2016年 10月 30日
kikiさんの記事 音の3Dについて |
kikiさんのブログから、3Dに着いて書かれた貴重な記事を転載致します。この中に3Dサウンドを再現するときの基本的なことが書かれてあります。
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映像の3Dには、解像度と安定性が必要で、それ以外にも、ピントや見方などの問題が未解決ということが見えてきました。では、音の3D化についてはどうでしょうか。
映像では、左右の視線の違いによる差分を利用していましたが、音も同じように左右の耳に入る音の差を利用しています。ということは、音の世界でも3Dに必要な条件は、映像と同じようなことが言えるはずです。
喜びが感じられるレベルに至ったのは、映像がハイビジョンになったのと同じく、音の3D化は、CD(非圧縮デジタル)になってからだと考えます。
それまでのアナログソース時代では、安定性や分解能、周波数特性、歪みなどの点で、3D化を実現するのが非常に困難でした。アナログもいろいろと改善が進む中、それらの問題が解決レベルに達する前に、先にデジタルが登場してしまったわけです。
特に安定性では、LPやテープのレベル変動やドロップアウト、変調ノイズ、SN などの性能は、聴いていても分からない程度のものでも、オシロで見ると悲しいものがあります。その点、アナログでの一番安定した伝達方式はFM方式と言えるでしょう。もし、FM方式のレコーダーが登場していれば、また様子が変わったかもしれませんが、高周波記録が可能になったVTRが先行し、それならと、PCMプロセッサーが先に出来てしまいました。
VTRでは、FM記録を後に取り入れましたが、同時に映像を見るため、音への意識率が低いという前提がありました。先に出来上がっていたフォーマットの隙間を利用するしかなく、デビエーションの制約から、Dレンジが取れず、NRを併用した規格となったことや、映像では問題にならない、Vブランキング期間の信号の繋ぎ目によるスイッチングノイズなどもあって、単独ではハイファイ用としてオーディオでの地位を築くことができませんでした。
とはいうものの、もし、画がなくて音専用の、より高音質なフォーマットが出来て実用化され、スイッチングも3ヘッド化することで、オーバーラップ部を設けてホールドなしの切り替え問題も解決させ、FM方式が故の回転ヘッドのジッターの影響も、復調信号に聞こえない周波数を重畳させて記録し、その周波数にロックするように回転ヘッドをいびつに回すサーボによって解決させたとしても、PCMのデジタル方式よりも有利な点を見つけるのは、困難です。
その後間もなくして、CD が登場。後にようやく本当のハイファイレコーダーとして DAT が登場しましたが、コンスーマーでは、CD でディスクのアクセス性に慣れたことで、音質面で優れているテープよりも、便利な圧縮オーディオの MD に傾きました。しかしそれも i-Pod の登場で追いやられてしまった感じです。無線で全てオンデマンドの時代が来ると、ストレージという行為そのものがなくなってしまいそうです。※
しかし、CD が登場しただけでは、3D 化が容易になったわけではないと考えています。その要因の一つがアンプの進化です。
CD が登場した頃は、アンプ群の Dynamic range が十分だったというわけではありませんでした。当時は当然、CD 用の入力端子がなく、TAPE か AUX に入れるしかありませんでした。それらの端子に接続されるソース器機の出力レベルやSNを考えると、入力端子として、許容入力レベルや ダイナミックレンジは、想定外の CD には、対応できていませんでした。
DAC の性能も下側の ダイナミックレンジが今ほどとれなかったために、上側を上げて確保せざるを得ず、フルスケールで 2Vrms などとバカでかいレベルになってしまったのですね。とはいえ、CD の普及で、CD PLAYER 自体の性能も上がってきましたし、それに連れてアンプの性能も上がって、良い相乗効果があったと思います。
その中でもやはり、SN の向上ということがポイントで、映像でいうところの解像度に相当すると考えられます。もちろん周波数特性も関係しますが、20kHzを云々言う以前に、まずこれを改善することの方が、細かな分解能に繋がると感じているからです。
