2017年 12月 03日
怒濤の一週間の最後はKYLYNさんでした |
怒濤の一週間が過ぎてさすがに疲れが出てきたようです。ただその疲れがすぐに出てこず、またすぐに解決しないのが、老人力の増した証拠です(苦笑)。
毎年、11月の第四週は、ミューザへ第一線級のオーケストラが集合します。一番凄かったのは、2013年で、ウィーンフィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ、ベルリンフィルと一週間の間に三大オーケストラが集結しました。
今回は、ガッティのコンセルトヘボウと、日本公演は最後になるラトルのベルリンフィルでした。川崎は、世界で最も音の良いホールと真剣な聴衆と何時もラトルはいってくれます。サントリーホールは、第二のホームグラウンドと言われていますが、香港から始まった長いツアーが終わったときの、ラトルのインタビューでも、川崎の音と聴衆のことを話していますね。
先週の最後は、紀尾井ホールから戻ってきたとき、丸ノ内線南阿佐谷駅で待ち合わせしていたKYLYNさんでした。前回は、KYLYNさんのお宅訪問の後に拙宅にも来ていただきました。今回は夕方五時から始まりましたが、夜、10時を回る頃まで、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
GRFさん
先日はお招き頂き、誠にありがとうございました。 約2年振りの訪問でしたが、この機会をとても楽しみにしておりました。結果的に今回も多くの驚きと、得難い貴重な経験をさせて頂くこととなりました。
今回も最初は和室からでした。一曲目はジャズのジャック・ルーシェの「PLAY BACH」でしたが、一聴してクオリティの高さに惹き込まれました。ベースの存在感、ピアノの音色、シンバルの伸び、いろんな要素のどれも素晴らしく、それらが一体となってオーディオ的にとても美味しいサウンドだと感じました。それからヴォーカルのパトリシア・バーバー「ナイトクラブ」やクラシックのクラウディオ・アラウ「ベートーベン・ピアノコンチェルト5番」(このピアノの音に酔いしれました…)等、とても楽しく聴かせて頂きました。
前回は奥行方向に深く展開するサウンドでしたが、今回はもっと音像が前にくる、より積極的なサウンドに変化していました。このように洋室と違うサウンドを楽しめる方がより楽しいですね。音源はCDオンリーでしたが、そうとは思えない程、弱音や音の消え際、空気感の表現が素晴らしいと思いました。
次に洋室に移動して同じ音源も含めて聴かせて頂きました。和室のサウンドも素晴らしかったのですが、ここでのサウンドはリアリティが違いました。オーケストラでは時間を超えて、そのコンサートホールにワープする感覚でした。深い奥行をともなった音場空間が前方に現れ、そこに位置が見えるかのような定位で音像が配置されています。和室より情報量が多く、より高い解像度で一音一音が描かれているように感じました。それ故に音源の質の差をハッキリ露わにする厳しい一面もあるようです。
最初に聴かせて頂いたCDやSACDも素晴らしかったのですが、その後のアナログレコードのサウンドは更に素晴らしく感じました。内山田洋とクールファイブの「クールファイブショー」や金子由香利「銀巴里ライブ いつ帰ってくるの」等、ライブ盤を中心に聴かせて頂きましたが、本物かと錯覚する瞬間が何度もあり、とにかく聴いていて楽しかったです。
それらを聴いている際、どうしてスペックで優れるはずのデジタルが、ある部分ではアナログを超えられないのか?という会話をさせて頂いたような気がします。ですが、その後で聴かせて頂いたライブ録音のDSD5.6MHzファイル再生は、アナログとはまた違う質感ですが、こちらも本物かと錯覚するリアルさがあり、一概にどちらがとは言えなくなってしまいました。それにしても音楽を聴いていて、ここまで生々しく感じる経験はなかなか出来ません。
アナログでは初盤と再発盤の音質比較もさせて頂きました。これは拙宅でも経験済ですが、盤によってはかなりの差が感じられます。確率的には初盤、本国オリジナルが良いケースが多いと感じていますが、本国以外のオリジナルや再発が良いケースもあるので、一概に言えないところが悩ましいですね。その点でもご意見が一致したのは心強い思いでした。
デジタル音源の中での音質比較では、PCMとDSDでスペックを変えながらの同音源の比較もさせて頂きましたが、洋室ではそれぞれの違いがかなり感じられます。聴かせて頂いた中で一番好みでリアルに感じたのはDSDの5.6MHzでした。
