2017年 09月 19日
リストのソナタ・ロ短調 ポゴレリッチ |
涼しくなると、お魚が美味しくなります。特に北の海の幸が美味しいですね。去年の冬に、水戸まで遠征したとき、大洗まで足をの伸ばし、アンコウ鍋を皆さんで囲みました。今年も12月の水戸の公演の時に再現できそうです。
リストのロ短調は、何時もはそんなに聴く曲ではないのですが、ピアニストにとっては挑戦しがいのある曲なのでしょう。いろいろな演奏家のCDやレコードもありました。ポゴレリッチのユニークな演奏を一旦リセットするためにも、メジューエワを聴いてみました。これも入魂の演奏です。
その時聴いたポゴレリッチの演奏が、やはり耳に残っており、再度ポゴレリッチの演奏を聴いてみようと思ったのです。ポゴレリッチは衝撃的なデビューをした後、DGにスカルラッティやハイドンの録音を残していました。ポゴレッチの演奏の復習で、dccのテープにあったリストのロ短調を聴いてみました。写真の楽譜はZimermanの演奏の楽譜ですが、別な曲を聴いているような気がします。大きな音はより大きく、小さなフレーズは今にも消え入りそうに優しくなります。テンポの変化も大きくスケールの大きなダイナミックな演奏です。
水戸で聴いたのは、ショパンやシューベルト、後半はモーツァルトのK475とラフマニノフの第二番のソナタでした。モーツァルトはふだんピレッシュを聴いている身には、信じられないほどの遅いテンポでした。音のダイナミクスは、水戸のホールには音が大きすぎる気もしたぐらいです。彼ぐらいの力量がある場合は、大ホールで聴いた方が良いのかもしれません。ラフマニノフは複雑な曲です。スコアを見ながら聞かないと細部の変化は解らないかもしれません。しかし、演奏会場でスコアを眺めるわけにも行かないし、スコアを追って聴いていると、木を見て森を見ずと言うことにもなります。
先日、メジューエワの演奏会に行ったとき、スコアが見れるほどの前に座ってしまい、スコアを熱心に読むメジューエワの視線の動きにとらわれて、こちらもスコアの流れを追っている自分がいました。スコアの細部が見えるわけではなく、全体の流れだけなのですが、眼で音楽を聴くのと、響きの中に身を任せるのでは、全く違う音楽鑑賞の世界です。子供の頃にピアノをかじっていたので、なんとかスコアを追うことは出来ます。しかし、追うことの出来るレベルと実際に音を出すのでは、全く違う次元の話です。若い頃は、クラシックのピアノ曲にはアレルギーがありました。40代後半になってようやくその呪縛から逃れることができました。リヒテルのシューベルを聴いて救われました。
いまでは、ピアノを聴いている時間の方が、オーケストラを聴いている時間より多くなったかもしれません。メジューエワの演奏しているピアノ曲は、いろいろな作曲家のそれぞれの特徴をよくだした演奏だと思います。ピレッシュのモーツァルトやショパンも良く聴いています。安心して聴いていられますね。もちろん、ベートーヴェンの巨大な山脈も時間を掛けて歩いています。ブレンデルとギレリスを良く聴きます。二人とも種類は違いますが、巨大な独立峰だとおもうのです。
レコード時代はバックハウス、ケンプなどの深さもある高峰の山脈も歩いてきました。シューベルトからは、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームスという内省的な世界を歩いてきました。北欧系の作曲家もその範疇に入るのかもしれません。また、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ミケランジェリの系統からは、ショパンやリストのピアノの技巧の世界に引き込まれていきました。音響的には、50年代からピアノ録音は、ほぼ完璧に収録されています。問題は再生側のダイナミックレンジが確保されているかどうかです。
そしてレコードですが、ブレンデルの演奏も聴いてみました。レコード特有の音の太さも、この演奏には迫力を増します。ブレンデルのピアノ録音は、70年代のアナログ録音と90年代のデジタル録音では、印象が随分変わります。このレコードは、CDの出現の一年前の1981年のdegital録音ですが、アナログ時代の音を出しています。演奏も力強くソナタより幻想曲風な演奏ですね。
ブレンデルには、この曲のことを詳しく書いた著書もあります。このレコードの中にも、その文書が入っていました。その文章自身も、彼の演奏にもにて、昇華されています。なんとか、訳してみようと奮闘中ですが、どうなりますか・・・
by TANNOY-GRF
| 2017-09-19 16:42
| 好きなレコード
|
Comments(2)
Commented
by
Bellwood
at 2017-09-20 18:55
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リストのロ短調ソナタの連続鑑賞ですか。凄いですね。毎晩、連続でステーキを食べ続けるようなものでしょうか(笑)。
ブレンデルのリストはとてもオーソドックで、かつてはよく聴いていました。マンハッタンのミドルタウンで食べるNYストリップみたいなものでしょうか。
アファナシエフは、ホロヴィッツが通ったスミス&ウォレンスキー。本格的な赤身でボリュームがあるのでちょっともたれ気味。
グリモーは和牛の霜降りに本わさびにちょっぴり醤油味。私にはこれが好みですが、生で聴いた演奏はビジュアルもあって圧倒的に重厚なロマンチシズムも感じました。
ブレンデルのリストはとてもオーソドックで、かつてはよく聴いていました。マンハッタンのミドルタウンで食べるNYストリップみたいなものでしょうか。
アファナシエフは、ホロヴィッツが通ったスミス&ウォレンスキー。本格的な赤身でボリュームがあるのでちょっともたれ気味。
グリモーは和牛の霜降りに本わさびにちょっぴり醤油味。私にはこれが好みですが、生で聴いた演奏はビジュアルもあって圧倒的に重厚なロマンチシズムも感じました。
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by
TANNOY-GRF at 2017-09-20 21:41
ロ短調はステーキの連続ですか!?もたれそうですが、これが意外とすっきりと食べられています。ピアノ曲の最高峰ですから、腕に覚えのある人は、皆参加してきます。
なでもやはりブレンデルが、焼き方と良い、塩加減といい、中庸ですね。それでも、アルプスの大キレット越えみたく、油断するとまっ逆さかさまです。
アファナシエフは、ちょっと後回しですね。グリモーは切れ味が良すぎて、刺激的でした。
ロ短調の演奏は、まだまだあります。今年いっぱい続くでしょう。リストからバッハへは、簡単に切り替わりませんでした。
一人で、黙ってピアノばかり聞いているから、声が出なくなったのかも(苦笑)
なでもやはりブレンデルが、焼き方と良い、塩加減といい、中庸ですね。それでも、アルプスの大キレット越えみたく、油断するとまっ逆さかさまです。
アファナシエフは、ちょっと後回しですね。グリモーは切れ味が良すぎて、刺激的でした。
ロ短調の演奏は、まだまだあります。今年いっぱい続くでしょう。リストからバッハへは、簡単に切り替わりませんでした。
一人で、黙ってピアノばかり聞いているから、声が出なくなったのかも(苦笑)