もう一つは、スピーカです。アナログソースではネットワークを含めた位相管理が曖昧でも、ほとんど「音色」という項目のみを重視していた感があります。恐らくほとんどの方が経験していると思われるのが、アナログソースの時に完成していた音が、CD を繋ぐと上手く鳴らなかった、という問題です。ところが、今度は CD を中心に音をまとめていったら、アナログが以前よりも上手く鳴るようになったということです。CD という精度の高いソースが、アンプやスピーカの周波数特性だけでなく、位相や時間軸を考慮して正しい方向になってきたからではないかと考えています。
さて、音の 3D の話に戻りますと、映像の世界では、3D 化した時の一番の問題はピントだと、そしてそれも映像処理の進化形となるコンピュテーションンフォトグラフィが、その解決をしていくだろうと述べました。しかし見る時のピント問題が未解決です。複数人の視聴者に対しては更に困難なことです。
音の世界では、マイクロフォンは、どの距離の音を録るという概念はなく、波動情報を取り込むという、すでに映像のコンピュテーションンフォトグラフィ的な手法が取られていたというわけです。そして、再生に対しても準備が整っていたとも言えるでしょう。
そして CD の登場で 3D に必要な安定した信号が得られるようになりました。安定した信号とは、レベル変動、ドロップアウト、位相変化、などは前述した通りですが、何よりも左右の音の差がほとんどないということです。
左右の合成で作る 3D は、この要素が重要なのです。左右の特性が揃わない時の状態は、次の例で簡単に体験できます。立体写真で、片方の目だけ、老眼鏡や近視の眼鏡を挿入します。この時、あまりに度が強いと 3D が成立しないので、なんとか頑張って 3D が見える程度のものを用います。そして注視し、一度 3D が成立したとしても、少しでも見る位置をずらすと、眼鏡を挿入しない時に比べて、簡単に立体が崩れてしまいます。実に不安定ですし、そもそも成立させるのも一苦労です。
アナログ時代は、音色的には完成していたようでも、3D 生成という厳しい見方をすると、実はこうゆう状態だったのです。
しかし、CD だからと言っても、プレーヤによっては 3D が成立しにくいものもあります。左右の特性がズレているというものはないにしろ、何か要因がありそうです。それともう存在していないと思いますが、初期の DAC を時間分割で左右スイッチングして使用しているものなどは、論外ですが。
さて、条件が整っていた CD プレーヤーの出力信号から、ある時、それまでに経験したことが無かった不思議な音の片鱗を感じました。それは、それは、音が遠くから飛んでくるのと、周りに放射し拡がっていくのがわかるもので、コンサートホールで聴いた感じに近い音の挙動でした。特に遠くから音が来る感じは立体を感じやすく、ゾクッとする程の感動がありました。
左右の音源を巧く再生することで、 3D 生成の可能性に気づいたのは、この経験がきっかけでした。
もっと良い位置があるのではないかと、スピーカを少し動かすと、先ほどまでのゾクッとしたものが崩れてしまい、普通の音になってしまいました。特に元の位置を記していたわけではないので、元の位置がわかりません。しかし、数センチしか動かしていません。仕方なく少し動かしては聴いて判断、という作業をしつこく繰り返しているうちに、偶然ですが、ゾクッに近いものが得られました。恐らくこの付近が、元の位置だと考え、今度は、スピーカの位置をメモる様にしたのです。これで、このレベルまでは復元可能になると思ったわけです。そして、また作業にかかったのですが、一向に改善されません。リセットのつもりで、先ほどメモった位置に戻してみました。ところが、同じ位置に戻したはずなのに、ゾクッとする感覚は、メモッた時に感じたものより薄いものでした。明らかに違うのです。
再現性が乏しいのは、ひょっとして位置精度が出ていないのではないかと思い始めました。それと、当時は、ESLしかなかったので、それで実験していたわけですが、3点支持のESLは、足の位置が同じでも振動板のあおり角は、床の平面度の影響を受けてしまいます。それらを考慮して、精度の出る方法と動かす量を数ミリ程度に抑えながら、検討を再開しました。さらに、ミリ単位の位置情報と音の関係をメモし、パソコンにデータとして蓄積していきました。
この手法を取り入れてから、ゾクッとする感覚がする位置も、地道な検討を重ねることでようやく見つけることができ、その位置を中心に発展させていったわけです。
そして、1994年からスタートさせて検討した膨大なデータから、位置と音の傾向の相関関係を掴んでいき、約3年間掛かって満足できる3Dレベル、それは、どの音にもフォーカスが合うということや、どの音源もプライオリティーのないノンスポットライト再生や、どの試聴位置からも音像が成立する「真の音場」を完成させたのです。
