2018年 02月 18日
German Physiks HRS-130 パグ太郎さん |
先週、茅野で、マイナス13度を経験した厳冬の出張から戻ってきて、翌日の土曜日は、さすがに疲れが出てきました。風邪がはやっている時期なので、紀尾井ホールの演奏会を急遽、お近くのパグ太郎さんにご連絡して行っていただくことにしました。開場の一時間ほど前に、その券をとりに来られたとき、ちょっとだけ、調整中のHRS-130を聴いていただきました。その時は、後方のコンシーケンスポジションでした。
パグ太郎
丁度掛けていたカンターテドミノの女性ヴォーカルを聴いていただいたのですが、音量は少し小さく、音は遠目にはなりますが、コンサートホールや教会の響きが聞こえてきます。時間は無いので、イネッサ・ガランテのノルマを聴いていただきました。
声は良いですね〜!
お帰りになった後、声を中心にさらに調整を進めていきました。するとどんどん良くなって行くではありませんか!夜になって、メールをお送りしたら、「あれより良くなったって、勘弁して下さい(笑)」と言われました。それで、木曜日のよる仕事の帰りに寄って、さらに聴かれることになりました。
本日は、チケット有難うございました。紀尾井ホール室内管弦楽団を聴いたのは初めてです。メインプログラムのシューベルトのSym5は愉悦感にあふれた素晴らしい演奏でした。日本のオケでシューベルトの初期・中期交響曲をここまで楽しく出来るとは驚きでした。
生演奏は、やはり良いですね。
それ以上に、衝撃的だったは、お宅でお聴きしたあのスピーカーでした。
あの部屋とアンプとプレイヤーがあるからだと思いますが・・・。お部屋に入って最初にかかった女声で、「マズイ!」と思いました。あの色気は只者ではなかったです。クレスパンとか想像するだけで・・・調整されたら「更に良くなった」って勘弁してください。
調整の成果が出てきて良かったです!
それが土曜日の夜でした。振替休日の月曜日に先のBOさんが来られて、ポジションを変えたお話はお伝えしたとおりです。ベストポジションで音はさらに良くなりました。こうなると、さらなる高みを目指して、欧米の評論家が薦める、ncoreの回路を使ったD級アンプで聴いてみたくなりました。スイッチング電源を使ったアンプで、世界中のメーカーで使われるようになってきました。勿論、本家本元は、同じ設計者の別なブランドMolaMolaです。
Henryさんに連絡して、試聴機を送って貰うことにしました。それが火曜日の深夜でした。翌る日の水曜日にHenryさんにMolaMolaのKalugaというパワーアンプをチェックをしていただいて、翌日の午前中到着で出していただきました。予定通り、お昼前には到着しました。このアンプをこの部屋で聴くのは、二回目です。その時は、100vでの試聴でしたが、Henryさんは、200vがあるならそちらで聴いてくれとのメールが入ってきました。100vと200vは自動的に電圧を検知して、動作が変わるそうです。スイッチング電源の素晴らしいところですね。
200vにすると一気に力強さが出てきて、楽々と SPをドライブします。ダンピングファクターの差がはっきりと聞き分けられます。200v仕様だと、パワーが半端ではありません。100vの1.4倍ぐらいでているのでしょうか?ヴォリュームの位置で一時間ぐらい余裕が出てきます。それを絞って聴くと、静けさの中に力強さが感じられる、いままでにない音が出始めました。
声の伸びや、オーケストラの静かな音でも繋がりが良くなり、木管楽器のホールに浸透する様が、目に見えるようになりました。これなら、パグ太郎さんもビックリでしょう。
GRFさん
先日の感想文、改めてお送りします。色々、書きたいことが多すぎるのですが、順不同、特に印象に残った点のみになります。
マゼール、これまで「何か、変ったことしているな・・・奇をてらっている」という印象が強かった彼の指揮ですが、その意図が初めて分かります。多分、「変わったこと」として目立つ部分と、その上・下のつなぎの繊細な絡み合いが、その空気まで手に取るように見えるので、その部分が全体の中でしっかりと収まって聴こえるからかと感じました。
これはカプランの復活でも同じで、このSACD、拙宅で聴いても、オケメンバーの楽しげな様子が見えてこず、そこまで聴こえないとこの演奏は残念ながら全く面白くないのです。
そのことを更に感じたのはジュリーニのブラームス4番。この響きを創り出すために、ジュリーニがどれだけ複雑な表情付けを各パート毎に、小節単位で要求していて、それが文字通り「綾をなしているか」が見えてきます。
「一体どうなっているの?!」ということで、失礼を省みず、もう一回頭から再生してくださいなんてお願いしてしまいました。
マゼールには申し訳ないですが、「格が違う」ということが判ってしまいます。GRFさんの「アーティストとエンタテイナーの違い」という表現には笑えました。ブラームスは得意ではないのですが、こういう演奏で、その真価がわかるような気がします。
