2018年 12月 28日
今年最後?のパグ太郎さん EMMのDAC |
清水の舞台から飛び降りるつもりで、EMMのトランスポートとDACを導入してのは、2012年の夏のことでした。最初は怖々と一体型のXDS1を聞いてみました。すると、エージングで音はどんどんと改善したのですが、まだこの時点では、工藤さんのCD34改の方が、私の好みでした。ところが、50時間以上経った頃から、とんでもない迫力のある音が鳴り始めました。
そして、このXDS1をSD05のトランスポートとして使ってみようという試みも行いました。すると、SACDを掛けると、SACD2CHレイヤーを読み込み、88.2/24ビットで出てくるのを確認しました。この少し前にファームウェアのヴァージョンアップが行われて、それからSACDをAES/EBUで出すようになったのです。
この機器までは、家ではSACDを聴けませんでした。サウンドデザインの石田さんが、最後に手がけたSONYの普及型SACDプレーヤーのXA1200ESでは掛けられますが、クロックアップされて、電源も独立したCDプレーヤーから直接SD05にデジタルトランスファーされる音に比べてそれほどの優位感を感じなかったのです。
しかし、EMMのXDS1で聴くSACD盤は、なかなかの迫力と奥行き感で、何よりもS/N比が向上して結果的にダイナミックレンジが拡大され、従来までのGRFからは聞けない音がその時し始めました。
EMMの購入を考えていた2012年頃は、大変な円高で1$は80円を切っていました。アメリカの価格は、XDS1は$25,000でした。アメリカで購入すると、レートが80円ですから200万円で購入できます。それを理由に、Henryさんと価格交渉をしました。すると、一体型のXDS1よりも、この年の7月にファームアップしたセパレート型のDAC2XとTSDXの組み合わせの方が、一体型よりレベルが二段ぐらい違うと、円高の恩恵でさほど違わない価格で、セパレートの方を薦めると、うまく営業されました(笑)。
私のオーディオ人生では、必要以上の高価な機器は買わないと言う身上で長年やってきました。30万円ルールというのを設定して、オーディオに掛ける費用は、一つ30万円をリミットにすると言う設定です。バブル崩壊以降、物価はほとんど上昇しなくて、この枠の範囲で行ってきました。GRFもユニコーンすらも中古でしたから、その範囲以内でやってこれました。それを始めて破ったのは、1997年のCDトランスポートのP-0sでした。その後、二回のヴァージョンアップを通じて、初めての200万円超えの製品になりました。それだけ投資したのだから良い音が出るに違いないと2006年に石田さんのSD05に出会うまで10年近く苦労していたのです。
この名刺代わりに使っているGRFの写真の左横の黒い機器がP-0sでした。これはトランスポートですから、DACにも苦労していました。SD05に出会うまでは、WADIAを使ったり、今は高級になってしまったMSB technologyを使用したりしていました。SD05の体験を通じて、CDを聴くだけでは無く、HDDにダウンロードしたり、DSDオーディオに進めるなら、やはり音の良いDACが不可欠だと解ってきたのです。
2008年に中古で買ったユニコーンのエッジが劣化してバックロードが良く掛からなくなったので、German Physiksに直接連絡してユニット交換をしました。運賃を入れても片側20万は掛からなかった様に思い出します。キャビネットはごらんの通り、新品同様ですから、やはり300万円近くしていたUNICORNをその三分の一ぐらいで購入出来たわけです。そのやりとりを通じて知り合ったGerman PhysiksのRobertさんが、やはり現代最高のDACは、EMMだと強く薦めてくれたのです。世界中のオーディオショーでならされているのは、EMMのDACが一番多いと!。
この、EMMの他を絶する音の違いにおどろき、現在のV2へのアップグレードを切っ掛けに、MolaMolaの方も切磋琢磨して良くなってきました。今年家を何回も訪れていただいたご近所のパグ太郎さんが、今年の聞き納めに仕事帰りに寄っていただきました。
GRFさん
昨晩は、仕事帰りに、ありがとうございました。仕事モードのままで和室に入ってしまいました。切り替えるのは案外難しいものですね(笑)。
キャラクター転換が上手くいかず、集中力がなかったのか、最初のキアロスクーロSQも、ヴァン・カイックSQもふわふわした感じで不思議な気がしました。その後、ジュリーニ指揮VPO・キーシンのシューマンのピアノ協奏曲でスィッチが入って、自然なホールトーンが出現したというのは申し上げた通りです。その後のキーシンのバッハ・グリンカ・ムソルグスキーという変わった組み合わせのCDは、ロマンティック全開の楽しい録音で、早速、ポチってしまいました。
さてさて、あの通り鳴るとは限らない所が怖いのですが。というのも、その後の、拙宅にもあるCD(コパチンスカヤ・レスチェンコ、フェルツマン、クレスパン)も、低域の制御力も違えば、消え際の残響の持続時間も違って拙宅とはまるで別の演奏の様。上流の精度が違いを痛感です。
もっと衝撃的だったのは、広間で聴かせていただいた、クレンペラーの大地の歌の最終楽章の冒頭の銅鑼とコントラバスの響きです。その重さと持続力、そして空間表現が、大して日をおいていない前回と比較して、まるで別物です。これを聴くとCDに記録されている細密な空間表現の情報の限界は何処にあるのだろうかと恐ろしくなるくらいです。怖いのはそれだけではなく、英国製の初版CDが、版を重ねる毎に情報量が落ちているというのも、またその差がここまでわかってしまうというのも、それはそれで困ったものです。
明確な差があると感じていたEMMとMolaMolaの表現力ですが、度重なるヴァージョンアップ(と調整?)で両者はほぼ均衡して来ていると感じました。音源によってどちらで聴くのが、好ましいのかという様な状態です。マーラーのほの暗い重厚な音源はEMMが得意、クレスパンの華やかな歌声はMolaMolaがあっている、そうかと思えばムローヴァは、、、、、なんて、この聴き分けは楽しくはありますが、次元の高すぎる贅沢です。
短い時間でしたが、とどまる所を知らぬ進化に、出てくる言葉は「困ったものだ」の一言でございました(いえ、当方が困ることは何もないのですが)。
パグ太郎
by TANNOY-GRF
| 2018-12-28 23:12
| 来たり
|
Comments(2)

GRF さま
こんにちは。
わが家のSA-10 を、わたくしめはプワマンズEMM と呼んでいます。( 爆)
スピーカーは前任者との交換差額が13万円。アンプとSACDプレーヤーは各交換差額30万円でした。
いまだ後塵を拝する身ではありますが、30万円ルールだけは墨守しているようです。( 笑)
本年は大変お世話になりました。来年もよろしくご教授のほど、お願いいたします。
S.Y
こんにちは。
わが家のSA-10 を、わたくしめはプワマンズEMM と呼んでいます。( 爆)
スピーカーは前任者との交換差額が13万円。アンプとSACDプレーヤーは各交換差額30万円でした。
いまだ後塵を拝する身ではありますが、30万円ルールだけは墨守しているようです。( 笑)
本年は大変お世話になりました。来年もよろしくご教授のほど、お願いいたします。
S.Y
そうです。30万円ルールは厳守して下さい!そうで無いと、他に使うモノがない世代になった私たちは、見境がなくなります。家のNagra類は、いまだに高額で取引されていますから、一種のタンス貯金ですが、普通の機器は、盛りを過ぎれば、文字どおり二束三文です。音の善し悪しは、トントンこつこつで、ほとんどの場合は解決します。どの時代でもそれなりに良い音がするのですから。