2009年 06月 28日
部屋との相関関係-5 |
小型のSPを用意するのは、移動が簡単だからです。音質は余り気にしません。出来ればシングルコーンタイプの方がより解りやすいですが、2ウェイタイプでも一向に構いません。部屋のどこに置いたら一番楽な音が出るかを探す為ですから。PC用に使っている超小型のSPなどで実験されると余りの音の差に驚かれるかも知れません。
調整方法は、双眼鏡の調整に似ています。最初は左右の間隔です。双眼鏡は眼の間隔に合わせますが、SPの場合は与えられた部屋の中でどこまで広げられるかを聴いてみます。調整はモノラルのCDを用意すると簡単です。それも高音のきれいな女性ボーカルが解りやすいです。そのCDを再生しながら左右の間隔を広げて行きます。中抜けを起さなければ目一杯広げてください。左右の壁に近づけすぎると影響が出ますが、壁から40〜50センチ離れていれば問題ありません。小さな部屋でステレオの立体感を目一杯楽しむには、部屋の長辺方向を使用された方がいい結果が出ます。
ボーカルの声が中央に定位して最大限に広げた位置を目安に、左右の間隔を狭めたり広げたりして、音質の変化が無い素直に音が出る間隔を決めてください。広げすぎると音にまとまりが無くなります。左右の間隔が決まったらその位置に床に紙テープなどを張ると間隔を崩さず、簡単に前後に移動する事が出来ますね。
左右の間隔が決まったら部屋の前後です。双眼鏡ではピントの調整ですね。普通は後ろの壁際に置かれていますが、思い切って部屋の中央まで前に出してください。SPの前面を部屋の中央線に当てるように位置決めをします。SPは必ず平行で前後します。内振りにすると角度の微妙な差で位置関係が変わりますので。部屋の中央部1/2のところ、1/3のところ、1/4所のところと置き場所を変えて聴いています。低音の変化が大きく変わると思います。
そこからはカットアンドトライです。その部屋で一番楽に低音が出てくる場所を探します。後ろの壁からの反射と横の壁からの反射で探します。ある点が決まったら、もとの場所との一対の比較を行います。そうして調整する幅を狭めて行くのです。後面に音場を作る場合は、SPはなるべく前の方が有利です。後ろの壁から離すと低音が軽くなります。今までは壁の反射で3db上昇していたからです。一旦自由空間に出ると低音の反射が少なくなり音の基準が見えてきます。
SPを置く位置により大幅に音像や音場が変わるのが経験できると思います。以前もSPの置き方を書いた事があります。交差法と平行法です。今ご説明している方法は、平行法です。SPの後方に音場が出現します。音場が出現すると前に置いたSPから音が出なくなる地点があるのです。その場所を見つけていただくのが文字通り調整のポイントです。
SPを自由空間に大きく動かすと、位置が少し変わるだけで音の出方が変わるのが経験できます。場所の目安は、自然に低音楽器がなるところです。静かに低音部がなる、例えば未完成交響曲の冒頭だとか、幻想交響曲などで調整されると解りやすいのですが、あるポイントにはいるとそれらの音が楽々と鳴る場所があるのです。小さなPC用のモニターSPでも大きく変わります。低音が楽に出る時点が、その部屋での打ち消しポイントが一番少ない場所になります。それ以外のところでは、出た音が壁からの反射で打ち消されているのです。壁に近いところほどその影響が出ます。
実はSPばかりではなく、アンプ類も置き場所によって違うのを気がつかれている方もおられるでしょう。壁際に置く時と20センチぐらい離した時では全く違いますね。敏感なアンプでしたら、置き場所が1センチずれただけで音が変わります。
さて、音がストレス無くなる場所を見つけられましたか?時には目の前1メートルぐらいの場合もありますね。そして目の前にSPがあるのに音は後ろの方から聴こえてきたりします。そのピントが合う場所を見つけたら、最後は左右の音の差を合わせます。これが一番大事です。ピントが合えば合ってくるほど、少しの差が気になり始めます。調整にはまたモノラルの音源を使います。基本は平行ですから、床の板目などを基準にしてまず平行を出します。左右のSPの真ん中に立って、音が中央に定位するかを確かめます。10センチぐらいずれているのが普通です。そこで左右のSPの前後を1mm単位で動かして調整します。ぴったりと真ん中に合えば良いのですが、ときとして左右の壁の影響などで前後だけでは中央に定位しない時があります。そんな時は、音のずれているのと反対側のSPを気持ち内側に向けます。(例:中央部左側に10センチずれている時は、右側のSPを本当に少し、触る程度で音像が戻ります)
