2015年 12月 30日
三角形ステレオと平行法 |
「GRFさんは、どうして、わざわざ音が悪くなるエッジ方向の音を聞いているのですか?」という質問が、オーディオの専門家から聞かれました。よい音を聞くのなら、SPを聴き手の方向に向けて、正しい音を聞かれたらどうかというご指摘です。ステレオのバランスを見るために、シンセサイザーで、音の定位をみるCDを掛けての質問でした。このCDは、中央で鳴っているカスタネットみたいな音が、左右に均等に拡がって行くのが普通なのだけど、こうして、平行に置くと、真ん中の音が引っ込んでしまい、正確な再生が出来ないのではと言う指摘でした。
確かにお持ちになったシンセサイザーのCDを聞く限りに於いては、指摘されたような音に聞こえます。また、平行に置くと、音が引っ込んでしまい、前に出てこないそれはステレオ再生の約束を破っているのではという事なのです。ステレオ再生の説明を見ると、ほとんどの場合は、SPは内向きで鳴らす約束になっています。技術者は、説明されます。正確な音場とは、SPの回りに楕円形に拡がる音場のことで、平行法にすると前に音が出てこないと言われます。
私が何故、SPを平行にして聞いているかと言えば、その時に初めて出現する奥行きのある音場を聴きたいからなのです。私が、使っている平行法とか交差法という言葉は、ステレオ写真を見るときの手法を流用しました。すなわち、右目で右の写真を見るのが平行法、右目で左側の写真を見るのを目を交差するという言う意味で交差法と呼んでいるのです。平行法で見ると、立体感は奥に拡がっていきます。反対に交差法では写真は前に飛び出してくるのです。音の場合も同じです。交差法(内振り45度)にすると、音が飛び出して立体的に聞こえます。コーナー型のSPがそういう風に展開します。逆に平行法でピントを合わせると、SPが一番前で、音場は奥に展開するのです。
正三角形のステレオ再生では、音は濃くなり、音は自分に集中してきます。その聴き方では、自分の前で交差させるのがコツで、自分のいる位置まで持ってくると、ヘッドフォン的にはなりますが、奥行き方向の厚みはかえって減ります。私の持っているSPでは、Hartleyがそのタイプです。ただ、Hartleyは中高音のユニットが、水平方向に拡がっていますので、左右のズレに対して極めて敏感です。Hartleyを聞くときは、正確に中央で聞かなければ鳴りません。定員一名の巨大なヘッドフォーンになるのです。
私が聞いている音楽は、人工的につくられたシンセサイザーの音ではまりません。クラシックの演奏会場で、指揮者後方のマイクで、オーケストラを俯瞰した位置で録られた音は、マイクの後方(下方向)に展開している位置では、音場はSPの位置の後方に展開します。SPより前の位置に展開するには、交差法的にSPを内側に向けたときだけです。狭い部屋で、回りの反響を極力消し、音量もさほど大きくない配置をされる場合は、SPを内側に向けて音を集中すれば、音は前に出て来ます。
SPを平行に置いて音場を出している典型的な例として、アメリカのアヴァロンやティールのSPが上げられます。マッキントッシュやマークレヴィンソンの大型SPは壁に取り付けられていますから、当然平行です。三角形の頂点で音楽を聴けるのは、当然一人です。設定が合った場合は、音像は定位しますから、どこから聴いても音像は動きません。これは平行法でも内振り式でも同じです。但し、サービスエリアは、中央に限定されます。30度内振りにすれば、左右のSPの前で聴いている人は、音の悪いと言われるエッジの音を聞いていることになります。図を書いていればすぐ解りますが、平行法の方が、サービスエリアが広いことが解ります。
昔のSPは、ホーン型が主流でした。その為、指向性の範囲が狭く、必然的にSPの前で聞く必要がありました。また、SP前面の幅が大きなSPはそこがバッフル板になって前面にしか音が出ません。音が後ろ側に回りませんから、それだと後方の音はでなくなります。しかし、IIILZぐらいの大きさですと大丈夫ですね。
