2016年 05月 25日
新国立劇場 ローエングリン(復元中) |
先日のオペラシティでのグリモーに続いて、今日も最寄りのバス停から初台の新国立劇場前バス停に向かいました。今日はオペラシティではなく、新国立劇場の方です。ゆったりとしたアプローチを上っていくと、広いホワイエが見えてきます。長丁場の演奏会ですから、サンドイッチばかりでなく軽食も用意されています。駆けつけに、白ワインを一杯、ワンコインで量もしっかり入っていて及第点です(爆)。今日は蒸し暑い日で、バスの中では上着は脱いでいましたが、さすがに会場内は満員でも涼しく、長丁場の演奏会には、上着は欠かせません。
着いたのは、開演15分前でした。今日の開演午後五時からです。さすがにワーグナーの公演ですね。これから長丁場を、皆さんと一緒にドイツの王国に旅をするわけです。タイトルロールのローエングリンを歌うのは、当代屈指のローエングリン歌手と言われている、クラウス・フロリアン・フォークトが歌います。先日のウィーンの公演では、代役でフォークとが出て来て、皆を喜ばしました。今回の公演は、中3日で、五回開かれます。今日がその初日です。満員でした。
私の席は、オーケストラピットを横から覗いている様の位置でした。下から湧き上がってくる音は、ステージ上のオーケストラとは響きが違います。全体に低音の迫力がある、力感溢れる音がしています。最初は、ヴァイオリンの音程が、ふらついて、オーボエのピッチも幾分低い感じでした。まだ暖まっていないのでしょう。音の印象はアルテックの大型スピーカーで聞いている様なバランスです。繊細な音ではなく、迫力で聴かせるといった演奏スタイルです。指揮は飯守泰次郎さんで東京フィルハーモニー交響楽団 ・新国立劇場合唱団の演奏です。
オーケストラは、やはり最近のN響や都響までの統一感はありません。しかし、ドイツ的な音を良く出しています。しかし、フォルテになると、音がこもるのはやはりオーケストラピットの所為でしょうか。それに引き替え、ステージ上の新国立のコーラスには驚きました。ほぼ、完璧ではないでしょうか?その合唱も含めてステージ上では、ソリストが本場から来ていますから、ウィーンにも負けていないでしょう。タイトルロールのローエングリンやオルトルートは、バイロイト級です。
最初は、音が安定しなかったオーケストラも、幕が開くと、歌手の素晴らしさに引き込まれて、逆に音程も安定してきました。いよいよ、フォークトの登場の場面では、まるでドイツリートの様に柔らかで、優しい声で始まります。優しいけど凛とした声は、会場全体の空気を清浄化するようです。エルザ役は、美貌だし、雰囲気も申し分はありませんが、歌唱の方は平均的です。一部の後半は、決闘の場面から、勝利の叫びや、幸せ一杯の婚約の決定等、クライマックスに突き進んでいき、第一部が終わりました。会場からは、早くもブラボーの声が飛び交います。
第一幕からこれだけ盛り上がると、この先どうなるのだと思いながら、近くの売店に並んで、二杯目の白ワインと、これからの長丁場に備えてサンドイッチを頬張っていました。相席をお願い出来ますかといってこられたのは、三人の80代後半とおぼしき女性の方々でした。ここまで、高齢のお仲間というのも、めずらしく、さすがは、フォークトのローエングリンだと感心しました。
先々週、ウィーンの国立歌劇場のローエングリンに、フォークとが代演で出たそうです。その幸運な演奏を聴いてきたばかりです。ウィーンフィルと比べては、可哀想ですが、その時の演奏と比べてどうですかとお聞きすると、ご夫婦が異口同音で、オーケストラは、違うけど、コーラスやソリストは決して負けていないとの事。むしろ、東京の公演の方が、ソリストが一枚上手だと仰っていました。そうこう話している内に、休憩は終わり、第二幕が始まりました。
決闘で,負けて大恥をかいたフリードリッヒと妻オルトルートは復讐を誓い合っています。指輪のミーメの雰囲気ですね。オルトルートはバルコニーにあらわれたエルザの同情を買って、ローエングリンの疑惑を吹き込む。こんな夜にバルコニーに出なければいいのにと思うのですが、オルトルートは巧みにエルザの心を誘導してしまうのです。息苦しいほどの展開が、ワーグナーの構成で劇に引き込まれていきます。
新国立劇場 リヒャルト・ワーグナー作曲 歌劇「ローエングリン」
全三幕・ドイツ語上演・字幕付き
■会場:新国立劇場 オペラパレス
■日時
5月23日(月)、6月1日(水) 17:00開演
5月26日(木)、29日(日)、6月4日(土) 14:00開演
■指揮:飯守泰次郎
■演出:マティアス・フォン・シュテークマン
■美術・光メディア造形・衣裳:ロザリエ
■照明:グイド・ペツォルト
■合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮 三澤洋史)
■管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■キャスト:
ハインリヒ国王:アンドレアス・バウアー
ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ・フォン・ブラバント:マヌエラ・ウール
フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユルゲン・リン
オルトルート:ペトラ・ラング
王の伝令:萩原潤
4人のブラバントの貴族:望月哲也/秋谷直之/小森輝彦/妻屋秀和
