2016年 11月 30日
土曜日はHenryさんが |
前日飲み過ぎたので、朝は暖かい布団のなかでグズグズしていました。ボージョレーの後に白ワインを二人だけで飲んだので酔っぱらったのでしょう。連日の疲れも出て来たようです。11時近くまでのんびりしていましたが、お昼にはHenryさんが来られますので、ようやく起きて、熱いシャワーを浴びてなんとか生き返りました。
今日の午後は、先日HenryさんとGerman PhysiksのRobertさんが来られたときに約束したオランダのMola Molaのアンプを聴く事になっています。Mola Molaはさかなのマンボウのことで、この会社の製品にはみなお魚、それも相当変わったお魚の名前が付いているのです。開発者のBruno Putzeysは、オランダでは有名なデジタル技術の専門家で、PHILIPSの開発者から独立してデジタル回路の設計を行って来ました。
Putzeys氏はHypex社から、UcDをはじめとして、様々なアッセンブリーをだしていて、いろいろなメーカーの部品としても使われています。SP内蔵のデジタルアンプでよく使われています。その技術も年々進歩してきて、現在はNcoreと呼ばれる安定した大出力が可能な回路を開発しました。その回路を使って、開発者自身が製品化したのが、このMola Molaなのです。
Kalugaという名前のパワーアンプのデジタル回路は、D級で大変効率がいいのですが、アナログ信号を安定して増幅するには、様々な工夫も必要です。Ncoreの回路は最新の制御技術を使って、負荷インピーダンスの変化にも追従しています。特に低インピーダンスの回路には、大出力で追従して雄大な音を出す事が可能です。出力は400W/8Ω、700W/4Ω、1200w/2Ωという具合です。

私は、このパワーアンプも興味があるのですが、実際に使ってみたかったのは、Makuaという名のプリアンプの方なのです。このプリアンプはユニークな構成です。アンプ自体はアナログのA級アンプなのですが、S/N比が、140db以上という全く無音のアンプなのです。ノイズに変調された音がしないので、きわめて自然な音がします。面白いのは、オプションのPhono入力と内蔵できるDAコンバーターです。
Phonoイコライザーは、MMとMCを別の回路で用意して、増幅度の違いからくるS/N比の悪化を防いでいます。入力感度、入力インピーダンス、負荷容量も設定でき、最大5入力に対応しています。そのインプットを独立して設定できるので、複数のアームを使ったり、レコードプレーヤーもいちいち、入力を差し替えなくても使用できるのです。そして、各入力ごとにイコライザーカーブを換えて対応できますから、古いモノラルレコード専用のイコライザーカーブも、0.1db単位で設定できるのです。もちろん、SPレコードのカーブにも対応できますし、様々なカーブを標準で持っているのです。それらの設定は、アンドロイドやiphoneの端末から操作できます。

このイコライザーだけでも、このプリを購入する価値があります。従来、このような多彩なカーブを持つイコライザーは大変高価で、それだけでもこのプリの二倍、三倍の価格がついていました。イコライザーをご自分で作られた方ならご存知ですが、イコライザーで重要なのは、その増幅度と余裕、回路全体のS/N比の確保です。レコードのイコライザーは、低音を持ち上げるカーブが必要ですが、その増幅度に余裕が無いと、正しいカーブは再現できません。また、高域の減少回路も、音が変に鮮やかになりすぎたりしないよう微妙な追い込みが必要になります。従来はそれが、カートリッジの個性だったりしますが、トレーシング能力がしっかりできていれば、音色や音量の調整はイコライザーが行えますので、ある意味、カートリッジメーカーにより微妙な調整を要求して行く事でしょう。
しかし、レコードのイコライザー調整だけがこのアンプの特徴ではないのです。より、魅力的なのは、内蔵されたDAコンバーターにあります。DAコンバーターは三枚のボードから構成されており、CDの44.1KHzのPCM信号、SACDからの2.8MHzのデジタル信号を、いったん、3.125MHz/32bitのデジタル信号に置き換え、そこで、ノイズやリップル調整などの制御を行います。それを、100MHzの1ビット信号に変換して左右独立したDA変換ボードに送られて、アナログ信号に変換されるのです。140db以上のS/N比で処理されますので、非常に静かで、柔らかいアナログ信号に変換されるのです。

