2016年 09月 11日
3Dステレオの再生 2 |
私が使って来たスピーカーの中で、一番音に実在感があると感じたのは、Hartleyのコンサートマスターが再現する精緻な音の世界です。部屋を横に使い、左右に目一杯拡げた配置の中央だけで聴けるステレオの音は、二次元的なステレオの極致だと思います。岡山の是枝さんの試聴室や、三田のIKさんのお宅でなっている音です。部屋の一点だけで聴ける音は、自分だけで聴いている場合は最高の音の一つでしょう。

この音の問題点は一つだけ、それは中央の人しか正しい音のバランスで聴けないと言う事です。20センチずれたらバランスが狂います。IKさんのお宅では、中央に飾っている美しい女性の素描を正面に見る位置でないとバランスがずれてしまいます。それは三次元に拡がっている風景を二次元のキャンバスの写すような、トリミングとフレーミングの高度な技術を必要とします。
Hartleyはコーン型のスピーカーとシンプルなネットワークで歪みを押さえ、マルチアンプのホーン型大型スピーカーの世界を再現しようとして成功した、稀有なスピーカーだと思います。強力なマグネットとダンパーの支持の方法が秀逸です。音が楽々と出ます。これで奥行き方向が再現出来たら、このまま使っているでしょう。いまでも、IKさんお宅のような素敵な空間があるのなら使い続けたいですね。

特徴ある音と言えば、やはりQUADのESL-57の音場です。平面スピーカー特有の余裕のある低音再現能力と、軽い振動板から送り出されるスピード早い音。スピードの速い音というと、切れ味が鋭い音というイメージを持たれる方もおられるでしょうが、空気の振動に忠実なスピードの速い音は自然で柔らかい音がするのです。ESL-57をいかにも、切れ味良くチェンバロの再生音を得意にされている方は、やはりどこかで音が変質しているのだと思います。
茅野の家で、タンノイのR.GRFとならしていましたが、どちらがなっているのか解らないほど深々として、ダイナミックな音がするのが、このスピーカーの身上です。問題は、振動板が前後に鳴っていて、位相が反対の音が前後に放射されています。その為、後方に音場は展開せず、質は高いけれど、コンサートホールの奥行きは再現しないのです。それを改善したのが、ESL-63です。57と63はコンセプトがまったく違います。音場の再現には点音源の音をディレーで再現した63でなければ鳴りません。57はあくまでも音の質の追求です。その意味では、Hartleyと似ているのかも知れません。
ESL57の音は、振動板が楽器の音の発生源のようになります。勿論、収録された音には残響も録音されていますから、会場で聞くような音には似かよるのですが、音場が出ているわけではありません。音が忠実ですから会場の雰囲気は出るのです。そこが難しいところですね。平面型のスピーカーは、振動板の面積が大きいので、低音は比較的楽に出て来ます。ところが、振動板の位置が揃ってるが故に音場の再生は難しさが出て来ます。アポジーやマーティン・ローガンもその傾向にあります。平面スピーカーの良いところはその自然な低音の出方にあると思います。
和室のユニコーンは、壁の手前に置いてありますから、当然後ろの壁の反射音も聞いています。家は後ろの壁が土壁なので、全面反射はおきず、主に低音の反射を聞いていることになります。使っている初期のユニコーンは縦置きにした場合は左右に、横置きにした場合は前後に低域の放射が起きています。音色や前後の音が出る様は、コンデンサースピーカーを聞いている様な感覚に襲われます。しかし、良く聞くとまったく違う音場の音がしているのが解ります。
DDDユニットの360度放射は、それだけ聞いていてもそんなに特殊な音では無いので、不自然はありません。しかし、部屋の中央に出してきたときは、狭い部屋で壁に囲まれているときとはまったく違う音場が出て来ます。全ての発音体の音は、振動が始まると必然的に360度に音は拡がってい行きます。全面だけに音を放射している普通のスピーカーは、その前面方向だけに音が出ているので、やはり音の拡がりの一部だけを聞いていることになります。前面のバッフルが小さく、回析効果を考慮してある小型のスピーカーを空間に設置したときには、スピーカー自体が消えて、録音したときの会場が表れます。
突如として、その空間が出現するのです。音場で出ると、その部屋は別空間になります。奥行きがでてコンサートホールの会場にワープするのです。シンプルにワンポイントで録音された方が、元の音場の自然観が出て来ます。最近の録音は補助のマイクが多く使われているので、その場合は音が音場から離れてスピーカーに張り付く場合もあります。二次元しかでていないモニタースピーカーで音だけを足してしまったからでしょう。
まだ続きます。

