2018年 09月 11日
新潟のX1さんが来られました 2 |
新潟を出られたときは、20度を切っていて、とても涼しく気持ちよいドライブをされたそうです。長岡だと駅前でない限り車の方が早くまた楽に移動できます。長岡北インターから高速に乗れば、二時間半で練馬まで来られます。ドアトゥドアで、三時間半ぐらいでしょうか?最近の車は高速ではほとんど自動運転ですから、渋滞に遭わない時間帯なので楽に来られたそうです。お約束の時間は11時半でしたが、少し早く着かれたそうです。こちらはバタバタと部屋の片付けに追われていました(苦笑)。
さて、最初は、和室のユニコーンからお聞きいただきました。通常使っている音と、大きな部屋の差を聴いていただきたいからです。DACが変わってから低音の出方が変わりました。バックロードホーンとは思えない程、低域が低くなり、以前から比べるとSP自体が変わったようです。それでも、通常のバックロード違って、上と下の位相が合っているので、ホーンロードの遅れた感じはまったくありません。その点を、ベテランのX1さんはすぐに看破されました。
最初は、中央の席に座って聴いていただいていましたが、より広くこの狭い部屋を活用するために、横の席に移動していただき、斜めから聴いていただいたところ、そのスケール感が異なるのを楽しんでいただきました。私自身、右端の椅子で何時も聴いていて、真ん中の席にはほとんど座らないからです。360度に音場が出てくるDDDユニットの場合、聞き手の位置が違っても、左右のバランスが狂ったりはしません。あたかも、コンサートホールで、席の移動をしているような感覚だからです。ご自分お好みの席で聴くことが出来ます。
X1さんも、NHKホールの左側のモニター席の前で聴かれたとき、立ち上がったときの音のバランスが一番良かったと言われました。指向性のある通常のSPや、指向性のきついホーン型では、真ん中で聴かなければ音のバランスが崩れます。どんなに大きな部屋でも、リスニングポイントは、中央の一席だけです。ゆえに、複数で聴かれるような場合は、交代で真ん中の席を譲り合いますが、家ではその必要はありません(笑)。
和室の特徴は、後方の壁とSPの距離は、25センチほどしか離れていないのに、後ろの壁が消えることです。そして、その音が、二階席から見下ろしているように、SPの後方下の方から聞こえてきます。高域も、SP自身からは聞こえず、ステージから立ち上ってくるのです。それはマイクが指揮者後方の上の空間に位置していて、下のオーケストラを見下ろしているからです。マイクの位置が、下に下がれば、音像も高さを上げて目の前に展開します。そういうホールの自然の残響ではない、スタジオ録音では、音は目の前に上下左右に展開します。その例も、ダイアナ・クラールの音で確認していただきました。
そして、今度は、オルガンの響きが遠方から聞こえてくるオルガンの協奏曲の奥行き感を聴いていただきました。六畳の部屋は消えます。夜真っ暗にして聴くと、時々自分がどこにいるかを忘れるぐらいですから。
こうしていろいろなCDを聴いていくと、収録されている録音会場の音が、再現されてきます。スタジオ録音なら、制作者が意図していて音が現れるのです。人工的に合成された音も、会場のアンビエンスを可能な限り取り入れた録音も、シンプルなワンポイントマイクの音も、それぞれの差が、そのまま現れます。それが、ハイファイ(高忠実度)再生だと思うのです。
その意味で、当初意図されていた音が、ダビングや再発時に音が替わり、劣化した差が聞き取れます。常に、最初のオリジナル盤が自然だし、制作者の意図した音が現れるのです。リマスターとか、聴きが良くなったからとか、いろいろなことを言って、再発盤が発売されますが、常にオリジナルが一番です。当たり前ですね!その差も聴いていただきました。偽物(コピー)と本物の差は瞭然ですね。
二時間ほど、和室で聴いていただき、お昼にしました。何時もなら、お昼は板わさと鴨ロースを魚に、王録をじっくりと傾けるのですが、今日はお車ですから、卵焼きとせいろで、手短に済ませました(笑)。
おそば屋さんの帰りは、二時を過ぎていたと思うのですが、まだ夏の名残が身体に突き刺さります。戻ってきてからは、大きな部屋の方の音を聴いていただきました。昨日までは、TW4/2と40のテストをしていたので、厳密な調整は、聴きながら行うつもりでした。その方が微妙な調整でどのくらい音が大きく変わるかが解って面白いと思ったからです。


