2019年 02月 21日
うっとうしいのは花粉症ばかりはないようです |
寒い日がようやく去ったと思ったら、今年も一番うっとうしい季節が始まりました。北風に変わって南風が吹くと、黄色い粉が飛び始めます。微粒子なので、ほんの少しの隙間でも侵入してきますし、昼間干してあった洗濯物にも付いて室内に入ってくるのでしょう。
老人力がついてきたら、花粉症の症状は随分と楽になってきました。やはり食べ物やお酒が少なくなった影響でしょう。それでも、突然目がかゆくなって、鼻の奥がつーんとしてきて、耳にも影響が出てきます。鼻が詰まると耳の圧力も変わって、鼓膜が自由に振動できなくなるのでしょうか、高域が聞こえなくなってきます。
先日、のびーさんの記事を読んでいたら、イギリスの庭に侵入してくる、野生の動物を撃退するために、超高域の音を発生する装置のことが書いて有りました。日本でも夜、コンビニや公園にたむろしてくる若者を撃退するために使われていますね。15,000Hz以上の高音を発生して、その音を聞ける若者にいやな気持ちにさせる装置だそうです。
ところが、その装置の出す超高域の音は、ほとんどの大人には聞こえません。オーディオマニアを自認する人たちも年齢が行くと、10,000Hzまでは聞こえても、12,000Hzを越えるといっぺんに聞こえなくなる人が増えるようです。15,000Hzになると、まったく音がしないようです。私も、以前はタンノイのユニットが17,000Hzを出しているのを確認できていましたが、最近は、やはり落ちてきたようです。
周波数テスト用の本格的なCDが見つからなかったので、友人宅で、オーディオ協会のテスト用CDを掛けて貰いました。12,500Hzまでは、問題なく聞こえたのですが、以前は聞こえていた16,000Hzは微かな気配は感じますが、音としては聞こえません。15,000Hzが限界でした。ゆえに、野生動物撃退用のソフトが掛かっていても、なんとかその庭にいられるかもしれませんね(苦笑)。
のびーさんのお宅では、娘さんからうるさいとクレームが付いたそうです。そうなると、20,000Hz以上、35,000Hzがでているというスーパーツイーターの存在意味は何なのでしょうか。FM放送を自動車などで聞く場合、常に移動している車では、FM放送の電波が、放送塔から直接受けられるときと、ビルなどに反射した電波を受けるときがあります。その異なる電波を受けると位相差から雑音を発生します。FM放送では、それらの雑音を排除するために15,000HZ以上の周波数帯は、放送していません。ステレオ信号検出用のシグナルも19,000Hzででているために、不要な超高域をカットしているのです。
CDが音が良くないのは、44.1KHzのサンプリングなので、20,00Hzまでしか出ていない所為だとまことしやかに語られています。その為に、20,000Hz以上の音を合成的に作って音が良くなったという機器も発売されているほどです。本当でしょうか?
超高域の音は、聞こえている帯域の音を変調させます。音の立ち上がりに付帯音が付くのです。それで中高音の音色が代わり、それがうまくはまる場合は、音が良くなったと言われるのでしょう。
CDの音が自然ではない場合は、人工的なジッターや、S/N比の問題だと思うのです。最近のCDの音が良いのは、CDフォーマットが変わったわけではなく、収録されている音源の音が良いからです。何回も述べているように、オーディオ装置で一番大事なのは、装置全体のS/N比の良さです。いまだに、アナログ時代のS/N比が悪いアンプを使用していて、ハイレゾどころかCDのダイナミックレンジさえ再現できない装置で聞いているからです。
ダイナミックレンジと言っても、大きな音のことではありません。雑音に埋もれる小さいな音の再現性なのです。コンサートホールでのホール感は残響成分の音が聞こえてくるからです。残響とは、発音体(楽器)から出た音が、直接耳に届く音ではなく、その音が、ホールの壁や反射板に反響して、時間が遅れて到達する音の再現性です。ホールの様々な壁に何回も反射して、その度に減衰していく、小さな音を再現できてこそ、コンサートホールの音を醸し出すのです。
