2018年 02月 06日
Richebourgさんの「GRF邸訪問記」前編 『ENCORE』 |
昨年末にお越し頂いた際、次はGRF邸でと、お約束させて頂いてから早いもので2ヶ月です。賑やかな商店街を抜け、まだ雪が僅かに残る街並みを観ていると、GRF邸に着いていました。
GRFのあるお部屋にご案内頂き、最初にかかったのは、ハイティンク指揮RCOのショスタコーヴィチは15番です。トライアングルの音がGRFの少し奥の方から壁を破って聴こえてきて、目を閉じるとコンサートホールにいました。
2年ぶりの訪問は、約4年前始めて聴かせて頂いた2階席からのユニコーンの記憶を鮮烈に蘇らせる幕開けです。
続いて、同じくRCOで、今度はヤンソンス指揮です。ドビュッシーは「海」がかかります。導入部の低弦のザワザワ感から海のせせらぎが聴こえてくる様でした。ユックリと落ち着いていながらも大海原を見る様なスケール感です。本日お持ちさせて頂くワインはブルゴーニュと決めていましたが、思わぬサプライズを受けてしまいました。
続くラヴェルのラ・ヴァルス。優雅な舞踏から徐々に破壊へと突き進む訳ですが、とにかく低弦とグランカッサの炸裂が凄い。RCO渾身の演奏です。陽性なのに、品があり力強い。余裕もあり決して破綻はしません。pppでも、力強く明瞭ですが、しっかりpppの表現なのです。
そう、この感じです。3曲目が終わる頃、約2年前にミューザ川崎でコンセルトヘボウを聴いた時の事を思い出していました。コンサートホールの空間そのものが破綻なく再現されるからこそで、自然にそう感じました。本当に凄い体験は後からゾッとする。とはよく言ったものです。
続いて、イネッサ・ガランテはベッリーニのノルマは清らかな女神よから。透明な声質から歌い上げられる女神への祈りが神聖な雰囲気を纏って、会場の雰囲気をガラッと変えてしまいます。もっとも先ほどのRCOとは録音場所も違えばレーベルも違う訳ですが、それらが自然に移り変わるのです。
ここからオケに戻り、キャプラン指揮のVPOは、マーラーの復活を第3楽章から。不勉強なもので、ギャプランは初めて聴かせて頂きました。ウィーンフィル特有の強さはあるものの、全体像に良い意味で個性を感じさせない、意図的なもの、作為感を感じさせない演奏です。本当のマーラー指揮の復活を聴いていないので、確かな事は言えませんが、(指揮者の強い主張というより)自然といえば良いのでしょうか。
ここで、GRFさんからシャブリ 1er フルショーム 2014を頂きました。造り手は、シャブリジェンヌです。抜栓した直後は硬く閉じてましたが、時間と共に香りが開き、複雑になっていきます。村名格のシャブリではお目にかかれないボディが出てきて、1erの格を魅せてくれますが、シャブリ特有のミネラル感、飲み易さは変わらず。頂いたナッツと共にスイスイと杯が進みます(笑)。
私からは、サヴィニ・レ・ボーヌ 1er ラヴィエール 2012です。造り手は秘密(笑)ですが、私が大好きな造り手です。抜栓したては寝ていましたが、徐々に目を覚ましてくれました。シロップ漬けの赤果実が出て来て、完全なイチゴ水になります。ここは、生のイチゴと合わせて頂きますが、GRFさんにもお気に召して頂けた様で何よりです。
杯が進む中、室内楽へと変わり、ボザール・トリオのドヴォルザークからピアノ三重奏の4番です。優しく滑らかな演奏です。特に下支えとなるピアノの演奏が素晴らしく安心して音楽に浸れます。フィリップス、デジタル初期とあって、ここは、やはりフィリップスのCD34での演奏です。日本盤も聴かせて頂きましたが…せっかくの良い演奏に水を差すような事になるので、この話題はやめましょう(苦笑)。
クレンペラーの指揮は一貫してダークですが、スケールが大きく力強い。クレンペラーは私の大好きな指揮者で、確たる個性を持ち合わせている様に思いますが、そんな事はどうでも良くなる数々の名演を残しています。真にクオリティのあるものは、上手下手とか、完成度とか、そういう次元を超越してますね。この演奏になると、会場はいきなり二階席となり、上からオケを見降ろして聴く形になります。会場の気配を一瞬にして変えてしまいますね。音ではなく音楽の感動が届く、コンサートの感動が蘇るお部屋です。
別のお部屋に移り、4k有機ELのテレビでダンケルクを。黒が沈み、自然な写りです。黒の沈み込みに見入ったのは、友人宅でみたKURO以上の衝撃で、思わず見入ってしまいました。と、いうより、映画館でも無いのに自然な効果音に驚きました。スピーカーはたった2本しか無いのですけど…もちろん作品も素晴らしいですね。
15時にお伺いさせて頂いて、気が付けば夜の21時。ワインもスッカリ空いていて、あっという間のひと時です。
会場から外に出ると、連日の寒波で、外には行きと変わらずまだ雪が少し残ってましたが、帰路に着く頃にはGRF邸での体験を無意識に回想していました。
RICHEBOURG
つづく
by TANNOY-GRF
| 2018-02-06 22:53
| 来たり
|
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