2015年 02月 13日
初恋の人との再会? |
GRFさま
まるで初恋の人に出会った様でした。
私がオーディオに目覚め、「これしかない」と思って勇気を持って訪れた岡山・オーディオマエストロ。そこで聴いたアンプが、いま目の前にあります。そして、その時聴いたスピーカーは我が家に鎮座しています。
その時、私は是枝さんに伺いました。「先生の目指すアンプとは?」と。是枝さんは「若僧が何を言うか」と思われたかもしれません。でもその時は、「きついぐらいに高域が伸び、音が天から降り注ぐ様なアンプ」という意味のことををおっしゃられたと記憶しています。まさにこのアンプは、この形容詞がぴったりと当てはまっている事を思い出します。
以来、幾度となく訪問し、「あのアンプは作って貰えませんか?」と尋ねるのですが、「制約があって難しい」と、やんわりと断られ続けていました。
4年前にGRFさんとオーディオマエストロを訪れ、デコラとハートレーで盛り上がったとき、「是枝アンプで一番良い音のPPアンプは?」との問いをGRFさんから投げかけられました。私は即座に「6336BのPPアンプです」と答えました。
東京と岡山でかなり離れている是枝さん主宰のオーディオマエストロです。そう何回も行ける訳ではありませんが、それでも代表的な50シングルや、300BのPPアンプ、その他のアンプもいくつか聴かせて頂いたのですが、それでも、私が聴いた中で一番のアンプは、初めて訪れた際に聴いた、6336BのPPアンプが一番であると思っているからです。
GRFさんは、この根拠も無い私の言葉を良く信じられたと思います。いや、私の言葉だけでは信用できないので、きっとGRFさんは是枝さんに裏を取ったと思いますが・・・(笑)
さすがGRFさんは、この私と行動力が違います。今現在ではこのアンプは、「トランスがない」「デバイスがない」等、種々の問題があって製造出来ないのです。その問題を素晴らしい行動力で一つ一つ解決し、是枝さんを説得されました。
そして今、その幻のアンプが目の前に鎮座しているのです。
サイモン・ラトル、ベルリンフィルの「春の祭典」を聴き、深々とした低音に下支えされた切れ味の鋭い音味を確認し、同じゲルギエフ、キーロフのフィリップス版「春の祭典」では、正に天から音が降ってくる様な音の輝きと切れ込みがあり、私が思い続けた「正にこの音!」が目の前にありました。
そしてモノラルアンプらしい、広大な音場が目の前に再現されます。個人的にはコンシークェンスにも負けない音がユニコーンから出ていると感じました。
伺った際は、まだ火入れして間もなくでもあり、ユニコーンのセッティングも詰めていない所でしたが、それでもこのアンプだけが持っている特徴をプンプンと振り撒いています。セッティングを追い込めば、凄い音になることは間違い有りません。
何としても、このアンプは手に入れなければなりません。初恋の人と再会したのですから(笑)
O
6336Bアンプが、和室に導入された二日後、雪で転んで、腕を骨折してしまったOさんが、プレート埋め込み手術から二日も経っていないのに、「初恋」のアンプを見に、聴きに来てくださいました。4年前のあの大震災の直前の岡山で、確かに、是枝さんに今まで作られたプッシュプルアンプで何が一番良い音だとお訊きしました。その問いに6336Bと即座に答えてくれたのが、Oさんだったのです。是枝さんは、笑ってうなずいていられました。
そのアンプは手に入らないのですかと、聞いたところ、球自体は、ヴィンテージ管ではないのでまだ手に入るのですが、トランスとか、バイアスを自動的にあわせるデバイスとか、もう手に入らなくなった部品が多く、これから作るのは、相当難しいとのご返事でした。その時は、上の是枝さんの左側にある赤いボンネットの5933p.p.を黄色の色で発注してきたのでした。
あれから三年以上、5933アンプは、出力は15wの小振りながら、ユニコーンを充分駆動してくれました。しかし、川崎でベルリンフィルやウィーンフィルの迫力有る低弦群や打楽器群の音を聞いてしまった私の耳には、生の雰囲気をよく再現するユニコーンの装置にあの迫力有る、地を這うような低音の再生を望んでしまったのです。
そして、一昨年の暮れに、6336Bアンプを再製造できない理由を是枝さんに今一度お訊きして見たのです。やはり一番のネックは、特殊な巻き線と、広帯域の性能をもっているタムラのトランスの製造が、止まっていることでした。震災の影響や、その復興からの特需もあって、オーディオ専用トランスの製造には、手が回らなかったでしょう。
そういう、困難な理由を一つづつほどいて聞く作業が続きました。そのトランスをロットで製造して頂き、手元に入ってから、是枝さんの再生産の為の部品探しが始まったのです。
まだ、五日しかこのアンプは鳴っていません。実際に聞いたのは、近所のAさんと当のOさんだけです。それでも、想像もつかない音で鳴り始めたユニコーンの音は、このスピーカーの持っているポテンシャルの高さを見せてくれたのでした。
あの時、Oさんの言葉を信じ、いま、目の前にこのアンプを見るとオーディオの楽しみがじわじわと心に浸みてきます。面白いですね〜。
実は、まだまだ、進行中のプロジェクトもあります。楽しみは当分終わらないようです。
まるで初恋の人に出会った様でした。