もちろん、その後もその完成度を高めるためには、ソース信号を極限まで引き出す性能の必要性を感じ、「新次元プリ」は、その厳しい判定方法の中で生まれました。さらにスピーカの挙動「上り」「下り」をより正確にすることも重要な要素であることに気付き、純A級パワーアンプのブリッジ構成を取り入れて進化させてきました。
音色は、音場を成立するためには、ソース信号に正確な相似形が要求されるため、音場が進化するに伴い、音色の改善も得られます。しかも、音場成立は好みで判定するものではないことから、客観的な判定ができ、それが音色だけで判定する方法と、決定的に異なるところです。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
このkikiさんの記事は、私とまったく同じ事をより理論的に述べられております。従来の好きな『音色』に頼るオーディオではなく、正確な音場の再現を確立する方が、好きな音にちかずく最短距離だと思うからです。SPの位置が正しく合っていないと、相互干渉で、音が強調されたり、打ち消されたりしてしまいます。その為に、音色を調整する、あらゆる種類のアクセサリーの市場がオーディオに出現したのです。アンプやSPより高いケーブルなどがその代表例です。オーディオは趣味の世界ですから、究極は好きか嫌いかです。だからといって、機器自身より高いアクセサリーに囲まれなければ良い音にならないというのは、行きすぎだと思っています。
どの様なオーディオ装置であれ、正しい再生させすれば、元の音場が再現されて、素晴らしい音の世界が拡がるのです。どこかのコマーシャルにあった、美しい音はより美しく、それなりの音も、正しく調整されれば美しく再現されるのです。私が現有している装置は、GRF、Decola、Troubadour80+TW3、Unicorn Original、PSD T4,Consequence、ESL57,Hartley、とまだ沢山ありますが、DecolaとHartleyを例外として、他のSPは部屋を暗くして聞いたら何が鳴っているか解らないでしょう。音場がでると同じ音になります。HiFiだと自負しているのですが、だったら整理しろ!という声も聞こえてきます(爆)。
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映像の3Dには、解像度と安定性が必要で、それ以外にも、ピントや見方などの問題が未解決ということが見えてきました。では、音の3D化についてはどうでしょうか。
映像では、左右の視線の違いによる差分を利用していましたが、音も同じように左右の耳に入る音の差を利用しています。ということは、音の世界でも3Dに必要な条件は、映像と同じようなことが言えるはずです。
喜びが感じられるレベルに至ったのは、映像がハイビジョンになったのと同じく、音の3D化は、CD(非圧縮デジタル)になってからだと考えます。
それまでのアナログソース時代では、安定性や分解能、周波数特性、歪みなどの点で、3D化を実現するのが非常に困難でした。アナログもいろいろと改善が進む中、それらの問題が解決レベルに達する前に、先にデジタルが登場してしまったわけです。
特に安定性では、LPやテープのレベル変動やドロップアウト、変調ノイズ、SN などの性能は、聴いていても分からない程度のものでも、オシロで見ると悲しいものがあります。その点、アナログでの一番安定した伝達方式はFM方式と言えるでしょう。もし、FM方式のレコーダーが登場していれば、また様子が変わったかもしれませんが、高周波記録が可能になったVTRが先行し、それならと、PCMプロセッサーが先に出来てしまいました。
VTRでは、FM記録を後に取り入れましたが、同時に映像を見るため、音への意識率が低いという前提がありました。先に出来上がっていたフォーマットの隙間を利用するしかなく、デビエーションの制約から、Dレンジが取れず、NRを併用した規格となったことや、映像では問題にならない、Vブランキング期間の信号の繋ぎ目によるスイッチングノイズなどもあって、単独ではハイファイ用としてオーディオでの地位を築くことができませんでした。