システムのクオリティが上がるほど、音源の質の差も浮き彫りにしてしまう様です。「なるべく最良の音源を求めたい」というお話には、とても共感いたします。
一つだけ不思議に思ったのは、持ち込ませて聴かせて頂いたDECCA「ショルティの春祭」ステレオサウンド盤で低域がやや足りなく感じたことです。かなりの低域がおさめられている音源で、一方のGRFさんのチョイスされた音源ではそう感じませんでしたので・・・。
もしかすると、狭い空間を利用して低域の量感を引き出している和室に対して、広い空間でより低い帯域まで見通し良く引き締まった低域の洋室、というチューニングの違いも理由なのかもしれません…
ここでは味わいの違う二つの部屋、それぞれの素晴らしさが楽しめて羨ましい限りです。盛り沢山で貴重な経験をさせて頂いたことに、重ねて感謝申し上げます。
KYLYN
私もショルティの春祭には違和感を感じました。マスターが悪いのではないかと思い、オリジナルのCDを取り寄せています。どうなりますか?この盤はCD初期の盤で、録音はアナログ音源ですね。この昔のCDなら、しっかりした低音が鳴るのではと期待しています。4トラックテープのファイルもありますから、確かめてみましょう。
KYLYNさんは、何事にも積極的に興味を持たれて深く掘り下げられます。真摯で丁寧な対応で、仲間の皆さんからも信頼を得ています。彼の調整された805は、私が聴いている限りにおいてもっともバランスがとれた音ですね。次回は、久しぶりに訪れて、また近所の気の置けない酒場で一杯の飲みましょう!
by TANNOY-GRF
| 2017-12-03 20:40
| 来たり
|
Comments(3)
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KYLYN
at 2017-12-10 11:32
x
私の拙文をブログにも取り上げて頂き、大変恐縮いたします。またそれを全てそのまま掲載されるGRFさんの懐の深さに驚くと共に、敬服いたしております。その好奇心や探求心をいつまでも持ち続けられる姿勢に、いつも学ばせて頂いております。今後ともご指導をよろしくお願い致します。
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TANNOY-GRF at 2017-12-10 19:54
KYLYNさん
オーディオ装置は、やはり部屋の制約や影響を一番受けます。また、より高い地点を目指している場合は、当然、谷も深くなります。平坦で聞きやすい装置は簡単ですが、よりいい音を目指し、高忠実度を実践すれば、その差も大きくなりますね。
お聞きになった二つの装置は、同じアンプ、同じスピーカーを使っていてもあれだけの差が出ます。まだ、GRFやDYNAUDIO、茅野のQUAD、大阪のハートレーと個性的で、その時代に合わせた装置もあるので、思い切った「開発」も出来るのです。
今年は、その茅野のQUADのESL57を何段階かのレベルアップと、いよいよGRFも手をつけようと思っています。また遊びに来て下さい。
オーディオ装置は、やはり部屋の制約や影響を一番受けます。また、より高い地点を目指している場合は、当然、谷も深くなります。平坦で聞きやすい装置は簡単ですが、よりいい音を目指し、高忠実度を実践すれば、その差も大きくなりますね。
お聞きになった二つの装置は、同じアンプ、同じスピーカーを使っていてもあれだけの差が出ます。まだ、GRFやDYNAUDIO、茅野のQUAD、大阪のハートレーと個性的で、その時代に合わせた装置もあるので、思い切った「開発」も出来るのです。
今年は、その茅野のQUADのESL57を何段階かのレベルアップと、いよいよGRFも手をつけようと思っています。また遊びに来て下さい。
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TANNOY-GRF at 2018-01-01 20:12
KYLYNさん アメリカに注文したオリジナルのCDは、12月中旬には到着しました。最近は、CD代より輸送費の方が高く困っています。12月は忙しくて、今日聴いてみました。すると、全く違う音で、低域ももりもりですが、空間の再現力が全く違いました。70年代はアナログ録音ですが、このADRMシリーズはいい音ですね。