2019年 04月 23日
Mさんからのご感想 「三つの個性」 |
GRFさんといえば、コンサートに数多く通う方だと聞いている。一抹の不安を抱きながらお邪魔したのは、閑静な住宅街のお宅だった。
まずはUNICORNが設置された和室に案内される。部屋の広さは約7畳。UNICORNを長手方向に壁と平行に設置され、管球アンプでドライブされている。
機器が温まるに連れて音場が拡大し、ユニット固定ネジの増し締めやキャビネットの埃掃除などで変化はしていくものの何処となく古き良き時代を感じさせる再生音である。
ただ、このセッティングは4トラックテープを音源とするPCオーディオの実験環境だそうで、GRFさん御自身も「アンプを変えようと思っていた」とのことでLR独立回路をビシェイで固めたプリアンプにスイッチする。

さらに、「後出しジャンケンみたいで…」と仰りながらCDプレイヤーをソニーMS1から、往年のマランツのCDプレイヤーCD-34に繋ぎ換えられた。実はこのCD-34、外観こそ純正仕様だが、プリアンプと同じ設計者がビシェイを使ってアナログ系をフルチューンしたというスペシャルバージョン。まさに羊の皮を被った狼で、UNICORNが実に朗々と唄い出したのには驚いた。
いろいろな音源を聞かせていただき「それでは…」と促されてご案内いただいたのは、隣室のオーディオルーム。約24畳。天井高は3メートル。床は固いフローリング、天井面の奥にはさらに60cmのスペースがあるそうだが天井は、遮音用吸音材が露出した状態で詰め込まれている。
無理に吸音材を隠すよりも音響的配慮から敢えてその状態にされているのであろう。窓は二重で、入り口ドアは防音室用のもの。部屋に足を踏み入れるなり、暗騒音の無い、ややデッドな空間が広がっているが反射と吸音のバランスが取れており、全く違和感がない。
GRFはコーナーに設置されているが、あのGRFが大きく感じられないのはやはり広さのせいだろうか。そのGRFの上には3㎜厚のフェルトを挟んでTroubadour 40が設置されている。
メインSPはTroubadour 80とユニット2発のバスレフタイプのウーファーBOXの組み合わせ。ユニットは何と正面と背面に備わっており、無指向性のTROUBADOURと呼応するような設計である。
リスニングポジションから見るとTroubadour 40がTroubadour 80で、ほぼ隠れる位置取りとなっている。この位置関係もいろいろ試行錯誤を繰り返されたようである。
まずは、メインSPのみで先程、UNICORNで聴かせていただいたCDを聴かせていただくが、音像はメインSPの後方に定位しウェルバランスで実に品位が高い。これに、後方のTroubadour 40が加わると音場とスケール感が一気に拡大するが、音像が肥大化するわけではない。特に聴かせていただいたモノラル音源はマスタリングが違うのではないかと思える程の激変ぶりであった。
ところでプリアンプのmola mola Makuaには、オプションのDACユニットが装備されており、emmのDAC出力をアナログで受けたものと瞬時に切り替えることができる。
mola molaのDACは解像度や切れを備えた現代ハイエンドの音色。対するemmは、奥行きの深い音楽が楽しめる音色と感じた。アラウの弾くスタインウェイの歯切れの良いPfを味わいたければmola mola、逆にグリモーの皇帝にはemmと使い分けたくなる実に贅沢な環境である。
さて最後はアナログタイム。アナログはTroubadour 40を入れると干渉して不自然になる、とのことでメインSPのみの再生である。
ベンツマイクロのカートリッジの新旧比較もしていただくが新しいカートリッジの方が数段上に感じられる。越路吹雪、森進一、・・・ 密度が高く、聴いていてとにかく楽しい。
UNICORN、Troubadour 80のメインSP、Troubadour 40のアンビエンス用SP、3つの個性を堪能させていただき、実に内容の濃い充実した1日だった。
土曜日に来られたMさんから、ご感想を送っていただきました。お互いに始めてお会いする緊張感もありましたが、どうやら気に入っていただいたようで嬉しいです。次回はこちらからお邪魔いたします。B&W N801をどのように鳴らされているか楽しみです。
by TANNOY-GRF
| 2019-04-23 09:19
| 来たり
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