前の大雨の日にお邪魔したときのことは今でもしっかり覚えています。最近は出不精で、横浜のMさんのところぐらいしか行かなくなっていたのですが、その年の夏の夜香さん、秋のAionさんの音は大変ネジを巻かれました。また、その時のお客さんにあわせてピッタリの曲を用意される丁寧な応対にも感銘を受けました。
ようやく、Aionさんをお迎えするにあたり、今までに経験した事のない緊張を覚えたのは、Aionさんの気配りの強さだったのでしょう。また、Aionさんばかりではなく、夜香さんも来られるので、分野が違う選曲には迷いました。付き添いに来ていただいたMさんからは、自分や夜香さんを気にせず、Aionさんにお聴かせしたい曲だけで構成されたら良いのではとアドヴァイスを頂き、ようやく、自分の好きな曲だけを掛ければ良いのだと、安堵いたしました。いままで、沢山の方々に訪問していただきましたが、この様なプレッシャーは今回が初めての経験でした(笑)。
今回のコンシークエンスでは、4年前には「神様が舞い降りた」ともまで言っていた音が、4年間にどう進歩したのかを、自らに問う挑戦になりました。ブログでも、その試行錯誤を書いてきましたが、本当にSPに触るだけで音が変わってします、レーシングエンジンの様に繊細な調整を経て、今回の音になった訳です。加えて、前日の調整中に、emmの光ファイバーを切断してしまい、当日にMさんにご自分がお使いのケーブルをお借りしたぐらいの緊張ぶりには、我ながら可笑しく思えたほどです。
結果は、大変喜んでいただき、ホッとしております。夜香さんにも喜んでいただいたようです。介添人のMさんには大変お世話になりました。ありがとうございます。
また、ブログで書けない詳細な調整は、やはり実際に聴いて体験していただかなければ解らない事だし、また有る条件で良いと思った事も、違う条件下では、まったく違った結果になることも多いからです。言葉だけや商品名だけが勝手に歩いても、かえって迷惑をお掛けする事が多いようです。
長い時間ありがとうございました。夜香さんや横浜のMさんには、感謝しても仕切れません。ありがとうございました。
by TANNOY-GRF
| 2014-12-30 09:07
| 来たり
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