着いたのは、開演15分前でした。今日の開演午後五時からです。さすがにワーグナーの公演ですね。これから長丁場を、皆さんと一緒にドイツの王国に旅をするわけです。タイトルロールのローエングリンを歌うのは、当代屈指のローエングリン歌手と言われている、クラウス・フロリアン・フォークトが歌います。先日のウィーンの公演では、代役でフォークとが出て来て、皆を喜ばしました。今回の公演は、中3日で、五回開かれます。今日がその初日です。満員でした。
私の席は、オーケストラピットを横から覗いている様の位置でした。下から湧き上がってくる音は、ステージ上のオーケストラとは響きが違います。全体に低音の迫力がある、力感溢れる音がしています。最初は、ヴァイオリンの音程が、ふらついて、オーボエのピッチも幾分低い感じでした。まだ暖まっていないのでしょう。音の印象はアルテックの大型スピーカーで聞いている様なバランスです。繊細な音ではなく、迫力で聴かせるといった演奏スタイルです。指揮は飯守泰次郎さんで東京フィルハーモニー交響楽団 ・新国立劇場合唱団の演奏です。
オーケストラは、やはり最近のN響や都響までの統一感はありません。しかし、ドイツ的な音を良く出しています。しかし、フォルテになると、音がこもるのはやはりオーケストラピットの所為でしょうか。それに引き替え、ステージ上の新国立のコーラスには驚きました。ほぼ、完璧ではないでしょうか?その合唱も含めてステージ上では、ソリストが本場から来ていますから、ウィーンにも負けていないでしょう。タイトルロールのローエングリンやオルトルートは、バイロイト級です。
最初は、音が安定しなかったオーケストラも、幕が開くと、歌手の素晴らしさに引き込まれて、逆に音程も安定してきました。いよいよ、フォークトの登場の場面では、まるでドイツリートの様に柔らかで、優しい声で始まります。優しいけど凛とした声は、会場全体の空気を清浄化するようです。エルザ役は、美貌だし、雰囲気も申し分はありませんが、歌唱の方は平均的です。一部の後半は、決闘の場面から、勝利の叫びや、幸せ一杯の婚約の決定等、クライマックスに突き進んでいき、第一部が終わりました。会場からは、早くもブラボーの声が飛び交います。
第一幕からこれだけ盛り上がると、この先どうなるのだと思いながら、近くの売店に並んで、二杯目の白ワインと、これからの長丁場に備えてサンドイッチを頬張っていました。相席をお願い出来ますかといってこられたのは、三人の80代後半とおぼしき女性の方々でした。ここまで、高齢のお仲間というのも、めずらしく、さすがは、フォークトのローエングリンだと感心しました。
先々週、ウィーンの国立歌劇場のローエングリンに、フォークとが代演で出たそうです。その幸運な演奏を聴いてきたばかりです。ウィーンフィルと比べては、可哀想ですが、その時の演奏と比べてどうですかとお聞きすると、ご夫婦が異口同音で、オーケストラは、違うけど、コーラスやソリストは決して負けていないとの事。むしろ、東京の公演の方が、ソリストが一枚上手だと仰っていました。そうこう話している内に、休憩は終わり、第二幕が始まりました。
決闘で,負けて大恥をかいたフリードリッヒと妻オルトルートは復讐を誓い合っています。指輪のミーメの雰囲気ですね。オルトルートはバルコニーにあらわれたエルザの同情を買って、ローエングリンの疑惑を吹き込む。こんな夜にバルコニーに出なければいいのにと思うのですが、オルトルートは巧みにエルザの心を誘導してしまうのです。息苦しいほどの展開が、ワーグナーの構成で劇に引き込まれていきます。
新国立劇場 リヒャルト・ワーグナー作曲 歌劇「ローエングリン」
全三幕・ドイツ語上演・字幕付き
■会場:新国立劇場 オペラパレス
■日時
5月23日(月)、6月1日(水) 17:00開演
5月26日(木)、29日(日)、6月4日(土) 14:00開演
■指揮:飯守泰次郎
■演出:マティアス・フォン・シュテークマン
■美術・光メディア造形・衣裳:ロザリエ
■照明:グイド・ペツォルト
■合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮 三澤洋史)
■管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■キャスト:
ハインリヒ国王:アンドレアス・バウアー
ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ・フォン・ブラバント:マヌエラ・ウール
フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユルゲン・リン
オルトルート:ペトラ・ラング
王の伝令:萩原潤
4人のブラバントの貴族:望月哲也/秋谷直之/小森輝彦/妻屋秀和
by TANNOY-GRF
| 2016-05-25 05:36
| 演奏会場にて
|
Comments(5)
Commented
by
TANNOY-GRF at 2016-05-27 09:11
昨日、この記事を更新中、ブログのサーバーがダウンして、復旧したら記事が消えていました。ブログ管理側で復元出来ない物でしょうか?同じ記事は、書けないので・・・
Commented
by
Bellwood
at 2016-05-27 22:37
x
