2010年 02月 13日
器の大きさ |
先日来、お借りしたマスターテープを聴き込んでいます。聴けば聴くほど考えさせられる事が大きくなって来ます。それは器の大きさと言う事です。レコードを作る元となるマスターテープの音が良い事は、当然解っていた事なのですが、実際にマスターテープから直にダビングされたものがここまで音がいいとは驚きでした。以前もマスターテープのコピー/ダブを聴いた事は何度かありますが、それが何度目のコピーだからは解りませんでした。他のメディアに変換するのと違って、テープ同士では、機械的な変換作業はありませんから、極めて質のよい複製が出来るのです。
私のテープの師匠であるCさんがいみじくも言われている様に『テレコ道(?)では昔からダビングは生録の次に重要なテクニックの一つです。いずれもきちんと整備されているマシンの場合、基本は、マスター(送り出し)に走行系も含めた最もグレードの高い機種、スレーブ(受け側)には同等か次に準ずるマシンとされています。』そして、テープのバイアス、送り出し側と受け取り側のレベルの設定。これが全てかもしれませんが、レベルによって音の振る舞いが変わります。ほとんど判らないレベルまでは近づきますが、全く同じにはやはりなりません。高音が低音がと言うレベルではなく、空気感が少しずつ希薄になって行くのです。言い換えるとオリジナルは、熱く厚い音がしています。しかし、そのテープ同士では通じ合えている音のフォルムそのままが、他のメディアに変換された時には、全く別もの次元に変わっているのには今更の様に驚かされます。
1950年代に発売されていた、2トラック19センチのミュージックテープはマスターテープに一番近い存在でした。ヒスとダイナミックレンジを除けばほとんど変わらないレベルで収録されていました。しかし、その後の4トラックになるとやはり情報量が半分以下ですから音の薄さが出て来ます。しかし、それでもレコードに比べるとカートリッジの影響やレコードの宿命の最低域の不自然さから逃れていて、定位のすばらしさは比較にならないのですが、、、。
でもそれらの製造工程で行った何回の複製が行なわれている事でしょう。
1.収録時のオリジナルテープ
2.編集用のマスターテープ
3.完成したマスターテープ
4.レコードカッティング用のテープ
5.プレス用に送られる4のコピー
6.レコードカッティング ラッカー
7.凸版 ファーザー盤(メタルマスター)
8.凹板 マザー盤
9.凸版 スタンパー
10.ようやくレコード完成
CDの製造工程もほとんど同じです。実際に自分でCDを製作してみて解ったことは、最後の製造部門。レコード製作ではカッティング部門とスタンパー製作部門)での音質の劣化が一番大きいと言う事でした。寿命は短いかもしれませんが、CD-Rで直接焼いた盤はいわゆるデジタル特有のキツい音がしません。ですから、今回のマスターテープからの直接ダビングがどれほどの音質であるかお解りいただけると思います。この音を聴いた友人達は一応に『オーディオは入力にある。貧弱な入力を補う為にオーディオに無駄な金を費やす事は無い!』といいます。今まで散々オーディオにそれもヴィンテージ品につぎ込んで家のSD05を安っぽいと非難して来た人が言うのですから愉快ではありませんか!
38/2トラの音は、オーディオ装置を問わない迫力のある情報が詰まった音なのです。ダイナミックレンジ一つとっても思わずボリュームに手が行く様な広大な音場が広がります。多少の定位のズレなどおかまいなく音楽が満ちて来ます。
この音を聞かれた(Y)さんからの私信に、
いやはや、まったくもう、何と言って良いか(笑)。
凄い迫力と、ステレオ音場に圧倒されました。
それとテープ独特の濃い芯のある音ですね。それにダイナミックレンジが広いこと!
