2016年 06月 03日
夜霧の第二国道 |
私の好きなフランク永井の初期の大ヒット曲に『夜霧の第二国道』という曲があります。最近、私の家を訪れたことがある若い人からは「GRFさんは古い歌謡曲が好きなんですね」と言われます。そうなんです。このフランク永井とか、春日八郎、三橋美智也、林伊佐雄などの昭和三十年代の男性歌手が大好きです。何よりも、歌が上手い!曲が良い!そして、あの頃の時代が浮かび上がってきます。
テレビが普及する前の、夜の娯楽は、ラジオだった時代の昭和三十年代が、懐かしく思い出されます。夜は、ラジオドラマにかじりついていました。二重の扉、話の泉、とんち教室、などのクイズ形式の番組は好きでした。そして、ラジオドラマや寄席の中継が放送されていました。浪曲も全盛で、広沢虎三の声を聴かない週はなかったように思います。勿論、寄席と言えば落語です。いま思えば名人ばかりがでていた時代です。ラジオの寄席が高じて、新宿の末廣亭に連れて行って貰い、小学生の身で、志ん生の落語に大笑いをして、志ん生にたしなめられたそうです。
テレビが普及してきても、ラジオ番組は良く聴いていました。仕事をしたり、勉強している振りをして聴いていたように思います。
夜霧の第二国道は、今の国道一号線です。その頃は第二京浜と呼ばれていました。いまの15号線が、第一京浜でした。新しくできた第二京浜国道は、道幅も広く、また立体交差も多く、従来の国道とは一線を画した新しい道路でした。その国道を、辛い恋を捨ててきて走る感じが大人びて憧れていたのでしょう。
作詞:宮川哲夫
作曲:吉田 正
唄:フランク永井
1 つらい恋なら ネオンの海へ
捨てて来たのに 忘れてきたに
バック・ミラーに あの娘(こ)の顔が
浮かぶ夜霧の ああ 第二国道
2 花の唇 泪(なみだ)の瞳
想い出さすな 帰らぬ夢を
ヘッド・ライトの 光の中に
つづくはてない ああ 第二国道
3 闇を見つめて ハンドル切れば
サイン・ボードの 灯りも暗い
泣かぬつもりの 男の胸を
濡らす夜霧の ああ 第二国道
この三番が特に好きです。「サインボードの灯りも暗い」というところに、昭和三十年代の暗い夜を思い出します。CDの全集の中に入っていた、新宿厚生年金会館での録音が、Trobadour80+TW3の仕上げを確認する曲として使っていますので、最近家を訪れた方々には、馴染みの曲ですね。始めは、大阪のホテルの実況録音盤をデコラで聴いたことから始まっています。あの音には心底痺れました。英国製の電蓄から、フランク永井の歌謡曲が流れるという、ギャップも堪りません。もっとも、フランク永井は正統派のクルーニーですから、当たり前なのですが・・・
テレビが普及する前の、夜の娯楽は、ラジオだった時代の昭和三十年代が、懐かしく思い出されます。夜は、ラジオドラマにかじりついていました。二重の扉、話の泉、とんち教室、などのクイズ形式の番組は好きでした。そして、ラジオドラマや寄席の中継が放送されていました。浪曲も全盛で、広沢虎三の声を聴かない週はなかったように思います。勿論、寄席と言えば落語です。いま思えば名人ばかりがでていた時代です。ラジオの寄席が高じて、新宿の末廣亭に連れて行って貰い、小学生の身で、志ん生の落語に大笑いをして、志ん生にたしなめられたそうです。
テレビが普及してきても、ラジオ番組は良く聴いていました。仕事をしたり、勉強している振りをして聴いていたように思います。
夜霧の第二国道は、今の国道一号線です。その頃は第二京浜と呼ばれていました。いまの15号線が、第一京浜でした。新しくできた第二京浜国道は、道幅も広く、また立体交差も多く、従来の国道とは一線を画した新しい道路でした。その国道を、辛い恋を捨ててきて走る感じが大人びて憧れていたのでしょう。
作詞:宮川哲夫
作曲:吉田 正
唄:フランク永井
1 つらい恋なら ネオンの海へ
捨てて来たのに 忘れてきたに
バック・ミラーに あの娘(こ)の顔が
浮かぶ夜霧の ああ 第二国道
2 花の唇 泪(なみだ)の瞳
想い出さすな 帰らぬ夢を
ヘッド・ライトの 光の中に
つづくはてない ああ 第二国道
3 闇を見つめて ハンドル切れば
サイン・ボードの 灯りも暗い
泣かぬつもりの 男の胸を
濡らす夜霧の ああ 第二国道
この三番が特に好きです。「サインボードの灯りも暗い」というところに、昭和三十年代の暗い夜を思い出します。CDの全集の中に入っていた、新宿厚生年金会館での録音が、Trobadour80+TW3の仕上げを確認する曲として使っていますので、最近家を訪れた方々には、馴染みの曲ですね。始めは、大阪のホテルの実況録音盤をデコラで聴いたことから始まっています。あの音には心底痺れました。英国製の電蓄から、フランク永井の歌謡曲が流れるという、ギャップも堪りません。もっとも、フランク永井は正統派のクルーニーですから、当たり前なのですが・・・
by TANNOY-GRF
| 2016-06-03 16:17
| 昭和三十年代
|
Comments(9)
こんにちは
尊敬するフランクさんの記事をありがとうございます
お越しいただいた折にお話しました通り私も日本一の歌手と思っています
ちなみに「君待てども」がお気に入りで、またの機会に是非お聞かせしたいなあと思っておりますが・・・
我が家だとD・F・Dのごとくに無用に権威的に(笑)聞こえてしまうのが難点です
デコラやTrobadourは絶妙でしょうねえ、そちらも次の機会に是非お聞かせください
尊敬するフランクさんの記事をありがとうございます
お越しいただいた折にお話しました通り私も日本一の歌手と思っています
ちなみに「君待てども」がお気に入りで、またの機会に是非お聞かせしたいなあと思っておりますが・・・
我が家だとD・F・Dのごとくに無用に権威的に(笑)聞こえてしまうのが難点です
デコラやTrobadourは絶妙でしょうねえ、そちらも次の機会に是非お聞かせください
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TANNOY-GRF at 2016-06-03 18:56
Loge さん お久しぶりです。フランク永井さんは良いですね〜。沢山良い歌がありますが、いつも真面目に歌っているのが素敵です。私達より上の世代だと、「公園の手品師」も人気でした。
ところで、D.F.Dとは何の略ですか?Direct from Disk?
