2016年 01月 12日
水戸までツィメルマンを聴きに |
成人の日の休日は、水戸の芸術館まで、クリスチャン・ツィメルマンの演奏会に行ってきました。ツィメルマンの演奏を聴くのは、三回目になります。今回の来日での彼の記者会見は、わざわざ水戸で開かれました。ツィメルマンの水戸に懸ける思いがあるようです。その水戸は、東京から100キロあります。宇都宮や前橋、甲府、沼津と同じ距離ですが、東京の西側にいる自分からは、東京の横断分遠く感じます。寒波も降りて来るようなので、車で出かけることにしました。今晩は、一杯飲むことは出来ません。
水戸のインターで下りると、日本の郊外どこでも同じ、赤を基調とした広告のあらしです。赤と黄色の原色だけでも、規制すればどれほど街の風景が落ち着くか、日本の伝統美はどこに行ってしまったのかと嘆いています。芦屋の街までいかなくても、京都や那須の規制で良いのです。
その原色に疲れて、西の方角を見ると、三時なのに、正月を越した冬の日は確実に陽の力を伸ばしているようです。
その中で到着した芸術館は、落ち着いた色調で、心がホッとします。コンサートホールと、劇場と美術館が複合された施設で、いずれもこぢんまりととしていて、好感が持てるサイズです。
周りを見ていたら、途中でお昼を取らないで来たことを思い出しました。施設のそばの中華やさんに入りました。老夫婦が開いているお店で、表の看板にあったチャーハンとワンタンの定食を頼みました。美味しかったです。ワンタンだけを食べたのは、随分と久し振りです。最近のラーメンやさんのメニューから消えて行っている気がします。昔、荻窪で食べたワンタンの味を思い出しました。
来るときに、偕楽園の横を通ったのですが、さすがにまだ早く寄らないで来ました。早く着きすぎて時間が余ったので、開催されていた美術館の震災後の建築展を見ることにしました。65歳以上無料だそうで、免許証を見せたら、そのままは入れました。シルバーの特権で何だか嬉しいですね(笑)。
私は、建築の模型を見るのが好きです。自分の家を作ったときも、模型を作って検討するのが立体的に把握するためにも大切なことだと知りました。普通は、1/100ですが、展示用の模型は1/50で迫力の有る大きさでした。
だんだん日が陰ってきたようです。それでも、この時期の水戸としては暖かな方でしょう。風が吹いていないのが大きいかも知れません。開場は、チューニングのためか遅れました。中は人が集まって混んできたので、庭に出てモニュメントを眺めていました。
今日の席は、いつもの右側の席です。演奏している顔とペダルワークがよく見える場所です。音も、左側より良い音がします。水戸のよく響く会場では、ツィメルマンの音がどの様に響くのでしょう。
シューベルトの最後のソナタD959とD960は、リヒテルの名盤を聴いていらい、一番好きなピアノ曲かも知れません。私的には、シューベルトとシューマンの曲が聴ければ、ピアノは充分です。いろいろな人の演奏を聴いていますが、今日のツィメルマンの演奏は、新しい解釈の時代を開いたようです。テンポは幾分早めですが、しっかりと旋律は歌い、細部も丁寧に弾きこんでおり、テンポの速さが、決して拙速にはならず、充足している演奏でした。
前回、武蔵野市民会館で聴いたときに感じたピアノの硬質な響きが、この水戸のホールは優しくホールに溶け込んでいきます。この場所を誘ってくれたことを感謝せざるを得ません。ツィメルマンが何故、水戸のホールにこだわったのか、よくわかる素晴らしい音と演奏でした。どんなに大きな音を出しても破綻しないピアノコントロール、左手の音色の違いが、ピアノという楽器の難しさ、楽しさをよく表してくれています。その意味で、第二部のD.960は完璧でした。40年聞き続けてきたリヒテルの束縛から解き放たれた瞬間でもありました。
冬の間は、日本に本拠を移し、腰を据えて演奏会に取り組んでいるツィメルマンも、会心の演奏であったのは、曲の合間の笑顔でも解ります。物音と一つ立てずに、二時間音楽に集中できる水戸の聴衆の洗練された対応も、コンサートの醍醐味です。私の中には、オーケストラのミューザと室内楽の水戸の存在が大きく拡がりました。私自身は、最近の体力が無くなった小澤征爾には余り期待していませんが、水戸室内管弦楽団が他の指揮者で演奏されるときは、いちど水戸まで聴きに来ようと思いました。
演奏が終わって、すぐに戻りました。来たときの水戸インターではなく、水戸南インターから友部を通って戻って来ました。常磐道から環七の板橋本町の出口までは順調でしたが、環七の工事渋滞で疲れが出て来ました。それでも、家に着いたのは九時過ぎですから、思ったより早く帰れましたね。
水戸のインターで下りると、日本の郊外どこでも同じ、赤を基調とした広告のあらしです。赤と黄色の原色だけでも、規制すればどれほど街の風景が落ち着くか、日本の伝統美はどこに行ってしまったのかと嘆いています。芦屋の街までいかなくても、京都や那須の規制で良いのです。
その原色に疲れて、西の方角を見ると、三時なのに、正月を越した冬の日は確実に陽の力を伸ばしているようです。
その中で到着した芸術館は、落ち着いた色調で、心がホッとします。コンサートホールと、劇場と美術館が複合された施設で、いずれもこぢんまりととしていて、好感が持てるサイズです。
周りを見ていたら、途中でお昼を取らないで来たことを思い出しました。施設のそばの中華やさんに入りました。老夫婦が開いているお店で、表の看板にあったチャーハンとワンタンの定食を頼みました。美味しかったです。ワンタンだけを食べたのは、随分と久し振りです。最近のラーメンやさんのメニューから消えて行っている気がします。昔、荻窪で食べたワンタンの味を思い出しました。
