2018年 01月 10日
友の会 第二回例会 ⑬ S.Tさんのご感想 |
第二回のGP友の会にお招きいただき、全く愉快で充実した一日を満喫しました。既に多くの参加者からご感想が寄せられ会の様子も報告されていますので、以下には特に私の印象に強く残ったことを書くことにします。
第一部
● トロバドール40+ウーファーの新しいスピーカー
これまで、トロバドール80にウーファーをプラスしたシステムは、GRFさんの部屋で3度聞かせていただきました。最初の訪問ではユニコーンの再生音に[壺中の天」を感じて仰天し、次いでそれが80+ウーファーの形でさらに発展成長していくところを驚きと共に体験させていただいたことになります。
今回のトロバドール40とウーファーTW4/2の組合せは勿論初めて見るのですが、サロンで大勢の皆さんとご一緒の試聴ということで、過去3回の「GRFの部屋」訪問時のようにスピーカーに対峙し対決するような意気込みで聞いたのとは少し違い、リラックスして聞くことが出来ました。
一聴して感じる、サロンの広い会場においても決して80システムに引けを取らないこの新しいスピーカーの素晴らしい再生音には、全く感心するほかありません。GRFさんのお話だと、比較して聞くと今回のシステムの低域特性は80システムほどには伸びていないしスケール感も違うということなのですが、当日会場で聞いた限りでは音のまとまりもよく、どちらかというと私には40システムの方が好ましく感じられたほどです。
ウーハーはOさん入魂の作品で、基本的な性能はもとよりトロバドール40との音のつながりも極めてスムーズ、加えて塗装等のも素晴らしく工芸品のようなほれぼれするようなエンクロージャーの仕上がり。40を載せたその佇まいはとても美しく、普通の日本の部屋に設置するのには大きさの問題も含めて間然するところのない素晴らしいスピーカーになっていると思いました。
● 印象に残る音源
当日聞いた音源ではカラヤン/ベルリンフィルのベートーベン第九・四楽章の最初の4トラテープを5.6MHZでファイル変換したものに強い感銘を受けました。
以前GRFさんの80システムで同じ音源のリハーサルLPを新しいフォノアンプで聞かせていただいた時の感動は訪問記に書いたことがありますが、今回の再生音はあの時の音をさらにスケールアップし、奥行き感や音の立ち上がりと消えるときの気配までを更にリアルに再生しているようで、さすがに4トラテープは明らかに一段上の世界だなと感じました。同時にこのソフトを豊かに且つ明快に見事に聴かせる今回のスピーカーの能力にも感心しました。
この第九の演奏は1962年の録音ですが、それから4年後の‘66年にまだ50代で気力体力が絶頂期のカラヤン/ベルリンフィルが訪日、東京文化会館でベートーベンチクルスを行いました。GRFの部屋訪問記にも書きましたが私はその第九を聞く事が出来ました。その時四楽章で響いた地の底から湧き上がるような雄大で重厚な低弦の音はその後も聞いたことが無く今も私の音楽体験の原点の一つになっていています。なので、特に気になる音源なのですが、今回のテープ音源はそれを見事に再現して感動を新たにしました。4トラテープの音とそれを忠実にデジタル化した5.6 MHZファイルの能力は凄い、の一言です。
● ベースのモノラル録音とステレオ録音の低音の響きの違い。
この事はこれまであまり気にしたことが無かったのですが、今回初めてそれを実感できました。今まで聞かされていたのはモノラル録音のベースだったんですね、ステレオで聞くベースの音の豊かな広がりは全く別の世界。思えば以前は低域には指向性がないということが常識とされていた時代でした。
● 後もう一つ。
越路吹雪ですが、スピーカーの対面に置かれたサロンのソファーで聞いた時に、まさに私の耳に残っている彼女の歌声が、そこで歌っているとしか思えない鮮やかさで自然な音場の中に広がりました。これは素晴らしかった。GRFさんの80システムでLPを聞かせていただいた時の再生音をナイトクラブで聞いている感じとすれば、今回は劇場で聞いた時の歌唱という感じだったかな。サロンの広さや聞く位置とスピーカーの距離の問題もあるのでしょうね。そして、この後でバイアンプをシングルアンプ駆動に変えたとたん、越路吹雪の音像が急にぼんやりしたのにも驚きました。
● そうそう、このスピーカーについてはもう一つ吃驚したことがあります。
食事の時に二台のスピーカーを結ぶ線に対してほとんど角度が無い、向かって右側の位置に座っていたのですが、このスピーカーはそれでもありありと左手横に立つ布施明の実在感を再現しました。気味が悪いくらいの音場再生能力ですね。