しかし、平行で置くように支持されているティールやアヴァロンは、正統な音では無いとその技術者は言われるのです。それでは論理は噛み合いません。内振りにする「正統的」なステレオ再生は、音は良いかもしれませんが、演奏会場の雰囲気を再現したい私の方向とは、違ってくるようです。三角形が構成するステレオ音場は、サービス範囲が限定されるのと、オーケストラで言うところの中央部の弦楽器群、第二ヴァイオリンやヴィオラの再現がどうしても薄くなります。その理由から、真ん中を補うセンタースピーカーの構想が生まれ、5.1サラウンドと進んでいきました。
私は、自分をSPで囲むサラウンドの音場には、不自然を感じています。三角形ステレオの延長上に、サラウンドの発想があるからです。両方とも、聴取位置はセンターの一人に集約されます。演奏会場のどの位置を想定しているのでしょう。中央のマイクが会場のアンビエンス(ambience)を収録して、自分を囲んだスピーカーがそれを再現するという方向は、やはり三角形ステレオの延長上にある発想です。私が目指している2個のスピーカーから音がホログラムの様に拡がって、会場を満たしていく方向とは違うのだと言う事を再認識しました。
聞いていたいただいた時の装置は、前日移動してきたばかりで,調整もあっていなかったので、指摘されても仕方が無かったのですが、考え方の差をはっきりと認識できて、良かったと思っています。入力系から、アンプまでは正しく信号を伝えてくれればいいのです。問題はそれを部屋の中で、どの様に再現するかという一点です。そこが一番大事なのです。その意味では、今の現状を正確に指摘してくれた技術者の発言に感謝しています。目指す方向の差を明確にしてくれたからです。
改めて、2チャンネルステレオによる、ステレオホログラム再生という広大な海へ、小さなボートで漕ぎ出しているのだと思いました。実験機では、その片鱗を見せてくれています。本来なら、この年末には実験したかったのですが、間に合いませんでした。その実験も正月明けには第二ステージに入れることでしょう。
確かにお持ちになったシンセサイザーのCDを聞く限りに於いては、指摘されたような音に聞こえます。また、平行に置くと、音が引っ込んでしまい、前に出てこないそれはステレオ再生の約束を破っているのではという事なのです。ステレオ再生の説明を見ると、ほとんどの場合は、SPは内向きで鳴らす約束になっています。技術者は、説明されます。正確な音場とは、SPの回りに楕円形に拡がる音場のことで、平行法にすると前に音が出てこないと言われます。
私が何故、SPを平行にして聞いているかと言えば、その時に初めて出現する奥行きのある音場を聴きたいからなのです。私が、使っている平行法とか交差法という言葉は、ステレオ写真を見るときの手法を流用しました。すなわち、右目で右の写真を見るのが平行法、右目で左側の写真を見るのを目を交差するという言う意味で交差法と呼んでいるのです。平行法で見ると、立体感は奥に拡がっていきます。反対に交差法では写真は前に飛び出してくるのです。音の場合も同じです。交差法(内振り45度)にすると、音が飛び出して立体的に聞こえます。コーナー型のSPがそういう風に展開します。逆に平行法でピントを合わせると、SPが一番前で、音場は奥に展開するのです。
正三角形のステレオ再生では、音は濃くなり、音は自分に集中してきます。その聴き方では、自分の前で交差させるのがコツで、自分のいる位置まで持ってくると、ヘッドフォン的にはなりますが、奥行き方向の厚みはかえって減ります。私の持っているSPでは、Hartleyがそのタイプです。ただ、Hartleyは中高音のユニットが、水平方向に拡がっていますので、左右のズレに対して極めて敏感です。Hartleyを聞くときは、正確に中央で聞かなければ鳴りません。定員一名の巨大なヘッドフォーンになるのです。
