2019年 02月 28日
久々のGRF邸訪問 |
先週の日曜日に横浜のMさんとご一緒に、久しぶりとなるGRFさんのサウンドを体験させていただいた。 前回は昨年のGWだったので九ヶ月ぶりとなる。
もっとも、GRFさんのサウンドは昨年晩秋のジャーマンフィジックス友の会にてル・サロンでの記憶が新しく、あればオーディオのピークエクスペリエンスとして長く記憶に残るイベントであり音であった。 今回はどんな出し物を用意していただいているのだろうか?
GRF劇場総支配人の采配が非常に楽しみである。
ランチはGRF邸近隣の昔ながらのお蕎麦屋さん。えらく賑わっているのに驚いたが、景虎と板わさでの昼酒は申し分なし。天付きせいろをいただいが、天ぷらの出来が素晴らしく、お蕎麦も多くの人に好まれてきた万能感のある美味しいお蕎麦だった。そばつゆもしっかり出汁がきいており、蕎麦湯でうめても最後まで美味しかった。
少し前に和室は壁の再塗装(?)が入っており、そういえば、それ以来はじめてお伺いしたことになるのか?前回は和室に行かずに最初から最後までGRF劇場大ホールだったので、和室は妙に新鮮に感じた。
是枝式のプリアンプ&パワーアンプが誇らしく設置されており、送り出しは故石田さん設計によるSONY製のCDプレーヤにMeitnerのDAC。SACDレイヤーが聴けないのであるが、それで良いらしい。
ここしばらくのお気に入りというエリック・サティのピアノから聴かせていただく。
GRFさんは一之太刀から絶対に最大奥義を繰り出したりしない。最初はほんとうに、もっと大音量で聴かせてよ!というくらいひっそりと鳴らし始める。今回もそうであった。逆に弱音の美しさを感じ取れ!というチャレンジなのかもしれない。
和室のシステムは6畳に置くには小型とは言えないスピーカを中心に、シンプルにまとめられたシステムである。記憶では相当にパワフルでガッツのある鳴り方をしたと思っていたが、今回はどうもそうではないらしい。これまでよりもさらに贅肉を削ぎ落とし、音楽だけが聴こえてくるような、そういう求心力に満ちた音と感じた。ピアノばかり聴いているとGRFさんはおっしゃるが、そのこととも関連があるのだろう。
とはいえ、編成が大きくなれば、それに連れて演奏のスケールも大きくなり、記憶に近いパワフルな感じもしっかりと出てきたことから想像するに、一層、音楽表現のダイナミックレンジが広がったというのが正しい評価かもしれない。
しばらく、最近の録音のクラシックを聴かせていただき、余興ということでフルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲第一番を演奏してもらった。EMIが最後にリリースした全集(なんと21枚組!)とのことで、GRFさんいわく、それまでのどのCDやレコードよりも音が良いとおっしゃる。
ま、そうは言っても60年くらい前の録音だしモノでしょ?それに何度かフルトヴェングラーのCDは他の方の演奏を聴かせてもらったことがあるけど、古い音としか感じなかったしで、GRFさんには申し訳ないけど、ほとんど興味なく音に耳を傾けていた。
演奏が始まると同時に、それは驚愕に変わった。
これは私の知っているフルトヴェングラーではない。古く無いとは言わない。新しい音ではないが、しかし、この熱気あふれる演奏と良い意味でHIFI感を感じさせてくれる音はどういうことなのか?!しかも、これがモノ?馬鹿な!だってちゃんとオーケストラがそこに自然に広がっているではないかと錯覚する見事な音場なのである。
おそらくはユニコーンの超能力の賜物でもあるのだろう、ステレオとなんら変わらぬは言い過ぎにしても、自然さという点ではステレオすら凌ぐリアルな音場にただただ驚いた。
私が妙にフルトヴェングラーに感激しているものだから、GRFさんが嬉しそうにフルトヴェングラーを続けて何曲か聴かせてくれた。驚いた。どれも素晴らしい!特に感銘を受けたのはブラームスの一番とヴェートーヴェンの第九。いやあ、フルトヴェングラーさん、いままで誤解してました。ごめんなさい!とスピーカに向かって謝った。
ブラームスではテンシュテット、トスカニーニと聴き比べもさせていただき、ああ、こんな指揮者たちと比べられる今の演奏家は大変だなあと同情心すらいだいた。 時間をへて尚色褪せぬマエストロたち、彼らの知名度は伊達ではなかったのだと思い知った。
二時間ほど和室を堪能し、喉も乾いたので日本酒をいただくためにリビングに行く。
佐渡のお酒らしいが、コクとキレの同居した大変美味しい大吟醸だ。4Kの映像も見せていただく。もちろん、それは素晴らしいのであるが、それにしても、コンテンツが少ないとGRFさんはおっしゃる。時間の問題とは思うが、NHKと民法の番組のクオリティに差がありすぎて、正直、NHK以外は観るに値しない。酒場放浪記だけは別か?うまそうな焼鳥の映像に「今夜は焼き鳥だ!」脳になってしまった。
最後はGRF劇場大ホール、通称、GRFのある部屋だ。
GRFとトロバドールシステムだけがぽつんとあり、いろいろな機器が所狭しと置いてあった時期を知っている身からすると、一抹の寂しさは感じるが、潔い景色でもあった。
最初は和室で演奏いただいた弦楽四重奏から。やはり音のスケール感が違う。比べれば和室は精密なミニチュアであり、原寸に近いのは大ホールのトロバドールシステムである。