音源であるヴァイオリンでも、ピアノでも、どの楽器でもSPのように前面だけに音が広がると言うことはありません。前にも後ろにも音はでて、池に落とした石の波紋のように全方向に拡がり音場を構成しているのです。
大山さんと石田さんが開発してきたPSDのT4にしても、他のSPに比べれば、後方への音の回り込みを良くしてありますが、SPが前面だけ向いているのでは、全方向とはいえません。無指向性のDDDユニット用に開発した、ウーファーは、前後にSPを配して、前面にも後面にも同じような音が回るように作りました。その無指向性のユニットが作り出す、三次元の奥行きのある音場は、元の音場を再現して、どこから聞いても、音楽の音場が再現されます。
二次元のSPが再現するステレオ音場と、三次元のSPが再現する音場では、まったく異なる音がすると言うこともぜひ体験して欲しいと思います。三次元の音場を体験すると、どれほど二つの耳が音をとらえ、それを脳で聞き分けているか、その素晴らしさ、神様が創造されたものならば、素晴らしさに畏敬の念を覚えるほどです。
モーツァルトのクラリネット五重奏のような天国の響きも、ブルックナーの交響曲の全奏の後に来る全オーケストラのフルストップによるホールに消えていく残響の意味や、弦楽四重奏団のシンプルだけど、無限の響きを醸し出すハーモニーの素晴らしさ。
それらが、体現できた後、たとえば、1950年頃の録音のフルトヴェングラーのウィーンフィルのムジークフェラインに響き消えていくモノラルの音の壮大さと幽玄さも感じられるのです。
カラヤンがベルリンフィルとイエスキリスト教会で収録した、最初のベートーヴェン全集の音。同時期にウィーンフィルと取った、一連のDECCA録音での華やかで洗練されたカラヤンサウンド、その後のベルリンフィルとの、シベリウスの交響曲ややリヒャルト・シュトラウスのドンキホーテの音の素晴らしさ。
それらを再現するときに、帯域を拡げていた昔の4ウェイ、5ウェイのホーン型のSPの調整の問題点、動的な立体感と時間差のある音楽を、スチール写真のように一面的な、ある一点での静的な特製を追い込んでいく方法が、如何に間違っていたか、我々は知っています。そのような歴史も知識も反省も受け継ぐことなく、同じ過ちを繰り返す余りにもオーディオ小国になってしまった現状を憂いています。
それはオーディオばかりではなく政治の矮小化、政治家と役人の自己保身と特権化、英国とアメリカの国民の判断の過ちとそれがもたらしたら異常な現状、ロシアと中国の野望と底知れぬ帝国化も相まって、どこであらぬ方向に転がるか解らないの憂鬱な毎日がつづいているのです。
by TANNOY-GRF
| 2019-02-21 16:50
| よしなしごと
|
Comments(5)
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nira
at 2019-02-22 10:36
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こんにちは
>20,000Hz以上の音を合成的に作って音が良くなったという機器も
フィデリックスのAH-120Kを最近中古で購入してお試し中です。遊び半分でしたが、気配感が増すようでそれなりに変わると思います^_^
GRFさん宅ではかえって不自然な結果になる恐れも・・?
>20,000Hz以上の音を合成的に作って音が良くなったという機器も
フィデリックスのAH-120Kを最近中古で購入してお試し中です。遊び半分でしたが、気配感が増すようでそれなりに変わると思います^_^
GRFさん宅ではかえって不自然な結果になる恐れも・・?