そして、大事なのは、中央に定位した音像がモノラルの奥行きが出ていなければなりません。すなわち中央に定位した音がそこを中心に立体的な像を出している筈です。それが平面的だとモノラルとしての奥行きの再現が出ていません。しかし、厳密にはモノラルは一本のSpで再現するべきです。ステレオ用の二本では本来のモノフォニックサウンドは出ません。そこを認識してください。しかし、いまはステレオでの音場の再現用に左右のピント差を調整しているので、モノフォニックの再生とは違います。
そこまで、モノのCDを使って調整が出来たら、いよいよステレオで再生してみてください。左右のバランスが合うとSPの存在が消えて、堂々としたホールでの音が再現できている筈です。
調整方法は、双眼鏡の調整に似ています。最初は左右の間隔です。双眼鏡は眼の間隔に合わせますが、SPの場合は与えられた部屋の中でどこまで広げられるかを聴いてみます。調整はモノラルのCDを用意すると簡単です。それも高音のきれいな女性ボーカルが解りやすいです。そのCDを再生しながら左右の間隔を広げて行きます。中抜けを起さなければ目一杯広げてください。左右の壁に近づけすぎると影響が出ますが、壁から40〜50センチ離れていれば問題ありません。小さな部屋でステレオの立体感を目一杯楽しむには、部屋の長辺方向を使用された方がいい結果が出ます。
ボーカルの声が中央に定位して最大限に広げた位置を目安に、左右の間隔を狭めたり広げたりして、音質の変化が無い素直に音が出る間隔を決めてください。広げすぎると音にまとまりが無くなります。左右の間隔が決まったらその位置に床に紙テープなどを張ると間隔を崩さず、簡単に前後に移動する事が出来ますね。
左右の間隔が決まったら部屋の前後です。双眼鏡ではピントの調整ですね。普通は後ろの壁際に置かれていますが、思い切って部屋の中央まで前に出してください。SPの前面を部屋の中央線に当てるように位置決めをします。SPは必ず平行で前後します。内振りにすると角度の微妙な差で位置関係が変わりますので。部屋の中央部1/2のところ、1/3のところ、1/4所のところと置き場所を変えて聴いています。低音の変化が大きく変わると思います。
そこからはカットアンドトライです。その部屋で一番楽に低音が出てくる場所を探します。後ろの壁からの反射と横の壁からの反射で探します。ある点が決まったら、もとの場所との一対の比較を行います。そうして調整する幅を狭めて行くのです。後面に音場を作る場合は、SPはなるべく前の方が有利です。後ろの壁から離すと低音が軽くなります。今までは壁の反射で3db上昇していたからです。一旦自由空間に出ると低音の反射が少なくなり音の基準が見えてきます。
SPを置く位置により大幅に音像や音場が変わるのが経験できると思います。以前もSPの置き方を書いた事があります。交差法と平行法です。今ご説明している方法は、平行法です。SPの後方に音場が出現します。音場が出現すると前に置いたSPから音が出なくなる地点があるのです。その場所を見つけていただくのが文字通り調整のポイントです。
SPを自由空間に大きく動かすと、位置が少し変わるだけで音の出方が変わるのが経験できます。場所の目安は、自然に低音楽器がなるところです。静かに低音部がなる、例えば未完成交響曲の冒頭だとか、幻想交響曲などで調整されると解りやすいのですが、あるポイントにはいるとそれらの音が楽々と鳴る場所があるのです。小さなPC用のモニターSPでも大きく変わります。低音が楽に出る時点が、その部屋での打ち消しポイントが一番少ない場所になります。それ以外のところでは、出た音が壁からの反射で打ち消されているのです。壁に近いところほどその影響が出ます。
実はSPばかりではなく、アンプ類も置き場所によって違うのを気がつかれている方もおられるでしょう。壁際に置く時と20センチぐらい離した時では全く違いますね。敏感なアンプでしたら、置き場所が1センチずれただけで音が変わります。
さて、音がストレス無くなる場所を見つけられましたか?時には目の前1メートルぐらいの場合もありますね。そして目の前にSPがあるのに音は後ろの方から聴こえてきたりします。そのピントが合う場所を見つけたら、最後は左右の音の差を合わせます。これが一番大事です。ピントが合えば合ってくるほど、少しの差が気になり始めます。調整にはまたモノラルの音源を使います。基本は平行ですから、床の板目などを基準にしてまず平行を出します。左右のSPの真ん中に立って、音が中央に定位するかを確かめます。10センチぐらいずれているのが普通です。そこで左右のSPの前後を1mm単位で動かして調整します。ぴったりと真ん中に合えば良いのですが、ときとして左右の壁の影響などで前後だけでは中央に定位しない時があります。そんな時は、音のずれているのと反対側のSPを気持ち内側に向けます。(例:中央部左側に10センチずれている時は、右側のSPを本当に少し、触る程度で音像が戻ります)
