2019年 03月 05日
のびーさんのご感想 |
GRFさん
先週末にロンドンに戻りました。年々、疲れのとれ方が悪くなり、未だにボーっとしています。チコちゃんに叱られそうです。眠い目をこすって、今晩のCadogan Hall のGergiev & Mariinsky Orchestraに備えております。
今回も良い音と興味深いお話で色々と学ぶ機会を頂戴しました。ありがとうございました。簡単ですが以下に感想を記します。曲名、演奏者等、メモを取っていないので間違いがあるかもしれません。
今回のGRF邸訪問のポイントは音場の深さです。EMMを自室で聴けるようになり、Mola MolaとEMMの双方の魅力をより理解できるようになったと少々自惚れております。
二つのDACは音色も音場感も異なります。EMMの音場中心はMola Molaに比べると奥にあります。どちらのDACも前後方向にも十分な深さを提示しますが音源により、より好ましいDACが異なります。ただ全体的にMolaMolaの表現力が少し上回ったという印象でした。特に、これは音場というより音色の違いですが、Mola Molaがクレンペラーの古い録音を古臭くなく、といって違和感があるような新しい音でもなく再生したのには驚きました。
まず、最近、皆さんの影響でレファレンスとしているオルフェウスのパッフェルベル・カノンを聴かせて頂きました。
聴き所は導入部で、3パートに分かれたバイオリンの左→中→右の展開が繰り返されます。音場が左右に十分広くないと真ん中の方で固まり、ハーモニーの広がりが感じられず楽しくありません。
拙宅でも調整の結果、3パートが程よく分離しハーモニーの広がりを把握出来ていましたが、GRFさん曰く「バイオリンの3パートは半円形に編成されており、中のパートが奥まって定位する。これで音場の広さと深さが楽しめる」とのこと。確かに真ん中のバイオリン2丁が若干、ただし明らかに奥に定位します。なるほど、これはまた帰って調整に励まねば...
ただこの演奏でより印象に残ったのはチェロ、コントラバスによる通奏低音部の充実です。日頃から低音の充実を心がけており「ウチも結構良いのでは」と自己満足していましたがまだまだでした。低音の「量」が違います。当然ながら低音を単純にブーストしてもなかなか「量」は得られませんからこれでまたセッティングに悩むことになりそうです。
続いて、昨年から何度も聴かせて頂き、拙宅でもレギュラー化しているプレトニョフとアルゲリッチのプロコフィエフ・シンデレラのSACD。
この演奏は2台のピアノの響板部分を交差させて配置して録音されており、低音域では左右どちらのピアノが弾いているのか判別しにくいのですが、高音域では分かりやすくなります。拙宅でも、この辺りは良く分かるのですが、GRF邸では左右のピアニストの間隔がより原寸大に近く表現されます。
原寸大とは、目の前に定位しているピアニストの間隔が「実測で3メートル以上ある」というのではなく、「3メートル以上あるものを見ている(聴いている)」ということです。コンサートホールでは、1階席でも2階席でも見方は異なりますが「原寸大」が見えます。機器により表現される音像が十分に大きいか?これもウチでは、「まだ小さい」ことが判明しました。
次は、武満・ノヴェンバー・ステップスの3録音を楽しみました。
これは録音によりオケの配置が大きく異なりますから、配置による表現の違いを聴きます。ただ、前後、左右に十分な音場が提示されないと、指揮者や作曲家の意図を正確に理解できず楽しめません。
若杉=東京都交響楽団の演奏が、前後の深さを強調しながらも左右にも十分に広い小宇宙を表現したことに驚きました。詳細は省きますが、個人的には、ハイティンク=コンセルトヘボウ、若杉=東京都交響楽団、小沢=サイトウ・キネンの順番で好みでした。
最後に、トスカニーニの英国復帰公演のブラームス1番第1楽章の皮を打ち破りそうなティンパニーを堪能しました。
GRFさん、今回もありがとうございました。
のびー
のびーさん
先日はお忙しい中、拙宅に定点観測で寄っていただきありがとうございました。あの後、MFさんの最新型ファイル送り出しシステムを聴かせていただき、のびーさんの進まれている方向の音を認識致しました。何事も、よりシンプルが良いようです。
実は拙宅の音も、のびーさんが来られた次の夜、DDDで新しい実験をしました。結果、新しいドアを開けたぐらい進歩しました。まだまだ検証中ですが、次回来ていただいた時は、楽しんでいただけることと思います。
そして、のびーさんご推薦のMFさんの究極にシンプル化した送り出しシステムの音も、確かめました。こちらも日進月歩ですが、なんとか遅れないようにこちらも進歩しなければと思いました。