私が聞いている音楽は、人工的につくられたシンセサイザーの音ではまりません。クラシックの演奏会場で、指揮者後方のマイクで、オーケストラを俯瞰した位置で録られた音は、マイクの後方(下方向)に展開している位置では、音場はSPの位置の後方に展開します。SPより前の位置に展開するには、交差法的にSPを内側に向けたときだけです。狭い部屋で、回りの反響を極力消し、音量もさほど大きくない配置をされる場合は、SPを内側に向けて音を集中すれば、音は前に出て来ます。
SPを平行に置いて音場を出している典型的な例として、アメリカのアヴァロンやティールのSPが上げられます。マッキントッシュやマークレヴィンソンの大型SPは壁に取り付けられていますから、当然平行です。三角形の頂点で音楽を聴けるのは、当然一人です。設定が合った場合は、音像は定位しますから、どこから聴いても音像は動きません。これは平行法でも内振り式でも同じです。但し、サービスエリアは、中央に限定されます。30度内振りにすれば、左右のSPの前で聴いている人は、音の悪いと言われるエッジの音を聞いていることになります。図を書いていればすぐ解りますが、平行法の方が、サービスエリアが広いことが解ります。
昔のSPは、ホーン型が主流でした。その為、指向性の範囲が狭く、必然的にSPの前で聞く必要がありました。また、SP前面の幅が大きなSPはそこがバッフル板になって前面にしか音が出ません。音が後ろ側に回りませんから、それだと後方の音はでなくなります。しかし、IIILZぐらいの大きさですと大丈夫ですね。
しかし、平行で置くように支持されているティールやアヴァロンは、正統な音では無いとその技術者は言われるのです。それでは論理は噛み合いません。内振りにする「正統的」なステレオ再生は、音は良いかもしれませんが、演奏会場の雰囲気を再現したい私の方向とは、違ってくるようです。三角形が構成するステレオ音場は、サービス範囲が限定されるのと、オーケストラで言うところの中央部の弦楽器群、第二ヴァイオリンやヴィオラの再現がどうしても薄くなります。その理由から、真ん中を補うセンタースピーカーの構想が生まれ、5.1サラウンドと進んでいきました。
私は、自分をSPで囲むサラウンドの音場には、不自然を感じています。三角形ステレオの延長上に、サラウンドの発想があるからです。両方とも、聴取位置はセンターの一人に集約されます。演奏会場のどの位置を想定しているのでしょう。中央のマイクが会場のアンビエンス(ambience)を収録して、自分を囲んだスピーカーがそれを再現するという方向は、やはり三角形ステレオの延長上にある発想です。私が目指している2個のスピーカーから音がホログラムの様に拡がって、会場を満たしていく方向とは違うのだと言う事を再認識しました。
聞いていたいただいた時の装置は、前日移動してきたばかりで,調整もあっていなかったので、指摘されても仕方が無かったのですが、考え方の差をはっきりと認識できて、良かったと思っています。入力系から、アンプまでは正しく信号を伝えてくれればいいのです。問題はそれを部屋の中で、どの様に再現するかという一点です。そこが一番大事なのです。その意味では、今の現状を正確に指摘してくれた技術者の発言に感謝しています。目指す方向の差を明確にしてくれたからです。
改めて、2チャンネルステレオによる、ステレオホログラム再生という広大な海へ、小さなボートで漕ぎ出しているのだと思いました。実験機では、その片鱗を見せてくれています。本来なら、この年末には実験したかったのですが、間に合いませんでした。その実験も正月明けには第二ステージに入れることでしょう。
by TANNOY-GRF
| 2015-12-30 16:35
| オーディオ雑感
|
Comments(2)
Commented
at 2016-03-04 14:26
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2016-03-04 15:43
Kさん コメントありがとうございます。外国のメーカーのセッティングマニュアルには、ちゃんと書かれていますね。おつかいのSPも音場再生型ですから、平行が基本だと思います。しっかりと低音がでるSPだと記憶しています。