2008年 11月 09日
60年代のオーディオ雑誌 |
通信関係の仕事をしていた父親の指導で小学生の頃からST管でラジオを作っていました。一緒に万世橋の交通博物館に連れて行ってもらった帰りに、万世橋のガード下にあったジャンク屋で古い真空管を買って貰い、それで並三や並四のラジオを作っていました。アンプ造りには興味がありましたが、中学生の頃に世の中はステレオに変わっていきました。しかしテレビもそうでしたが、まだほとんどの家ではステレオどころではなかった頃です。だから中学時代にはステレオのある友人の家に行き、良く聴かせて貰っていました。ハリーベラフォンテや坂本九の上を向いて歩こう等を聴いた覚えがあります。ステレオに付いていたステレオデモレコードのピンポン球が左右に動く効果が面白かったです。列車が右から左へと動いていくのも何遍も聴いたものでした。その頃、NHKの第一、第二や文化放送と日本放送でステレオの実験放送を行っていました。モノからステレオに変わったときの広がりや奥行きはまるで魔法の様でした。
先日、近くに住むAさんのマランツ#7が修理に出たとき、直してくれる方のお宅にお伺いすることが出来ました。所狭しと置かれたアンプや線材、コンデンサー、抵抗、トランス等の部品を見たり、真空管や回路の話をしているうちに昔のことが突然蘇ってきました。そういえば、あの頃の雑誌はどこにしまったのか?と突然気になり始めたのです。本棚や物置を探してもなく、よくやく先の引っ越しの時まとめて倉庫の片隅に積んだのを思い出しました。ようやく探し出した昔の技術雑誌が山のように出てきました。愛読していた「ラジオ技術」誌は60年代か90年代まで30年分ありました。現在の私が持っているより真空管アンプを作られている若い方にお譲りした方が良いのかも知れませんね。
その初期の頃のバックナンバーにマランツ特集がありました。1962年の八月号です。その中にあった映画俳優の三橋達也氏がマランツ#7を特注のコンソールに組み入れているのをうらやましく思っていました。当時の価格は165,000円です。大卒の初任給の丁度10倍でした。今だと200万円のプリになるのでしょうか。その頃は、オーディオにそれだけつぎ込める人は少なく、オーディオは優先順位がまだ低かった頃です。何といってもテレビや洗濯機、そして普及しはじめたクーラーが先でしょう。何しろお蕎麦が25円、ラーメンが35円の時代です。外国製の高級プリアンプなど文字通り高嶺の花でした。その頃はやったのがそういう高級機機をならしていた喫茶店です。中野や荻窪にありました。荻窪の南口にあったそのお店では、フェアチャイルドのプレーヤーがなっていたように記憶します。他にも、ステレオサウンドの初期の頃や、ラジオ技術社の「ステレオ芸術」や音楽之友社の「ステレオのすべて」も沢山出てきました。
久しぶりに読み返してみると、すべてがつい昨日のように思えます。特にその頃垂涎の的だった機器に現在囲まれているのは、時代の流れとはいえ不可思議です。40年も50年も何も進歩がないのですから。でも、聴いている音楽は200年も300年も前のクラシックだし、録音でさえ、50年前のレコードを今も聴いているわけですから、何も不思議ではないのかも知れません。そうやって何十年も生き延びていく物こそ真に価値があるからです。現在大事にしているレコードはその頃録音された物ばかりです。カルショーやクレンペラー、ベームの録音記事が紹介されていました。
先日、近くに住むAさんのマランツ#7が修理に出たとき、直してくれる方のお宅にお伺いすることが出来ました。所狭しと置かれたアンプや線材、コンデンサー、抵抗、トランス等の部品を見たり、真空管や回路の話をしているうちに昔のことが突然蘇ってきました。そういえば、あの頃の雑誌はどこにしまったのか?と突然気になり始めたのです。本棚や物置を探してもなく、よくやく先の引っ越しの時まとめて倉庫の片隅に積んだのを思い出しました。ようやく探し出した昔の技術雑誌が山のように出てきました。愛読していた「ラジオ技術」誌は60年代か90年代まで30年分ありました。現在の私が持っているより真空管アンプを作られている若い方にお譲りした方が良いのかも知れませんね。
その初期の頃のバックナンバーにマランツ特集がありました。1962年の八月号です。その中にあった映画俳優の三橋達也氏がマランツ#7を特注のコンソールに組み入れているのをうらやましく思っていました。当時の価格は165,000円です。大卒の初任給の丁度10倍でした。今だと200万円のプリになるのでしょうか。その頃は、オーディオにそれだけつぎ込める人は少なく、オーディオは優先順位がまだ低かった頃です。何といってもテレビや洗濯機、そして普及しはじめたクーラーが先でしょう。何しろお蕎麦が25円、ラーメンが35円の時代です。外国製の高級プリアンプなど文字通り高嶺の花でした。その頃はやったのがそういう高級機機をならしていた喫茶店です。中野や荻窪にありました。荻窪の南口にあったそのお店では、フェアチャイルドのプレーヤーがなっていたように記憶します。他にも、ステレオサウンドの初期の頃や、ラジオ技術社の「ステレオ芸術」や音楽之友社の「ステレオのすべて」も沢山出てきました。
