2015年 11月 05日
S.Tさんのご感想 - 2 |
この調子で3時間半ほどユニコーンを聞き続けた後、今度は大きい部屋に移動して、現在進行中のプロジェクトである、ユニコーンに使用されているジャーマンフィジックスのトロバドール 40に低音部を受け持つ独立のウーファーを加えて2ウエイとしたシステムを聴かせていただきました。この辺になると少し疲れも出てきたのとその後ワインも入ったので、記憶が少し定かではないところがありますが思い出すままに。
このシステムで聞く音は、ユニコーンの高域・低域をさらに磨き上げたものだそうです。ユニコーンオリジナルで聴かせていただいた音と比べてもう一つ次元の高い音に聞こえました。和室で聴くユニコーンの音がホールの2階席から横に長い楕円形のような音場を眼前に聴く感じだとすれば、こちらは一階席の中央部にいて自分もやや縦に長い楕円形の音場にすっぽり包まれて聴く感じで、音の左右への広がりに加えて舞台までの奥行がありありと感じられます。キャスリーン・バトルの春の声は圧巻で、まさにホールに座って前方の舞台で歌っている彼女を聴く感じでした。
ただ、私はこのさらに高次元のこの音は部屋のアコースティックに起因する部分もかなり大きいのではないかと考えています。言い換えれば、ユニコーンシステムをそのままこの部屋に持ち込んでも、GRFさんのノウハウをもってすれば、この高次元の音場を再生できるのではないでしょうか。
もっともこれは私がバックロードのユニコーンシステムに一目惚れして、これこそ独創的で極めて合理的なドイツ的クラフトマンシップの見事な完成型だとほれ込んでいることによる贔屓目かもしれません。例えが良いかどうかわかりませんが、私はバルナック型ライカこそ究極のカメラだと思っています。その美しいライカにいくら性能が良いからと言いってもニコンのレンズは付けたくないと思うような一種の感傷かもしれませんね。
ワインが入ってきてからは、私がデッカカートリッジの愛好者であり、タンノイファンであることでオリジナル・デコラとタンノイのGRFを聴かせていただきました。これについてはもう多くを書きませんが、デコラ+デッカMkIIIで聴くフランク・永井、森進一、越路吹雪(イン・ベラミ!)ヘレン・シャピロは、世代的な共感の真ん中を射抜いたとだけ書いておきます。
タンノイGRFの音を聴くと私はやはり安らぎに近いものをついつい感じてしまいます。ユニコーンが最高性能のレンズで取った写真だとすると、我がタンノイは似顔絵かもしれない、しかし対象の余計な部分を取捨選択し、あるいはデフォルメし、ここぞという部分にスポットライトを当てた似顔絵が、名人の手にかかるとその人物の本質をより端的に表現し訴求力がより強いという事もあるだろう、と考えたりもしました。
今回、GRFさんのシステムを拝見させていただき、そのシステムの裏に隠れたご努力に思いをやると胸が痛むような気もします。こういうことを言うとGRFさんは嫌な顔をされると思いますが、私は芥川龍之介の「天才とは僅かに我我と一歩を隔てたもののことである。只この一歩を理解する為には百里の半ばを九十九里とする超数学を知らねばならぬ」という言葉を思い出します。
EMMのCDトランスポート・DAC、Oさんとご一緒に特注された是枝アンプ、ユニコーンを入手してもそれはまだ百里の道を一歩踏み出しただけなのかもしれません。最後の一里を極めるべく明確な自分の音の理想を持ち、どんな些細な問題でもいい加減にしない鋭敏な感性で、ここまでのシステムを構築し磨き上げるために、弛まず彫心鏤骨の創意工夫を重ねる、その稀有の「努力する才能」に満腔の敬意を表したいと思います。
私も人生の終盤に差し掛かり、将棋ならそろそろ秒読みが始まろうという時に、ユニコーンなどという危険なものを聴いてしまいました。これからしばらくまた惑いの季節が始まるかもしれませんが、まあこれもオーディオ好きの業というものでしょう。このような新しく悩ましい惑いの機会を与えていただいたGRFさんには心から感謝しています。有難うございました。
S.T
S.Tさん 大変丁寧なご感想を頂きました。過分にお褒めいただいている点もあり、面映ゆくかんじますが、共感していただき、ユニコーンは久しぶりにとてもいい音を出していました。S.Tさんが言われるように、装置や音楽は、同一空間に共鳴し、感動される方がおられれば、ドンドンよくなってい来ます。反対に『負』のオーラが出ているときは、音はよくなりません。