とはいうものの、もし、画がなくて音専用の、より高音質なフォーマットが出来て実用化され、スイッチングも3ヘッド化することで、オーバーラップ部を設けてホールドなしの切り替え問題も解決させ、FM方式が故の回転ヘッドのジッターの影響も、復調信号に聞こえない周波数を重畳させて記録し、その周波数にロックするように回転ヘッドをいびつに回すサーボによって解決させたとしても、PCMのデジタル方式よりも有利な点を見つけるのは、困難です。
その後間もなくして、CD が登場。後にようやく本当のハイファイレコーダーとして DAT が登場しましたが、コンスーマーでは、CD でディスクのアクセス性に慣れたことで、音質面で優れているテープよりも、便利な圧縮オーディオの MD に傾きました。しかしそれも i-Pod の登場で追いやられてしまった感じです。無線で全てオンデマンドの時代が来ると、ストレージという行為そのものがなくなってしまいそうです。※
しかし、CD が登場しただけでは、3D 化が容易になったわけではないと考えています。その要因の一つがアンプの進化です。
CD が登場した頃は、アンプ群の Dynamic range が十分だったというわけではありませんでした。当時は当然、CD 用の入力端子がなく、TAPE か AUX に入れるしかありませんでした。それらの端子に接続されるソース器機の出力レベルやSNを考えると、入力端子として、許容入力レベルや ダイナミックレンジは、想定外の CD には、対応できていませんでした。
DAC の性能も下側の ダイナミックレンジが今ほどとれなかったために、上側を上げて確保せざるを得ず、フルスケールで 2Vrms などとバカでかいレベルになってしまったのですね。とはいえ、CD の普及で、CD PLAYER 自体の性能も上がってきましたし、それに連れてアンプの性能も上がって、良い相乗効果があったと思います。
その中でもやはり、SN の向上ということがポイントで、映像でいうところの解像度に相当すると考えられます。もちろん周波数特性も関係しますが、20kHzを云々言う以前に、まずこれを改善することの方が、細かな分解能に繋がると感じているからです。
もう一つは、スピーカです。アナログソースではネットワークを含めた位相管理が曖昧でも、ほとんど「音色」という項目のみを重視していた感があります。恐らくほとんどの方が経験していると思われるのが、アナログソースの時に完成していた音が、CD を繋ぐと上手く鳴らなかった、という問題です。ところが、今度は CD を中心に音をまとめていったら、アナログが以前よりも上手く鳴るようになったということです。CD という精度の高いソースが、アンプやスピーカの周波数特性だけでなく、位相や時間軸を考慮して正しい方向になってきたからではないかと考えています。
さて、音の 3D の話に戻りますと、映像の世界では、3D 化した時の一番の問題はピントだと、そしてそれも映像処理の進化形となるコンピュテーションンフォトグラフィが、その解決をしていくだろうと述べました。しかし見る時のピント問題が未解決です。複数人の視聴者に対しては更に困難なことです。
音の世界では、マイクロフォンは、どの距離の音を録るという概念はなく、波動情報を取り込むという、すでに映像のコンピュテーションンフォトグラフィ的な手法が取られていたというわけです。そして、再生に対しても準備が整っていたとも言えるでしょう。
そして CD の登場で 3D に必要な安定した信号が得られるようになりました。安定した信号とは、レベル変動、ドロップアウト、位相変化、などは前述した通りですが、何よりも左右の音の差がほとんどないということです。
左右の合成で作る 3D は、この要素が重要なのです。左右の特性が揃わない時の状態は、次の例で簡単に体験できます。立体写真で、片方の目だけ、老眼鏡や近視の眼鏡を挿入します。この時、あまりに度が強いと 3D が成立しないので、なんとか頑張って 3D が見える程度のものを用います。そして注視し、一度 3D が成立したとしても、少しでも見る位置をずらすと、眼鏡を挿入しない時に比べて、簡単に立体が崩れてしまいます。実に不安定ですし、そもそも成立させるのも一苦労です。
アナログ時代は、音色的には完成していたようでも、3D 生成という厳しい見方をすると、実はこうゆう状態だったのです。
しかし、CD だからと言っても、プレーヤによっては 3D が成立しにくいものもあります。左右の特性がズレているというものはないにしろ、何か要因がありそうです。それともう存在していないと思いますが、初期の DAC を時間分割で左右スイッチングして使用しているものなどは、論外ですが。
