2008年 04月 21日
千客万来 - 第一夜 横浜のMさんご夫妻 |
三月までで忙しかった国内出張も区切りをつけて、先週のドイツの出張から戻り、ようやく時差ボケが直ってきた先週末は、今まで忙しすぎてお会いできなかった方々が一挙に訪れていただいた嬉しい週末になりました。
始まりは雨が降り始めた木曜の夜でした。以前ご紹介したGT-Rと素晴らしい乗り心地の愛車・JaguarXJRを手放された替わりにご購入されたダークグレーのシックな外観の見事な車体のMaserati Quattroporteが雨に濡れて現れました。5メートルを超える車体と1.9m近くある横幅は駐車スペースに一杯でしたが。止めるとき一瞬吹かしたエンジンの立ち上がりと下がりの良さに特徴有るフェラリーサウンドが聴けました。後から実際にハンドルを握らせいただくととその大きさを感じない緻密感が素敵でした。
この雨の中ご夫妻で来られたのには訳がありました。先日ご夫妻で著名な先達Sさんのお宅をご訪問されて、大変エネルギッシュなサウンドをお聴きになり、それとは対照的な拙宅のGRFを再度聴きたいとのご要望でした。
畏れ多いことです。畢竟オーディオ装置で鳴る音は、その人の物事に対処する姿勢、好みが全て現れてきます。私的な本棚を公開するようなものです。人に自慢出来るわけではなくただありのままの姿を見ていただくという、考えれば恐ろしい事をしているわけです。お互いを理解し合える間柄にならないと難しいのかも知れません。まして、男性最後の砦でもあるオーディオの部屋に、奥方に自分の姿を見せるのにはかなりの勇気が必要でもあります。私の家内も余りGRFの部屋には入り込まないるぐらいですから。本当は残念ですが、、、。
まして11月末から3月上旬までの空気の乾いたオーディオ適齢時期を過ぎ、今年一番の雨が降っている中で、どの様な音が鳴るのかは解りません。鳴らしながら少しずつ調整をしていくのには、矢張りアナログの方が適しているようです。昨今のデジタル機器の進歩は目を見張るようになり、CD-R規格の情報をHDDに直接取り込んでいくPCオーディオの音そのものは素晴らしい情況になりました。問題はそれ以前の音楽をどの様にメディアに取り込んでいくかに有ります。過剰な情報が時として音楽として心地よく聴く段階を越えてしまうことがあるからです。
その意味で、例え最新のデジタルに比べて情報量が少なくともアナログレコードに取り込まれた情報を再現できれば、音楽は鳴り響きます。音楽再生に大事な陰影や陰の部分の表現にはアナログレコードは一日の長が有るように思えます。それが、いまだにアナログファンの多い理由の一つなのでしょう。ただ従来からのアナログ再生では、レコードに入っているワウやゴロは致し方がないと思われてきました。その限界を破るような極めてS/N比の高い装置でレコードを再生すると、今までの常識を越える世界にと踏み込めます。ヴィンテージオーディオだけではない最新の技術でアナログを見直すと、デジタルでも未だ達していない音楽の鳴る再生が可能になるように思えます。
レコード再生の肝は、矢張り溝へ正しく針を落とすことから始まります。そして、その日の気温・湿度・鳴らすレコードに合わせて微妙に針圧やインサイドフォースキャンセラーを調整していきます。以前にも書きましたが、追い込んだ後の本当に目盛りでも紙一重・針圧にしたら0.1gの変化でも音は表情をがらりと変えていきます。それは実際に触らなければわからない微妙な差ですが、お聴きにならなければ誰もが納得する程の大きな変化です。それを聴きながら調整して行く微調整が音楽の神秘に触れるには欠かせないウォーミングアップになります。そうした調整をお客様の前で行うのは不本意ではありますが、変化と調整の意味を解っていただくには手っ取り早いのかも知れません。
