2018年 02月 20日
Orisukeさんの実験 FE126Enの巻 前編 |
GRFさま こんばんは
一ヶ月前に作って予想外の結果を出した、音場型リバースユニットスピーカーの続編をお送りします。前回、「このユニットなら安くて気軽に楽しめるのでは」と提案したFostex FE126Enが届きましたので、仕事の合間を狙って作ってみました。
ユニットのバーンインと測定のため、まずは標準装着で視聴。箱はMDF15mmを使用した15cm角の立方体状。容積は1.44ℓと極小で、内部には吸音材を多めに充填。最初から低音は出さずにウーファーに頼る作りです。今回は実験結果をハッキリさせたいので、割り切った作りにしてみました。
1. FE126En標準装着+アコースティックサスペンション箱
↑右側のウーファーの上に載っている小さい箱が今回作成したFE126En実験用キット。D58ESの上の黒い箱が先月作ったFE138ESRリバーススピーカーです。
F特は非常に優秀で、低域はダラ下がり、200Hz以上は超高域にピークが一つある以外は一直線。現代的なユニットであることが一目で分かります。これは、バックロードだけでなくダブルバスレフや共鳴管など色々な箱で使えそうな素直な特性です。ただ、アコサス箱に入れて測定した限りでは、メーカー発表の値で想像したような暴れん坊には見えません。
試聴すると、いきなり至極まともな音が出て面食らいます。138ESRや108Σより良い意味でソフトタッチで品位が高く爽やかで聴きやすい音。ボーカルと室内楽は抜群で聞き惚れます。バッフル効果は極小で、この状態でも指向性は広く音場感はかなり良いので、これ自体が音場型といっても良さそう。ウーファーは200㎐で繋がります。使用1時間程度でサスペンション系のエージングにより高域が伸びてきますが、決してハイ上がりではありません。テレビ音声用ならこれに安価なサブウーファーの組み合わせで充分楽しめます。
FE126Enはかなり質の良いハイCPユニットであることが分かりました。が、しかし、これでは実験がここで終わってしまい、この実験の趣旨からして非常にまずいことなのではないか。もっとハイ上がりの耳に突き刺さる暴力的なユニットではないと今回は困るんです。うわー、早くも失敗の予感が・・・動揺が走ります・・・(汗)。
2. FE126Enシングルリバース+アコースティックサスペンション箱
次はユニットをリバースにして装着。今回の箱は、色々仕掛けがあるキットになっており、一台で複数の仕様の実験が出来ます。リバース状態の出で立ちは何となくユーモラスで可愛いですね。
F特は標準装着に比べて著しいハイ落ち。メーカー発表の無響室でのF特の「軸線から60°」の位置で測定したものによく似ています。中域のレベルはあまり変わらないので、結果的に典型的なカマボコ型で、しかも鋸状のでこぼこもひどい。FE138ESRのシングルリバース時のF特と比べると違いは一目瞭然。
↑こっちがFE138ESRシングルリバースの特性。低音も高音も伸びが全然違う。逆付けでこのF特になるのは、やはり異常か?
「あ、これは、ろくな音にならんわ」、と肩を落としながらジャズボーカルを再生してみると、意外や意外、FE138ESRで起きたことが、ここでも起きています。いきなり音場がガバッと広がって、別の音世界に入り込んだ感じ。ボーカルの深みやベースの沈み込みがあります。ただし、ユニット自体の作りにコストの限界が出ており磁気回路も相対的に貧弱な分、138ESRに比べると音にゆとりが無くフレームの鳴きと思われる暴れや歪みや高域の落ち込みは感じますし、オーケストラのスケールにも差が出ます。
フレームの数カ所に板鉛を両面テープで貼り付けダンプすると、かなりマシになってきました。音の彫りの深さは標準装着とは別物で完全なハイファイ調。到底同じユニットとは思えません。まあ、なんとか当初の実験目的は達したと思いますが、バランスが悪く長く聴いていたい音ではありません。やはりFE138ESRは、このシングルリバース使用のために生まれた奇跡の迷ユニットだったのかも知れません。
意気消沈しながら、次に続きます。
by TANNOY-GRF
| 2018-02-20 00:57
| 行ったり来たり
|
Comments(3)
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TANNOY-GRF at 2018-02-20 09:58
Orisukeさん
実験機は、MDFで作られていますね。大きさが小さいので、15mm厚のMDFもかなりしっかりした感じです。
家も今のウーファーを製作していたとき、ラワン合板、MDFやフィンランドバーチ、そしてシナアピトンと4種類作りました。同じ形状でも、音が全く違うのに驚きました。SPの違いより大きかったのを思い出します。筐体が響き、鳴っているのですから当たり前なのですが。
実験機は、MDFで作られていますね。大きさが小さいので、15mm厚のMDFもかなりしっかりした感じです。
家も今のウーファーを製作していたとき、ラワン合板、MDFやフィンランドバーチ、そしてシナアピトンと4種類作りました。同じ形状でも、音が全く違うのに驚きました。SPの違いより大きかったのを思い出します。筐体が響き、鳴っているのですから当たり前なのですが。
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プー博士
at 2018-02-20 10:28
x
な、なんと、こんなに小さな箱なんですか〜 驚きました。これである程度鳴れば、テーブル上に置いて楽しめますね。バックロードホーンの天板に逆さに載せてみようかと計画しておりましたが、実験の進行を楽しみにしています、わくわく。
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Orisuke
at 2018-02-20 11:57
x
こんにちわ
今回は、200Hz以下はウーファー利用前提で、徹底的に小さく作ってみました。ウーファーを使わず1発で最小の箱で行く場合は、Fostexの取説に出ている標準バスレフ箱を応用するのが良さそうですね。
一つの箱で裏版の取り替えやユニットの付け替えが簡単にできるように鬼目ナットを8個打ちました。ホームセンターで手に入るMDFとシナベニヤは私の日曜大工の定番素材ですが、今回は中高音の癖が少なく加工性も良いMDFにしました。シナアピトンとバーチは堅くて高価なので、D58ESのような大型BHを組む時に業者さんに頼んでいます。
箱はガチガチで、強度は十分出したはずなのですが・・・
今回は、200Hz以下はウーファー利用前提で、徹底的に小さく作ってみました。ウーファーを使わず1発で最小の箱で行く場合は、Fostexの取説に出ている標準バスレフ箱を応用するのが良さそうですね。
一つの箱で裏版の取り替えやユニットの付け替えが簡単にできるように鬼目ナットを8個打ちました。ホームセンターで手に入るMDFとシナベニヤは私の日曜大工の定番素材ですが、今回は中高音の癖が少なく加工性も良いMDFにしました。シナアピトンとバーチは堅くて高価なので、D58ESのような大型BHを組む時に業者さんに頼んでいます。
箱はガチガチで、強度は十分出したはずなのですが・・・