これなら、ちょっと無理をすれば狭い私の部屋にも置けるかもしれないので私がもう少し若ければすぐにでも入手したいと思うところですが、この歳で40年連れ添ったタンノイⅢLZを取りかえるのもなあと思い止まっています。
第二部
良いパーティーかどうかが美味しい料理やワインに影響されることはもちろんですが、より重要なのは参加者の問題だと私は考えています。その意味でもご参加の皆さんは素晴らしい方々で、初対面同士でも和やかな会話があちこちで交わされ、美味しい食事が一層味わい深くなり素晴らしいパーティーになったと思います。
皆さんはそれぞれオーディオに造詣が深く経験も十分な所謂オーディオ「マニア」の方々ですが、よくあるマニアックに、経験、知識、装置等による自分の趣味に「こだわる」というようなことは全くなく、和気藹々と和やかに交歓し、趣味について有益な意見の交流が出来る方々の集まりだと直ぐに感じました。まあ、誤解を恐れずに言えば、皆さんは今や滅びつつある伝統芸能のような「オーディオマニア」の生き残りのエリートの方々であって、日本の伝統である「和歌の前での平等」の如く「オーディオの前での平等」を自然に行動に移せるだけの見識を備えておられるからだろう、とも思いました。
GRFさんのブログでハンドルネームを知り、その方の文章やご意見などをよく目にしているため、既に知人のような気がしている皆さんに初めて直接お眼に掛かりお話が出来たのは全く愉快な経験でした。特に私の印象に残ったのはパグ太郎さん(例に挙げてごめんなさい)とお話ししできたことで、その文章やお持ちのオーディオの写真などから「細身で知的でフレンドリーな典型的な東京の山の手の青年」を勝手にイメージしていたのですが、あまりに私の想像通りで思わずニヤリとしてしまいました。パグ太郎さんのご趣味がピアノでラヴェルを弾く事であっても私は驚かないでしょう(笑)
「文は人なりと」いう言葉があります。ちょっと前ステレオサウンドが「オーディオは人なり」と書いていた記憶がありますが、そのとおりかもしれません。
Last but not least, このような素晴らしい会をプロデュースし、企画脚本、演出、主演、資材準備と搬入調整、広宣の全てを一人で実行するという、ちょっと考えるだけで私には気が遠くなるような仕事を八面六臂の活躍で実行なさったGRFさんに満腔の敬意を表したいと思います。さぞお疲れになったでしょう、ほんとにご苦労様でした。素晴らしいメンバーが集まることも含めて、このような会が実現することはGRFさんのお人柄によるところ極めて大だと改めて思い、お陰様でこういう時間を持てたことをとても感謝しています。有難うございました。またホスト役を務めていただいたMさん、スピーカーを作成されたOさん、有難うございました、厚くお礼申し上げます。
もう今頃から第3回GP友の会が楽しみです。
S.Tさん 詳しいご感想ありがとうございます。先日の会ではカラヤンの第九が素晴らしかったですね。家で聴かれたときは、LPだったので、やはりテープの低域の充実には敵いません。80の方が、ダイナミックレンジも大きいし、低域もオクターブ下まで出ているのですが、40のバランスの良さが活きましたね。あのような広いところで屈託無くなったのは、マルチアンプの優位性も多く貢献していたようです。一台のアンプにしたときとの差も、80より大きかったです。次回は、家の80ででも、同じテープを聴いてみて下さい。
やはり360度無指向性のSPの醸し出す音場は、特別ですね。三次元のホログラフのように実在感を伴ってそこに存在します。布施明や越路吹雪をあの会場にお招きして歌っていただいているような感覚です。私もあの音場を手に入れたのは、ようやく一年半前の事です。タンノイはタンノイで、あの音をご自分のお部屋で鳴らされることやはりお勧めしたいですね。毎日が驚きの連続になります。
会の運営は、大山さんの協力と、サロンのオーナーのMさんご夫妻の進行で行っています。ワイン学校の校長先生の力もやはり大きいですね。そして「GRFの部屋」のブログを通じて知り合えた方々の、会員の皆さんの個性と経験の深さ、多様さがスムーズな運営に繋がっているのだと感謝しております。今年よりもまだまだ楽しい企画を次回も考えております。テープレコーダーを持ち込み、38/2トラのマスターテープや、4トラックテープの奥行きの深さを味わっていただきたいですね。
by TANNOY-GRF
| 2018-01-10 00:22
| 友の会
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