いずれも、のびーさんが切っ掛けです。次回は、今日のゲルギエフ、来週のハイティンク90歳の記念演奏会のお話しを楽しみにしています。
by TANNOY-GRF
| 2019-03-05 23:13
| 来たり
|
Comments(3)

昨晩のGergiev & Mariinsky Orchestraは非常にロシア的な音を堪能しました。
一緒に行った家内と二人並んだ席が取れなかったので少し離れて別々に座ることになりました。家内は横に座った初老の紳士と談笑していましたが、一緒に話そうと手招きします。会話に参加すると、彼は指揮者でMariinsky Orchestraを定期的に指揮しているというではありませんか!彼はOleg Caetaniといい、ロシア人とイタリア人のハーフで、GergievとSt Petersburg Conservatoryで同じ先生(Ilya Musin)に師事した仲とのこと。日本にも何度も行き、読売響や都響を指揮したことがあるらしい。
彼と席をスワップして前半のNutcrackerを聴きます。
ハーモニーが分厚くこってりしたNutcrackerです。高解像度とはある意味対極のサウンドですがオーディオ的快感があります。
インターバルに、彼の感想を聴きました
彼:「オケの音がロシア的で良い」
私:「ロシア的な音とはどんな音?」
彼:「それはDarkな音だ」
私:「Darkな音はどうやって出す?」
彼:「リハーサルで徹底するが、オケが元々持っている音がある。イタリアや日本のオケではこうは行かない」「ホールも大事だ。ここはロシア的な音を出しやすい。私もMr Toyota(永田音響設計の豊田泰久氏)ほどではないが、ホール音響にうるさいんだ(笑)。日本はホールも聴衆も素晴らしいよ」
まるで演歌のように、ロシアこぶしの利いたチャイコフスキー第6番を堪能しました。
一緒に行った家内と二人並んだ席が取れなかったので少し離れて別々に座ることになりました。家内は横に座った初老の紳士と談笑していましたが、一緒に話そうと手招きします。会話に参加すると、彼は指揮者でMariinsky Orchestraを定期的に指揮しているというではありませんか!彼はOleg Caetaniといい、ロシア人とイタリア人のハーフで、GergievとSt Petersburg Conservatoryで同じ先生(Ilya Musin)に師事した仲とのこと。日本にも何度も行き、読売響や都響を指揮したことがあるらしい。
彼と席をスワップして前半のNutcrackerを聴きます。
ハーモニーが分厚くこってりしたNutcrackerです。高解像度とはある意味対極のサウンドですがオーディオ的快感があります。
インターバルに、彼の感想を聴きました
彼:「オケの音がロシア的で良い」
私:「ロシア的な音とはどんな音?」
彼:「それはDarkな音だ」
私:「Darkな音はどうやって出す?」
彼:「リハーサルで徹底するが、オケが元々持っている音がある。イタリアや日本のオケではこうは行かない」「ホールも大事だ。ここはロシア的な音を出しやすい。私もMr Toyota(永田音響設計の豊田泰久氏)ほどではないが、ホール音響にうるさいんだ(笑)。日本はホールも聴衆も素晴らしいよ」
まるで演歌のように、ロシアこぶしの利いたチャイコフスキー第6番を堪能しました。

GRFさん、こんばんは。
この日は大変な遅刻をしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
今回は再生ソフトの変更でしたが、効果を確認できて良かったです。そして検証も行いまた一つ大きな経験となりました。
遅刻が原因で終了時間も遅くなり、夕食までご馳走になり本当にありがとうございました。
また素晴らしい再生を聴かせて下さい。
この日は大変な遅刻をしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
今回は再生ソフトの変更でしたが、効果を確認できて良かったです。そして検証も行いまた一つ大きな経験となりました。
遅刻が原因で終了時間も遅くなり、夕食までご馳走になり本当にありがとうございました。
また素晴らしい再生を聴かせて下さい。
のびーさん
そのロシア的というニュアンスですが、ゲルギエフの場合は、やはりDarkないわば土臭い音だと思います。ところが、師匠であるムラヴィンスキーは、Darkではなく天地の大きさが違っていたと感じています。そこがゲルギエフとムラヴィンスキーとの違いなのでしょう。
そのロシア的というニュアンスですが、ゲルギエフの場合は、やはりDarkないわば土臭い音だと思います。ところが、師匠であるムラヴィンスキーは、Darkではなく天地の大きさが違っていたと感じています。そこがゲルギエフとムラヴィンスキーとの違いなのでしょう。