歌手や演出などいろいろ全体的にはあるのですが、最大の問題はオーケストラですね。最初の前奏曲は、ええ〜っと思いました。まるで精妙な響きの なかにとうふ屋が闖入したようで、がっくり。あのオーボエは第三幕でもはずしまくっていました。本人も、もしかしたら指揮者の飯守さんもわかっていないのでしょうか。後日、CDで確かめてみましたが、音量バランスだけでなく、GRFさんのおっしゃる通りで音程が低くて合っていなかったのです。歌手も世界一級(フォークトなんて早くから起用してました)ですし 、合唱のレベルは一級、舞台意匠や装置も素晴らしい。最大の懸案はオーケストラなんです。それが同じフォークトのローエングリンを同じ月にウィーンで聴いてきた率直な感想です。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2016-05-29 21:59
こちらも同感です。オーケストラの質を高めないと、いくら良い歌手を連れてきても、音楽に感動しません。音程を外すのは、プロとしてはあるまじき事です。いちじのN響もひどかったですが、東フィルは、基本的にやり直しです。Bellwoodさんは、同じ月にウィーンで同じ歌手の演目を聴いてきたばかりです。向こうはウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーンフィル)ですから、日本の二次リーグとヨーロッパチャンピオン戦ぐらいの差がありますね。
Commented
by
michelangelo
at 2016-06-10 16:29
x
TANNOY-GRF様
はじめまして。
フォークト氏のローエングリン公演を検索しておりましたら、貴ブログに辿り着きました。
クラウス・フロリアン・フォークト氏は代役を引き受け、遅れての到着だったそうですが、第一声からドイツ・リートを彷彿とさせる歌唱と伺い驚きました。個人的に前々から気になっていたペトラ・ラング氏、引けを取らずバイロイト級の歌唱とのこと、興味深く拝読しました。私は彼女のワルキューレ(ジークリンデの中低音)に対し、僅かながら疑問を抱いていたのですが、貴殿の御感想を通じて自分の思い違いであったのではないかと振り返り始めました。ありがとうございます。
指揮者に関しまして。日本のオーケストラの労働条件(某オーケストラはハウプト・プローべを1時間30分までとのこと:信じられません)を思うと、詰めに詰めたリハーサルが出来たかどうか気掛かりです。それ以前に、ワーグナー演奏に慣れていないオーケストラであるとしたら、スタジオーネ・システムは酷だと感じます。粒揃いのソリスト達が一枚上手となると、指揮者やオーケストラではなく、プロンプターの並みならぬ力があった様子が伺えます。
ブログ記事を書いている中、書き直しになると辛いです。最近は、自動的なWindows10アップグレードにより消えました。下書保存の機能がない(?)mixiは、特に上級者向けだと感じ、すっかり凹んで退会した程です。復元が出来ますこと、祈っております。長々と失礼致しました。
はじめまして。
フォークト氏のローエングリン公演を検索しておりましたら、貴ブログに辿り着きました。
クラウス・フロリアン・フォークト氏は代役を引き受け、遅れての到着だったそうですが、第一声からドイツ・リートを彷彿とさせる歌唱と伺い驚きました。個人的に前々から気になっていたペトラ・ラング氏、引けを取らずバイロイト級の歌唱とのこと、興味深く拝読しました。私は彼女のワルキューレ(ジークリンデの中低音)に対し、僅かながら疑問を抱いていたのですが、貴殿の御感想を通じて自分の思い違いであったのではないかと振り返り始めました。ありがとうございます。
指揮者に関しまして。日本のオーケストラの労働条件(某オーケストラはハウプト・プローべを1時間30分までとのこと:信じられません)を思うと、詰めに詰めたリハーサルが出来たかどうか気掛かりです。それ以前に、ワーグナー演奏に慣れていないオーケストラであるとしたら、スタジオーネ・システムは酷だと感じます。粒揃いのソリスト達が一枚上手となると、指揮者やオーケストラではなく、プロンプターの並みならぬ力があった様子が伺えます。
ブログ記事を書いている中、書き直しになると辛いです。最近は、自動的なWindows10アップグレードにより消えました。下書保存の機能がない(?)mixiは、特に上級者向けだと感じ、すっかり凹んで退会した程です。復元が出来ますこと、祈っております。長々と失礼致しました。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2016-06-10 17:10
michelangeloさん はじめまして。michelangeloとティーレマンとワーグナーがお好きなのですね。
私が聴いたのは、初日の公演でした。最終日にはオーケストラもだいぶ良くはなったと、聴きましたが、やはり初日が大事ですね。オペラシティには在京のオーケストラが、持ち回りで競い合えばより良くなると思います。
復元はその時の気持ちが盛り上がらず上手くいきません。少し時間掛けて再挑戦してみるつもりです。
私が聴いたのは、初日の公演でした。最終日にはオーケストラもだいぶ良くはなったと、聴きましたが、やはり初日が大事ですね。オペラシティには在京のオーケストラが、持ち回りで競い合えばより良くなると思います。
復元はその時の気持ちが盛り上がらず上手くいきません。少し時間掛けて再挑戦してみるつもりです。