2015年 04月 01日
はじめてのGRF邸 |
GRFさま
初めてご連絡差し上げます。私、音楽制作の仕事をしておりまして、なんどかお会いしたタッドさんの記事をきっかけに、ここ数年、貴blogを愛読しておりました。
オーディオにも傾倒しており、Avalonをなんとか鳴らそうと自作真空管ampなどで遊んでおります。たまたま杉並・新高円寺に住むことになったこともあり、ぜひいつかはGRFさまの音もお聴きできたらと思っておりました。
新規の方のご訪問をお止めになっている経緯も存じておりながらの不躾なメールで大変恐縮ですが、もしお時間をいただくことができましたら深甚です。
私は40代後半なのですが、不思議なことに同世代の音楽制作の側で自宅オーディオに真剣な方はとても少ないようで、現場でオーディオ談義が盛り上がる事はまずありません(苦笑)。この世界がもう少し間口が広いものになれば、と願いつつ仕事をしておりますが状況は明るくないようです・・。
ab
と言うメールを頂いたのは、一月ほど前のことでした。ご近所に越してこられ、Toddさんともお知り合いの方ならと日程を調整したところ、今月から来月は殆どふさがっています。出張から戻ってきたばかりでしたが、開けられるのは音楽会に出かける前ならと言う事で、先週末の午後に来ていただきました。これも、歩いてこられる距離にお住まいだから可能でした。
引き戸が開くとそこはblogで見慣れた「Unicornのある和室」でした。六畳間にたたずむ美しいSPは不思議に和室に溶け込んでいます。見慣れた空間にいる自分もなんだか不思議な気分です。
ラック最上段には文章でしか読んだことのない是枝ampが並んでいます。電源安定用の6336Bの単管プッシュプルアンプです。出力トランスをタムラにロットをまとめて入手する是枝さんとのくだりを思い出します。
早速、トニー・ベネットとダイアナ・クラールの「All Right OK, You Win」が掛かりました。ニアフィールドでこの大きさのマルチウェイSPを聞いたら焦点を結ばなそうな距離ですが、実に自然な音像と広大な音場が広がります。
シームレスという単語が浮かびますが、そもそもつなぎ合わせる布が無いんだもんな、とつぶやきます。一枚もの。なにの?音楽の?
シングルユニットとバッグロードホーンの共鳴構造なのに、スパっと最低域まで立ち上がる(これがまた付帯音なく立ち下がる)のは、大出力かつ低域端まで伸び切り、ダンピングも効いた是枝AMPとのシナジーゆえでしょうか。
シカゴ/ハイティンクのマーラー3番の第一楽章、グランカッサのピアニッシモが重い響きを持って迫ってくるのはまさに「速い低音」。そこからは30分に及ぶマーラー三番の第一楽章のオーケストラとの旅でした。
何曲目にかに掛けて頂いた、ペーター・シュライアーの冬の旅ではどこまでも柔らかなテノールを縫ってドレスデン国立歌劇場の外に鳥が鳴き、思わず笑って「鳥が」と言ったのをGRFさんに「鳥は外」と障子の向こうを指されてしまいました。そのくらい、音が一体化していると言う事でしょう。
お時間がないので、次から次へと、秘蔵のToddさん録音音源、LPからのDSD化音源などもお聞かせいただきながら、最後のバーバラ・ストライサンドとエルヴィス・プレスリーの「Love Me Tender」、これも大編成バックに女性と男性voがハモっても定位が微塵も動きません、まで、驚きと楽しみの連続でした。
14bitの最初期のCD34を改造したCDプレーヤー、Unicorn、是枝amp、のシンプルな構成。そしてこれらをまとめ上げる情熱と力量と経験・・。
大変気持ちよくストレスフリー、かつ想像よりも大きな出音でした。聴く前はなんとなくパワーが入らないユニットなのかな、と誤解していましたがとんでもない!
やはり聴くまでわからないものですね。
演奏会前のお忙しい時間にご都合つけて下さり、ありがとうございました!花粉症、お大事にされてください。
ab
abさん ご感想ありがとうございました。時間が短く、系統立ててお聞かせすることが出来なかったのが心残りです。あれから出かけた、演奏会のしーんと静まりかえった会場で、咳をこらえるのに大変苦しい思いをしました。終始飴をなめていましたが、生理現象を止めるのは至難の業ですね。
by TANNOY-GRF
| 2015-04-01 23:43
| 来たり
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