隣のemmのDAコンバーターと比べてみました。Henryさんは、もちろんemmの代理店でもあります。emmは現在、最高のコンバーターの一つです。精密性、S/N比とスケール感、音の奥行き等どれをとっても優れていて、家の大きな部屋の方が、和室に比べると4Kの精密さで再現されていると評されますが、その理由は、emmのDAコンバーターの音楽性から来ているのです。先日、新しいDA2を二週間ほどお借りして、比較試聴を行っていました。その後、ACケーブルを同クラスのKIMBER Cableに換え、足を4点から3点支持に換えて、少しでも音が近づく様に努力してみました。出なければ、この段階で、また車一台分の出費はできないからです。中のボードを交換して、11.2MHzのDSDに対応できる様になれば、それで十分です。
このMola Molaに内蔵されているDAコンバーターは、現在最新の仕様で、5.6MHzはもちろんその11.2MHzのDSDにも対応しています。入力端子は、XLRのほか、USBの入力も用意されているそうです。そこで、emmからは、XLRのバランスと現在使用しているアンバランスでMITの同じケーブルを使用して比較する事にしました。バランスとアンバランスの出力の差6dbを、携帯端末から調整してアンバラの入力感度を上げてみましたが、切り替えて比較してもほとんど変わりません。バランス側には、Henryさんがお持ちになった、Silence Audio製の純銀製のケーブルを使用しました。
さて、Mola MolaのDAコンバーターには、emmのトランスポートからバランスケーブルで接続します。そして、入力端子を選び、二番目の入力端子に入る様に切り替えました。このプリには、5個のバランス、アンバランスの入力があり、そのいずれの入力も、ライン、イコライザーと設定できるのです。5個のアナログ入力と一つのデジタル入力で6個の入力がセレクトできる様になります。

さて、CDトランスポートにいつもの、ショスターコヴィッチの第15番のSACDを入れて、試聴を開始しました。1番にemmからのバランス入力、二番に内蔵のDAコンバーター、三番にアンバランスMITケーブルを配し、切り換え試聴を繰り返しました。衝撃的な結論ですが、比較試聴してもほとんど音はわかりません。それよりか内蔵DAの方が低音の伸びが広がり、先日の新しいDA2の音と近似しています。これはすばらしい音です。emmのコンバーターは、独立してなににでもつなげますが、内蔵のDAは、プリの出力感度を下げて、今一台のプリにつなげれば、それ自体がDAコンバーターとして使えますが、こんな使用をする人はいないでしょう。逆な言い方をすれば、音量調整、セレクター付きのDAコンバーターなのでしょう。
隣のHenryさんお顔を見ていると、どうして、両方の製品を扱っているかがわかりました。聴く前に、心臓の薬を持っているかと聴かれたので、訝っていたら、聴いた後はその意味が分かりました。emmのオーナーとしては、確かに心臓に良くありませんね(爆)。
Mola Molaの詳しい説明は、アメリカのディストリビューターが動画をあげてありますので、そちらも見て参考にしてください。しかし、最近のD級のアンプの普及を見ていると、非常に活発になってきましたが、石田さんがされていたフルデジタルアンプはなかなか表れませんね。
これからやる事も多く、プリアンプを使いこなすだけで、相当な期間が必要です。おとうさん達には、モバイルから操作するというのは却ってなじまないのかもしれませんね。
いろいろ聴いて、そのモバイルが無くても使用できる様に、セッティングを見直して、試聴会を終えました。同時にACケーブルの差や、そのSPケーブルも、Henryさんご推薦のものに換えて聞き比べできる様にしました。
今日の午後は、先日HenryさんとGerman PhysiksのRobertさんが来られたときに約束したオランダのMola Molaのアンプを聴く事になっています。Mola Molaはさかなのマンボウのことで、この会社の製品にはみなお魚、それも相当変わったお魚の名前が付いているのです。開発者のBruno Putzeysは、オランダでは有名なデジタル技術の専門家で、PHILIPSの開発者から独立してデジタル回路の設計を行って来ました。
Putzeys氏はHypex社から、UcDをはじめとして、様々なアッセンブリーをだしていて、いろいろなメーカーの部品としても使われています。SP内蔵のデジタルアンプでよく使われています。その技術も年々進歩してきて、現在はNcoreと呼ばれる安定した大出力が可能な回路を開発しました。その回路を使って、開発者自身が製品化したのが、このMola Molaなのです。
Kalugaという名前のパワーアンプのデジタル回路は、D級で大変効率がいいのですが、アナログ信号を安定して増幅するには、様々な工夫も必要です。Ncoreの回路は最新の制御技術を使って、負荷インピーダンスの変化にも追従しています。特に低インピーダンスの回路には、大出力で追従して雄大な音を出す事が可能です。出力は400W/8Ω、700W/4Ω、1200w/2Ωという具合です。

私は、このパワーアンプも興味があるのですが、実際に使ってみたかったのは、Makuaという名のプリアンプの方なのです。このプリアンプはユニークな構成です。アンプ自体はアナログのA級アンプなのですが、S/N比が、140db以上という全く無音のアンプなのです。ノイズに変調された音がしないので、きわめて自然な音がします。面白いのは、オプションのPhono入力と内蔵できるDAコンバーターです。
Phonoイコライザーは、MMとMCを別の回路で用意して、増幅度の違いからくるS/N比の悪化を防いでいます。入力感度、入力インピーダンス、負荷容量も設定でき、最大5入力に対応しています。そのインプットを独立して設定できるので、複数のアームを使ったり、レコードプレーヤーもいちいち、入力を差し替えなくても使用できるのです。そして、各入力ごとにイコライザーカーブを換えて対応できますから、古いモノラルレコード専用のイコライザーカーブも、0.1db単位で設定できるのです。もちろん、SPレコードのカーブにも対応できますし、様々なカーブを標準で持っているのです。それらの設定は、アンドロイドやiphoneの端末から操作できます。