S.Tさんには、デッカのカートリッジやタンノイのスピーカー好きの共通項もあり、同じ方向性の音を聴いておられるので、私のところの実験も好意的に見て頂けたようです。Troubadour40での実験にかまけて、和室のユニコーンの音が、少しご機嫌斜めだったのですが、S.TさんとOさんが来られて良い波長で聴いていただいたので、あれから好調を維持しています。やはり装置は、気持ちを込めて、気合いを入れて聴いてあげないと良い音ではなってくれませんね。
今回は待望のユニコーンが入ったOさんの為にも、気合いを入れて鳴らせたので、彼の目標を示せたようです。部屋や鳴らし方一つで音は変わります。今回の家の音を参考にしていただいて、よい音が出るように頑張っていただきたいですね。同じアンプとスピーカーですから、もう言い訳は聞きませんよ(爆)。
お二人には、11日のミューザ川崎でまたお会いします。演奏会が終わったら、また美味しいお酒をご一緒しましょう!
このシステムで聞く音は、ユニコーンの高域・低域をさらに磨き上げたものだそうです。ユニコーンオリジナルで聴かせていただいた音と比べてもう一つ次元の高い音に聞こえました。和室で聴くユニコーンの音がホールの2階席から横に長い楕円形のような音場を眼前に聴く感じだとすれば、こちらは一階席の中央部にいて自分もやや縦に長い楕円形の音場にすっぽり包まれて聴く感じで、音の左右への広がりに加えて舞台までの奥行がありありと感じられます。キャスリーン・バトルの春の声は圧巻で、まさにホールに座って前方の舞台で歌っている彼女を聴く感じでした。
ただ、私はこのさらに高次元のこの音は部屋のアコースティックに起因する部分もかなり大きいのではないかと考えています。言い換えれば、ユニコーンシステムをそのままこの部屋に持ち込んでも、GRFさんのノウハウをもってすれば、この高次元の音場を再生できるのではないでしょうか。
もっともこれは私がバックロードのユニコーンシステムに一目惚れして、これこそ独創的で極めて合理的なドイツ的クラフトマンシップの見事な完成型だとほれ込んでいることによる贔屓目かもしれません。例えが良いかどうかわかりませんが、私はバルナック型ライカこそ究極のカメラだと思っています。その美しいライカにいくら性能が良いからと言いってもニコンのレンズは付けたくないと思うような一種の感傷かもしれませんね。
ワインが入ってきてからは、私がデッカカートリッジの愛好者であり、タンノイファンであることでオリジナル・デコラとタンノイのGRFを聴かせていただきました。これについてはもう多くを書きませんが、デコラ+デッカMkIIIで聴くフランク・永井、森進一、越路吹雪(イン・ベラミ!)ヘレン・シャピロは、世代的な共感の真ん中を射抜いたとだけ書いておきます。
タンノイGRFの音を聴くと私はやはり安らぎに近いものをついつい感じてしまいます。ユニコーンが最高性能のレンズで取った写真だとすると、我がタンノイは似顔絵かもしれない、しかし対象の余計な部分を取捨選択し、あるいはデフォルメし、ここぞという部分にスポットライトを当てた似顔絵が、名人の手にかかるとその人物の本質をより端的に表現し訴求力がより強いという事もあるだろう、と考えたりもしました。
今回、GRFさんのシステムを拝見させていただき、そのシステムの裏に隠れたご努力に思いをやると胸が痛むような気もします。こういうことを言うとGRFさんは嫌な顔をされると思いますが、私は芥川龍之介の「天才とは僅かに我我と一歩を隔てたもののことである。只この一歩を理解する為には百里の半ばを九十九里とする超数学を知らねばならぬ」という言葉を思い出します。
EMMのCDトランスポート・DAC、Oさんとご一緒に特注された是枝アンプ、ユニコーンを入手してもそれはまだ百里の道を一歩踏み出しただけなのかもしれません。最後の一里を極めるべく明確な自分の音の理想を持ち、どんな些細な問題でもいい加減にしない鋭敏な感性で、ここまでのシステムを構築し磨き上げるために、弛まず彫心鏤骨の創意工夫を重ねる、その稀有の「努力する才能」に満腔の敬意を表したいと思います。