久しぶりに読み返してみると、すべてがつい昨日のように思えます。特にその頃垂涎の的だった機器に現在囲まれているのは、時代の流れとはいえ不可思議です。40年も50年も何も進歩がないのですから。でも、聴いている音楽は200年も300年も前のクラシックだし、録音でさえ、50年前のレコードを今も聴いているわけですから、何も不思議ではないのかも知れません。そうやって何十年も生き延びていく物こそ真に価値があるからです。現在大事にしているレコードはその頃録音された物ばかりです。カルショーやクレンペラー、ベームの録音記事が紹介されていました。
by TANNOY-GRF
| 2008-11-09 23:18
| オーディオ雑感
|
Comments(5)
Commented
by
hiablm2
at 2008-11-10 01:07
x
私の高校生時代は、友人が雑誌を見ながらアルミのシャーシに穴を開けて真空管のラジオやアンプを作っていました。
私も始めましたが、結局当時出始めたドカベン(弁当箱)サイズのトランジスタラジオを買って、岐阜の地で東京や大阪の深夜放送(AM)を聴く方になりました。
オーディオ装置を手にいれたのは働き始めてからで、納得する組み合わせにしたかったものの、安月給のためにあきらめた機種もありました。
数種類もっていたレコード針の交換時期を知るために、それぞれの針でかけたレコードの枚数を記録していた時代です。
とても懐かしいです。
私も始めましたが、結局当時出始めたドカベン(弁当箱)サイズのトランジスタラジオを買って、岐阜の地で東京や大阪の深夜放送(AM)を聴く方になりました。
オーディオ装置を手にいれたのは働き始めてからで、納得する組み合わせにしたかったものの、安月給のためにあきらめた機種もありました。
数種類もっていたレコード針の交換時期を知るために、それぞれの針でかけたレコードの枚数を記録していた時代です。
とても懐かしいです。
Commented
by
GRFの部屋
at 2008-11-10 08:24
x
アルミのシャーシーを開けるリーマーが欲しくて工具屋さんを捜した物です。開けられる厚みに限界がありました。強固なシャーシーが欲しくても外注は高いし、自分で作ったことにならないとあきらめていたことを思い出します。
サファイアはやはり減っていましたが、ダイヤモンドの針は、ダンパー以外は、減らないのではないかと思うまで随分掛かりました。汚れがこびりつき音が劣化しているように聞こえるのではないでしょうか?100倍のルーペで見て確認してからは、殆ど変えていません。
サファイアはやはり減っていましたが、ダイヤモンドの針は、ダンパー以外は、減らないのではないかと思うまで随分掛かりました。汚れがこびりつき音が劣化しているように聞こえるのではないでしょうか?100倍のルーペで見て確認してからは、殆ど変えていません。
Commented
at 2008-11-16 10:37
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2008-11-16 11:02
mimoriさん、初めまして。QUADのESLをお使いですか?
その頃も余り、Quadの記事は少なかったように記憶しています。残念ながら昔はラジオ技術誌を購読していたので、初期のステレオサウンド誌は余り持っていません。
ESLは湿気対策や駆動するアンプを選びますから大変ですね。
その頃も余り、Quadの記事は少なかったように記憶しています。残念ながら昔はラジオ技術誌を購読していたので、初期のステレオサウンド誌は余り持っていません。
ESLは湿気対策や駆動するアンプを選びますから大変ですね。
Commented
by
mimori
at 2008-11-16 23:34
x
突然の御連絡に回答いただきありがとうござました。
>ESLは湿気対策や駆動するアンプを選びますから大変ですね。
ESLをjeffのcoherenceとゴールドムンドのMIMESIS18.4MEで奏でています。
普通は考えられない組み合わせなのですが,今のところ自分にとってベストな状態です。(33+303は休暇中です。)
>ESLは湿気対策や駆動するアンプを選びますから大変ですね。
ESLをjeffのcoherenceとゴールドムンドのMIMESIS18.4MEで奏でています。
普通は考えられない組み合わせなのですが,今のところ自分にとってベストな状態です。(33+303は休暇中です。)