2014年 01月 23日
追悼 クラウディオ・アバド |
やはり、アバドが亡くなりました。昨年10月の来日が中止になったときに懸念していた通り、とうとうアバドを一度も聴くことが出来なくなってしまったのです。思えば、90年代には、何度も来日していたのに、その頃は、あまり音楽会にも行かなかったし、カラヤンの後にベルリンフィルの常任指揮者になったアバドも、まだ自分のカラーを出せずにいた頃だった。ロンドン交響楽団を突然止めて、ウィーンへ行ってしまったアバドにどこか、反発していたのでしょうか。しかし、ベルリンフィルの常任は、戦前からのフルトヴェングラー、長いカラヤン時代、その後がアバド、21世紀に入ってからのラトルの4人しかいないのです。
ベルリンフィルのアバドを聴き始めたのは、2000年にベートーヴェンの交響曲全集が出た頃からでした。そして胃がんで倒れ、活動が思うように出来なくなった頃から、彼の音楽スタイルが変わってきました。ルツェルン祝祭管弦楽団での演奏や、自らが作ったマーラー室内管弦楽団やモーツァルト管弦楽団での演奏は力が抜けた、棒の先から音楽が出てくるような素晴らしい演奏スタイルになりました。
最近はベルリンフィルのデジタルコンサートホールでの、演奏は必ず聴きます。この中で、マーラーの大地の歌は、半年違いで、おなじオッターをソリストに迎えて、ラトルと競合しているますが、この二つの演奏の違いを聴くと、アバドがどれほどの高みに登ったかがはっきりわかりますね。
そのデジタルホールでは、二十年以前の1991年の頃から収録されています。ベルリンフィルのメンバーの変遷や、20年経っても現役で活躍しているソリスト達の若い姿も見ることがでします。1994年のサントリーホールでのチャイコフスキー5番も入っています。サントリーホールで演奏された曲は、当時、FM生放送されていたので、DATに収録されて、現在でも驚くほど良い音で聴くことが出来ます。デジタルコンサートホールでは、映像は見ることが出来ますが、音はそれほど良くないので、DATの記録は、今となっては大切な宝物です。
その映像を見ると、60歳を過ぎているのに、はつらつとしたハンサムなアバドが見ることが出来ます。現在のデュダメルの様なエネルギーがほとばしっています。この映像を見ると、デュダメルがいかにアバドの影響を受けているかわかりますね。
21世紀に入り、ベルリンの常任をラトルに譲って、胃がんの手術から帰って来たアバドは、ミューズに仕える、伝道師のようになっていました。その棒の先から音楽がほとばしるようで、言葉ではなく、棒の振り方で意志を伝えているのです。聞くところによると、リハーサルでもほとんど言葉では伝えず、身振りと表情で音楽を構成していく稀有な指揮者でした。
2001年のベートーヴェンの全曲演奏も、コンサートホールでも見ることが出来ます。安永徹がコンサートマスターをしていることのベルリンフィルは、やはりカラヤンの音の伝統を繋いでいて、今より品がよかったですね。しかし、現在のラトルのもとで変わっていったベルリンフィルでも、アバドが振ると、まったく違う音を出しています。年間二回程振っていたベルリンフィルとのマーラーや盟友ポリーニとのモーツァルトの協奏曲。それらはすべて宝物のような演奏です。
ルツェルンでのマーラーの演奏会、日本での公演、何回もあったのに、行かなかったのが悔やまれます。そして、昨年の演奏会の席は、ステージ横左側の一番、アバドに近い席だったのです。今となっては、チケットを返して換金したのが悔やまれます。幻のチケットとして手元に置いておけば良かったのに・・・。
ベルリンフィルのアバドを聴き始めたのは、2000年にベートーヴェンの交響曲全集が出た頃からでした。そして胃がんで倒れ、活動が思うように出来なくなった頃から、彼の音楽スタイルが変わってきました。ルツェルン祝祭管弦楽団での演奏や、自らが作ったマーラー室内管弦楽団やモーツァルト管弦楽団での演奏は力が抜けた、棒の先から音楽が出てくるような素晴らしい演奏スタイルになりました。
最近はベルリンフィルのデジタルコンサートホールでの、演奏は必ず聴きます。この中で、マーラーの大地の歌は、半年違いで、おなじオッターをソリストに迎えて、ラトルと競合しているますが、この二つの演奏の違いを聴くと、アバドがどれほどの高みに登ったかがはっきりわかりますね。
そのデジタルホールでは、二十年以前の1991年の頃から収録されています。ベルリンフィルのメンバーの変遷や、20年経っても現役で活躍しているソリスト達の若い姿も見ることがでします。1994年のサントリーホールでのチャイコフスキー5番も入っています。サントリーホールで演奏された曲は、当時、FM生放送されていたので、DATに収録されて、現在でも驚くほど良い音で聴くことが出来ます。デジタルコンサートホールでは、映像は見ることが出来ますが、音はそれほど良くないので、DATの記録は、今となっては大切な宝物です。
その映像を見ると、60歳を過ぎているのに、はつらつとしたハンサムなアバドが見ることが出来ます。現在のデュダメルの様なエネルギーがほとばしっています。この映像を見ると、デュダメルがいかにアバドの影響を受けているかわかりますね。
21世紀に入り、ベルリンの常任をラトルに譲って、胃がんの手術から帰って来たアバドは、ミューズに仕える、伝道師のようになっていました。その棒の先から音楽がほとばしるようで、言葉ではなく、棒の振り方で意志を伝えているのです。聞くところによると、リハーサルでもほとんど言葉では伝えず、身振りと表情で音楽を構成していく稀有な指揮者でした。
2001年のベートーヴェンの全曲演奏も、コンサートホールでも見ることが出来ます。安永徹がコンサートマスターをしていることのベルリンフィルは、やはりカラヤンの音の伝統を繋いでいて、今より品がよかったですね。しかし、現在のラトルのもとで変わっていったベルリンフィルでも、アバドが振ると、まったく違う音を出しています。年間二回程振っていたベルリンフィルとのマーラーや盟友ポリーニとのモーツァルトの協奏曲。それらはすべて宝物のような演奏です。
ルツェルンでのマーラーの演奏会、日本での公演、何回もあったのに、行かなかったのが悔やまれます。そして、昨年の演奏会の席は、ステージ横左側の一番、アバドに近い席だったのです。今となっては、チケットを返して換金したのが悔やまれます。幻のチケットとして手元に置いておけば良かったのに・・・。
by TANNOY-GRF
| 2014-01-23 13:59
| 演奏会場にて
|
Comments(6)
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2H
at 2014-01-23 22:46
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GRFさんこんばんは。ここ数年、JAZZも含め、随分とビッグネームが天に召された気がします。アバドは、実は手元にディスクを持っていません。また探してみようと思います。
合掌。
合掌。
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チューバホーン
at 2014-01-24 07:17
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おはようございます。
