2009年 06月 24日
部屋との相関関係-3 |
以前も書きましたが、部屋との相関関係のきっかけは復帰前の香港でした。もう15年以上前の事ですが、今でもはっきりと思い出します。九龍半島の先端の尖沙咀のフェリー乗り場の近くに海洋中心(オーシャンセンター)と呼ばれる円形のビルに、その頃はオーディオ店が沢山入っていました。その中の一件にJeff Rowlandの代理店がありました。中には大きな試聴室があり、ジェフの一連の商品と部屋の中央付近に平行にはAvalonの大きなSPが平行で置かれていました。初めて見るSP配置です。こんなに壁から離して大丈夫なのかと思われるほど離れていました。
しかし、鳴った音を聴いて、同行のオーディオの先輩と顔を見合わせました。今まで聴いた再生音としては、もっともリアリティがあり素晴らしい音だったからです。SPが完全に消えて、その部屋がコンサートホールにトランスポートしています。高音が低音がというような次元は完全に超えてまさにその会場にいる感じです。会場の暗騒音さえ生々しく再現されています。一番近い経験はスタックスのイアースピーカーできいたバイノラール録音でしょうか?それに実在感のある低音がおなかに響いている。もしくは巨大なヘッドフォーンの中に入りでも音は前方から聴こえてくるという不思議な感覚でした。
日本のオーディオ店では一度も聴いた事は無いし、全く初めての音場でした。同行の先輩は20年近くオールホーンシステムのゴトーユニットを使用して、マルチアンプで5ウェイを駆動していました。二人でゴトーユニットの先達のお宅も数多く訪問していますし、高城先生のお宅でも聴かせていただきました。しかし、ホーンシステムでは立体感と奥行きがよく再現されません。また日本中のオーディオ店も可能な限り訪れていましたが、このような実在感があり、迫力のある音は聴いた事はありません。いろいろな分野のCDを聴かせてもらいました。持参したCDも聴きましたが、これが同じCDかと思うほどの差です。
ショックが過ぎると何がこの差を出しているのだろうと考え始めました。もちろん、一番の差はAvalonでしょう。モデルネームは忘れましたが、その頃の一番大きなモデルです。低音の出方が尋常ではありません。部屋の大きさは30畳ぐらいだったでしょうか、CDプレーヤーはMeridianだった様に記憶しています。接続の各コードはMITの最高級グレード。アンプはすべてJeff Rowlandです。ConherenceのプリにModel 9のモノブロックでした。いずれも重量級です。訊いてみると電源を独立してアイソレートして使用しているとの事でした。この迫力をなんとか日本まで持って帰りたいと思いました。夕方食事をした時も、ホテルに帰っても話題をあの音をどうしたら再現できるかという事でした。何故、あのような実在感のある音がするかいろいろと話し合いました。
香港まで、二人で出かけたきっかけは、MITのケーブルの購入にありました。輸入品の場合、日本だけが価格が飛び抜けて高いからです。今でもその傾向は変わりませんが、アンプ類と違いケーブルならアフターの事も無いのでほぼ半値だったケーブルを買いに行ったのです。どうせ購入するなら差額で香港まで行く旅費と美味しい料理も全て賄えるからです。私はこのような音楽性のでる再生音はMIT特有の音だと思い、インターコネクトを二本と高価なSPケーブルを購入しました。同行の先輩は戻ってから熟慮して、Model 9 のモノラル構成のアンプに理由があると考え思い切って購入しました。香港から航空便で、大きな木箱が4つ送られてきた日の事は今でもおぼえています。
結果として、それなりに二人とも大きな進歩を遂げたのですが、香港で聴いたあの立体感のあるサウンドは復元できませんでした。電圧の所為だとか、部屋の大きさだとか、いろいろ考えたのですがその時点では本当の理由が解らなかったのです。その後家の改築計画があり、この経験から部屋の大きさの重要性を認識していたので、可能な限り大きくと願い現在の部屋を完成させました。当初この部屋は、GRFの部屋ではなくDynaudio のConsequenceを再現する為に設計されました。

というのも、後ろに空間を再現する為にはこの位置までSPが前に来ますから。Consequenceで実験を重ねて行くうちに、香港の音がどうして鳴っていたかがだんだん解ってきました。実は、高価なケーブルでもアンプでもなかったのです。SPの置く位置に依って音が変わるのです。それも同じSPとは思えないぐらいに!
