2017年 11月 27日
怒濤の一週間の最後は紀尾井のシューマン |
土曜日の25日は、怒濤の一週間の最後の紀尾井ホールです。18日の上野のメジューエワから始まり、翌日の日曜日は川崎でのコンセルトヘボウ、火曜日にはイギリス人お二人組。水曜日はSさん。木曜の23日は、また川崎で今度はベルリンフィル。
翌日の金曜日は、行きにくい江戸川橋のトッパンホールまで足を伸ばし、ラーンキを聴いてきました。ようやくたどり着いた割には、さほど感心しませんでした。翌日の紀尾井でもお会いするのですが、その後お客さんが来られるので、金曜日の晩に行きつけのイタリアンで、ワインと割と行けるおつまみをつまみながら、コンセルトヘボウとベルリンフィルのお話をSさんに聞いていただきました。
右手を見ると、新宿方面の視界が広がり、代々木のNTTのアンテナビルも見えます。エンパイアステートビルの上の方のような少しレトロな姿が、つまらない東京の空にアクセントを与えています。
下を見ると、地下鉄丸の内線の四谷駅のホームが見えます。その下を中央線の各駅が通っていく、上下が反対の面白い場所ですね。丸ノ内線は、ぐるりと回って、御茶ノ水でまた中央線の下をくぐります。それが後楽園に来ると地上二階になっているのですから、東京の地形も坂があって楽しいですね。
左手には上智の奥の方の建物が見えています。この次が福田屋の建物です。紀尾井町と言う名前は、御三家の紀州藩、尾張藩、そして四天王の井伊藩の頭文字を取って名付けられたそうです。由緒ある地名ですね。昔はお屋敷町だったそうです。下を見ると、上智の学生がテニスに興じています。育ちの良い学校のいい雰囲気を残していますね。
のんびり歩いてきましたが、まだ開場までは時間が少しあるようです。三々五々集まってきたやはり上品な観客のお顔を拝見していると、いろいろな人生が想像できて飽きません。比べると、ベルリンフィルを聴きに来る人たちは、まだ少しぎらぎらとしたところが残っている人たちなのでしょう。
今日の紀尾井の演目の最初の曲はメンデスゾーンのフィンガルの洞窟です。クレッシェンドで金管楽器のバランスが少し大きくかんじました。二曲目はかってのボザール・トリオのチェリストだった、アントニオ・メネセスのソロで、シューマンのチェロ協奏曲という渋い選曲です。メネセスのチェロは上手いけど、丁寧に弾いてはいるのですが、それ以上でもそれ以下でもないという感じでした。オーケストラとはあっていますが、合いすぎて幾分眠たくなるような演奏だったいうと失礼かもしれません。でも、アンコールで演奏したバッハの無伴奏チェロソナタ第一番のサラバンドは堂々とした立派な演奏でした。彼のバッハはゆっくり聴きたくなりました。
紀尾井ホール室内管弦楽団 第109回定期演奏会 2017年11月25日(土) 開演:14時
指揮:サッシャ・ゲッツェル ソロ:アントニオ・メネセス(チェロ) 演奏:紀尾井ホール室内管弦楽団
曲目
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)」Op.26
シューマン:チェロ協奏曲イ短調Op.129 ソロアンコール:バッハ 無伴奏チェロソナタ第一番 サラバンド
シューマン:交響曲第2番ハ長調Op.61
さすがに、土曜の朝はしっかりと寝てましたが、何時もより少し早めに四谷駅について、スターバックのコーヒーを飲みながら待ち合わせた人と打ち合わせをしました。来年も面白い展開があるかもしれません。それも30分ぐらいで終えて、時間があるので、真田堀を眺めながらのんびりと土手の上の道を歩きました。
午後一時の日差しはまだ強くて、風もなくて暖かい散歩日和の日でした。さくらの葉はほとんど落ちていました。ここは本来松の並木があったそうです。戦争後、戦災の廃材で真田堀が埋まってから、紀尾井町の料亭福田屋の先代の女将がさくらの木を植えたそうです。土手の中央にどっしりと生えている大きな末も戦前からの名残でしょう。
第二部のシューマンの交響曲第二番は、素晴らしい演奏でした。よく練習しているし、構成も響きもいうことはありません。冒頭のトランペットがいますこし音程を合わせてくれたら、120点満点の演奏でした。管楽器群はそのトランペットをのぞくと最強のメンバーではないでしょうか?東京フィルの神田さんと新日本フィルの野口さんのフルート、都響の広田さんと上野学園講師の森枝さんのオーボエ、都響の勝山さんと読響の兼子さんのクラリネット、そして何よりも東京交響楽団の福士さんと新日本フィルの石川さんのファゴットが見事でした。ただこれだけ管が充実すると、弦楽器のバランスが少し薄くなります。第一、第二はもうワンプルトだけ増やしても良いのではと思いました。私は玉井さんがコンサートマスターをされる回が、一番音がまとまっていると思いますがその分少しだけ音量があればとも思うのです。
それより何より、指揮者のサッシャ・ゲッツェルが素晴らしいです。ウィーン国立歌劇場で、「フィガロの結婚」で大成功をして、これからウィーンでも「魔笛」「ドン・ジョバンニ」「リゴレット」そして「バラの騎士」が予定されている人気実力を兼ね備えた指揮者だということがよくわかりました。今日ここでこの演奏を聴けたのは僥倖だったかもしれません。四谷駅までの帰り道は興奮しながら演奏の素晴らしさを称え続けていました。来て良かったです。怒濤の一週間を締めくくるにふさわしい名演奏でした。
by TANNOY-GRF
| 2017-11-27 22:59
| 演奏会場にて
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