2015年 11月 12日
ヒメノ・コンセルトヘボウ ミューザ川崎 |
仕事で出遅れて、夕方でタクシーも拾えず、高円寺駅に着いたときには、上手くいっても18:55か19:00ちょうどの川崎着が限界でした。東海道線は、相変わらずの信号待ちではらはらしましたが、川崎駅にたどり着いたときに、横浜の人身事故で止まってしまったようです。次の電車では間に合わなかったでしょう。東海道線は、最低でも30分ぐらいの余裕が無いと心臓に悪いですね。
チケットの引き替えも係りのお姉さんにやって貰って、席に着いたと同時に団員がステージに入ってきました。上着を脱いで、汗を拭いている内に、田園が始まりました。幾分軽めのテンポですが、私の気持ちが落ち着かない所為もあるのでしょうが、音が纏まっていません。ピアニシモとピアノとフォルテが楽器によってバラバラなバランスです。弦楽器は編成を音していますから、フルートのお姉さんの音が大きく感じました。
この夏のルツェルンでも感じたのと同じです。大編成になればピッタリですから、そのあたりのバランス感覚が、彼女には足りないのかも知れません。演奏はとても上手のですが。隣のオーボエ奏者は抜群です。後ろのクラリネットとのバランスもいいし、ファゴット奏者の一生懸命とあいまって、木管群は最初から纏まっていました。
チェロとコントラバスも、勿論世界最高水準のヴィオラも、みな良いのですが、なんだかバラバラなテンポなのです。指揮者のヒメノのバトン使いは、華麗で流麗です。流れすぎる感じもします。音が出てからのフォロースイングがきれいな感じですが、先にテンポの指示が的確ではない感じがしました。いつもの、浮き上がるようなコンセルトヘボウ特有の弦楽器群がまだ始動していません。
二楽章の後半になってようやく纏まってきました。そのまま速いテンポで三楽章の雲行きが変わるところ、そして四楽章への嵐と入っていきます。私の席が右側のステージ前方の所為もあるのかもしれませんが、トランペットとトロンボーンの音が聞こえにくいのでしょうか?そのトランペットの少し濁り気味の音が気になりました。ルツェルンのブルックナー5番では素晴らしい演奏を聴かせてくれたティンパニストも相変わらず、上手いのですが、音の大きさ、音程がどこか違う様な気もしました。押さえて演奏しているのです。
コンセルトヘボウですから、破綻はないのですが、三年前ヤンソンスで聴いた、恐ろしいほどの緊張感のある最弱音や爆発するダイナミックレンジの広さが感じられず、可も無し不可も無しという演奏でした。先日の同じ場所できいたハイティンク・ロンドン交響楽団の演奏とは、まるで違うピクニックに行くような演奏です。
その思いは、後半の悲愴を聴いても変わらず。悲愴のワルツ版・映画音楽の伴奏のような演奏でした。勿論、普通のオーケストラの演奏とは比較にならない程きれいな音です。木管の音色も申し分ありません。しかし、今日の演奏をヤンソンスで聴けたらとの思いは、ますます強くなっていきました。
1977年ムラヴィンスキーの助手でヤンソンスがレニングラードフィルを振ったときの、ムラヴィンスキーとの圧倒的な差があったのを思い出しました。その後も、何回もレニングラードフィルと一緒に来日していました。その彼が、ヨーロッパのオーケストラを振り始めて、バイエルンとコンセルトヘボウの音楽監督して活躍してきたのです。ムラヴィンスキー譲りの細部への細かい拘り、緊張感溢れる演奏は、ラテン系の指揮者とは一線を課す厳しさがありました。
悲愴が悲愴にならないまま、バレー音楽の演奏見たく終わりました。きれいで華麗ですが、私が知っている悲愴ではありません。ハイティンク・コンセルトヘボウの悲愴でもないのです。
ガッカリした私を驚かしたのは、アンコールで弾かれた、シューベルトのロザムンデからの間奏曲です。はっとするような弱音から始まり、私の知っているコンセルヘボウが現れました。オーケストラが自主的に音のバランスを取っているようです。柔らかく、細かく音が揺れ、揺られながらシューベルトの優しい世界が現れたのです。そう、この音を田園にも、悲愴にも望んでいたのです。
そしてアンコールは二曲も用意されていたのです。チャイコフスキーのエフゲニー・オネーギンからポロネーズです。きょうは悲愴など演奏しないで、三大バレー組曲でも演奏して貰った方が良かったのにと思いました。いずれにしても、この二曲の演奏で、こころはだいぶ中和されたのは事実です。
来年からは、常任指揮者にガッティを迎え、ダイナミックな方向に舵を切っていくでしょう。その狭間のような演奏会でした。ルツェルンの湖畔で聴いたハーディングの演奏にも感じていた、コンセルトヘボウの不安が的中したような演奏会でした。コンセルトヘボウのマネージメントが気になりますね。ハイティンクとも仲違いしたようですし・・・。
チケットの引き替えも係りのお姉さんにやって貰って、席に着いたと同時に団員がステージに入ってきました。上着を脱いで、汗を拭いている内に、田園が始まりました。幾分軽めのテンポですが、私の気持ちが落ち着かない所為もあるのでしょうが、音が纏まっていません。ピアニシモとピアノとフォルテが楽器によってバラバラなバランスです。弦楽器は編成を音していますから、フルートのお姉さんの音が大きく感じました。
この夏のルツェルンでも感じたのと同じです。大編成になればピッタリですから、そのあたりのバランス感覚が、彼女には足りないのかも知れません。演奏はとても上手のですが。隣のオーボエ奏者は抜群です。後ろのクラリネットとのバランスもいいし、ファゴット奏者の一生懸命とあいまって、木管群は最初から纏まっていました。
