2011年 01月 03日
寒い日には「冬の旅」を |
年末から連続で聴いているのがシューベルトの『冬の旅』です。さすがにこの曲は真夏には聴けませんね。冬の冷たい部屋でじーっと聴いているとより実感がでます。私は体温が低い所為か部屋の中が暑いとあたまがボーとしてしまいますので、ある程度寒い方が調子が良いようです。11月から家に聴きに来られた方は寒い部屋で膝掛けを使用してもらって聴いていただきました、まるで我慢大会か寒中に修行をしていただいているようです(笑)。確かに音は寒い部屋の方が冴え冴えとするようですが、、。
冬の旅は、私が把握しているだけでも、1933年のヒッシュの名演から、100種類以上のレコードがでています。そのうち聴いたことがあるのは、20種類ぐらいでしょうか?白井光子さんのCDも探していたのですが、日本では手に入らないようなのでドイツから取り寄せました。所有している冬の旅のCDを全部は探し出してはいないのですが15枚ぐらい、レコードでも数種類有ると思います。
その中でも、一番思い出のある『冬の旅』はやはりハンス・ホッターとエリック・ウェルバの演奏ですね。その頃(40年ほど前です)はフィッシャー・ディスカウと人気を二分していました。技巧派のディスカウ、情緒のホッターという風に、批評家に演奏方法によって分けられていました。でもハンス・ホッターは空前絶後で誰もホッターの後を追うことは出来ません。ホッターだけが実現できる墨絵のような幽玄の世界です。
私は、テノールの歌う冬の旅も好きです。シューベルトの楽譜はテノール用に書かれていますね。ヘフリガーがスイスのCRAVESに録音した演奏は、ピアノフォルテを使用した、古色蒼然とした響きで、演奏中いろいろなところが鳴ったり、振動したり面白い音がします。歌い方も独特です。安心して聴いていられます。
同じテノールのペーター・シュライアーもいつも聴いています。こちらはピアノ伴奏が、リヒテルです。リヒテル特有のシューベルト透徹した音が聞けます。ピアノ曲として聞いても大変面白い演奏です。以前もお話しした通り、ゼンパーオペラが再開したときの記念公演の一つで、二月の寒い頃なので会場に咳をする音が響き渡ります。日本のリートの会場のような、物音一つしない緊張した雰囲気と違い、個人主義の国なんだとつくづく思います。歌いながら向きを変えている様もはっきりと聞こえ、あたかも会場にトランスポートした独特な感覚を味わえます。長い間手に入りませんでしたが、今はまた再発されていますので、是非聴いてみてください。
会場の雰囲気を伝えていると言えば、晩年のヘルマン・プライが岩城宏之指揮の金沢アンサンブルがミュンヘンで録音した盤も、愛聴しています。オーケストラの伴奏できく冬の旅の響きは、大変興味深いものです。オーケストラ盤ではプレガーディアンも面白い盤を出していますが、私は、スタイアーとのピアノ伴奏の方を高く評価します。声の質もよく、最近評判の高いゲルハーへルより好きです。
さて、冬の旅の今一方の高峰はフィッシャー・ディスカウです。記録上は10種類の録音があるそうですが、私の聴いている演奏は、EMIでのムーアとのモノラル、ステレオ、DGでのムーアとの全集、デムス、バレンボイムの各録音、そしてPhilipsでのブレンデル、最後のソニーでのペレイアとの演奏です。定評あるムーアの伴奏はいつ聴いても、奥行きの深い演奏で、もう、40年以上も愛聴しています。ゆったりとしたテンポで、音楽が動くバレンボイム盤も面白いです。フルトヴェングラーの影響があるのかも知れませんね。一度テレビでマスタークラスの指導をしているところを見たことがあります。年を取って、演奏もゆっくとして、しみじみと浸透してきたことがあります。年輪を重ねることはこういうことなのだと深く納得しました。
その他にも、フランス語なまりのスゼーとか女性のルードイッヒ、ファースベーダーも聴きましたが、やはり冬の旅は失恋したドイツの男性の歌なので、感覚が合いません。でもこれからドイツから送られて来る、白井光子さんがどのような演奏をされているのかが、楽しみです。
冬の旅は、私が把握しているだけでも、1933年のヒッシュの名演から、100種類以上のレコードがでています。そのうち聴いたことがあるのは、20種類ぐらいでしょうか?白井光子さんのCDも探していたのですが、日本では手に入らないようなのでドイツから取り寄せました。所有している冬の旅のCDを全部は探し出してはいないのですが15枚ぐらい、レコードでも数種類有ると思います。
その中でも、一番思い出のある『冬の旅』はやはりハンス・ホッターとエリック・ウェルバの演奏ですね。その頃(40年ほど前です)はフィッシャー・ディスカウと人気を二分していました。技巧派のディスカウ、情緒のホッターという風に、批評家に演奏方法によって分けられていました。でもハンス・ホッターは空前絶後で誰もホッターの後を追うことは出来ません。ホッターだけが実現できる墨絵のような幽玄の世界です。
私は、テノールの歌う冬の旅も好きです。シューベルトの楽譜はテノール用に書かれていますね。ヘフリガーがスイスのCRAVESに録音した演奏は、ピアノフォルテを使用した、古色蒼然とした響きで、演奏中いろいろなところが鳴ったり、振動したり面白い音がします。歌い方も独特です。安心して聴いていられます。
同じテノールのペーター・シュライアーもいつも聴いています。こちらはピアノ伴奏が、リヒテルです。リヒテル特有のシューベルト透徹した音が聞けます。ピアノ曲として聞いても大変面白い演奏です。以前もお話しした通り、ゼンパーオペラが再開したときの記念公演の一つで、二月の寒い頃なので会場に咳をする音が響き渡ります。日本のリートの会場のような、物音一つしない緊張した雰囲気と違い、個人主義の国なんだとつくづく思います。歌いながら向きを変えている様もはっきりと聞こえ、あたかも会場にトランスポートした独特な感覚を味わえます。長い間手に入りませんでしたが、今はまた再発されていますので、是非聴いてみてください。
