2018年 01月 15日
Orisukeさんの実験 ② |
GRFさん
実験の続報です。
この数日は、寒波の襲来で家から外に出るのは難しい上に、家の中のS/Nは外に積もった雪のお陰で非常に良かったので久々のオーディオ三昧となりました。
実験機FE138ESRリバース(背面)スピーカーの調整をしながら鳴らしてきたのですが、この超強力ユニットは、良くも悪くも後ろから盛大に音が出るうえに背面の高音がかなり強く、リバースで使っても聴感上ハイ落ちが少ないことが分かりました。これは音場型としてリバース使用するための必要条件ですが、逆に言えば通常の利用では箱の中で高音を減衰させる手段を積極的に講じないと、前に出る高域が暴れたり音が濁ったりする要因になります。このユニットが「難物」として多くのスピーカー制作者を困惑させてきた原因はこれでしょう。高能率フルレンジのアコサスは低域伸長だけでなく、ピーキーなユニットで高域を聴きやすくする効果も伴っていることが分かりました。
↓FE138ES-Rをリバース使用した際のF特。中心から約50cmピンクノイズ。緩いカマボコ型ですが2m程度離れたリスニングポジションでも聴感上ハイ落ちの感じはしません。通常の使用ではハイ上がりのユニットが、リバース使用では聴きやすい特性に早変わりします。分割振動により2kHz以上に3つ存在した明瞭なピークはリバース使用で完全に消滅しています。
強力ユニットのリバース使用による音場型スピーカーの自作についての可能性についていくつか考えてみました。FE138ESは多くの購入者が使い切れずに死蔵しているので、これを持っている人はリバース使用の音場型にトライしてみる価値が充分に有ります。可能性は以下の4つ。
1:小容量の密閉箱を使ったアコースティックサスペンション方式+スーパーウーファーの組み合わせ ←これが今回の実験。スーパーウーファーは150-200Hzで繋がります。モアイの16cmタンデム型サブウーファーの流用がスピード感的にもマッチングが良いでしょう。小さな箱をガチガチの補強で作るだけなので非常に楽で、得るものは大きいです。
2:鳥形バックロードホーン ←FE138の取説についている「ターキー」の音道設計を使い、ヘッドを上向きに改造する。これはすでにフォステクスが試作したものを流用するので多分成功するでしょうし音場型の理想に最も近いものになる可能性があります。
3:ブックシェルフ型バックロードホーン ← D-10「バッキー」の幅を2割ほど広げて空気室を上向きに変更する。もしくはD102(FE106Σ用)を拡張してスロート断面積60cm^2程度とし空気室を上向きにする(↓これだとユニコーンそっくりになる)。
4:タンデム対向使用とし、2つのユニットの間に小容量のアコサス密閉箱を挟むトロバドール80タイプ ←タンデムにした場合の高域の干渉、アコサスの効きなど未知の要素が多くあり、失敗のリスクがありますが非常に魅力的。138ESRが中古でもう一組手に入れば、その内やってみようと思います。
ただ、FE138ESRは限定ユニットで高価なので、4本使えば15万円。新たに作る人が気楽に試す代物ではないでしょう。リバース使用で気楽に音場型スピーカーに使うことの出来る市販ユニットはないかと探してみました。20cmまで大きくしてしまうと、間違えなくハイ落ちになるのでリバース使用は無理。最近のフルレンジは大人しいタイプがほとんどなので、これらを使うと多分失敗します。
海外製も含めて10cmから18cmを検索してみましたが、唯一入手性の良いレギュラーモデルで使えると考えたのは、FostexのFE126Enという12cmユニットです。公称の能率は93dBですが2kHz以上にそれを大きく超える山が3つあるところはFE138ESと同じ。山の一つは100dBに届いています。マグネットはフレームをはみ出すほど大きく、Q0は0.3とオーバーダンピング。案の定、ユーザーからは「高域が鋭くて使いにくい」という声が上がっています(笑)。一本5000円強。これなら気楽に作れます。後日、試してみる予定です。
Orisuke
by TANNOY-GRF
| 2018-01-15 08:52
| 行ったり来たり
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