この音の問題点は一つだけ、それは中央の人しか正しい音のバランスで聴けないと言う事です。20センチずれたらバランスが狂います。IKさんのお宅では、中央に飾っている美しい女性の素描を正面に見る位置でないとバランスがずれてしまいます。それは三次元に拡がっている風景を二次元のキャンバスの写すような、トリミングとフレーミングの高度な技術を必要とします。
Hartleyはコーン型のスピーカーとシンプルなネットワークで歪みを押さえ、マルチアンプのホーン型大型スピーカーの世界を再現しようとして成功した、稀有なスピーカーだと思います。強力なマグネットとダンパーの支持の方法が秀逸です。音が楽々と出ます。これで奥行き方向が再現出来たら、このまま使っているでしょう。いまでも、IKさんお宅のような素敵な空間があるのなら使い続けたいですね。

特徴ある音と言えば、やはりQUADのESL-57の音場です。平面スピーカー特有の余裕のある低音再現能力と、軽い振動板から送り出されるスピード早い音。スピードの速い音というと、切れ味が鋭い音というイメージを持たれる方もおられるでしょうが、空気の振動に忠実なスピードの速い音は自然で柔らかい音がするのです。ESL-57をいかにも、切れ味良くチェンバロの再生音を得意にされている方は、やはりどこかで音が変質しているのだと思います。
茅野の家で、タンノイのR.GRFとならしていましたが、どちらがなっているのか解らないほど深々として、ダイナミックな音がするのが、このスピーカーの身上です。問題は、振動板が前後に鳴っていて、位相が反対の音が前後に放射されています。その為、後方に音場は展開せず、質は高いけれど、コンサートホールの奥行きは再現しないのです。それを改善したのが、ESL-63です。57と63はコンセプトがまったく違います。音場の再現には点音源の音をディレーで再現した63でなければ鳴りません。57はあくまでも音の質の追求です。その意味では、Hartleyと似ているのかも知れません。
ESL57の音は、振動板が楽器の音の発生源のようになります。勿論、収録された音には残響も録音されていますから、会場で聞くような音には似かよるのですが、音場が出ているわけではありません。音が忠実ですから会場の雰囲気は出るのです。そこが難しいところですね。平面型のスピーカーは、振動板の面積が大きいので、低音は比較的楽に出て来ます。ところが、振動板の位置が揃ってるが故に音場の再生は難しさが出て来ます。アポジーやマーティン・ローガンもその傾向にあります。平面スピーカーの良いところはその自然な低音の出方にあると思います。
和室のユニコーンは、壁の手前に置いてありますから、当然後ろの壁の反射音も聞いています。家は後ろの壁が土壁なので、全面反射はおきず、主に低音の反射を聞いていることになります。使っている初期のユニコーンは縦置きにした場合は左右に、横置きにした場合は前後に低域の放射が起きています。音色や前後の音が出る様は、コンデンサースピーカーを聞いている様な感覚に襲われます。しかし、良く聞くとまったく違う音場の音がしているのが解ります。
DDDユニットの360度放射は、それだけ聞いていてもそんなに特殊な音では無いので、不自然はありません。しかし、部屋の中央に出してきたときは、狭い部屋で壁に囲まれているときとはまったく違う音場が出て来ます。全ての発音体の音は、振動が始まると必然的に360度に音は拡がってい行きます。全面だけに音を放射している普通のスピーカーは、その前面方向だけに音が出ているので、やはり音の拡がりの一部だけを聞いていることになります。前面のバッフルが小さく、回析効果を考慮してある小型のスピーカーを空間に設置したときには、スピーカー自体が消えて、録音したときの会場が表れます。
突如として、その空間が出現するのです。音場で出ると、その部屋は別空間になります。奥行きがでてコンサートホールの会場にワープするのです。シンプルにワンポイントで録音された方が、元の音場の自然観が出て来ます。最近の録音は補助のマイクが多く使われているので、その場合は音が音場から離れてスピーカーに張り付く場合もあります。二次元しかでていないモニタースピーカーで音だけを足してしまったからでしょう。
まだ続きます。
by TANNOY-GRF
| 2016-09-11 06:49
| オーディオ雑感
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