SPの置く位置で、音が変わるのはよく知られていますし、動かせる範囲でも音の変化はでます。しかし問題は、どこの位置に置くのが正しいかです。独自の理論で部屋の中の位置を計るゲージまで販売されていますが、ゲージ通りに合わせてもそれだけでは鳴らず、様々なアクセサリーを買うはめになります。私もそうでしたがその過程でようやく見えてきた事があります。それは音の差は、頭の中の鼓膜間の距離で検知しているという事です。個人差はありますが、鼓膜間の距離はほぼ10センチです。たったそれだけの距離の音の差を感知してステレオ像を結んでいます。音は本能に近く眼より判断は正確です。ちなみに眼の距離は6.5センチほどですね。10センチの音の差は音速が340mですから、3400分の1秒の差を聞き分けられます。仮にスピーカーからの距離が、1メートルだったら、0.3ミリの位置の差が音の差として聴こえる訳です。左右のSPの位置の差はそのまま音の差として明確に聞き分けられるのです。モノの音源で音が中央に定位するように左右のSPの位置を調整するときに、本当に少しだけ触っただけで、音像がづれたりするのはその事からも解りますね。
また最近の研究では、人は10マイクロ秒(10万分の1秒)の差を感知できるそうです。そうなると、サンプリング周波数は、96KHz以上が必要になってきますね。クロックの精度の差を感知するのも無理の無い事です。聴覚の細胞は、通常の脳細胞間の伝達速度の100倍以上の早さで動くそうです。生物の根幹を支えている細胞だからでしょう。生物の細胞の中でももっとも精度の良い聴覚細胞が相手なので、なかなか音の差を測定器では計りにくいのでしょう。しかし、人間の聴覚がそこまで正確だからオーディオはテレビより面白いのです。
しかし、鳴った音を聴いて、同行のオーディオの先輩と顔を見合わせました。今まで聴いた再生音としては、もっともリアリティがあり素晴らしい音だったからです。SPが完全に消えて、その部屋がコンサートホールにトランスポートしています。高音が低音がというような次元は完全に超えてまさにその会場にいる感じです。会場の暗騒音さえ生々しく再現されています。一番近い経験はスタックスのイアースピーカーできいたバイノラール録音でしょうか?それに実在感のある低音がおなかに響いている。もしくは巨大なヘッドフォーンの中に入りでも音は前方から聴こえてくるという不思議な感覚でした。
日本のオーディオ店では一度も聴いた事は無いし、全く初めての音場でした。同行の先輩は20年近くオールホーンシステムのゴトーユニットを使用して、マルチアンプで5ウェイを駆動していました。二人でゴトーユニットの先達のお宅も数多く訪問していますし、高城先生のお宅でも聴かせていただきました。しかし、ホーンシステムでは立体感と奥行きがよく再現されません。また日本中のオーディオ店も可能な限り訪れていましたが、このような実在感があり、迫力のある音は聴いた事はありません。いろいろな分野のCDを聴かせてもらいました。持参したCDも聴きましたが、これが同じCDかと思うほどの差です。
ショックが過ぎると何がこの差を出しているのだろうと考え始めました。もちろん、一番の差はAvalonでしょう。モデルネームは忘れましたが、その頃の一番大きなモデルです。低音の出方が尋常ではありません。部屋の大きさは30畳ぐらいだったでしょうか、CDプレーヤーはMeridianだった様に記憶しています。接続の各コードはMITの最高級グレード。アンプはすべてJeff Rowlandです。ConherenceのプリにModel 9のモノブロックでした。いずれも重量級です。訊いてみると電源を独立してアイソレートして使用しているとの事でした。この迫力をなんとか日本まで持って帰りたいと思いました。夕方食事をした時も、ホテルに帰っても話題をあの音をどうしたら再現できるかという事でした。何故、あのような実在感のある音がするかいろいろと話し合いました。
香港まで、二人で出かけたきっかけは、MITのケーブルの購入にありました。輸入品の場合、日本だけが価格が飛び抜けて高いからです。今でもその傾向は変わりませんが、アンプ類と違いケーブルならアフターの事も無いのでほぼ半値だったケーブルを買いに行ったのです。どうせ購入するなら差額で香港まで行く旅費と美味しい料理も全て賄えるからです。私はこのような音楽性のでる再生音はMIT特有の音だと思い、インターコネクトを二本と高価なSPケーブルを購入しました。同行の先輩は戻ってから熟慮して、Model 9 のモノラル構成のアンプに理由があると考え思い切って購入しました。香港から航空便で、大きな木箱が4つ送られてきた日の事は今でもおぼえています。
結果として、それなりに二人とも大きな進歩を遂げたのですが、香港で聴いたあの立体感のあるサウンドは復元できませんでした。電圧の所為だとか、部屋の大きさだとか、いろいろ考えたのですがその時点では本当の理由が解らなかったのです。その後家の改築計画があり、この経験から部屋の大きさの重要性を認識していたので、可能な限り大きくと願い現在の部屋を完成させました。当初この部屋は、GRFの部屋ではなくDynaudio のConsequenceを再現する為に設計されました。

SPの置く位置で、音が変わるのはよく知られていますし、動かせる範囲でも音の変化はでます。しかし問題は、どこの位置に置くのが正しいかです。独自の理論で部屋の中の位置を計るゲージまで販売されていますが、ゲージ通りに合わせてもそれだけでは鳴らず、様々なアクセサリーを買うはめになります。私もそうでしたがその過程でようやく見えてきた事があります。それは音の差は、頭の中の鼓膜間の距離で検知しているという事です。個人差はありますが、鼓膜間の距離はほぼ10センチです。たったそれだけの距離の音の差を感知してステレオ像を結んでいます。音は本能に近く眼より判断は正確です。ちなみに眼の距離は6.5センチほどですね。10センチの音の差は音速が340mですから、3400分の1秒の差を聞き分けられます。仮にスピーカーからの距離が、1メートルだったら、0.3ミリの位置の差が音の差として聴こえる訳です。左右のSPの位置の差はそのまま音の差として明確に聞き分けられるのです。モノの音源で音が中央に定位するように左右のSPの位置を調整するときに、本当に少しだけ触っただけで、音像がづれたりするのはその事からも解りますね。
また最近の研究では、人は10マイクロ秒(10万分の1秒)の差を感知できるそうです。そうなると、サンプリング周波数は、96KHz以上が必要になってきますね。クロックの精度の差を感知するのも無理の無い事です。聴覚の細胞は、通常の脳細胞間の伝達速度の100倍以上の早さで動くそうです。生物の根幹を支えている細胞だからでしょう。生物の細胞の中でももっとも精度の良い聴覚細胞が相手なので、なかなか音の差を測定器では計りにくいのでしょう。しかし、人間の聴覚がそこまで正確だからオーディオはテレビより面白いのです。
by TANNOY-GRF
| 2009-06-24 05:42
| オーディオ雑感
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