2010年 06月 07日
ESL-57の音 |
巷間では、
「ESLを聴く時はスピーカーを壁から離して、近い距離で小音量で楽しみます。勿論、アンプは管球式のQUADⅡがよく、スピーカーの過度に敏感な所をアンプ側でぼかす事でマッチングが取れます。」
「Ouad ESL-57は本当に素晴らしいスピーカーです。でも、あるソースには素晴らしい力を発揮しますが、編成の大きいオーケストラやJAZZの強烈なドラムアタックを大音量で再生する気持ちにはなれません。」
これらが、一般的なQUAD ESL-57のイメージだと思われています。SP後面に十分なスペースを取れば必然的に前は接近してきます。いきおい、リニアフィールド的な聴き方にならざるを得ません。真空管アンプでは、従来のイメージの音でしか鳴らないのはGRFで経験済みです。しかし、SD05と組み合わせた場合全く違う音がします。ESL-63的な音もしますが、もっとスケールが大きな音に広がるのです。

土曜日の夜、ようやく適正なポイントを見つけられたので、日曜は朝から着替えもせずに音楽を聴き込んで行きました。大編成のオーケストラから室内楽、声楽、金管楽器の演奏と聴き進み、JAZZのドラムやピアノの近接録音にも充分なダイナミックレンジが取れている事を確認しました。
夜になり、聴き込んで行くに付けて思いを深くしたのは、私はこのような音が好きなのだと言う事です。タンノイでも、Dynaudio系でも、Unicornでも目指している音は同じなのです。
オーケストラから浮かび上がって来る、柔らかく絹擦れの様な弦の響き、深々と鳴る木管や金管の峻厳な響き。会場に響き渡る大太鼓の音。透き通って来る人の声。会場に行った人だけが知っているオーケストラの響きがするのです。タンノイとも登り口は違うけど、高峰の同じ峰を目指している事は解りますね。

追伸
夕方、余りにもいい音なので、近くのチューバホーンさんに連絡をしてきていただきました。チューバホーンさんは、私と同じ構成で聴かれているので、音の違いがすぐわかっていただけるからです。同じSD05を使っていても、タンノイには100Wバージョンで、クロックアップしない方が雰囲気がよく出るのです。SPの設計や質があの時代のアンプの特性に合っているからでしょう。ブラウン管時代のディスプレーで1760万色の発色は、にじんでしまって難しかったのと同じです。3万2000色の方が鮮やかに見えていました。
同じ時代のSPですから、当初はタンノイと同じ100Wバージョンで聞いていたのですが、電圧を240Vで使い、置き場所を調整して行くと50Wのクロックアップバージョンの方が俄然良くなってきたのです。そして、最終的にこの部屋のスイートスポットに置くと、上も下もオクターブ位広がった様なダイナミックな音が鳴り始めました。
その音を、チューバホーンさんに確認していただきました。部屋の響きには極めて敏感です。後面のカーテンの開け具合でも音は変ります。ライブの部屋よりは、吸音されていた方が調整がスムーズに行くかもしれません。いずれにしても、いままで聴いた事のないようなQUADの響きでした。空気の乾いた季節に聴く絶好調のオーケストラの絹のような弦のモアレ模様を聴くことが出来ました。素晴らしいです。
「ESLを聴く時はスピーカーを壁から離して、近い距離で小音量で楽しみます。勿論、アンプは管球式のQUADⅡがよく、スピーカーの過度に敏感な所をアンプ側でぼかす事でマッチングが取れます。」
「Ouad ESL-57は本当に素晴らしいスピーカーです。でも、あるソースには素晴らしい力を発揮しますが、編成の大きいオーケストラやJAZZの強烈なドラムアタックを大音量で再生する気持ちにはなれません。」
これらが、一般的なQUAD ESL-57のイメージだと思われています。SP後面に十分なスペースを取れば必然的に前は接近してきます。いきおい、リニアフィールド的な聴き方にならざるを得ません。真空管アンプでは、従来のイメージの音でしか鳴らないのはGRFで経験済みです。しかし、SD05と組み合わせた場合全く違う音がします。ESL-63的な音もしますが、もっとスケールが大きな音に広がるのです。

夜になり、聴き込んで行くに付けて思いを深くしたのは、私はこのような音が好きなのだと言う事です。タンノイでも、Dynaudio系でも、Unicornでも目指している音は同じなのです。
オーケストラから浮かび上がって来る、柔らかく絹擦れの様な弦の響き、深々と鳴る木管や金管の峻厳な響き。会場に響き渡る大太鼓の音。透き通って来る人の声。会場に行った人だけが知っているオーケストラの響きがするのです。タンノイとも登り口は違うけど、高峰の同じ峰を目指している事は解りますね。