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S.Y
at 2019-02-22 13:20
x
GRF さま
実は、わりと最近までモスキート音が聞こえてました。( 爆)
場所でいえば、東京宝塚劇場の受け付け横から地下の映画館に下りる階段の踊り場あたりですね。圧迫感のある高周波を感じてました。あの音がそうだと思うのですが、勘違いなら、ごめんなさい。
映画館へ入るのに階段の途中で行列( かつてはそんなこともありました) してるときなど、実に不愉快でした。しかし前後の人たちは、あまり痛痒を感じていない様子です。
新聞だか週刊誌の医療記事を読んだら、不安神経症の方は高周波が聞こえてしまう、とありました。まあ、僕はその気があるので、一種の病気だったのでしょうか。( 笑)
S.Y
追伸。東宝さん、まさか電源を切ったんじゃないでしょうね。( 爆)
実は、わりと最近までモスキート音が聞こえてました。( 爆)
場所でいえば、東京宝塚劇場の受け付け横から地下の映画館に下りる階段の踊り場あたりですね。圧迫感のある高周波を感じてました。あの音がそうだと思うのですが、勘違いなら、ごめんなさい。
映画館へ入るのに階段の途中で行列( かつてはそんなこともありました) してるときなど、実に不愉快でした。しかし前後の人たちは、あまり痛痒を感じていない様子です。
新聞だか週刊誌の医療記事を読んだら、不安神経症の方は高周波が聞こえてしまう、とありました。まあ、僕はその気があるので、一種の病気だったのでしょうか。( 笑)
S.Y
追伸。東宝さん、まさか電源を切ったんじゃないでしょうね。( 爆)
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TANNOY-GRF at 2019-02-23 13:10
niraさん
勿論「それなりに変わります^_^」それを気配感と呼ばれる方は、お使いになられば良い訳です。
私は、元のソースに入っていない可聴外帯域の音が、大音量で鳴っていると、生理学的にも予期せぬ影響もあると思っています。
CDが発売された頃、CDは帯域が狭く、デジタルの音がすると言われていました。その原因の一つに、帯域の狭さを挙げる人もいたのです。でも、その30年前のCDが、最新のDACでは、見違えるほど良い音で鳴っていますね。
音は確実に進歩しています。
勿論「それなりに変わります^_^」それを気配感と呼ばれる方は、お使いになられば良い訳です。
私は、元のソースに入っていない可聴外帯域の音が、大音量で鳴っていると、生理学的にも予期せぬ影響もあると思っています。
CDが発売された頃、CDは帯域が狭く、デジタルの音がすると言われていました。その原因の一つに、帯域の狭さを挙げる人もいたのです。でも、その30年前のCDが、最新のDACでは、見違えるほど良い音で鳴っていますね。
音は確実に進歩しています。
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TANNOY-GRF at 2019-02-23 13:23
S.Yさん 機器によっては、位相差が発振してとんでもない超高音を大音量で出している場合もあります。可聴帯域外の音はその人は聞こえなくても、耳としては、刺激を受けていますので、長時間さらされると身体に悪いこともあるようです。
SPから出されている音の位相差を検知して、整える装置もでていますし、スタジオの録音現場では、位相を操作して音場を作り出しています。
でも、安心して音楽を楽しむ場合には、超高域を逆にカットした方が、心地よく楽しめるようです。
ウーファーとスコーカーの2ウェイで構成されている帯域が狭いSPが、ハートに届く音楽を奏でるのも知っています。
SPから出されている音の位相差を検知して、整える装置もでていますし、スタジオの録音現場では、位相を操作して音場を作り出しています。
でも、安心して音楽を楽しむ場合には、超高域を逆にカットした方が、心地よく楽しめるようです。
ウーファーとスコーカーの2ウェイで構成されている帯域が狭いSPが、ハートに届く音楽を奏でるのも知っています。
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S.Y
at 2019-02-24 15:46
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GRF さま
吉祥寺の北口方面に新しく( たぶん) できた中古専門のオーディオショップで聞いた時代物の自作箱に入れたJBL の2 ウェイがひどくいい音を出してました。( 爆) 透明感がある屈託のない音です。壁から数メートルも離れていましたから、やはり平行法のセオリー通りですね。送り出しはPC音源と最新の超弩級プリメインでしたが・・・。
年齢を重ねると、聴覚は高音から衰えるようですが、嗅覚は胡椒の香りから分らなくなるらしいですね。( 笑)
S.Y
吉祥寺の北口方面に新しく( たぶん) できた中古専門のオーディオショップで聞いた時代物の自作箱に入れたJBL の2 ウェイがひどくいい音を出してました。( 爆) 透明感がある屈託のない音です。壁から数メートルも離れていましたから、やはり平行法のセオリー通りですね。送り出しはPC音源と最新の超弩級プリメインでしたが・・・。
年齢を重ねると、聴覚は高音から衰えるようですが、嗅覚は胡椒の香りから分らなくなるらしいですね。( 笑)
S.Y