いつも聴くシャンソンのレコードがでていました。もう30年も前の録音ですが、今はなくなった・現在辺り一帯が無くなり再開発されていますが・銀座の銀巴里での一連の録音を聴いていただくことから、その夜のコンサートは始まりました。銀巴里専属の楽団のテーマが鳴るとそこは会場でした。ホールとは違いライブハウスの天井の低い独特の音が収録されています。ちょうど雨の晩の録音だったのでしょう。こんなひどい天気の中をようこそいらっしゃいましたと、歌手の方が話されると、外の雨音さえバックグラウンドになりその日の会場に引き込まれていきました。大木康子さんから金子由香里さんへと聴き進めていきました。
そして、シャンソンと言えば日生劇場での越路吹雪さんの熱唱です。私も実際に聴いた79年の実況録音から聴いていただきました。日生劇場独特の柔らかな音が包んでいきます。この柔らかさとスポットの当たっているところと暗転しているバックの感じがデジタルで再現できれば申し分無いのですが、、、。今のところ、絶対的にはS/Nが悪くとも、その明暗を描き出す方法にアナログの録音技術と製盤技術が勝っているのでしょう。勿論、現在の優れた録音方式では別の次元の再生を実現はしているのですが、まだそれ相応の装置と録音が限られています。
その頃の想い出やあの時代のことを思い出すままに、時代を共有した方々と話をしていくと話題は尽きません。ゆっくりとした時間が過ぎていきました。時間という二度と戻ってこない空間を再び浮かび上がらせる事を可能にしているオーディオの奇跡!その喜びがどれ程の感動を呼び、その夢の実現にエネルギーを注ぎ込んだきたが、自ずと現れてしまうのがオーディオの怖さでもあり喜びでもあります。その貴重な再現された時空に一緒に旅を出来る、お互いを理解する仲間がいればその旅はどれ程素晴らしい旅になることでしょう!
この晩はその喜びに触れることが出来ました。コンセルトヘボーの響きの中に包まれて深いオーケストラの響きでブラームスを聴いた後、近くのお気に入りのレストランで素材の良さと調理の素晴らしさを味わい語らいは続き、素敵な夜は春の雨の中で深まっていきました。
始まりは雨が降り始めた木曜の夜でした。以前ご紹介したGT-Rと素晴らしい乗り心地の愛車・JaguarXJRを手放された替わりにご購入されたダークグレーのシックな外観の見事な車体のMaserati Quattroporteが雨に濡れて現れました。5メートルを超える車体と1.9m近くある横幅は駐車スペースに一杯でしたが。止めるとき一瞬吹かしたエンジンの立ち上がりと下がりの良さに特徴有るフェラリーサウンドが聴けました。後から実際にハンドルを握らせいただくととその大きさを感じない緻密感が素敵でした。
この雨の中ご夫妻で来られたのには訳がありました。先日ご夫妻で著名な先達Sさんのお宅をご訪問されて、大変エネルギッシュなサウンドをお聴きになり、それとは対照的な拙宅のGRFを再度聴きたいとのご要望でした。
畏れ多いことです。畢竟オーディオ装置で鳴る音は、その人の物事に対処する姿勢、好みが全て現れてきます。私的な本棚を公開するようなものです。人に自慢出来るわけではなくただありのままの姿を見ていただくという、考えれば恐ろしい事をしているわけです。お互いを理解し合える間柄にならないと難しいのかも知れません。まして、男性最後の砦でもあるオーディオの部屋に、奥方に自分の姿を見せるのにはかなりの勇気が必要でもあります。私の家内も余りGRFの部屋には入り込まないるぐらいですから。本当は残念ですが、、、。
まして11月末から3月上旬までの空気の乾いたオーディオ適齢時期を過ぎ、今年一番の雨が降っている中で、どの様な音が鳴るのかは解りません。鳴らしながら少しずつ調整をしていくのには、矢張りアナログの方が適しているようです。昨今のデジタル機器の進歩は目を見張るようになり、CD-R規格の情報をHDDに直接取り込んでいくPCオーディオの音そのものは素晴らしい情況になりました。問題はそれ以前の音楽をどの様にメディアに取り込んでいくかに有ります。過剰な情報が時として音楽として心地よく聴く段階を越えてしまうことがあるからです。
