2013年 05月 15日
一年ぶりの河村尚子リサイタル |
河村尚子さんの演奏会では、どの会場に行っても見たことのあるお顔をお見掛けします。それは、青葉台でも、みなとみらいでも同じですね。昨日の川口もやはりそうでした。その方達は二通りあり、鍵盤が見える左側に陣取る方々と、指使いは見えないけど演奏中の素敵なお顔が見える右側の席です。私も右側ですね。だからといって、一番前の席では、ピアノ自体に邪魔されてお顔が見えません。二、三列目ぐらいから右の方へ45度で下がっていくの範囲が、お薦め席ですね(笑)。
演奏会場の川口のリリアホールは初めてです。川口は仕事でよく行くのですが、西口に降りたことはありませんでした。改めてみると再開発されて、マンションばかりが建っていて、東口とは同じ駅とは思えないぐらいです。駅の目の前にホールはありました。待ち合わせをするところがあまりなく、私は表の歩道橋で、駅で買ったパンをかじっていました。開場されて中に入ると、小ホールは音楽堂と呼ばれていて、なかなか凝ったつくりです。しっかりとして木の壁で、響きが良さそうですね。前日の武蔵野市民会館小ホールも、壁は石造りで、柔らかな響きを出していましたが、この堅い木の壁はしっかりした音を出してくれそうな気がします。
今日のプログラムは、
シューベルト:「楽興の時」No.1-3 op.94
さすらい人幻想曲
ショパン: バラード第1~4番
二番目の「さすらい人幻想曲」は去年の6月、青葉台のフィリアホールで聴いています。迫力ある演奏にビックリしました。あの時は梅雨の真っ最中で、湿気が高く、ピアニストも鍵盤の湿気を拭いながらの演奏だったので、今日のホールではどの様な音がするか楽しみです。
そう、河村尚子さんの演奏は、オーディオ的な意味の音の楽しさが感じられる稀有な奏者です。彼女が音楽のディナーミックを大切にされるからでしょうが、他のピアニストには感じられない音が聞こえるのです。それは、衝撃と行っても良いぐらいの驚きで、壮大に盛り上がっていくフィナーレでは、いろいろな鬱憤が晴れてカタルシスさえ感じられるからです。その意味では、今日の「さすらい人幻想曲」とショパンのバラードは楽しみです。
河村さんは何時も通り、にこやかに入ってきて、鍵盤に座ると精神を集中させます。しかし、「楽興の時」の出だしは、少し屈折した響きです。音を探しているような、まだまだ、ピアノが、演奏者自身が目覚めていない感じがしました。それでも曲が進むにつれて、霞が晴れるように、いつもの河村尚子になって行きます。音が目覚めはじめました。そして緩徐楽章では、気持ちよくなり睡魔に吸い込まれそうになります。少し冷たい会場の空調が目を覚ましてくれました。その空調が人々から出される湿気を吸い込み、音が冴えてきます。
次のさすらい人幻想曲は圧巻でした。去年聴いたときも圧倒されましたが、一回り大きくなった印象です。壮大な曲が最後のクライマックスにどんどん盛り上がっていく様は、ドイツで聴いた上岡のアルプス交響曲より、遥かにスケールが大きく、ダイナミックレンジもとれていて、ステージが爆発するような演奏でした。ピアノからこの様なスケールの大きな音が聴けるのは、滅多にありません。私の中ではバレンボイムとツィマーマンぐらいしか思い出せないほどのスケールでした。
音が、ピアノから放出されるのが見えるようです。左手の弾く低音が、右上方に拡がり、高音部が左手の方から、ステレオで聞こえてくる経験は初めてです。中央部から左右に音が拡がっていくのです。音の深みや迫力、色合いが、このホールにあっているのでしょうか。昨年のフィリアとはまったく違った、よりスケール感が大きな演奏になっています。彼女自身の進歩がこの差を生んでいるのかも知れませんね。
河村さんの演奏には、シューベルトを聴いても、ショパンを聴いてもどこかにリスト的な響きがバックにあります。時々、そのスケールの大きさが表れます。力強く重なり合う響きがそう感じさせるのかもしれません。
休憩時には、皆さんお顔も昂揚していました。会場をよく見渡すと端の席は空いていました。中央寄りに場所が空いていたのですが、前半との比較もあり、動きませんでした。
後半は、ショパンのバラードです。私もショパンの中では、良く聴く曲です。古くはフランソワ、ルービンシュタイン、ホロビッツ、ミケランジェリ、ポリー二、そして、いつも聴いているツィマーマンです。出だしから、やられました。素晴らしい響きです。ツィマーマンの出だしにも負けません。驚きました。この音を聴いて納得しました。皆さんが追いかけるわけを。協奏曲では解らないリサイタルの世界も、会場とピアノに恵まれたときのピアニストの喜びも。
アンコールは、三曲、最後はシューマン作曲・リスト編曲の「献呈」でした。河村さんの十八番ですが、これも去年聴いたときより一段とスケールアップしていました。ベストアルバムの様な素晴らしい演奏会がこれも、たった3,000円なのは、申し訳ないみたいです。感激したので、私としては初めて、サイン会に並び、目の前で例のにっこりスマイルもして貰いました。おじさんは大満足です。