会場の雰囲気を伝えていると言えば、晩年のヘルマン・プライが岩城宏之指揮の金沢アンサンブルがミュンヘンで録音した盤も、愛聴しています。オーケストラの伴奏できく冬の旅の響きは、大変興味深いものです。オーケストラ盤ではプレガーディアンも面白い盤を出していますが、私は、スタイアーとのピアノ伴奏の方を高く評価します。声の質もよく、最近評判の高いゲルハーへルより好きです。
さて、冬の旅の今一方の高峰はフィッシャー・ディスカウです。記録上は10種類の録音があるそうですが、私の聴いている演奏は、EMIでのムーアとのモノラル、ステレオ、DGでのムーアとの全集、デムス、バレンボイムの各録音、そしてPhilipsでのブレンデル、最後のソニーでのペレイアとの演奏です。定評あるムーアの伴奏はいつ聴いても、奥行きの深い演奏で、もう、40年以上も愛聴しています。ゆったりとしたテンポで、音楽が動くバレンボイム盤も面白いです。フルトヴェングラーの影響があるのかも知れませんね。一度テレビでマスタークラスの指導をしているところを見たことがあります。年を取って、演奏もゆっくとして、しみじみと浸透してきたことがあります。年輪を重ねることはこういうことなのだと深く納得しました。
その他にも、フランス語なまりのスゼーとか女性のルードイッヒ、ファースベーダーも聴きましたが、やはり冬の旅は失恋したドイツの男性の歌なので、感覚が合いません。でもこれからドイツから送られて来る、白井光子さんがどのような演奏をされているのかが、楽しみです。
by TANNOY-GRF
| 2011-01-03 10:10
| 好きなレコード
|
Comments(4)
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by
NEXTNEXT
at 2011-01-03 23:37
x
GRFさん、あけましておめでとうございます。
遅くなりました。
実はライプツィヒのチケット争奪戦に出遅れてしまい、肝心のニューヨーク・フィルとウィーン・フィルが売り切れというのを元旦に気づいてがっくり来ていました。
ちょこっと解説すると、今年は1911年5月18日にマーラーが亡くなってから100年忌なのですが、最初に音楽監督をやったライプツィヒで大々的なマーラー祭が行われます。
そのなかでも彼が音楽監督をやったニューヨークとウィーンが一番人気のようですでに売り切れ、さあどうしたものかと急いで思案中です。
(コンセルトヘボウのチケットはまだ残っているようですよ、GRFさん!)
(8番はご当地ゲヴァントハウスが演奏します)
万年筆だの根付だの余計な事を考えていた罰だと反省しきり、ホント、いい気になっているとすぐしっぺ返しを食らいます。
今年もよろしくお願いします(^^)/
遅くなりました。
実はライプツィヒのチケット争奪戦に出遅れてしまい、肝心のニューヨーク・フィルとウィーン・フィルが売り切れというのを元旦に気づいてがっくり来ていました。
ちょこっと解説すると、今年は1911年5月18日にマーラーが亡くなってから100年忌なのですが、最初に音楽監督をやったライプツィヒで大々的なマーラー祭が行われます。
そのなかでも彼が音楽監督をやったニューヨークとウィーンが一番人気のようですでに売り切れ、さあどうしたものかと急いで思案中です。
(コンセルトヘボウのチケットはまだ残っているようですよ、GRFさん!)
(8番はご当地ゲヴァントハウスが演奏します)
万年筆だの根付だの余計な事を考えていた罰だと反省しきり、ホント、いい気になっているとすぐしっぺ返しを食らいます。
今年もよろしくお願いします(^^)/
明けましておめでとうございます。
私も寒くなるとこの曲を思い出して聴いている一人です。 でも、こんな旅には出たくないですね(苦笑)
今年もよろしくお願いします。
私も寒くなるとこの曲を思い出して聴いている一人です。 でも、こんな旅には出たくないですね(苦笑)
今年もよろしくお願いします。
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TANNOY-GRF at 2011-01-04 09:36
NEXTNEXTさん、おめでとうございます。今年も相変わらず次から次へとチケットを買っているのですね。半年も、一年も前から予定を立てるのも大変です。
また趣味の範囲を広げすぎるのも、どちら着かずになりやすいようです。わたしも大いに反省しなければなりません(笑)。
また趣味の範囲を広げすぎるのも、どちら着かずになりやすいようです。わたしも大いに反省しなければなりません(笑)。
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TANNOY-GRF at 2011-01-04 09:38
チューバホーンさん
昨日、Yさんのところにお邪魔して、GRFを聴いてきました。配置を換えたら、屈託のない音がしてきてさすがはGRFと感心しました。15インチの威力もでていました。密閉やバスレフではでないスケールの大きな音がしていました。
昨日、Yさんのところにお邪魔して、GRFを聴いてきました。配置を換えたら、屈託のない音がしてきてさすがはGRFと感心しました。15インチの威力もでていました。密閉やバスレフではでないスケールの大きな音がしていました。