来るときに、偕楽園の横を通ったのですが、さすがにまだ早く寄らないで来ました。早く着きすぎて時間が余ったので、開催されていた美術館の震災後の建築展を見ることにしました。65歳以上無料だそうで、免許証を見せたら、そのままは入れました。シルバーの特権で何だか嬉しいですね(笑)。
私は、建築の模型を見るのが好きです。自分の家を作ったときも、模型を作って検討するのが立体的に把握するためにも大切なことだと知りました。普通は、1/100ですが、展示用の模型は1/50で迫力の有る大きさでした。
だんだん日が陰ってきたようです。それでも、この時期の水戸としては暖かな方でしょう。風が吹いていないのが大きいかも知れません。開場は、チューニングのためか遅れました。中は人が集まって混んできたので、庭に出てモニュメントを眺めていました。
今日の席は、いつもの右側の席です。演奏している顔とペダルワークがよく見える場所です。音も、左側より良い音がします。水戸のよく響く会場では、ツィメルマンの音がどの様に響くのでしょう。
シューベルトの最後のソナタD959とD960は、リヒテルの名盤を聴いていらい、一番好きなピアノ曲かも知れません。私的には、シューベルトとシューマンの曲が聴ければ、ピアノは充分です。いろいろな人の演奏を聴いていますが、今日のツィメルマンの演奏は、新しい解釈の時代を開いたようです。テンポは幾分早めですが、しっかりと旋律は歌い、細部も丁寧に弾きこんでおり、テンポの速さが、決して拙速にはならず、充足している演奏でした。
前回、武蔵野市民会館で聴いたときに感じたピアノの硬質な響きが、この水戸のホールは優しくホールに溶け込んでいきます。この場所を誘ってくれたことを感謝せざるを得ません。ツィメルマンが何故、水戸のホールにこだわったのか、よくわかる素晴らしい音と演奏でした。どんなに大きな音を出しても破綻しないピアノコントロール、左手の音色の違いが、ピアノという楽器の難しさ、楽しさをよく表してくれています。その意味で、第二部のD.960は完璧でした。40年聞き続けてきたリヒテルの束縛から解き放たれた瞬間でもありました。
冬の間は、日本に本拠を移し、腰を据えて演奏会に取り組んでいるツィメルマンも、会心の演奏であったのは、曲の合間の笑顔でも解ります。物音と一つ立てずに、二時間音楽に集中できる水戸の聴衆の洗練された対応も、コンサートの醍醐味です。私の中には、オーケストラのミューザと室内楽の水戸の存在が大きく拡がりました。私自身は、最近の体力が無くなった小澤征爾には余り期待していませんが、水戸室内管弦楽団が他の指揮者で演奏されるときは、いちど水戸まで聴きに来ようと思いました。
演奏が終わって、すぐに戻りました。来たときの水戸インターではなく、水戸南インターから友部を通って戻って来ました。常磐道から環七の板橋本町の出口までは順調でしたが、環七の工事渋滞で疲れが出て来ました。それでも、家に着いたのは九時過ぎですから、思ったより早く帰れましたね。
by TANNOY-GRF
| 2016-01-12 23:17
| 演奏会場にて
|
Comments(4)
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リウー
at 2016-01-13 00:33
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水戸のホールは、行ったことがありませんが、良さそうですね。
チャーハンとワンタンが美味しそうに、写っていて、寝る前なのに、大変苦しい思いをさせれたと、苦情を言っておきたいと思います。(本当の意味で苦笑) そういえば、ドーム状に盛られたチャーハンは、最近、見てない気がします。
チャーハンとワンタンが美味しそうに、写っていて、寝る前なのに、大変苦しい思いをさせれたと、苦情を言っておきたいと思います。(本当の意味で苦笑) そういえば、ドーム状に盛られたチャーハンは、最近、見てない気がします。
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TANNOY-GRF at 2016-01-13 11:30
リウーさん 深夜に美味しそうな写真をアップして申し訳ありませんでした(爆)。久し振りに、昔の味に巡り会えました。量も少なめで、我々には優しい配慮です。
水戸のホールは、ステージが大きく音も大変優しかったです。今度は、室内楽団を聴きに行きたいと思いました。
水戸のホールは、ステージが大きく音も大変優しかったです。今度は、室内楽団を聴きに行きたいと思いました。
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椀方
at 2016-01-14 20:54
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ツィメルマンのシューベルト、兵庫で聴いたのを思い出します。
大ホールよりも、水戸のような小規模なホールで、身近に聴いてみたいですね。
大ホールよりも、水戸のような小規模なホールで、身近に聴いてみたいですね。
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TANNOY-GRF at 2016-01-15 16:14
椀方さん 今回のシューベルトは、前回のベートーヴェンの最後のソナタ三曲より、遥かに納得しました。また水戸の音は柔らかく、大きな音を出す必要がないので、ツィメルマンの演奏スタイル似合っているように思えました。何よりも大好きな曲を聞いている安心感もありました。