さて、条件が整っていた CD プレーヤーの出力信号から、ある時、それまでに経験したことが無かった不思議な音の片鱗を感じました。それは、それは、音が遠くから飛んでくるのと、周りに放射し拡がっていくのがわかるもので、コンサートホールで聴いた感じに近い音の挙動でした。特に遠くから音が来る感じは立体を感じやすく、ゾクッとする程の感動がありました。
左右の音源を巧く再生することで、 3D 生成の可能性に気づいたのは、この経験がきっかけでした。
もっと良い位置があるのではないかと、スピーカを少し動かすと、先ほどまでのゾクッとしたものが崩れてしまい、普通の音になってしまいました。特に元の位置を記していたわけではないので、元の位置がわかりません。しかし、数センチしか動かしていません。仕方なく少し動かしては聴いて判断、という作業をしつこく繰り返しているうちに、偶然ですが、ゾクッに近いものが得られました。恐らくこの付近が、元の位置だと考え、今度は、スピーカの位置をメモる様にしたのです。これで、このレベルまでは復元可能になると思ったわけです。そして、また作業にかかったのですが、一向に改善されません。リセットのつもりで、先ほどメモった位置に戻してみました。ところが、同じ位置に戻したはずなのに、ゾクッとする感覚は、メモッた時に感じたものより薄いものでした。明らかに違うのです。
再現性が乏しいのは、ひょっとして位置精度が出ていないのではないかと思い始めました。それと、当時は、ESLしかなかったので、それで実験していたわけですが、3点支持のESLは、足の位置が同じでも振動板のあおり角は、床の平面度の影響を受けてしまいます。それらを考慮して、精度の出る方法と動かす量を数ミリ程度に抑えながら、検討を再開しました。さらに、ミリ単位の位置情報と音の関係をメモし、パソコンにデータとして蓄積していきました。
この手法を取り入れてから、ゾクッとする感覚がする位置も、地道な検討を重ねることでようやく見つけることができ、その位置を中心に発展させていったわけです。
そして、1994年からスタートさせて検討した膨大なデータから、位置と音の傾向の相関関係を掴んでいき、約3年間掛かって満足できる3Dレベル、それは、どの音にもフォーカスが合うということや、どの音源もプライオリティーのないノンスポットライト再生や、どの試聴位置からも音像が成立する「真の音場」を完成させたのです。
もちろん、その後もその完成度を高めるためには、ソース信号を極限まで引き出す性能の必要性を感じ、「新次元プリ」は、その厳しい判定方法の中で生まれました。さらにスピーカの挙動「上り」「下り」をより正確にすることも重要な要素であることに気付き、純A級パワーアンプのブリッジ構成を取り入れて進化させてきました。
音色は、音場を成立するためには、ソース信号に正確な相似形が要求されるため、音場が進化するに伴い、音色の改善も得られます。しかも、音場成立は好みで判定するものではないことから、客観的な判定ができ、それが音色だけで判定する方法と、決定的に異なるところです。
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このkikiさんの記事は、私とまったく同じ事をより理論的に述べられております。従来の好きな『音色』に頼るオーディオではなく、正確な音場の再現を確立する方が、好きな音にちかずく最短距離だと思うからです。SPの位置が正しく合っていないと、相互干渉で、音が強調されたり、打ち消されたりしてしまいます。その為に、音色を調整する、あらゆる種類のアクセサリーの市場がオーディオに出現したのです。アンプやSPより高いケーブルなどがその代表例です。オーディオは趣味の世界ですから、究極は好きか嫌いかです。だからといって、機器自身より高いアクセサリーに囲まれなければ良い音にならないというのは、行きすぎだと思っています。
どの様なオーディオ装置であれ、正しい再生させすれば、元の音場が再現されて、素晴らしい音の世界が拡がるのです。どこかのコマーシャルにあった、美しい音はより美しく、それなりの音も、正しく調整されれば美しく再現されるのです。私が現有している装置は、GRF、Decola、Troubadour80+TW3、Unicorn Original、PSD T4,Consequence、ESL57,Hartley、とまだ沢山ありますが、DecolaとHartleyを例外として、他のSPは部屋を暗くして聞いたら何が鳴っているか解らないでしょう。音場がでると同じ音になります。HiFiだと自負しているのですが、だったら整理しろ!という声も聞こえてきます(爆)。
by TANNOY-GRF
