2006年 06月 30日
オリジナル盤へ |
クレンペラーを聞き始め、聴く曲聴くに感銘の度を深くしていった私たちが、自問自答していたのは、どうして、ベームと現在進行形で録音をしていた時代に、「クレンペラーの良さが解らなかった」のかでした。
その頃の、クラシックレコード雑誌の新譜案内欄を賑わしていたのは、ベームとクレンペラーのオペラ録音でした。モーツアルトの魔笛、フィガロ、ドンジョバンニなどは、競うように録音されていたからです。同時代に生きていたのに、その頃は、まだ若かったのかも知れません。その頃、知り合ったレコードの先輩のお家で、クレンペラーが最高だと聴かされていたのに、解らなかったのです。クレンペラーの悠揚迫らぬ演奏を体感するには、聞く方もある程度の年輪を重ねる必要があるのかもしれません。もっとも、その先輩は、中学時代からクレンペラー一筋でしたが、、、
しかし、いま思うと、その一端に、音質の問題も有ったように感じます。その頃のEMIはエンジェルレーベルで、東芝から発売されていました。赤いレコード盤だったように思います。後年、聞き始めたときはドイツエレクトローラ盤でした。今聴き比べてみても、同じ演奏とは思えないほど、音質に差があります。もっとも、日本盤と輸入盤の音質の差は、以前にも書いた、ベームの日本グラモフォンにもありました。ワルターの日本コロンビア盤と同じように、高音がきつくなる傾向に成りました。音が痩せて聞こえる訳です。しかし、クレンペラーの赤いビニール盤は、反対に音が鈍くなる傾向が有ったのです。ポピュラー盤などでは、長所になった場合も有りますが、80年代のドイツ盤とは比べものになりませんでした。
そうして、ドイツ盤の廉価版を主に集めていったのですが、その頃から、新宿や代々木にオリジナルの初期盤を発売するお店が、増え始めました。とても、旧い盤が高価な価格がついていました。私たちは60年代後半から、レコードを買い始めたので、その頃の輸入盤の新譜は、現在から見ればすべてオリジナル盤だったからです。その意味において、技術が進んできて、盤質も安定した、高品質のドイツ盤より珍重されている、英国盤はいかにオリジナルとはいえ、不可思議な存在だったのです。
オリジナル盤の良さを知ったきっかけは、クレンペラーではなく、DGGのジョージセル/フルニエのドボルザークのチェロコンチェルトでした。大変な名演奏で、良く聞いていたのですが、ある日、ぼろぼろのオリジナル盤をバーゲン箱の中で見つけて、買ってきたのです。盤の状態もジャケットもぼろぼろで、大して期待はかけていませんでした。帰りがけオートグラフを持っている友人の家に寄って、期待せずかけてみました。オルトフォンのRF-297とSPU-Aで、スクラッチノイズの中から聞こえてきた音は、いままで聞いて慣れ親しんできた演奏は、いったい何だったんだというぐらい、スケールの大きい、悠然とした響きが鳴り渡ったのです。二人で顔を見合わせました。今までも、盤が違えば当然音が異なるのは、理解してきたつもりです。しかし、音楽が全く違って聞こえるなど思いも寄りませんでした。その日から、オートグラフの友人と一緒に、オリジナル盤を求めの長い航海に出たのです。ちなみに、そのジョージセル盤はあまりの感激で、その友人に譲ってしまい、再び手に入れるのに、15年も掛かってしまいましたが。
その頃の、クラシックレコード雑誌の新譜案内欄を賑わしていたのは、ベームとクレンペラーのオペラ録音でした。モーツアルトの魔笛、フィガロ、ドンジョバンニなどは、競うように録音されていたからです。同時代に生きていたのに、その頃は、まだ若かったのかも知れません。その頃、知り合ったレコードの先輩のお家で、クレンペラーが最高だと聴かされていたのに、解らなかったのです。クレンペラーの悠揚迫らぬ演奏を体感するには、聞く方もある程度の年輪を重ねる必要があるのかもしれません。もっとも、その先輩は、中学時代からクレンペラー一筋でしたが、、、
しかし、いま思うと、その一端に、音質の問題も有ったように感じます。その頃のEMIはエンジェルレーベルで、東芝から発売されていました。赤いレコード盤だったように思います。後年、聞き始めたときはドイツエレクトローラ盤でした。今聴き比べてみても、同じ演奏とは思えないほど、音質に差があります。もっとも、日本盤と輸入盤の音質の差は、以前にも書いた、ベームの日本グラモフォンにもありました。ワルターの日本コロンビア盤と同じように、高音がきつくなる傾向に成りました。音が痩せて聞こえる訳です。しかし、クレンペラーの赤いビニール盤は、反対に音が鈍くなる傾向が有ったのです。ポピュラー盤などでは、長所になった場合も有りますが、80年代のドイツ盤とは比べものになりませんでした。
そうして、ドイツ盤の廉価版を主に集めていったのですが、その頃から、新宿や代々木にオリジナルの初期盤を発売するお店が、増え始めました。とても、旧い盤が高価な価格がついていました。私たちは60年代後半から、レコードを買い始めたので、その頃の輸入盤の新譜は、現在から見ればすべてオリジナル盤だったからです。その意味において、技術が進んできて、盤質も安定した、高品質のドイツ盤より珍重されている、英国盤はいかにオリジナルとはいえ、不可思議な存在だったのです。
オリジナル盤の良さを知ったきっかけは、クレンペラーではなく、DGGのジョージセル/フルニエのドボルザークのチェロコンチェルトでした。大変な名演奏で、良く聞いていたのですが、ある日、ぼろぼろのオリジナル盤をバーゲン箱の中で見つけて、買ってきたのです。盤の状態もジャケットもぼろぼろで、大して期待はかけていませんでした。帰りがけオートグラフを持っている友人の家に寄って、期待せずかけてみました。オルトフォンのRF-297とSPU-Aで、スクラッチノイズの中から聞こえてきた音は、いままで聞いて慣れ親しんできた演奏は、いったい何だったんだというぐらい、スケールの大きい、悠然とした響きが鳴り渡ったのです。二人で顔を見合わせました。今までも、盤が違えば当然音が異なるのは、理解してきたつもりです。しかし、音楽が全く違って聞こえるなど思いも寄りませんでした。その日から、オートグラフの友人と一緒に、オリジナル盤を求めの長い航海に出たのです。ちなみに、そのジョージセル盤はあまりの感激で、その友人に譲ってしまい、再び手に入れるのに、15年も掛かってしまいましたが。
by tannoy-grf
| 2006-06-30 18:43
| 好きなレコード
|
Comments(1)
Commented
by
TANNOY-GRF at 2022-11-15 23:37
その再び手に入れた赤ステ盤は、フラット盤ではありませんでした。その間にモノラルのフラット盤が手に入り、音も演奏もモノラルの方が良かったので、ステレオのフラット盤はそのままです。今では、ステレオフラット盤はずいぶん高くなりました・・・