あまり調整されてない、とのことであったが、GRFさんの場合、それくらいでちょうどよいのではなかろうか?そのほうがびっくりしなくて済む(笑)
CDを一通り聴かせていただき、さて、次はLPだなと思っていると、何やらSONYのTC-K555ESGをセッティングし始めた。え?カセット?まじで?今どきオフ会でカセット再生するの、Aionさんと私くらいだと思っていたのだが今日のGRFさんはカセットな気分らしかった。
で、何を聴かせてくれるのかと思ったら、テレサの日本ファーストライブのミュージックテープ。今や10万円以上する貴重品らしい。
カセットというメディア、それも市販のミュージックテープの音質は、みなさんが想像する数倍以上良いと私は思っている。GRF大ホールでもカセットのテレサは存分に魅力的で、CDではない、しかし、LPでもない、テープとしか言いようのない安定感と帯域感をもってライブのイメージを伝えてくれる。ナカミチの700ZXEやルボックスのB710MK2でなくても、良い音でカセットを楽しむことは出来る。なんだかこちらに緊張感を強いないのがカセットの良さなのではないかと最近思っているが、GRFさんのカセット演奏もまさにそうであった。
とっておきの赤をふるまっていただき、気分ももりあがったところで、いよいよアナログ・レコードである。
ここまでCD、SACD、カセットと聴かせていただき、どれも本当に楽しく聴かせていただいた。しかし、これはあまり言いたくないのだけど、やっぱりアナログ・レコードは一頭群を抜いていると感じる。今回はLPだけではなくEPもたくさん演奏いただいた。基本的にどれも歌謡曲。GRFさんは歌謡曲マニアなのである。驚いたのはとにかくスクラッチノイズがないこと。我が家もVPIを導入してスクラッチノイズの低減を実現したが、GRFさんのレコードは低減ではなく、存在を感じないのである。なんでこんなことことになるのだろう?
また、面白かったのは何度演奏したかわからない盤と保存とか万一に備えて購入した同一の盤の聴き比べ。何度も演奏した盤のほうが演奏回数の少ない盤よりも、音に深みがありつややかで良い音なのである。そういえば、我が家でも渡辺真知子のレコードでおなじような経験をして、結局、昔買ったレコードばかり聴いている。レコードが減るって嘘だとおもった。再生すれば再生するほど音は良くなるのではないか?もちろん、馬鹿みたいな針圧での演奏だと結果は違うと思うけど。
最後はクール・ファイブのライブでこの日のGRF劇場は終演となった。
クラシックをこれほど長時間聴いたのは久しぶりであったが、とても新鮮で楽しく聴かせてもらった。私は歌謡曲しか聴かないと思われているし、実際、かなりそうなのだけど、クラシックが嫌いとかそういうことではない。問題はGRFさんのクラシックを聴いて、同じCDを自宅で演奏しても、なかなか同じ結果にならない、そこなのである。
今回はとにかくフルトヴェングラーに感動したので早速買ってみた。 早く日本に戻ってどんなことになるのか試してみたい。
GRFさん、今回もとても楽しかったです!ありがとうございました。
夜香
夜香さん
先週はおしそがしいところお越しいただきありがとうございました。日記に書きましたが、横浜のMさんと夜香さんをお迎えするときが一番緊張します。今回もいろいろお聞かせいたしましたが、肝心な和室のユニコーンでも、大音量を忘れてしまいました。トスカニーニのブラームス一番でのティンパニーとフルトヴェングラーの第九ぐらいだったでしょうか?実はあの倍ぐらいで、ダイアナ・クラールもおかけするつもりだったのですが、気持ちよくなりお聴かせしないまま、4Kテレビの酒場放浪記に行ってしまいましたね(爆)。
そして、いくらユニコーンが善戦していても、GRFのある部屋劇場の音にはかないません。翌日、横浜のMさんから、もっと徹底してコンサートホール感を出したらどうだと、いろいろとアイデアをご提案されました。今年のGerman 友の会にも向けて、新たな挑戦の方向も見えてきました。
大山さんとも相談してチャレンジしてみようと思います。クールファイブのLPが出てきたので、久しぶりにクールファイブのカバーアルバムを聴いていたら、桑田佳祐の最近の歌謡曲の歌唱法にとてもよく似ているので、いかにクールファイブが、歌謡曲の発展に貢献したがよくわかりました。そしてその頃のレコードの音がいいのです!
桑田佳祐も歌謡曲を歌うときは、巻き舌ではなく正統的な発音ですから、安心して聞いていられます(笑)。そして、うまいです。
家のレコードは、聞き込んできた盤の方がいい音がします。不思議ですね。30年も40年も聞いてきて、溝が減っているのではと思う方が、いい音ですね。レコード再生のS/N比がいいのは、ターンテーブルが無音なので、針を落としたときの回転音がないのと、アームの厳密な調整で、溝にしっかりと入って安定したトレースをするのでしょう。そして、MolaMolaのEQの最低域の再現性の良さですね。
夜香さん、またお邪魔いたしますね。
でも、昨年からとんでもないペースで改良が進んでいますが、少し、ペースを落とされた方が、後に楽しみを残せていいですよ(爆)
by TANNOY-GRF
| 2019-02-28 19:17
| 来たり
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