| 2016-10-30 09:05
| オーディオ雑感
|
Comments(8)
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by
プー博士
at 2016-10-30 14:15
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あはは、わたしもT4とユニコーンだけになりました。奇術の本や用具、自転車も放出するとサッパリするものです。高価なものでも使わないのなら手放すことにしています、残されたこどもたちがその処分に苦労するのは明らかですので(大汗)
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by
TANNOY-GRF at 2016-10-30 21:24
プー博士の決断の良さは何時も尊敬しております。優柔不断の私もそろそろ本腰を入れてお譲りしていかないと思っております。まずは、例のプレーヤーを年内には運ばなくては(汗)。
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by
kki
at 2016-11-02 00:13
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GRFさん
同じ素材でもまとめ方次第で、こうも印象が変わるとは、正に同じ機材で、異なる良い音に仕上げる腕の違いに通じると感じました。
音場に関して熱心に書いていたようですが、伝えることができなかったのは、発信力の違いですね。
他にも使えそうな素材があれば、使っていただけると幸いです。
同じ素材でもまとめ方次第で、こうも印象が変わるとは、正に同じ機材で、異なる良い音に仕上げる腕の違いに通じると感じました。
音場に関して熱心に書いていたようですが、伝えることができなかったのは、発信力の違いですね。
他にも使えそうな素材があれば、使っていただけると幸いです。
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by
Bellwood
at 2016-11-02 01:03
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アナログ(LPやテープなど)による音場再現を難しくしていたのはEQ回路の時定数→位相回転の問題も大きかったと思います。
同様にマルチウェイのユニット間のネットワークの位相回転もあります。空間合成が出来ないんです。DDDは広帯域なのでほぼシングルで可聴帯域をカバーしてしまうのでほぼこの問題もないのです。構造上バッフルが無いので回折など複雑な波動歪みも避けられます。低域の問題はありますが、高域に較べれば遙かに位相ずれの問題は小さいです。
もうひとつの優位性はやはりSNですね。音の情報には相当の音場、立体情報を含んでいます。だからモノラルでも奥行きなどを感じるのです。でもこの情報の多くは元々が残響や反射音、楽器間の距離による時間差などですから、消え際などごく小さな音なんです。だからSN(≒解像度)が飛躍的に良いデジタルが優位なんだと思います。
そしてこの極小の情報のステレオ左右を正確にピントを合わせ欠落なく空中合成して復元することが課題になってくるのです。他の欠点が無くなることでこの焦点合わせがクローズアップされてきます。
実際には、リスナーの再生音に対する意識とか姿勢の違いがあるのでなかなか音場追究には個人差が大きいです。音場とか立体感とかは人間の認知能力ですからどうしても能力レベルの差が出ます。立体写真だって3Dになるのに時間がかかったりある程度訓練しないと立体に見えないようです。
同様にマルチウェイのユニット間のネットワークの位相回転もあります。空間合成が出来ないんです。DDDは広帯域なのでほぼシングルで可聴帯域をカバーしてしまうのでほぼこの問題もないのです。構造上バッフルが無いので回折など複雑な波動歪みも避けられます。低域の問題はありますが、高域に較べれば遙かに位相ずれの問題は小さいです。
もうひとつの優位性はやはりSNですね。音の情報には相当の音場、立体情報を含んでいます。だからモノラルでも奥行きなどを感じるのです。でもこの情報の多くは元々が残響や反射音、楽器間の距離による時間差などですから、消え際などごく小さな音なんです。だからSN(≒解像度)が飛躍的に良いデジタルが優位なんだと思います。
