2017年 08月 21日
Decolaがお嫁に行きました |
あの震災があった2011年の春に、英国から購入したDECCAのDecolaが昨日、お嫁入りをしました。私のところに来るまでは、購入した1963年から48年間イギリス南部の邸宅に置かれていました。最後は、鳴らす人もなく、家具として置かれていたのです。家に来たときは、本当に驚きました。深窓の令嬢が、しっかりと箱入り娘の儘、運ばれてきたからです。そして、そのヴェールをそっとはがしたときの、感激は今でも覚えています。
足かけ三年にも及んだ、デコラの復活は、8D8の初段管を交換したところで、完結しました。普通の電蓄から、Decolaになった瞬間でした。その差は、あまりにも違いました。二人で大笑いをしたぐらいの大きな差だったのです。出来るだけ同じ部品を使い、オリジナルを尊重してオーバーホールしてきました。その努力が実を結んだ瞬間でした。
当初付いていたのは、Mark1のLP用とSP用、それとMark2のステレオでした。それにMark1のステレオとMark3を二個買い集めました。予備のアームもオリジナルを揃えました。そして、希少な初段管8D8もついています。勢いで集めました。このデコラは製造番号も100番以内の初期のタイプで、コラードのターンテーブルが付いています。これが優れものなのです。現在では、初期のデコラは、本国でも希少で、価格も相当上がっているそうです。その意味でこのDecolaは、すべてオリジナルですから、嫁入る先でも大事に、かわいがって下さるでしょう。
おまけに、何十年も持っていた、オリジナルのDECCAのブラシもつけました(笑)。
ピアノ運送が引き取りに来られる朝、一時間ほど思い出の曲を聴きました。DECCAのレコードや、ミルシュテイン、越路吹雪にフランク永井です。しみじみとしたいい音でした。
貴婦人と過ごせた素晴らしい6年間でした。Oさん本当にありがとうございました。楽しかったですね!
それから、Oさんの協力を得て、オーバーホールを始めました。元の場所を記録して、丁寧に分解してアンプとプレーヤー部を岡山の是枝さんのところへ送ったのです。アンプ類が戻ってきたのは、年末になっていました。それらを、再組み立てして、DECOAに灯りがともったのは、翌年の二月になっていました。
by TANNOY-GRF
| 2017-08-21 23:44
| デコラは魔術師
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Comments(2)
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チューバホーン
at 2017-08-22 08:17
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GRFさん、今までに何度となく貴重なDecora体験をさせていただきありがとうございました。
夏の終わりのごとく、少し寂しいことと思いますが、Decoraが旅立った部屋で、トラバドールがどんな音で鳴るのかという楽しみもありますね。
また、お聴かせください。
夏の終わりのごとく、少し寂しいことと思いますが、Decoraが旅立った部屋で、トラバドールがどんな音で鳴るのかという楽しみもありますね。
また、お聴かせください。
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TANNOY-GRF at 2017-08-22 09:15
チューバホーンさん ありがとうございます。夏の終わりがごとくとは、言い得て妙です。人生の秋の季節の終わりのような寂寥感もありますが、デコラの存在が音響的にどのような影響を及ぼしていたかを考えると、それも仕方がありません。
新しく、お嫁入りしたお宅は、Decolaの為に作られたようなお宅です。その報告もお楽しみに!
新しく、お嫁入りしたお宅は、Decolaの為に作られたようなお宅です。その報告もお楽しみに!