システムの違いで演奏家の格や、作曲家の真価が判ったりするなんていうことは、自分の基本姿勢から言いますと否定的なのですが、現実として突きつけられますと、どうしようもありませんね。
ピアノでも、ギレリスのベートーベンのソナタ、愛聴盤で聞き込んでいるはずなのですが、あの情緒あふれる瑞々しさが、ここまで繊細な音色コントロールによって成り立っているとは思いもしませんでした。これはピアノの楽しみ方が、もう一段上がります。
声楽は、少し前に調整中の段階で一瞬だけお聴きした時に、すでにその色気に驚いたのですが、調整後の状態で、自分の定番のクレスパンがどうなるか、興味を抑えきれずCDを持ち込んでしまいました。流石に、このCDで「改めて真価がわかる」ということはありませんでしたが、逆に普段親しんでいる彼女の声の色の使い分けが、驚くほど鮮明に浮き出してきます。
参りました。
微調整と鳴らしこみが進んで華開いたHRS-130の女声の色気は、やはり独特のものがあります。教えて頂いた白井光子でも同じでしたが、自然で何も足されていないのに艶がある、これは自分のツボに嵌っています。
アバドのブルックナー、ミンツの色々な指揮者との協演などなど、きりが無いのでこの辺りで止めますが、この空間とこのシステム、と、勿論、その追い込みが、音楽を楽しむ、そのレベルを上げてくれる、そして演奏・楽曲の一段深い価値に気づかせてくれるということが、良く判りました。
メインの80+TW3との比べて空間スケールと密度が違いますが(同じだったら、困るというのは、仰るとおり)、この形でもここまで行けるのは、やはり使いこなしの技なんでしょうね。
そんなこんなで、楽しすぎて平日の夜に押しかけて、深夜まで居座ってしまいました。ご容赦ください。機器を聞かせていただいたのですが、何時もながら、音楽の感想にしかならず申し訳ありません。
嬉しいご感想をいただきました。アンプの駆動力が上がり、BOさんが来られるときのようなシビアな位置調整まで行かなくとも、しっかりとした音が出ることが解りました。勿論、それでも微調整は、追い込めば追い込むほど良い音になります。
パグ太郎さんが来られると、オーディオの話より音楽そのものの話しになるところが、楽しいですね。その音楽の聞こえ方が違うのが、オーディオの面白さであり、怖さでもあります。同じCDを聴いていても、どのレベルまで聞こえているかは、実は装置の調整と性能に掛かってくるわけですから。
小型のSPでも、至近距離なら情報量は同じではと思ってきましたが、至近距離だからこそ、音場情報が出るのと出ないのでは、演奏会場の響きを聞くクラシックの演奏には、大きな違いが出てきます。それが、演奏論にも繋がるのですから事は重要ですね。
by TANNOY-GRF
| 2018-02-18 02:04
| 来たり
|
Comments(5)
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Orisuke
at 2018-02-19 17:46
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こんばんは
ジュリーニのブラ4、ハンブルグプレスのやつを先日、ブックオフで280円で入手しました。クラシック専門店でない分、値付けが雑で、私にとっては掘り出し物の山です( ^^)。
さっそく、FE126EnとFE138ES-Rのリバーススピーカー兄弟で聴いてみましたら、これは素晴らしい演奏ですね。D58ESで聴いた時には、第1楽章で微妙に低弦がずれて出てくるところが演奏精度が悪いだけのように聞こえたのですが、音場型のスピーカーで聴くと、ジュリーニが完全に意図して響きをコントロールしていることが分かりました。ブラ4を古典的ではなく、純然たるロマン派の音楽として演奏しようとするジュリーニの思いが端的に出た部分だったのですね。音場表現による音の重なり合いは、単純に音の善し悪しではなく演奏の解釈に直結する違いになってしまっています。「これは、えらいこっちゃ」という感じです。
ジュリーニのブラ4、ハンブルグプレスのやつを先日、ブックオフで280円で入手しました。クラシック専門店でない分、値付けが雑で、私にとっては掘り出し物の山です( ^^)。
さっそく、FE126EnとFE138ES-Rのリバーススピーカー兄弟で聴いてみましたら、これは素晴らしい演奏ですね。D58ESで聴いた時には、第1楽章で微妙に低弦がずれて出てくるところが演奏精度が悪いだけのように聞こえたのですが、音場型のスピーカーで聴くと、ジュリーニが完全に意図して響きをコントロールしていることが分かりました。ブラ4を古典的ではなく、純然たるロマン派の音楽として演奏しようとするジュリーニの思いが端的に出た部分だったのですね。音場表現による音の重なり合いは、単純に音の善し悪しではなく演奏の解釈に直結する違いになってしまっています。「これは、えらいこっちゃ」という感じです。