そしてこの極小の情報のステレオ左右を正確にピントを合わせ欠落なく空中合成して復元することが課題になってくるのです。他の欠点が無くなることでこの焦点合わせがクローズアップされてきます。
実際には、リスナーの再生音に対する意識とか姿勢の違いがあるのでなかなか音場追究には個人差が大きいです。音場とか立体感とかは人間の認知能力ですからどうしても能力レベルの差が出ます。立体写真だって3Dになるのに時間がかかったりある程度訓練しないと立体に見えないようです。
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TANNOY-GRF at 2016-11-02 10:47
Bellwoodさん その通りですね。音場情報再生の鍵は、SN比の良さですね。そして左右のクロストークの少なさです。理論上、クロストークが発生しないSD05ではじめてその音を聴いたことが、現在に繋がっているのでしょう。左右の信号の合成を行う3D再生は、調整するのには,訓練が必要ですが、出来てしまえば、音の打ち消しが一番少ないところなので、微少な音からフォルテシモまで、再現します。そのおとは誰にでも差が解ると思います。クラシックの会場音は、演奏会場に度々足を運んでおられる方は、オーディオ的な知識が無くとも自然に受け入れられています。しかし、その音が表れるのと消えるのが、1mmも差がないから再現が難しいのでしょうね。ちなみに、立体写真の交差法と平行法は実際にご覧になると意味がはっきりと解ると思います。
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by
S.Y
at 2016-11-02 12:40
x
GRFさま
ツイーターに耳を近づけると聞こえる微弱音があります。リスニングポジションに戻ると、この微弱音が聞こえなくなります。
ところが、GRFさんが例のトントンした後では、この微弱音がリスニングポジションでも聞こえるです。むしろ盛大に鳴っているのが聞こえる、というぐらいです。
位置が合っていないと打ち消し合ってしまうのでしょうね。ぴたりと合えば聞こえる道理です。
この辺りに、3D再生の勘どころがあるのでは。逆にいえばリスニングポジションで極微弱音も聞こえれば、立体再生のピントが合っている、と勝手に解釈しています。
みなさんに比べると、多少、映画の本数を観ているかもしれません。
最近、かなりの映画が3D上映になりました。
実は個人的にはあまり好きではありません。眼鏡の上にもう一つ眼鏡をかけなければならないのが鬱陶しいのです。
それはさておき、初期の立体映画では映像が飛び出す、というのが売り物でした。
しかし、最近は奥行き重視になりました。大草原などのパノラマ映像ですね。
やはり飛び出すために、ゾンビの手が伸びるとか、矢が飛んでくるとかの飛び出しやすい被写体が多い題材にしなければならないのが足かせになってきたのでしょう。
製作の過程で、大きなものは飛び出しにくく、小さなものは飛び出しやすい、ということもわかってきたのです。
蛍や火花の映像が多い所以でしょう。
その一方で4Kや8Kのような超微粒子映像で再生すると2Dでも立体的に見えてしまう、という現象もあります。
以上、オーディオ再生とはあまり関係ないことかもしれませんが・・・。
S.Y
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京都人
at 2016-11-02 21:24
x
S.Y様
視覚と聴覚とを合わせて考えると面白いことがわかってきます。
立体写真や3D映像は両目それぞれで2つの違ったものを見て脳内で立体感を感じます。それではそのような特殊なものでないと立体感は感じられないのでしょうか。
焦点深度の浅い料理の写真などをご覧になる時、両目で見ると平面的に見えますが、片目で見ると立体的に見えてきます。
逆に現実の世界では、両目で見て前後感が良く分かるものも片目で見ると分かりにくくなります。
オーディオでのモノーラル音源再生においても同じような現象が起こります。1本のスピーカーでのモノーラル再生ではピントのずれがないためエネルギー感は出てきますが立体感は出しにくく、2本のスピーカーをきちんとピントを合わせて設置した状態ではモノーラル音源が立体的に聴こえてきます。
平面上にあるものを両目で見ると目の輻輳、焦点調節などがそれらが立体でなく同一平面にあることを脳に伝えるために立体的に見えることを邪魔してしまいます。