追伸
夕方、余りにもいい音なので、近くのチューバホーンさんに連絡をしてきていただきました。チューバホーンさんは、私と同じ構成で聴かれているので、音の違いがすぐわかっていただけるからです。同じSD05を使っていても、タンノイには100Wバージョンで、クロックアップしない方が雰囲気がよく出るのです。SPの設計や質があの時代のアンプの特性に合っているからでしょう。ブラウン管時代のディスプレーで1760万色の発色は、にじんでしまって難しかったのと同じです。3万2000色の方が鮮やかに見えていました。
同じ時代のSPですから、当初はタンノイと同じ100Wバージョンで聞いていたのですが、電圧を240Vで使い、置き場所を調整して行くと50Wのクロックアップバージョンの方が俄然良くなってきたのです。そして、最終的にこの部屋のスイートスポットに置くと、上も下もオクターブ位広がった様なダイナミックな音が鳴り始めました。
その音を、チューバホーンさんに確認していただきました。部屋の響きには極めて敏感です。後面のカーテンの開け具合でも音は変ります。ライブの部屋よりは、吸音されていた方が調整がスムーズに行くかもしれません。いずれにしても、いままで聴いた事のないようなQUADの響きでした。空気の乾いた季節に聴く絶好調のオーケストラの絹のような弦のモアレ模様を聴くことが出来ました。素晴らしいです。
by TANNOY-GRF
| 2010-06-07 06:00
| オーディオ雑感
|
Comments(16)

以前から、ブログを拝見させていただき、非常に参考にさせていただいています。
私も、昨年からESLを使っていますが、御指摘の通り、かなりのオールラウンダーだと感じています。
勿論、GRFさんのような、厳しい聴き方で追い込んでいく様な事は無理ですが。
実際、今ひとつと言われている低音についても、私の聴く音量と環境では、問題ないと感じています。
クラシックから、ロックまで、まず不満はありません。
私も、昨年からESLを使っていますが、御指摘の通り、かなりのオールラウンダーだと感じています。
勿論、GRFさんのような、厳しい聴き方で追い込んでいく様な事は無理ですが。
実際、今ひとつと言われている低音についても、私の聴く音量と環境では、問題ないと感じています。
クラシックから、ロックまで、まず不満はありません。

リウーさん
コメントありがとうございました。
リウーさんは、どのようにESLをお使いですか?
コメントありがとうございました。
リウーさんは、どのようにESLをお使いですか?

CDとアナログでCDがメインですが、iPodを購入してから、リッピングを少し始めました。
夏の間は、EAR834LにQUADや、NAIT,CYRUSのアンプを繋いでESLを聴いています。
冬は、EAR859を使うことが多いです。
夏の間は、EAR834LにQUADや、NAIT,CYRUSのアンプを繋いでESLを聴いています。
冬は、EAR859を使うことが多いです。

昨晩はお招きいただきありがとうございました。
今までにも、「なぜ?GRFから」、「どうして?T4が」という体験をさせていただいているのですが、そこにはタンノイはこういう音だからとか、小型スピーカーだからといったAudio的な固定観念を反省すべき事例を体験していたはずなのに・・・・
今回、ESLという50年以上も前に設計されたスピーカーということと、普通言われているように「編成の大きいオーケストラやJAZZの強烈なドラムアタックを大音量で再生する気持ちになれません」と言われています。
私自身はESLを所有したことがないのですが、30年以上前にこのスピーカーを知人宅で聴いてからは、たしかにこのような固定観念は出来ていたと思います。しかし、今回もまたこのような固定観念を見事に打ち破る、ESL体験となってしまいました 。(続きます。)
今までにも、「なぜ?GRFから」、「どうして?T4が」という体験をさせていただいているのですが、そこにはタンノイはこういう音だからとか、小型スピーカーだからといったAudio的な固定観念を反省すべき事例を体験していたはずなのに・・・・
今回、ESLという50年以上も前に設計されたスピーカーということと、普通言われているように「編成の大きいオーケストラやJAZZの強烈なドラムアタックを大音量で再生する気持ちになれません」と言われています。
私自身はESLを所有したことがないのですが、30年以上前にこのスピーカーを知人宅で聴いてからは、たしかにこのような固定観念は出来ていたと思います。しかし、今回もまたこのような固定観念を見事に打ち破る、ESL体験となってしまいました 。(続きます。)