最初の音は、何時ものショスタコビッチの15番でしたが、音が小さすぎたかもしれません。それにやはり位置が微妙にずれていて、音の密度が足りません。360度放射のDDDユニットの場合、一番気をつけなければならないのは、SPの間隔です。その微妙な位置のズレが、お互いのエネルギーを相殺して、力の無い音になります。
少し聴いてから、その位置調整を行いました。後ろで聴いておられると、1mmの差の違いがいかに大きいかがわかっていただけると思います。だんだん調子が上がってきました。プリアンプの差はありますが、パワーは同じ6336Bp.p.ですから、音の差は、やはりダブルユニットの80の差が大きいですね。それと部屋の大きさも、残響に関わりますから、コンサートホールの奥行きが再現されてきます。
その差を、X1さんはどのように感じていただいたでしょう。コンサートホールに響く、大太鼓の響きや、カスタネット、シンバル、トライアングル等の打楽器の定位が揃ってくると、弦楽器も音が浮き上がってきます。今日は、まだその点が甘いと思いました。定位置を動かしてしまうと、元のポイントに戻すのには二三日掛かってしまうようです。
音の微妙なズレが、アバドのような演奏を浮かび上がらせます。ラトルのような力で押すのとは違う音楽が、浮き上がって来るのです。今日は、残り時間も少ないので、その音場を聴くソースではなく、音質で聴く、アナログレコードの方に移行しました。二本あるシリーズファイブにはベンツマイクロのLP Ebony と LP-Sが聞きくらべられます。以前のRubbyとEbonyの時と同じように、音がこなれてくるには、二三年はかかるようです。現在は、12年目を過ぎているLPの醸し出す、柔らかさはまだLP-Sからは聞こえません。オーディオは買ってきてすぐなるものではありません。自分の音に仕上げていく、その忍耐と愛情も大切です。
それから、デジタル系に戻して、DCCの音を聴いていただきました。16ビット44.1KHzの通常のCDと同じ規格ですが、光ピックアップで拾うのと、接触しているテープから情報をえる仕組みの差が音の差として現れます。CDより遙かに安定して、どっしりとした音になります。X1さんは、始めて聞かれるDCCの音に相当、感じられたようです。わずか、4年足らずの間しかテープも出回りませんでしたが、音の安定感は、38/2トラの音に近いですね。この音が、30年前から存在していたのです。44.1KHz16bitでも充分なのです。
問題は、その音を再現するときに障害だったジッターの除去が、難しかったことです。人工的な音の揺れは自然界にはないので、その音が重畳した再生音は、耳が受け付けなかったのでしょう。デジタル音がすると言われた所以です。DCCが出現したときも、まだ完全には除去出来ませんでした。最近になって、PCMの音をDSDに変換して、周波数を飛躍的に上げることで、クロックの精度を上げ、クロックを正確に打ち直することが出来ました。それによる改善は非常に大きかったようです。
最新のDACが出てきて、ようやくデジタル本来の性能が証明されてきたようです。昔のCDプレーヤーも、30年前のdccプレーヤーも、本来の音を出し始めたのです。その音がX1さんは大変気にいられたようです。おなじソースでも、CDの光信号(アナログ変換)より磁気の変換の方がより元の音に近いようです。面白いです。
駆け足で、一通りの音を聴いていただきましたが、ご紹介する方も、される方も今日の所は、目次みたいなものですね。これから何回か交流を重ねて、一つ一つの音の不思議をぜひ解明されていって下さい。私も、雪が降る前にお伺いして、評判の装置の音を聴かせていただくのが楽しみです。
本日は、沢山。新鮮な経験をさせて頂きまして、有難う御座いました。宝の山のGRF邸、ワクワクの連続でした。ありがとうございました。アナログの音。テープをデジタル変換した音。デジタルに変換した、テープから音もそうですが、DCCの音楽には、ショックでした。楽しい時間を、ありがとうございました、また、お邪魔させてくださいもっと、ありがとうございました♫
by TANNOY-GRF
| 2018-09-11 08:02
| 来たり
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