同様に1本のスピーカーから出る音を両耳で聴くとそれが立体ではなく1つのスピーカーから出ている音であることを脳が認識してしまうのですが、2本のスピーカーからの音をうまく空間で合成するとあたかもその位置から四方八方に(ただし指向性の強い音源はそれなりの指向性を感じさせながら)音が拡がっていく感じに聞こえてきます。
また仰るように視覚でも聴覚でも微小な情報量が豊富なほどそのような立体感は強く現われてきます。
人間が描いた絵や近接マイクで直接音のみをとらえた録音などではこれらの立体感は出現しません。
視覚と聴覚とを合わせて考えると面白いことがわかってきます。
立体写真や3D映像は両目それぞれで2つの違ったものを見て脳内で立体感を感じます。それではそのような特殊なものでないと立体感は感じられないのでしょうか。
焦点深度の浅い料理の写真などをご覧になる時、両目で見ると平面的に見えますが、片目で見ると立体的に見えてきます。
逆に現実の世界では、両目で見て前後感が良く分かるものも片目で見ると分かりにくくなります。
オーディオでのモノーラル音源再生においても同じような現象が起こります。1本のスピーカーでのモノーラル再生ではピントのずれがないためエネルギー感は出てきますが立体感は出しにくく、2本のスピーカーをきちんとピントを合わせて設置した状態ではモノーラル音源が立体的に聴こえてきます。
平面上にあるものを両目で見ると目の輻輳、焦点調節などがそれらが立体でなく同一平面にあることを脳に伝えるために立体的に見えることを邪魔してしまいます。
同様に1本のスピーカーから出る音を両耳で聴くとそれが立体ではなく1つのスピーカーから出ている音であることを脳が認識してしまうのですが、2本のスピーカーからの音をうまく空間で合成するとあたかもその位置から四方八方に(ただし指向性の強い音源はそれなりの指向性を感じさせながら)音が拡がっていく感じに聞こえてきます。
また仰るように視覚でも聴覚でも微小な情報量が豊富なほどそのような立体感は強く現われてきます。
人間が描いた絵や近接マイクで直接音のみをとらえた録音などではこれらの立体感は出現しません。
Commented
by
TANNOY-GRF at 2016-11-03 00:07
>立体写真や3D映像は両目それぞれで2つの違ったものを見て脳内で立体感を感じます。
ここが大事なところです。音は耳で収録されますが、実際に聴いているのは脳です。脳が左右の微少な差を聞き分けて、立体像を造ります。脳は先入観が有ると、実際に入ってきた音を、否定する働きもします。聴いていても聞こえないと言う事があるのです。
また、今まで聴いたことが無い音は、脳が認識をせずスルーしてしまうこともあります。また、通常のスピーカーでは、指向性があるのが普通です。ホーン型は極端な例ですが、ドーム型でも、裏側の音はしていません。
音には方向性があると言われますが、その方向性とSPの指向性は違った物です。JAZZの収録のように、至近距離で録音された音は、楽器の音だけを拾っています。それにあとからリバーブを掛けているのです。
私が製作したワンポイントマイクでのビッグバンドジャズは、従来のアプローチとは違い、ホールの残響を取り入れ、位置と距離感で、マルチマイクに負けないビッグバンドの姿を収録しています。
微少な音を打ち消さないで再現すると、ようやく、音場という空間が表れてくるのです。それらの実験を市販の録音ではプロセスが見えないので、製作したのが、ビッグバンドのジャズの実験でした。
ここが大事なところです。音は耳で収録されますが、実際に聴いているのは脳です。脳が左右の微少な差を聞き分けて、立体像を造ります。脳は先入観が有ると、実際に入ってきた音を、否定する働きもします。聴いていても聞こえないと言う事があるのです。
また、今まで聴いたことが無い音は、脳が認識をせずスルーしてしまうこともあります。また、通常のスピーカーでは、指向性があるのが普通です。ホーン型は極端な例ですが、ドーム型でも、裏側の音はしていません。
音には方向性があると言われますが、その方向性とSPの指向性は違った物です。JAZZの収録のように、至近距離で録音された音は、楽器の音だけを拾っています。それにあとからリバーブを掛けているのです。
私が製作したワンポイントマイクでのビッグバンドジャズは、従来のアプローチとは違い、ホールの残響を取り入れ、位置と距離感で、マルチマイクに負けないビッグバンドの姿を収録しています。
微少な音を打ち消さないで再現すると、ようやく、音場という空間が表れてくるのです。それらの実験を市販の録音ではプロセスが見えないので、製作したのが、ビッグバンドのジャズの実験でした。