そして、大事なのは、中央に定位した音像がモノラルの奥行きが出ていなければなりません。すなわち中央に定位した音がそこを中心に立体的な像を出している筈です。それが平面的だとモノラルとしての奥行きの再現が出ていません。しかし、厳密にはモノラルは一本のSpで再現するべきです。ステレオ用の二本では本来のモノフォニックサウンドは出ません。そこを認識してください。しかし、いまはステレオでの音場の再現用に左右のピント差を調整しているので、モノフォニックの再生とは違います。
そこまで、モノのCDを使って調整が出来たら、いよいよステレオで再生してみてください。左右のバランスが合うとSPの存在が消えて、堂々としたホールでの音が再現できている筈です。
by TANNOY-GRF
| 2009-06-28 12:03
| オーディオ雑感
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Comments(15)
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(Y)
at 2009-06-28 17:04
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スピーカー・セッティングのノウハウ大公開ですね。このシリーズはこれまでの数十年(半世紀以上?)に渡る経験と実践のお話で、大変勉強になります。コピペしプリントアウトして、永久保存版にしておくことに致しましょう。ところで、これまた小さなSPが初お目見えですね。気になるなあ(笑)。
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TANNOY-GRF at 2009-06-28 21:54
(Y)さん、これだけ書いても、なかなか伝わらないのは、当方の筆力が弱いのか、はたまた、生の音を聴いた経験が少ないのかですね。
小さなSPは瓢箪からコマです。お化粧して出るとあっと驚く優れものですよ(笑)
小さなSPは瓢箪からコマです。お化粧して出るとあっと驚く優れものですよ(笑)
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(Y)
at 2009-06-28 23:52
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いえいえ、心ある方々にはずっしりと伝わっていることと思いますよ。ただ、良質の生演奏を体験するというのはなかなか難しい時代になっているのは事実です。話は変わって、ようやくStuder B-62のメンテが終わった様です。我が家にやって来るのもそう遠くないようです。ところでGRFさんのB-62は例のスペシャルNagraと違って、オリジナルの2tr38cm/sec.のままでしたよね。
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TANNOY-GRF at 2009-06-29 03:59
そうです。オリジナルの2tr.の19/38cm/sec.ですが、ひょっとして4tr.も掛かるのですか?!
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(Y)
at 2009-06-29 09:43
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いえいえ、GRFさんのことですから、B-62にもなにか仕掛けがあるのかなと思いまして(笑)。
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GRFの部屋
at 2009-06-29 12:49
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さすがにStuderはそのまま使っています(笑)。オーバーホールもしっかりやってありますから、本来の音がでていると思います。
重量級とはこのような音の事を言うのですね。
いよいよ(Y)さんのお宅にお伺いしなければなりません。
重量級とはこのような音の事を言うのですね。
いよいよ(Y)さんのお宅にお伺いしなければなりません。
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UNICORN
at 2009-06-29 12:51
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>音のずれているのと反対側のSPを気持ち内側に向けます。(例:中央
>部左側に10センチずれている時は、右側のSPを本当に少し、触る程
>度で音像が戻ります)
この辺りの手順は本当に貴重な情報だと思います、昨日もOさんと、この辺りの話をそうだそうだ・・と言いながら、ベチャクチャやってました!!