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プー博士
at 2018-02-19 20:11
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Orisukeさん、こんばんわ。
やっと時間的余裕が出来たのでFostexのスピーカーで実験してみようと思います。
市販されているバックロードホン箱の「天井部天板」にスピーカーを載せてみようかと思いますが、内部の音道の流れも多少変更必要になるのでしょうか?あるいはこの箱のほうがよいよというものがありますればご教示くださいませ。上手く出来たら卓上用にしようかな〜と思っております。
やっと時間的余裕が出来たのでFostexのスピーカーで実験してみようと思います。
市販されているバックロードホン箱の「天井部天板」にスピーカーを載せてみようかと思いますが、内部の音道の流れも多少変更必要になるのでしょうか?あるいはこの箱のほうがよいよというものがありますればご教示くださいませ。上手く出来たら卓上用にしようかな〜と思っております。
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Orisuke
at 2018-02-19 21:42
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GRFさん
情報交換の場所をお借りしてしまいすみません。
プー博士さん
私の方は、標準付けアコサス(密閉箱)、シングル・リバース+アコサス、ダブル・リバース+アコサス、ダブル・リバース+ダンプドバスレフの4通りで実験してみました。近日中にGRFさんがレポートを公開して下さるとのことですのでご参考になればと思います。
FE126En、思ったよりも音がまとまっていまして、指向性が広いので普通にスワン方につけても満足度が高いスピーカーになりそうです。スワンタイプで空気室だけ上向きと前向きで付け替え式にするのが、どちらに転んでも良いものが出来そうな気がします。
バッキーのようなオーソドックスなBHですと、標準設計で上向きの穴を空けると空気室の幅が足りないので、この部分を新規に設計しなければならないと思います。内側をユニットギリギリ13cm〜14cm幅のCWホーンで設計して、空気室を13x13x13の立方体に出来れば、ユニット取り付け板とユニット穴を塞ぐ板を付け替えることで、標準型と音場型の両方を楽しめると思います。
情報交換の場所をお借りしてしまいすみません。
プー博士さん
私の方は、標準付けアコサス(密閉箱)、シングル・リバース+アコサス、ダブル・リバース+アコサス、ダブル・リバース+ダンプドバスレフの4通りで実験してみました。近日中にGRFさんがレポートを公開して下さるとのことですのでご参考になればと思います。
FE126En、思ったよりも音がまとまっていまして、指向性が広いので普通にスワン方につけても満足度が高いスピーカーになりそうです。スワンタイプで空気室だけ上向きと前向きで付け替え式にするのが、どちらに転んでも良いものが出来そうな気がします。
バッキーのようなオーソドックスなBHですと、標準設計で上向きの穴を空けると空気室の幅が足りないので、この部分を新規に設計しなければならないと思います。内側をユニットギリギリ13cm〜14cm幅のCWホーンで設計して、空気室を13x13x13の立方体に出来れば、ユニット取り付け板とユニット穴を塞ぐ板を付け替えることで、標準型と音場型の両方を楽しめると思います。
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TANNOY-GRF at 2018-02-19 21:42
プー博士 先週はHRS130の記事で追われましたが、今週は、Orisukeさんの実験記事を準備中です。面白い実験ですよ。明日からをお楽しみに!
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パグ太郎
at 2018-02-19 23:52
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Orisukeさんの「単純な音の善し悪しではなく演奏解釈に直結することになって」「えらいこっちゃ」というのが、まさしく私の感じたことを、的確に表した言葉です。なんだか凄くスッキリしました。有難うございます。
私は技術的に難しいことはサッパリですが、実験結果楽しみにしています。
私は技術的に難しいことはサッパリですが、実験結果楽しみにしています。