ＧＲＦとの出会い

その日、私は長い間考えた末、いよいよQUADの平面スピーカーを買おうと、意を決し、ありったけのお金を握りしめて、秋葉原に出かけていきました。秋葉原に行く途中、その中古店に寄ったのは、いつもの休みの日のオーディオ店巡りの順番だったからです。店の一番奥に、タンノイのコーナー型のスピーカーが置かれていました。きれいなG.R.F.でした。値段を見たら、破格の価格でがついていました！
こんなに安いのは、何か訳ありなの？と馴染みの店長に尋ねたら、ユニットが入っていないからですと云われました。常連のお客さんが、いずれタンノイのユニットを購入するつもりで、その頃、国産化したＧＲＦのキャビネットを造っている専門工場に、特注してキャビネット作らせたとのことでした。それが、急に転勤で手放さざるを得なくなり、昨日引き取って来たばかりとの話。しかし、お店では、ユニットを入れなければ商品にならず、思案していたところへ、私が現れた次第。

店長の顔が急に明るくなり、そうだ、あなたはタンノイのバークレーを持っているのだから、そのユニットを外してこちらに移せば、そのまま、現行のＧＲＦになるよ。場所取って困っていたところだから、このまま、持っていってくれれば、引き取った価格に運送費で、直ぐに配達すると言われて困ってしまいました。

私は、そのバークレーを下取りに出して、これからQUADの平面スピーカーを買いに行くところなのだから！しかし、最近、親しい友人が、長年使ってきたレキュタングラーヨークから、TEACの売り出したばかりの国産のオートグラフに換えたばかりで、その音の差にビックリしていた私は、考え込んでしまいました。

次の日、私の気が変わらぬうちにと、店長自ら私の６畳間に運んできたＧＲＦの大きさに、今度は二度ビックリしてしまったのです。