今回の記事を拝見して、大変驚きました。
私は初めてのベルリンフィル体験はアバドでした。破格のチケット代でしたが、それ以上の興奮と感動を覚えたことは今でもはっきり覚えています。
とても残念なことですが、ご冥福をお祈りしたいと思います。
今回の記事を拝見して、大変驚きました。
私は初めてのベルリンフィル体験はアバドでした。破格のチケット代でしたが、それ以上の興奮と感動を覚えたことは今でもはっきり覚えています。
とても残念なことですが、ご冥福をお祈りしたいと思います。
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GRF
at 2014-01-24 09:15
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2Hさん アバドは、一番新しいアルバムからお聴きになられるのが良いと思います。
チューバホーンさん
ご無沙汰しています。そうですか、ベルリンフィルでお聴きになったのですね。何のプログラムでしたか?生放送された公演は、テープが残っています。
チューバホーンさん
ご無沙汰しています。そうですか、ベルリンフィルでお聴きになったのですね。何のプログラムでしたか?生放送された公演は、テープが残っています。
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チューバホーン
at 2014-01-24 20:56
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GRFさん、下記の公演に行きました。
ヤンソンスのほうはDVDが出ているのですが、アバドはないようです>?
2000年11月25日(土) 指揮:クラウディオ・アバド サントリーホール
ベートーベン:「エグモント」 Op.84 序曲
ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
交響曲第7番イ長調 Op.92
11月26日(日)指揮:マリス・ヤンソンス サントリーホール
ウェーバー: 歌劇「オベロン」序曲
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 Op.99
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
ドヴォルザーク: 交響曲第8番ト長調Op.88
ヤンソンスのほうはDVDが出ているのですが、アバドはないようです>?
2000年11月25日(土) 指揮:クラウディオ・アバド サントリーホール
ベートーベン:「エグモント」 Op.84 序曲
ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
交響曲第7番イ長調 Op.92
11月26日(日)指揮:マリス・ヤンソンス サントリーホール
ウェーバー: 歌劇「オベロン」序曲
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 Op.99
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
ドヴォルザーク: 交響曲第8番ト長調Op.88
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GRF
at 2014-01-24 21:52
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2000年のベートーヴェンは、イタリア公演がDVDになっています。東京の録音はないようですね。連チャンですね。
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GRF
at 2014-01-26 09:40
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昨日の夜のメータのコンサートは、冒頭にマーラー第5番のアダージェットをアバド追悼の曲で演奏されました。今朝の早朝だったので、ライブは見れなかったので、アーカイブになるのを待って私も追悼しようと思います。
We mourn the passing of Claudio Abbado. The former Chief Conductor of the Berliner Philharmoniker died at the age of 80 in Bologna on 20 January. The Berliner Philharmoniker therefore dedicate these concerts to the memory of Claudio Abbado. The conductor is Zubin Mehta, who was a friend of Abbado for more than 50 years.
In addition to the scheduled programme, the Berliner Philharmoniker and Zubin Mehta will open the concert with the Adagietto from Gustav Mahler’s Fifth Symphony. With this work they pay special tribute to Abbado as a great Mahler interpreter who conducted the Berliner Philharmoniker in many unforgettable performances of Mahler’s symphonies.
We mourn the passing of Claudio Abbado. The former Chief Conductor of the Berliner Philharmoniker died at the age of 80 in Bologna on 20 January. The Berliner Philharmoniker therefore dedicate these concerts to the memory of Claudio Abbado. The conductor is Zubin Mehta, who was a friend of Abbado for more than 50 years.
In addition to the scheduled programme, the Berliner Philharmoniker and Zubin Mehta will open the concert with the Adagietto from Gustav Mahler’s Fifth Symphony. With this work they pay special tribute to Abbado as a great Mahler interpreter who conducted the Berliner Philharmoniker in many unforgettable performances of Mahler’s symphonies.