私がオーディオに目覚め、「これしかない」と思って勇気を持って訪れた岡山・オーディオマエストロ。そこで聴いたアンプが、いま目の前にあります。そして、その時聴いたスピーカーは我が家に鎮座しています。
その時、私は是枝さんに伺いました。「先生の目指すアンプとは?」と。是枝さんは「若僧が何を言うか」と思われたかもしれません。でもその時は、「きついぐらいに高域が伸び、音が天から降り注ぐ様なアンプ」という意味のことををおっしゃられたと記憶しています。まさにこのアンプは、この形容詞がぴったりと当てはまっている事を思い出します。
以来、幾度となく訪問し、「あのアンプは作って貰えませんか?」と尋ねるのですが、「制約があって難しい」と、やんわりと断られ続けていました。
4年前にGRFさんとオーディオマエストロを訪れ、デコラとハートレーで盛り上がったとき、「是枝アンプで一番良い音のPPアンプは?」との問いをGRFさんから投げかけられました。私は即座に「6336BのPPアンプです」と答えました。
東京と岡山でかなり離れている是枝さん主宰のオーディオマエストロです。そう何回も行ける訳ではありませんが、それでも代表的な50シングルや、300BのPPアンプ、その他のアンプもいくつか聴かせて頂いたのですが、それでも、私が聴いた中で一番のアンプは、初めて訪れた際に聴いた、6336BのPPアンプが一番であると思っているからです。
GRFさんは、この根拠も無い私の言葉を良く信じられたと思います。いや、私の言葉だけでは信用できないので、きっとGRFさんは是枝さんに裏を取ったと思いますが・・・(笑)
さすがGRFさんは、この私と行動力が違います。今現在ではこのアンプは、「トランスがない」「デバイスがない」等、種々の問題があって製造出来ないのです。その問題を素晴らしい行動力で一つ一つ解決し、是枝さんを説得されました。
そして今、その幻のアンプが目の前に鎮座しているのです。
サイモン・ラトル、ベルリンフィルの「春の祭典」を聴き、深々とした低音に下支えされた切れ味の鋭い音味を確認し、同じゲルギエフ、キーロフのフィリップス版「春の祭典」では、正に天から音が降ってくる様な音の輝きと切れ込みがあり、私が思い続けた「正にこの音!」が目の前にありました。
そしてモノラルアンプらしい、広大な音場が目の前に再現されます。個人的にはコンシークェンスにも負けない音がユニコーンから出ていると感じました。
伺った際は、まだ火入れして間もなくでもあり、ユニコーンのセッティングも詰めていない所でしたが、それでもこのアンプだけが持っている特徴をプンプンと振り撒いています。セッティングを追い込めば、凄い音になることは間違い有りません。
何としても、このアンプは手に入れなければなりません。初恋の人と再会したのですから(笑)
O
6336Bアンプが、和室に導入された二日後、雪で転んで、腕を骨折してしまったOさんが、プレート埋め込み手術から二日も経っていないのに、「初恋」のアンプを見に、聴きに来てくださいました。4年前のあの大震災の直前の岡山で、確かに、是枝さんに今まで作られたプッシュプルアンプで何が一番良い音だとお訊きしました。その問いに6336Bと即座に答えてくれたのが、Oさんだったのです。是枝さんは、笑ってうなずいていられました。
そのアンプは手に入らないのですかと、聞いたところ、球自体は、ヴィンテージ管ではないのでまだ手に入るのですが、トランスとか、バイアスを自動的にあわせるデバイスとか、もう手に入らなくなった部品が多く、これから作るのは、相当難しいとのご返事でした。その時は、上の是枝さんの左側にある赤いボンネットの5933p.p.を黄色の色で発注してきたのでした。
あれから三年以上、5933アンプは、出力は15wの小振りながら、ユニコーンを充分駆動してくれました。しかし、川崎でベルリンフィルやウィーンフィルの迫力有る低弦群や打楽器群の音を聞いてしまった私の耳には、生の雰囲気をよく再現するユニコーンの装置にあの迫力有る、地を這うような低音の再生を望んでしまったのです。
そして、一昨年の暮れに、6336Bアンプを再製造できない理由を是枝さんに今一度お訊きして見たのです。やはり一番のネックは、特殊な巻き線と、広帯域の性能をもっているタムラのトランスの製造が、止まっていることでした。震災の影響や、その復興からの特需もあって、オーディオ専用トランスの製造には、手が回らなかったでしょう。
そういう、困難な理由を一つづつほどいて聞く作業が続きました。そのトランスをロットで製造して頂き、手元に入ってから、是枝さんの再生産の為の部品探しが始まったのです。
まだ、五日しかこのアンプは鳴っていません。実際に聞いたのは、近所のAさんと当のOさんだけです。それでも、想像もつかない音で鳴り始めたユニコーンの音は、このスピーカーの持っているポテンシャルの高さを見せてくれたのでした。
あの時、Oさんの言葉を信じ、いま、目の前にこのアンプを見るとオーディオの楽しみがじわじわと心に浸みてきます。面白いですね〜。
実は、まだまだ、進行中のプロジェクトもあります。楽しみは当分終わらないようです。
by TANNOY-GRF
| 2015-02-13 17:18
| 行ったり来たり
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