そうなんです。
今回はそのESLからは、楽器や声の直接音とホールでの残響音のバランスがあまりにも自然、いや、リアルすぎてどこにも誇張感といったものがなく、Audioといった物の存在感がないのです。
それは、GRFさんがしっかりとした「音の記憶」というものをお持ちであり、機器の概念にとらわれず、常に前向きに取り組まれているゆえの結果なのでしょう。物に依存するAudioではなく、しっかり音を記憶してゆくことのほうが大切ですね。
私の所有する、もう一台のSD05が、活躍する日も近いかも知れません???
今回はそのESLからは、楽器や声の直接音とホールでの残響音のバランスがあまりにも自然、いや、リアルすぎてどこにも誇張感といったものがなく、Audioといった物の存在感がないのです。
それは、GRFさんがしっかりとした「音の記憶」というものをお持ちであり、機器の概念にとらわれず、常に前向きに取り組まれているゆえの結果なのでしょう。物に依存するAudioではなく、しっかり音を記憶してゆくことのほうが大切ですね。
私の所有する、もう一台のSD05が、活躍する日も近いかも知れません???

チューバホーンさん
昨日は、無理いって来ていただきありがとうございました。
調整が進んだ音があまりにも良い音だったので、是非聴いていただきたくてお越しいただきました。
50年前に設計されたSPからあのようなリアリティが有る音が出るのが不思議です。タンノイの時もそうでしたが、昔の入力の質では真価がでていなかったのかもしれません。
レコードやアンプで音づくりをするのではなく、入力の質をありのままに再現すると、あのような音が出るのですね。
先週聞いていただいた、Tさんや(Y)さんには、申し訳ないのですが、たった5センチだけ下がっただけであの様に音が変わるのもわかっていても新たな驚きですね。
昨日は、無理いって来ていただきありがとうございました。
調整が進んだ音があまりにも良い音だったので、是非聴いていただきたくてお越しいただきました。
50年前に設計されたSPからあのようなリアリティが有る音が出るのが不思議です。タンノイの時もそうでしたが、昔の入力の質では真価がでていなかったのかもしれません。
レコードやアンプで音づくりをするのではなく、入力の質をありのままに再現すると、あのような音が出るのですね。
先週聞いていただいた、Tさんや(Y)さんには、申し訳ないのですが、たった5センチだけ下がっただけであの様に音が変わるのもわかっていても新たな驚きですね。

ついにお披露目出来る所まで、やっとたどり着いたようですね!!
心配なのはチューバホーンさん、悪の道?!に引き摺りこまないでくださいね!!来週お会いする予定なので、感想を聞くのが
今から楽しみです。
心配なのはチューバホーンさん、悪の道?!に引き摺りこまないでくださいね!!来週お会いする予定なので、感想を聞くのが
今から楽しみです。
UNICORNさん
残念ながら、一般のお披露目公演?はできません。入力の質を問われるからです。私と同じ入力をお持ちの方々には、大変参考になります。
昨晩は入力を38/2トラで行なってみました。テープの音に驚くと同時に、44.1/16のCDの音も再確認できました。
残念ながら、一般のお披露目公演?はできません。入力の質を問われるからです。私と同じ入力をお持ちの方々には、大変参考になります。
昨晩は入力を38/2トラで行なってみました。テープの音に驚くと同時に、44.1/16のCDの音も再確認できました。

不遜な言い方になるかも知れませんが、僕はGRFさんのお部屋で、どのスピーカーからどんな音が出て来ても、特に驚きません。まして古いスピーカーならなおさらです。おそらくGRFさんなら、この方向に持って行かれるだろうことは容易に想像できるからです。
でも、例えばスピーカーのキャビネットをティッシュで一拭きしただけで音の曇りが無くなったりするのは、さすがにビックリします。こんなに音の変化に敏感な部屋(を含めたシステム)はありませんね。
でも、例えばスピーカーのキャビネットをティッシュで一拭きしただけで音の曇りが無くなったりするのは、さすがにビックリします。こんなに音の変化に敏感な部屋(を含めたシステム)はありませんね。