さすが2/38は底なし沼みたいなところがあります。
集合住宅ではとても夜にはその実力が半分も発揮できませんね。
特にクラシックのオーケストラは突然ドカーン! ときますから、
ずっとプリのボリュームに手を置いて聴いていました(笑)。
時々あまりの生々しさにハッと顔を何度も上げました。
このテープは人を驚かすのに最適です。
情報量とダイナミックレンジのある音はこういう音のことを言うのでしょう。もし、全てのレコード録音がこの水準で収録されているとしたら、今までのレコードやテープは、むろんCDもはたまたSACDも何だったんだ?と言わざるを得ませんね。
私のテープの師匠であるCさんがいみじくも言われている様に『テレコ道(?)では昔からダビングは生録の次に重要なテクニックの一つです。いずれもきちんと整備されているマシンの場合、基本は、マスター(送り出し)に走行系も含めた最もグレードの高い機種、スレーブ(受け側)には同等か次に準ずるマシンとされています。』そして、テープのバイアス、送り出し側と受け取り側のレベルの設定。これが全てかもしれませんが、レベルによって音の振る舞いが変わります。ほとんど判らないレベルまでは近づきますが、全く同じにはやはりなりません。高音が低音がと言うレベルではなく、空気感が少しずつ希薄になって行くのです。言い換えるとオリジナルは、熱く厚い音がしています。しかし、そのテープ同士では通じ合えている音のフォルムそのままが、他のメディアに変換された時には、全く別もの次元に変わっているのには今更の様に驚かされます。
1950年代に発売されていた、2トラック19センチのミュージックテープはマスターテープに一番近い存在でした。ヒスとダイナミックレンジを除けばほとんど変わらないレベルで収録されていました。しかし、その後の4トラックになるとやはり情報量が半分以下ですから音の薄さが出て来ます。しかし、それでもレコードに比べるとカートリッジの影響やレコードの宿命の最低域の不自然さから逃れていて、定位のすばらしさは比較にならないのですが、、、。
でもそれらの製造工程で行った何回の複製が行なわれている事でしょう。
1.収録時のオリジナルテープ
2.編集用のマスターテープ
3.完成したマスターテープ
4.レコードカッティング用のテープ
5.プレス用に送られる4のコピー
6.レコードカッティング ラッカー
7.凸版 ファーザー盤(メタルマスター)
8.凹板 マザー盤
9.凸版 スタンパー
10.ようやくレコード完成
CDの製造工程もほとんど同じです。実際に自分でCDを製作してみて解ったことは、最後の製造部門。レコード製作ではカッティング部門とスタンパー製作部門)での音質の劣化が一番大きいと言う事でした。寿命は短いかもしれませんが、CD-Rで直接焼いた盤はいわゆるデジタル特有のキツい音がしません。ですから、今回のマスターテープからの直接ダビングがどれほどの音質であるかお解りいただけると思います。この音を聴いた友人達は一応に『オーディオは入力にある。貧弱な入力を補う為にオーディオに無駄な金を費やす事は無い!』といいます。今まで散々オーディオにそれもヴィンテージ品につぎ込んで家のSD05を安っぽいと非難して来た人が言うのですから愉快ではありませんか!
38/2トラの音は、オーディオ装置を問わない迫力のある情報が詰まった音なのです。ダイナミックレンジ一つとっても思わずボリュームに手が行く様な広大な音場が広がります。多少の定位のズレなどおかまいなく音楽が満ちて来ます。
この音を聞かれた(Y)さんからの私信に、
いやはや、まったくもう、何と言って良いか(笑)。
凄い迫力と、ステレオ音場に圧倒されました。
それとテープ独特の濃い芯のある音ですね。それにダイナミックレンジが広いこと!
さすが2/38は底なし沼みたいなところがあります。
集合住宅ではとても夜にはその実力が半分も発揮できませんね。
特にクラシックのオーケストラは突然ドカーン! ときますから、
ずっとプリのボリュームに手を置いて聴いていました(笑)。
時々あまりの生々しさにハッと顔を何度も上げました。
このテープは人を驚かすのに最適です。
情報量とダイナミックレンジのある音はこういう音のことを言うのでしょう。もし、全てのレコード録音がこの水準で収録されているとしたら、今までのレコードやテープは、むろんCDもはたまたSACDも何だったんだ?と言わざるを得ませんね。
by TANNOY-GRF
| 2010-02-13 09:59
| オーディオ雑感
|
Comments(7)
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UNICORN
at 2010-02-13 11:34
x
今回GRFさんが色々実験されている、Tape->Digital化作業により、漸く、過去の複製による劣化のAudio史から漸く、Original
Masterに一番近いソース(かってCDが登場した時は、しきりに
そう宣伝されたものですが・・・)で鑑賞出来る時代が身近に迫りつつあると思えば、このブログ内容も楽しく読めます!?
Masterに一番近いソース(かってCDが登場した時は、しきりに
そう宣伝されたものですが・・・)で鑑賞出来る時代が身近に迫りつつあると思えば、このブログ内容も楽しく読めます!?
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TANNOY-GRF at 2010-02-13 11:44
>このブログ内容も楽しく読めます!?