その意味で、例え最新のデジタルに比べて情報量が少なくともアナログレコードに取り込まれた情報を再現できれば、音楽は鳴り響きます。音楽再生に大事な陰影や陰の部分の表現にはアナログレコードは一日の長が有るように思えます。それが、いまだにアナログファンの多い理由の一つなのでしょう。ただ従来からのアナログ再生では、レコードに入っているワウやゴロは致し方がないと思われてきました。その限界を破るような極めてS/N比の高い装置でレコードを再生すると、今までの常識を越える世界にと踏み込めます。ヴィンテージオーディオだけではない最新の技術でアナログを見直すと、デジタルでも未だ達していない音楽の鳴る再生が可能になるように思えます。
レコード再生の肝は、矢張り溝へ正しく針を落とすことから始まります。そして、その日の気温・湿度・鳴らすレコードに合わせて微妙に針圧やインサイドフォースキャンセラーを調整していきます。以前にも書きましたが、追い込んだ後の本当に目盛りでも紙一重・針圧にしたら0.1gの変化でも音は表情をがらりと変えていきます。それは実際に触らなければわからない微妙な差ですが、お聴きにならなければ誰もが納得する程の大きな変化です。それを聴きながら調整して行く微調整が音楽の神秘に触れるには欠かせないウォーミングアップになります。そうした調整をお客様の前で行うのは不本意ではありますが、変化と調整の意味を解っていただくには手っ取り早いのかも知れません。
いつも聴くシャンソンのレコードがでていました。もう30年も前の録音ですが、今はなくなった・現在辺り一帯が無くなり再開発されていますが・銀座の銀巴里での一連の録音を聴いていただくことから、その夜のコンサートは始まりました。銀巴里専属の楽団のテーマが鳴るとそこは会場でした。ホールとは違いライブハウスの天井の低い独特の音が収録されています。ちょうど雨の晩の録音だったのでしょう。こんなひどい天気の中をようこそいらっしゃいましたと、歌手の方が話されると、外の雨音さえバックグラウンドになりその日の会場に引き込まれていきました。大木康子さんから金子由香里さんへと聴き進めていきました。
そして、シャンソンと言えば日生劇場での越路吹雪さんの熱唱です。私も実際に聴いた79年の実況録音から聴いていただきました。日生劇場独特の柔らかな音が包んでいきます。この柔らかさとスポットの当たっているところと暗転しているバックの感じがデジタルで再現できれば申し分無いのですが、、、。今のところ、絶対的にはS/Nが悪くとも、その明暗を描き出す方法にアナログの録音技術と製盤技術が勝っているのでしょう。勿論、現在の優れた録音方式では別の次元の再生を実現はしているのですが、まだそれ相応の装置と録音が限られています。
その頃の想い出やあの時代のことを思い出すままに、時代を共有した方々と話をしていくと話題は尽きません。ゆっくりとした時間が過ぎていきました。時間という二度と戻ってこない空間を再び浮かび上がらせる事を可能にしているオーディオの奇跡!その喜びがどれ程の感動を呼び、その夢の実現にエネルギーを注ぎ込んだきたが、自ずと現れてしまうのがオーディオの怖さでもあり喜びでもあります。その貴重な再現された時空に一緒に旅を出来る、お互いを理解する仲間がいればその旅はどれ程素晴らしい旅になることでしょう!
この晩はその喜びに触れることが出来ました。コンセルトヘボーの響きの中に包まれて深いオーケストラの響きでブラームスを聴いた後、近くのお気に入りのレストランで素材の良さと調理の素晴らしさを味わい語らいは続き、素敵な夜は春の雨の中で深まっていきました。
by TANNOY-GRF
| 2008-04-21 01:37
| 来たり
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