演奏会場の川口のリリアホールは初めてです。川口は仕事でよく行くのですが、西口に降りたことはありませんでした。改めてみると再開発されて、マンションばかりが建っていて、東口とは同じ駅とは思えないぐらいです。駅の目の前にホールはありました。待ち合わせをするところがあまりなく、私は表の歩道橋で、駅で買ったパンをかじっていました。開場されて中に入ると、小ホールは音楽堂と呼ばれていて、なかなか凝ったつくりです。しっかりとして木の壁で、響きが良さそうですね。前日の武蔵野市民会館小ホールも、壁は石造りで、柔らかな響きを出していましたが、この堅い木の壁はしっかりした音を出してくれそうな気がします。
今日のプログラムは、
シューベルト:「楽興の時」No.1-3 op.94
さすらい人幻想曲
ショパン: バラード第1~4番
二番目の「さすらい人幻想曲」は去年の6月、青葉台のフィリアホールで聴いています。迫力ある演奏にビックリしました。あの時は梅雨の真っ最中で、湿気が高く、ピアニストも鍵盤の湿気を拭いながらの演奏だったので、今日のホールではどの様な音がするか楽しみです。
そう、河村尚子さんの演奏は、オーディオ的な意味の音の楽しさが感じられる稀有な奏者です。彼女が音楽のディナーミックを大切にされるからでしょうが、他のピアニストには感じられない音が聞こえるのです。それは、衝撃と行っても良いぐらいの驚きで、壮大に盛り上がっていくフィナーレでは、いろいろな鬱憤が晴れてカタルシスさえ感じられるからです。その意味では、今日の「さすらい人幻想曲」とショパンのバラードは楽しみです。
河村さんは何時も通り、にこやかに入ってきて、鍵盤に座ると精神を集中させます。しかし、「楽興の時」の出だしは、少し屈折した響きです。音を探しているような、まだまだ、ピアノが、演奏者自身が目覚めていない感じがしました。それでも曲が進むにつれて、霞が晴れるように、いつもの河村尚子になって行きます。音が目覚めはじめました。そして緩徐楽章では、気持ちよくなり睡魔に吸い込まれそうになります。少し冷たい会場の空調が目を覚ましてくれました。その空調が人々から出される湿気を吸い込み、音が冴えてきます。
次のさすらい人幻想曲は圧巻でした。去年聴いたときも圧倒されましたが、一回り大きくなった印象です。壮大な曲が最後のクライマックスにどんどん盛り上がっていく様は、ドイツで聴いた上岡のアルプス交響曲より、遥かにスケールが大きく、ダイナミックレンジもとれていて、ステージが爆発するような演奏でした。ピアノからこの様なスケールの大きな音が聴けるのは、滅多にありません。私の中ではバレンボイムとツィマーマンぐらいしか思い出せないほどのスケールでした。
音が、ピアノから放出されるのが見えるようです。左手の弾く低音が、右上方に拡がり、高音部が左手の方から、ステレオで聞こえてくる経験は初めてです。中央部から左右に音が拡がっていくのです。音の深みや迫力、色合いが、このホールにあっているのでしょうか。昨年のフィリアとはまったく違った、よりスケール感が大きな演奏になっています。彼女自身の進歩がこの差を生んでいるのかも知れませんね。
河村さんの演奏には、シューベルトを聴いても、ショパンを聴いてもどこかにリスト的な響きがバックにあります。時々、そのスケールの大きさが表れます。力強く重なり合う響きがそう感じさせるのかもしれません。
休憩時には、皆さんお顔も昂揚していました。会場をよく見渡すと端の席は空いていました。中央寄りに場所が空いていたのですが、前半との比較もあり、動きませんでした。
後半は、ショパンのバラードです。私もショパンの中では、良く聴く曲です。古くはフランソワ、ルービンシュタイン、ホロビッツ、ミケランジェリ、ポリー二、そして、いつも聴いているツィマーマンです。出だしから、やられました。素晴らしい響きです。ツィマーマンの出だしにも負けません。驚きました。この音を聴いて納得しました。皆さんが追いかけるわけを。協奏曲では解らないリサイタルの世界も、会場とピアノに恵まれたときのピアニストの喜びも。
アンコールは、三曲、最後はシューマン作曲・リスト編曲の「献呈」でした。河村さんの十八番ですが、これも去年聴いたときより一段とスケールアップしていました。ベストアルバムの様な素晴らしい演奏会がこれも、たった3,000円なのは、申し訳ないみたいです。感激したので、私としては初めて、サイン会に並び、目の前で例のにっこりスマイルもして貰いました。おじさんは大満足です。
by TANNOY-GRF
| 2013-05-15 22:42
| 演奏会場にて
|
Comments(2)
Commented
by
(Y)
at 2013-05-16 00:35
x
いいですね〜。文字通りアイドルですね(笑)。副交感神経を刺激して精神を活性化してくれますね。うらやましいなあ〜。人間いくつになっても男の気持ちを忘れちゃいけませんね(笑)。
Commented
by
GRF
at 2013-05-16 05:56
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(Y)さん 初めてサイン会に並びました。皆さん色紙を用意されていて、名前など書いて貰っていました。いちいち注文に応じる奏者も大変ですが、嬉しそうでもありました。去年より身体も一回り大きくなった感じで、近くで拝見するとアスリートのからだつきですね。でなければ、あの音は出せないのかも。
それと、ピアニストは楽器も含めて会場との相性も重要だと思いました。
それと、ピアニストは楽器も含めて会場との相性も重要だと思いました。