チェロとコントラバスも、勿論世界最高水準のヴィオラも、みな良いのですが、なんだかバラバラなテンポなのです。指揮者のヒメノのバトン使いは、華麗で流麗です。流れすぎる感じもします。音が出てからのフォロースイングがきれいな感じですが、先にテンポの指示が的確ではない感じがしました。いつもの、浮き上がるようなコンセルトヘボウ特有の弦楽器群がまだ始動していません。
二楽章の後半になってようやく纏まってきました。そのまま速いテンポで三楽章の雲行きが変わるところ、そして四楽章への嵐と入っていきます。私の席が右側のステージ前方の所為もあるのかもしれませんが、トランペットとトロンボーンの音が聞こえにくいのでしょうか?そのトランペットの少し濁り気味の音が気になりました。ルツェルンのブルックナー5番では素晴らしい演奏を聴かせてくれたティンパニストも相変わらず、上手いのですが、音の大きさ、音程がどこか違う様な気もしました。押さえて演奏しているのです。
コンセルトヘボウですから、破綻はないのですが、三年前ヤンソンスで聴いた、恐ろしいほどの緊張感のある最弱音や爆発するダイナミックレンジの広さが感じられず、可も無し不可も無しという演奏でした。先日の同じ場所できいたハイティンク・ロンドン交響楽団の演奏とは、まるで違うピクニックに行くような演奏です。
その思いは、後半の悲愴を聴いても変わらず。悲愴のワルツ版・映画音楽の伴奏のような演奏でした。勿論、普通のオーケストラの演奏とは比較にならない程きれいな音です。木管の音色も申し分ありません。しかし、今日の演奏をヤンソンスで聴けたらとの思いは、ますます強くなっていきました。
1977年ムラヴィンスキーの助手でヤンソンスがレニングラードフィルを振ったときの、ムラヴィンスキーとの圧倒的な差があったのを思い出しました。その後も、何回もレニングラードフィルと一緒に来日していました。その彼が、ヨーロッパのオーケストラを振り始めて、バイエルンとコンセルトヘボウの音楽監督して活躍してきたのです。ムラヴィンスキー譲りの細部への細かい拘り、緊張感溢れる演奏は、ラテン系の指揮者とは一線を課す厳しさがありました。
悲愴が悲愴にならないまま、バレー音楽の演奏見たく終わりました。きれいで華麗ですが、私が知っている悲愴ではありません。ハイティンク・コンセルトヘボウの悲愴でもないのです。
ガッカリした私を驚かしたのは、アンコールで弾かれた、シューベルトのロザムンデからの間奏曲です。はっとするような弱音から始まり、私の知っているコンセルヘボウが現れました。オーケストラが自主的に音のバランスを取っているようです。柔らかく、細かく音が揺れ、揺られながらシューベルトの優しい世界が現れたのです。そう、この音を田園にも、悲愴にも望んでいたのです。
そしてアンコールは二曲も用意されていたのです。チャイコフスキーのエフゲニー・オネーギンからポロネーズです。きょうは悲愴など演奏しないで、三大バレー組曲でも演奏して貰った方が良かったのにと思いました。いずれにしても、この二曲の演奏で、こころはだいぶ中和されたのは事実です。
来年からは、常任指揮者にガッティを迎え、ダイナミックな方向に舵を切っていくでしょう。その狭間のような演奏会でした。ルツェルンの湖畔で聴いたハーディングの演奏にも感じていた、コンセルトヘボウの不安が的中したような演奏会でした。コンセルトヘボウのマネージメントが気になりますね。ハイティンクとも仲違いしたようですし・・・。
by TANNOY-GRF
| 2015-11-12 12:11
| 演奏会場にて
|
Comments(2)
Commented
by
Bellwood
at 2015-11-13 09:30
x
ハイティンクと仲違い?!そうなんですか?それはとても残念なことです。
私の「コンセルトヘボウはコンセルトヘボウで聴け!」プロジェクトはたまたまタイミングよくガッティに当たり、しかも、マーラー6番という大作でしたが、とてもラッキーでした。
次は、「ベルリンはベルリンで聴け!」です。これもラトルなので楽しみです。問題は、その次の「ウィーンはウィーンで聴け!」なのです。まだチケットが確定していません。
私の「コンセルトヘボウはコンセルトヘボウで聴け!」プロジェクトはたまたまタイミングよくガッティに当たり、しかも、マーラー6番という大作でしたが、とてもラッキーでした。
次は、「ベルリンはベルリンで聴け!」です。これもラトルなので楽しみです。問題は、その次の「ウィーンはウィーンで聴け!」なのです。まだチケットが確定していません。
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by
TANNOY-GRF at 2015-11-13 10:15
そのラトルが、ロンドンの音楽監督になるにあたり、ミューザの様な音の良いホールを作れと言ったそうです。そのミューザでの演奏ですが、勿論、柔らかい音はでてはいるのですが、反対にガッツが無い!コンセルトヘボウの会場に響き渡るような音が今回はしませんでした。アンコールのロザムンデだけがよかったのですが、、、。
ベルリンのホールはなるべく一階席前の方で聴いてください。二階席では、音が聞こえず驚きますよ!
ウィーンフィルのザルツブルグは、がっかりでした。ウィーンフィルは、やっぱり、楽友協会大ホールですね。
ベルリンのホールはなるべく一階席前の方で聴いてください。二階席では、音が聞こえず驚きますよ!
ウィーンフィルのザルツブルグは、がっかりでした。ウィーンフィルは、やっぱり、楽友協会大ホールですね。