私は、嘆き悲しんで、そして怒っています。
この音質に比べると、いままでいかに営利目的とはいえ、劣った品質のものを何度も何度も出して、その為に無垢?な愛好家を裏切り、また期待を求めさせる行為は、奴隷商人のように悪辣なやり方ではなかろうかと怒っているのです(笑)。
私は、嘆き悲しんで、そして怒っています。
この音質に比べると、いままでいかに営利目的とはいえ、劣った品質のものを何度も何度も出して、その為に無垢?な愛好家を裏切り、また期待を求めさせる行為は、奴隷商人のように悪辣なやり方ではなかろうかと怒っているのです(笑)。
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(Y)
at 2010-02-13 14:02
x
LPはオリジナルとそれ以外の音質差があまりにも大きいのに比べ、SPやEPはテープ同様にあまり再発との差がないように思います。こう考えると、LPから何やらおかしくなったんですね。自分の場合はそのようなことから必然的にまずCDから離れ、今やLPに手を伸ばすことすら稀になってきました。舌(味覚)と同様に耳(聴覚)も一度美味しいものを食べたら後戻りできませんね。反対にハンバーガーばかり食べていると…という話が今のオーディオにダブって見えます(笑)。
あと、さも高級そうなお店で、でかい立派な和食器にほんのちょっとだけ刺身を盛って、なんてところがありますが、これもまた似てますね。
あと、さも高級そうなお店で、でかい立派な和食器にほんのちょっとだけ刺身を盛って、なんてところがありますが、これもまた似てますね。
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TANNOY-GRF at 2010-02-13 23:16
>舌(味覚)と同様に耳(聴覚)も一度美味しいものを食べたら後戻りできませんね。
音の美食家にはなりたいですね。痛風の心配はなさそうだし(笑)。
>反対にハンバーガーばかり食べていると…という話が今のオーディオにダブって見えます(笑)。
昔、アメリカの街のハンバーガーでたべて余りにも美味しいのでびっくりした事があります。空港のホットドック屋もそうでした。それらの店が、みなチェーン店に変わって行き、本当の味が解らなくなった様です。アメリカでその事を訊くと皆一様に懐かしがり、うなだれています。
こういう話も今のオーディオにダブって見えます(笑)。
音の美食家にはなりたいですね。痛風の心配はなさそうだし(笑)。
>反対にハンバーガーばかり食べていると…という話が今のオーディオにダブって見えます(笑)。
昔、アメリカの街のハンバーガーでたべて余りにも美味しいのでびっくりした事があります。空港のホットドック屋もそうでした。それらの店が、みなチェーン店に変わって行き、本当の味が解らなくなった様です。アメリカでその事を訊くと皆一様に懐かしがり、うなだれています。
こういう話も今のオーディオにダブって見えます(笑)。
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doghouse22 at 2010-02-14 22:45
TANNOY-GRF 様
はじめまして!楽しくブログを拝見しております。
音楽や機器に対する情熱はものすごく何時も関心しております。
写真にあるオープンリールはアンペックスでしょうか?
20年以上前に使った事があります。スチューダーに慣れてると
扱いにくい印象がありました。
38/2トラは昔良く聞きました。現在も維持されてる方がいるのに驚いてます。アンペックス457は経年変化に強いと思いますが、テープ管理が大変だと思いますが、やはり記録方式の原点なのでしょうかネ?
今後も楽しみにしております。では、では。
はじめまして!楽しくブログを拝見しております。
音楽や機器に対する情熱はものすごく何時も関心しております。
写真にあるオープンリールはアンペックスでしょうか?
20年以上前に使った事があります。スチューダーに慣れてると
扱いにくい印象がありました。
38/2トラは昔良く聞きました。現在も維持されてる方がいるのに驚いてます。アンペックス457は経年変化に強いと思いますが、テープ管理が大変だと思いますが、やはり記録方式の原点なのでしょうかネ?
今後も楽しみにしております。では、では。
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TANNOY-GRF at 2010-02-14 23:46
doghouse22様 コメントありがとうございます。
写真の三台は、テーププロジェクトのダビングに使用されたアンペックスです。ごっついい感じがいかにもアメリカのプロ機ですね。
最近はアンペックスは手に入らず、昔で言えばBASFだけになりました。すこし細めのヨーロッパサウンドですね。
写真の三台は、テーププロジェクトのダビングに使用されたアンペックスです。ごっついい感じがいかにもアメリカのプロ機ですね。
最近はアンペックスは手に入らず、昔で言えばBASFだけになりました。すこし細めのヨーロッパサウンドですね。
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doghouse22 at 2010-02-15 23:25
BASFですが!これまた、懐かしいです。457とバイアスは一緒だったと記憶してます。アンペックスのデッキはテープテンションを解除するボタンがあったと思います。なれるのに苦労した記憶があります。
なんだか、懐かしいです。度々、失礼しました。
なんだか、懐かしいです。度々、失礼しました。