2015年 10月 30日
ホログラフの音を求めて-6 |
ピッタリと位置があったSPからは、そのSP固有の音場が現れます。上下にユニットを並べ位相を合わせた"Consequence"からは、あの大きさから想像の出来ないSPが消える音がします。勿論、T4もSPが消えるタイプです。完全に消えて、前後左右に広大な音場が出現します。このT4の音に最低音の実在感が加われば、申し分の無いSPになるでしょう。ところが、大山さんに相談すると、そこが簡単に行かないところだそうです。その事も、ホログラムの実験をしている理由でもあります。
反対に、HartleyのSPが、いちばん鳴らし方が難しいかもしれません。62センチのウーファーの上に横に並んで、中音、高音のコーン型。ドーム型のスーパーツィターが並んでいます。歪みの少ないユニットは、格別の音がしますが、ステレオの音場を聴くためには、正確に左右のSPの中央で聴く必要があります。一人しか聴けないのです。あたま一つ動かすと、動かした方のSPに音が寄ります。昔のステレオの鳴り方ですね。でも、その一点で聴くと、帯域の広い素晴らしい音が響くのです。大きなヘッドフォンの様に音が充実して、凄い存在感ですね。
しかし、この存在感は、立体的に音が前に飛び出してきたり、遥か後方から音が聞こえているわけではないのです。目の前にオーケストラが展開して、残響成分も過不足無く聞こえます。その中央の一点を動かなければ、問題は無いのですが。この美しい部屋の持ち主のI.Kさんは、中央の美しい素描画の前で聴かれています。一人にリスナーのための豪華な部屋なのです。
何時も述べていますが、ステレオには二種類の形式があります。一つ目はあるがままの音場を集音して、元の音場を再現しようとする試みです。今一つは、パン・ポットと呼ばれる方法で、モノの音源を調整卓で合成して、2チャンネルまたはそれ以上の音を創造するやり方をいいます。前者は、PAを使わないアコースティックな音源の収録に使われ、後者は、それ以外の録音のほとんどに使用されています。前者の会場でも生の音の収音にも、補助的にモノラル信号のモノ信号のマイクが使用され、調整卓で合成(ミキシング)されて音を作ります。録音が創造的な行為になっているのです。
スタジオで、歌手がマイクを前に歌っている写真が良くありますが、ヘレンメリルの時代は、モノラル録音ですが、現在でも歌手は、一つのマイクに向かって歌っています。そのモノラル信号が、左右に残響を付加されて収録されます。この音源はモノラルですから、ステレオ盤でも歌手は真ん中に定位するわけです。クラシックの演奏会で、歌手が出てくるときは、よく小さなマイクが、二本づつ立っているときがあります。これはその歌手の声もステレオ録音されているのです。
声もステレオで収録することで、会場のアンビアンスが集音されてより自然な音に聞こえます。しかし、この方法は段々少なくなってきました。クラシックの収録でも、各セクションにマイクを立てて、あとからその音を合成したり、音量を調整して音のバランスを整えるのです。何時も音のチェックに使う、ガーディナーのシューベルトのグレートも、冒頭のホルンは奥の方から響いてくるのですが、T4の床置き平行法では、第一ヴァイオリンが始まった瞬間に、SPから音がし始めるのです。スポットマイクで集音しているのでしょう。そのバランスが揃っていないのですね。
クラシックでも、ときどきこの様な問題が起こり、違和感を感じることが多くなってきました。T4の位置が近すぎるのかも知れません。もっともGRFで聴けば、それらの音の不自然さもなくなり、ホール全体で鳴っている感じに聞こえます。その場合は、全体に残響が心地よいと言う風になるのです。正確な音場感は無くなり、GRF劇場の音になるのです。それはそれで良いのですが・・・。
ユニコーンを広い部屋で鳴らしていた頃、勿論、横置きも縦置きも試したのですが、ユニコーンは、あたかも平面SPの様に、その場所が音の発生源として鳴っていました。平面SPは前後の両方向ですが、ユニコーンも横置きにすると、バックロードホーンから出て来た低音は、前と後ろに放射されます。高域は360度なのですが、低域があたかも平面SPのように音が出るので、音場は構成されず、双方向になるタイプだと思っていたのです。
それが、横浜のMさんのお宅では、低音が余裕があるので、後ろの壁の影響が無い部屋の中央に出してきたら、そこに、立体的な音場が出現したのです。中高域だけなら、ユニコーンでも出ていたのですが、低域の量感を伴わなければ、実在感がありません。46センチウーファーの二連による、とてつもない低域の実在感が出て来てはじめて、オーケストラの真ん中にいるのだと、感じる事が出来たのです。ホログラムの出現です。その音を聴いて、頭の中が回り始めたのです。
今一つは、浜松のプー博士のお宅に入った縦置きのユニコーンです。オラソニックの超小型デジタルアンプに、アンプよりお金を掛けた超大型電源からパワーサプライされたユニコーンは、低域まで堂々とした音を出していました。SP間隔を調整して行くと、普段より近めの場所で、突如音が変わりました。間隔を狭めていくと左右のSPがあたかも有機的に結びついたような感覚が現れて、突如として音場が、その空間に現れたのです。勿論プー博士は、大喜び!私は、長年求めてきた音がとうとう出現しはじめた驚きに震えていました。その時に、試聴用に使ったのが、カラヤン・ウイーンフィルとキャサリン・バトルの『春の声』でした。
反対に、HartleyのSPが、いちばん鳴らし方が難しいかもしれません。62センチのウーファーの上に横に並んで、中音、高音のコーン型。ドーム型のスーパーツィターが並んでいます。歪みの少ないユニットは、格別の音がしますが、ステレオの音場を聴くためには、正確に左右のSPの中央で聴く必要があります。一人しか聴けないのです。あたま一つ動かすと、動かした方のSPに音が寄ります。昔のステレオの鳴り方ですね。でも、その一点で聴くと、帯域の広い素晴らしい音が響くのです。大きなヘッドフォンの様に音が充実して、凄い存在感ですね。