読まれていますね〜。
>この方向に持って行かれるだろうことは容易に想像できるからです。
そうなんですが、その方向に持って行くのには、結構試行錯誤があります。でもそこが楽しいのですね。
>この方向に持って行かれるだろうことは容易に想像できるからです。
そうなんですが、その方向に持って行くのには、結構試行錯誤があります。でもそこが楽しいのですね。
ESL57 素晴らしいですね 私も以前はよく聞きました。
一番良かったのはスタックにしてオンキョーのスーパーウーハー×2 ロジャース510のツィーターを装着しているシステムでした。イベントで使われていましたが、素晴らしい音がしましたね。お気に入りに入れさせていただきました 今後とも宜しくお願いいたします。
一番良かったのはスタックにしてオンキョーのスーパーウーハー×2 ロジャース510のツィーターを装着しているシステムでした。イベントで使われていましたが、素晴らしい音がしましたね。お気に入りに入れさせていただきました 今後とも宜しくお願いいたします。
SEEDさん
コメントありがとうございます。ESLの節度ある音を聴いているとオーディオより音楽を聴く方に主眼が移りますね。
コメントありがとうございます。ESLの節度ある音を聴いているとオーディオより音楽を聴く方に主眼が移りますね。

>ESLの節度ある音を聴いているとオーディオより音楽を
>聴く方に主眼が移りますね。
まったくその通りですね 以前新宿の喫茶店においてあるものを聴きましたが、ひっそりとなる中に音楽がありましたね
今までにない経験でした。
HQDシステムのようにスタックして使うと、これがモニター的になるというのも非常に面白く、可能性の高い固体だというイメージです、傑作ですね♪
>聴く方に主眼が移りますね。
まったくその通りですね 以前新宿の喫茶店においてあるものを聴きましたが、ひっそりとなる中に音楽がありましたね
今までにない経験でした。
HQDシステムのようにスタックして使うと、これがモニター的になるというのも非常に面白く、可能性の高い固体だというイメージです、傑作ですね♪

今の次元で見ると若干周波数レンジは狭いですが、ESL57は良いスピーカですよね。
しかし、歪み率と位相については未だに最新スピーカにも負けない性能、即ち自然な音を持っていますよね。
私も平面型というとアポジーのカリパーシグネチャーやマグネパンのSMG-aを使ってきましたが、平面型にしか出せない自然な音がある様に思います。
今、使っているスピーカはエグルストーンワークスのアンドラですが、これはダイナミック型、平面型どちらの音も兼ね備えているかな、と思って使っています。既に10年も使っていますから、気に入っています。
しかし、コンデンサー型スピーカの自然な音を聴くと「うーん、矢張り私はこっちの方向を進むべきだったんだろうか」と悩んでしまいます。
ESL-57もそういう音ですね。
しかし、歪み率と位相については未だに最新スピーカにも負けない性能、即ち自然な音を持っていますよね。
私も平面型というとアポジーのカリパーシグネチャーやマグネパンのSMG-aを使ってきましたが、平面型にしか出せない自然な音がある様に思います。
今、使っているスピーカはエグルストーンワークスのアンドラですが、これはダイナミック型、平面型どちらの音も兼ね備えているかな、と思って使っています。既に10年も使っていますから、気に入っています。
しかし、コンデンサー型スピーカの自然な音を聴くと「うーん、矢張り私はこっちの方向を進むべきだったんだろうか」と悩んでしまいます。
ESL-57もそういう音ですね。
いしいさん コメントありがとうございます。
60年前のSPですが、周波数レンジも45から18,000で充分だと思います。GRFより若干広いぐらいです。箱の音がしないので量感は違いますが、深く、柔らかの低音は、演奏会場に漂う音です。
ヨーロッパの伝統有るコンサートホールで聴いている響きが出てきますので、私の目的には合っていますね。
聴く高さによっって、高音が出てくる感じも演奏会場で前の人が直接音を遮る感じと同じで、背伸びすると良く聞こえてきます。音が上に伸びていく様は、感動的です。
60年前のSPですが、周波数レンジも45から18,000で充分だと思います。GRFより若干広いぐらいです。箱の音がしないので量感は違いますが、深く、柔らかの低音は、演奏会場に漂う音です。
ヨーロッパの伝統有るコンサートホールで聴いている響きが出てきますので、私の目的には合っていますね。
聴く高さによっって、高音が出てくる感じも演奏会場で前の人が直接音を遮る感じと同じで、背伸びすると良く聞こえてきます。音が上に伸びていく様は、感動的です。

ご同慶の至りです、ESLは床から50cmぐらいあげて聞くともっと素直な低音が聴けます。ポイントは、ご自身の耳の高さまでESLを上げることです。ちなみにオランダ・フィリップス社、英国BBCでは、いまだこのESLをモニターで使ってます。