ところであの何か変な入れ物を見て、連載中・・・10cmのSpeakerでも・・・の記述の潜在認識理由を知ることになりました!!
>部左側に10センチずれている時は、右側のSPを本当に少し、触る程
>度で音像が戻ります)
この辺りの手順は本当に貴重な情報だと思います、昨日もOさんと、この辺りの話をそうだそうだ・・と言いながら、ベチャクチャやってました!!
ところであの何か変な入れ物を見て、連載中・・・10cmのSpeakerでも・・・の記述の潜在認識理由を知ることになりました!!
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GRFの部屋
at 2009-06-29 13:01
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実はこれは8センチです。上も下も無いのですが、スイートスポットに入ると、これが結構聴けるのです。実験用ですが、、。
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Y
at 2009-07-01 21:04
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旅行に行く前は、コアキシャルをセットしてあったのですが、帰るとその日のうちに、GRFを戻しました。旅行から帰ったら大幅に機器を整理するつもりだったのですが、そうはなりそうにありません。音楽を贅沢に聴ける環境がとてもありがたく感じています。GRFさんは僻地には行かれないようですが、旅行から帰るとシステムに変化があるようなことはありませんか。
BOSE101で部屋との相関関係を試しています。
BOSE101で部屋との相関関係を試しています。
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GRFの部屋
at 2009-07-02 06:37
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お帰りなさい!
私は余り僻地には行きませんが、中国の田舎にはよく行きます。人間というものはどこでも生きて行けるものだと感心します。
一週間以上音楽から離れていると、帰ってきてほっとします。ある特定の音色ではなく、音楽そのものを聴きたくなっていますね。
BOSEでの実験結果をお知らせください。少しだけ上向きにすると音が立ち上がりますよ。
私は余り僻地には行きませんが、中国の田舎にはよく行きます。人間というものはどこでも生きて行けるものだと感心します。
一週間以上音楽から離れていると、帰ってきてほっとします。ある特定の音色ではなく、音楽そのものを聴きたくなっていますね。
BOSEでの実験結果をお知らせください。少しだけ上向きにすると音が立ち上がりますよ。
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(Y)
at 2009-07-02 23:27
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本日、名古屋某店にて我が家に来るはずのB-62をチェックしてきました。とはいっても、ただ2tr38cm/sec.のテープを再生してもらっただけですが(笑)。間近でみるとデカイ! 持ち上げてみると重い! そして再生音は…。どうして音に重や質量を感じるのでしょうね。もちろん理屈では分かるのですが、不思議です。これで昔録り貯めたエアチェック音源を聴くことが出来ます。しかし我が家に来るのはいつになることやら。晴れてその日が来たら、B-62クラブでも発足させましょうか(笑)。
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GRFの部屋
at 2009-07-03 07:04
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B-62クラブですか!大型爆撃機愛好会見たい感じですね(笑)
一体何台残っているのでしょう?
あの重量感は、927にも感じますが、(Y)さんのびっしり詰まったお部屋のどこに入るのでしょうか?
一体何台残っているのでしょう?
あの重量感は、927にも感じますが、(Y)さんのびっしり詰まったお部屋のどこに入るのでしょうか?
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(Y)
at 2009-07-03 10:48
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そうなんです。大型重量機器ばかりが詰まっている6畳間に、さてはてどうやって埋め込むかがこれからのテーマです(笑)。
確かにB-62は大型爆撃機みたいですね。でもパネルのデザインは機能的でムダの無い業務用なので、民生器のようなゴテゴテ感が無く、スマートですね。ただ、存在感は凄いです。
確かにB-62は大型爆撃機みたいですね。でもパネルのデザインは機能的でムダの無い業務用なので、民生器のようなゴテゴテ感が無く、スマートですね。ただ、存在感は凄いです。
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min
at 2019-06-23 19:36
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どの位置で試聴するのでしょうか
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TANNOY-GRF at 2019-06-23 19:53
調整をするときは、SPの間隔を三角形の底辺とした、通常のステレオ用リスニングポイントです。そして、ピントが合うと、その中央の位置にかぎらずどこで聞いてもバランスの良い音がし始めます。