しかし、この存在感は、立体的に音が前に飛び出してきたり、遥か後方から音が聞こえているわけではないのです。目の前にオーケストラが展開して、残響成分も過不足無く聞こえます。その中央の一点を動かなければ、問題は無いのですが。この美しい部屋の持ち主のI.Kさんは、中央の美しい素描画の前で聴かれています。一人にリスナーのための豪華な部屋なのです。
何時も述べていますが、ステレオには二種類の形式があります。一つ目はあるがままの音場を集音して、元の音場を再現しようとする試みです。今一つは、パン・ポットと呼ばれる方法で、モノの音源を調整卓で合成して、2チャンネルまたはそれ以上の音を創造するやり方をいいます。前者は、PAを使わないアコースティックな音源の収録に使われ、後者は、それ以外の録音のほとんどに使用されています。前者の会場でも生の音の収音にも、補助的にモノラル信号のモノ信号のマイクが使用され、調整卓で合成(ミキシング)されて音を作ります。録音が創造的な行為になっているのです。
スタジオで、歌手がマイクを前に歌っている写真が良くありますが、ヘレンメリルの時代は、モノラル録音ですが、現在でも歌手は、一つのマイクに向かって歌っています。そのモノラル信号が、左右に残響を付加されて収録されます。この音源はモノラルですから、ステレオ盤でも歌手は真ん中に定位するわけです。クラシックの演奏会で、歌手が出てくるときは、よく小さなマイクが、二本づつ立っているときがあります。これはその歌手の声もステレオ録音されているのです。
声もステレオで収録することで、会場のアンビアンスが集音されてより自然な音に聞こえます。しかし、この方法は段々少なくなってきました。クラシックの収録でも、各セクションにマイクを立てて、あとからその音を合成したり、音量を調整して音のバランスを整えるのです。何時も音のチェックに使う、ガーディナーのシューベルトのグレートも、冒頭のホルンは奥の方から響いてくるのですが、T4の床置き平行法では、第一ヴァイオリンが始まった瞬間に、SPから音がし始めるのです。スポットマイクで集音しているのでしょう。そのバランスが揃っていないのですね。
クラシックでも、ときどきこの様な問題が起こり、違和感を感じることが多くなってきました。T4の位置が近すぎるのかも知れません。もっともGRFで聴けば、それらの音の不自然さもなくなり、ホール全体で鳴っている感じに聞こえます。その場合は、全体に残響が心地よいと言う風になるのです。正確な音場感は無くなり、GRF劇場の音になるのです。それはそれで良いのですが・・・。
ユニコーンを広い部屋で鳴らしていた頃、勿論、横置きも縦置きも試したのですが、ユニコーンは、あたかも平面SPの様に、その場所が音の発生源として鳴っていました。平面SPは前後の両方向ですが、ユニコーンも横置きにすると、バックロードホーンから出て来た低音は、前と後ろに放射されます。高域は360度なのですが、低域があたかも平面SPのように音が出るので、音場は構成されず、双方向になるタイプだと思っていたのです。
それが、横浜のMさんのお宅では、低音が余裕があるので、後ろの壁の影響が無い部屋の中央に出してきたら、そこに、立体的な音場が出現したのです。中高域だけなら、ユニコーンでも出ていたのですが、低域の量感を伴わなければ、実在感がありません。46センチウーファーの二連による、とてつもない低域の実在感が出て来てはじめて、オーケストラの真ん中にいるのだと、感じる事が出来たのです。ホログラムの出現です。その音を聴いて、頭の中が回り始めたのです。
今一つは、浜松のプー博士のお宅に入った縦置きのユニコーンです。オラソニックの超小型デジタルアンプに、アンプよりお金を掛けた超大型電源からパワーサプライされたユニコーンは、低域まで堂々とした音を出していました。SP間隔を調整して行くと、普段より近めの場所で、突如音が変わりました。間隔を狭めていくと左右のSPがあたかも有機的に結びついたような感覚が現れて、突如として音場が、その空間に現れたのです。勿論プー博士は、大喜び!私は、長年求めてきた音がとうとう出現しはじめた驚きに震えていました。その時に、試聴用に使ったのが、カラヤン・ウイーンフィルとキャサリン・バトルの『春の声』でした。
by TANNOY-GRF
| 2015-10-30 09:20
| オーディオ雑感
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Comments(2)
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プー博士(Dr.Pooh)
at 2015-10-30 17:14
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あの時のことよく覚えています。GRFさんが急に無口になって考え込んでいたからです。
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TANNOY-GRF at 2015-10-31 09:04
あの時は、驚きました!なぜ少し傾けたらあの音が出たのかを考えていました。同じ位置で、平行にするとその有機的な繋がりが、変化するのも試していました。ユニコーンは、バックロードホーンで、その袴が斜めになり前に出てくるように工夫してあります。低域の出方が、角度によって変わるのでしょうね。送り出しのHD-1の改造も聴いているのだと思います。
プー博士のところにあって、椀方さんのところに無いのは、HD-1だけですね。
プー博士のところにあって、椀方さんのところに無いのは、HD-1だけですね。