私も人生の終盤に差し掛かり、将棋ならそろそろ秒読みが始まろうという時に、ユニコーンなどという危険なものを聴いてしまいました。これからしばらくまた惑いの季節が始まるかもしれませんが、まあこれもオーディオ好きの業というものでしょう。このような新しく悩ましい惑いの機会を与えていただいたGRFさんには心から感謝しています。有難うございました。
S.T
S.Tさん 大変丁寧なご感想を頂きました。過分にお褒めいただいている点もあり、面映ゆくかんじますが、共感していただき、ユニコーンは久しぶりにとてもいい音を出していました。S.Tさんが言われるように、装置や音楽は、同一空間に共鳴し、感動される方がおられれば、ドンドンよくなってい来ます。反対に『負』のオーラが出ているときは、音はよくなりません。
S.Tさんには、デッカのカートリッジやタンノイのスピーカー好きの共通項もあり、同じ方向性の音を聴いておられるので、私のところの実験も好意的に見て頂けたようです。Troubadour40での実験にかまけて、和室のユニコーンの音が、少しご機嫌斜めだったのですが、S.TさんとOさんが来られて良い波長で聴いていただいたので、あれから好調を維持しています。やはり装置は、気持ちを込めて、気合いを入れて聴いてあげないと良い音ではなってくれませんね。
今回は待望のユニコーンが入ったOさんの為にも、気合いを入れて鳴らせたので、彼の目標を示せたようです。部屋や鳴らし方一つで音は変わります。今回の家の音を参考にしていただいて、よい音が出るように頑張っていただきたいですね。同じアンプとスピーカーですから、もう言い訳は聞きませんよ(爆)。
お二人には、11日のミューザ川崎でまたお会いします。演奏会が終わったら、また美味しいお酒をご一緒しましょう!
by TANNOY-GRF
| 2015-11-05 00:42
| 来たり
|
Comments(5)
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by
UNICORN
at 2015-11-05 19:46
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ついにOさんもUnicornを導入されましたか・・・・・、我家で初めて聴かれたのが7-8年前位だと思うのですが、GRFさんと御互い長・・い切磋琢磨道中の結果ですね!!
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by
TANNOY-GRF at 2015-11-05 20:28
UNICORNさんが、我々のスタートです。この七、八年でどれほど変わったのでしょうか?UNICOERNさん以来のユニコーンユーザーがどれほど、進化しているかの検証も大事ですね。
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by
O
at 2015-11-06 11:43
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UNICORNさん
遅ればせながら、お仲間に入れて頂きました。新米ですが宜しくお願いします(^^)
GRFさん
色々とありがとうございました。私のせいでユニコーンの評価が落ちない様に頑張ります(^^)
遅ればせながら、お仲間に入れて頂きました。新米ですが宜しくお願いします(^^)
GRFさん
色々とありがとうございました。私のせいでユニコーンの評価が落ちない様に頑張ります(^^)
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by
S.Y.
at 2015-11-07 12:28
x
GRFさま
エルマー90㎜F4かと思いましたが、もしかしたらヘクトール135㎜F3.5?
Y.S
エルマー90㎜F4かと思いましたが、もしかしたらヘクトール135㎜F3.5?
Y.S
Commented
by
TANNOY-GRF at 2015-11-07 19:10
エルマー90㎜F4です。私は、パルナックでは無く、Leica CLに付けて使っていました。手が小さい私にピッタリでした。