このイコライザーだけでも、このプリを購入する価値があります。従来、このような多彩なカーブを持つイコライザーは大変高価で、それだけでもこのプリの二倍、三倍の価格がついていました。イコライザーをご自分で作られた方ならご存知ですが、イコライザーで重要なのは、その増幅度と余裕、回路全体のS/N比の確保です。レコードのイコライザーは、低音を持ち上げるカーブが必要ですが、その増幅度に余裕が無いと、正しいカーブは再現できません。また、高域の減少回路も、音が変に鮮やかになりすぎたりしないよう微妙な追い込みが必要になります。従来はそれが、カートリッジの個性だったりしますが、トレーシング能力がしっかりできていれば、音色や音量の調整はイコライザーが行えますので、ある意味、カートリッジメーカーにより微妙な調整を要求して行く事でしょう。
しかし、レコードのイコライザー調整だけがこのアンプの特徴ではないのです。より、魅力的なのは、内蔵されたDAコンバーターにあります。DAコンバーターは三枚のボードから構成されており、CDの44.1KHzのPCM信号、SACDからの2.8MHzのデジタル信号を、いったん、3.125MHz/32bitのデジタル信号に置き換え、そこで、ノイズやリップル調整などの制御を行います。それを、100MHzの1ビット信号に変換して左右独立したDA変換ボードに送られて、アナログ信号に変換されるのです。140db以上のS/N比で処理されますので、非常に静かで、柔らかいアナログ信号に変換されるのです。

隣のemmのDAコンバーターと比べてみました。Henryさんは、もちろんemmの代理店でもあります。emmは現在、最高のコンバーターの一つです。精密性、S/N比とスケール感、音の奥行き等どれをとっても優れていて、家の大きな部屋の方が、和室に比べると4Kの精密さで再現されていると評されますが、その理由は、emmのDAコンバーターの音楽性から来ているのです。先日、新しいDA2を二週間ほどお借りして、比較試聴を行っていました。その後、ACケーブルを同クラスのKIMBER Cableに換え、足を4点から3点支持に換えて、少しでも音が近づく様に努力してみました。出なければ、この段階で、また車一台分の出費はできないからです。中のボードを交換して、11.2MHzのDSDに対応できる様になれば、それで十分です。
このMola Molaに内蔵されているDAコンバーターは、現在最新の仕様で、5.6MHzはもちろんその11.2MHzのDSDにも対応しています。入力端子は、XLRのほか、USBの入力も用意されているそうです。そこで、emmからは、XLRのバランスと現在使用しているアンバランスでMITの同じケーブルを使用して比較する事にしました。バランスとアンバランスの出力の差6dbを、携帯端末から調整してアンバラの入力感度を上げてみましたが、切り替えて比較してもほとんど変わりません。バランス側には、Henryさんがお持ちになった、Silence Audio製の純銀製のケーブルを使用しました。
さて、Mola MolaのDAコンバーターには、emmのトランスポートからバランスケーブルで接続します。そして、入力端子を選び、二番目の入力端子に入る様に切り替えました。このプリには、5個のバランス、アンバランスの入力があり、そのいずれの入力も、ライン、イコライザーと設定できるのです。5個のアナログ入力と一つのデジタル入力で6個の入力がセレクトできる様になります。

さて、CDトランスポートにいつもの、ショスターコヴィッチの第15番のSACDを入れて、試聴を開始しました。1番にemmからのバランス入力、二番に内蔵のDAコンバーター、三番にアンバランスMITケーブルを配し、切り換え試聴を繰り返しました。衝撃的な結論ですが、比較試聴してもほとんど音はわかりません。それよりか内蔵DAの方が低音の伸びが広がり、先日の新しいDA2の音と近似しています。これはすばらしい音です。emmのコンバーターは、独立してなににでもつなげますが、内蔵のDAは、プリの出力感度を下げて、今一台のプリにつなげれば、それ自体がDAコンバーターとして使えますが、こんな使用をする人はいないでしょう。逆な言い方をすれば、音量調整、セレクター付きのDAコンバーターなのでしょう。
隣のHenryさんお顔を見ていると、どうして、両方の製品を扱っているかがわかりました。聴く前に、心臓の薬を持っているかと聴かれたので、訝っていたら、聴いた後はその意味が分かりました。emmのオーナーとしては、確かに心臓に良くありませんね(爆)。
Mola Molaの詳しい説明は、アメリカのディストリビューターが動画をあげてありますので、そちらも見て参考にしてください。しかし、最近のD級のアンプの普及を見ていると、非常に活発になってきましたが、石田さんがされていたフルデジタルアンプはなかなか表れませんね。
これからやる事も多く、プリアンプを使いこなすだけで、相当な期間が必要です。おとうさん達には、モバイルから操作するというのは却ってなじまないのかもしれませんね。
いろいろ聴いて、そのモバイルが無くても使用できる様に、セッティングを見直して、試聴会を終えました。同時にACケーブルの差や、そのSPケーブルも、Henryさんご推薦のものに換えて聞き比べできる様にしました。
by TANNOY-GRF
| 2016-11-30 19:43
| オーディオ雑感 CD 篇
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