それとも、Data flow Diagramも変だし・・・
ところで、D.F.Dとは何の略ですか?Direct from Disk?
それとも、Data flow Diagramも変だし・・・
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(Y)
at 2016-06-03 22:18
x
僕の真空管ラジオ体験もやっぱりラジオ・ドラマからスタートでした。それも「琴姫七変化」とか「児雷也」とか忍法帖みたいなのばかり。いったい僕はいくつなんでしょう?(笑)。
ところでうちのシングル盤の棚にもフランク永井・春日八郎・三橋美智也・神戸一郎あたりは多いです。あの時代の歌手は本当にピッチが良いです。聞いていて安心というか、歌に入り込めますね。あと、余計なリバーブが無いのも好きなところです。それになんたってモノラルですし(笑)。
僕の寄席通いはもっぱら神戸・新開地の松竹座でした。大抵は六代目笑福亭松鶴、今年亡くなった三代目桂春團治がトリでしたが、上方の寄席は色物というか歌謡漫談が非常に多く、正月興行ではかしまし娘がトリの時もありました。東京のそれとはずいぶん違いますね。そういえば森乃福郎なんて噺家なのに、高座でスーツ着てスタンドマイクで漫談やってました。古い話を憶えているものです(笑)。
ところでうちのシングル盤の棚にもフランク永井・春日八郎・三橋美智也・神戸一郎あたりは多いです。あの時代の歌手は本当にピッチが良いです。聞いていて安心というか、歌に入り込めますね。あと、余計なリバーブが無いのも好きなところです。それになんたってモノラルですし(笑)。
僕の寄席通いはもっぱら神戸・新開地の松竹座でした。大抵は六代目笑福亭松鶴、今年亡くなった三代目桂春團治がトリでしたが、上方の寄席は色物というか歌謡漫談が非常に多く、正月興行ではかしまし娘がトリの時もありました。東京のそれとはずいぶん違いますね。そういえば森乃福郎なんて噺家なのに、高座でスーツ着てスタンドマイクで漫談やってました。古い話を憶えているものです(笑)。
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TANNOY-GRF at 2016-06-03 22:23
国立での松鶴が関西の落語との初めての出会いでした。講談師の様に机を出してきて、肘ついて、けったいな言葉でしゃべり張る、大阪の落語は、全く別物だと感じ入りました。人種が違う!と思ったのが、私の最初の60Hz人との遭遇でした。
すみません
長文になりすぎては・・・と思いショートカットしてしまいました
ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウの略です
フランクさんがまるでドイツリートっぽく聞こえるという自虐ギャグです、お粗末様でした
長文になりすぎては・・・と思いショートカットしてしまいました
ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウの略です
フランクさんがまるでドイツリートっぽく聞こえるという自虐ギャグです、お粗末様でした
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TANNOY-GRF at 2016-06-03 23:03
あは!フィッシャー・ディスカウだとは夢にも思いませんでした。そういえば、フランクの高温の柔らかく抜けるところなどそっくりですね。
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(Y)
at 2016-06-03 23:27
x
GRF様
上方落語の最初の出会いが松鶴なら、おっゃることは良くわかります。三代目桂春團治、あるいは人間国宝・米朝さんなら全然違ったはずです(笑)。でもあの松鶴のけったいさがネイティブ関西人には必要なんです。なんたって大阪はラテン系ですから(笑)、ストレートな笑いが好きなんです。反対に50Hzの笑いはどこかイギリス的なんですよね。含み笑いというか。もちろん人種は全く違います(笑)。
上方落語の最初の出会いが松鶴なら、おっゃることは良くわかります。三代目桂春團治、あるいは人間国宝・米朝さんなら全然違ったはずです(笑)。でもあの松鶴のけったいさがネイティブ関西人には必要なんです。なんたって大阪はラテン系ですから(笑)、ストレートな笑いが好きなんです。反対に50Hzの笑いはどこかイギリス的なんですよね。含み笑いというか。もちろん人種は全く違います(笑)。
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TANNOY-GRF at 2016-06-03 23:33
(Y)さん 一緒に米朝さんも見たのですよ!柔らかい物腰で、でもどこかシニカルで、松鶴さんとは大違いでした。50Hz人が、どこかイギリス的というのも、解りますね。慇懃無礼なところとか、でもそのてんでは京都人には負けますが・・・
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BO
at 2016-06-04 21:24
x
GRF邸で聴くフランク永井は最高でした。クールファイヴも良かったですねー。昔の歌手は皆上手いし、歌詞も曲も素晴らしいです。大人になってその良さがわかります。今のJPOPとは比較に...(以下略)。
志ん生は私も大好きですが、GRFさんは生で聴いたんですねぇ、羨ましい...。可楽なんかも良いなあ。
志ん生は私も大好きですが、GRFさんは生で聴いたんですねぇ、羨ましい...。可楽なんかも良いなあ。